2006年5月アーカイブ

人財教育の実効を挙げるために②

前回(5月10日)、人財教育の実効性が上がらない一番目の要因として"1.人財像の定義が不明確"ということについて説明した。

2.教育の内容や中身そのもの

"売り手側の効率性や生産性が全て"

現状の人財教育の多くは、現実の仕事とは全く無関係の領域で行われている。
具体的には、その多くは階層別教育が主流で、役割認識に訴求したものや意識や姿勢の変容を目的としたもの、或いは個人や集団の動機づけ等コミュニケーションを中心としたものやMBA的な抽象的な概念や知識レベルを提供するものなどである。

しかも、そのほとんどは、売り手である教育を提供する側の論理で考え出され、パターン化やパッケージ化されている。
プログラムは多種多様に用意されているが、個々の企業の個別の状況や経営課題、業務課題等に訴求したものは非常に少ない。
要は、すべからく売り手である提供者側の効率性や生産性が全ての起点にあるために、業種・業態を問わず、全く同一のものを顧客に提供するためにパターン化、パッケージ化を行い、一律的に提供しているのである。
また、その対象も最もボリュームが多いということで中間のミドル層に焦点を当てているものが多い。
まずは"商品ありき""プログラムありき"ということでいかに顧客に自社商品を導入させるかという価値観であるために、顧客側の固有ニーズや課題の解決に有効となるものを提供するという考え方は見受けられない。

"理論と実践との間の大きなズレが存在"

一般的な教育や研修というのは、講師がマニュアルやシナリオに従って、予め用意された落しどころに受講者を呼び込み、その上で教育を行う。
用意されたマニュアルやシナリオの範囲内では対応できるものの、その枠外やそこから異なる方向に分岐してしまうと容易に対応出来なくなってしまう。

これは、現実の経営や仕事とは無関係の領域で"人材教育として正しいこと"或いは"正しい人材教育がある"という考え方が紛れもなく存在しているのである。

これらの点が、ビジネスの世界の実務家に"研修や教育は役に立たない"といった消極的な姿勢を醸成させ、研修や教育に対する関心を遠ざけてしまう結果をもたらしている。
言葉を換えれば、教育の提供者側が現実のビジネスの世界や経営といった顧客側の進化のスピードに全く対応できておらずいまだ自分たちの論理の世界にとどまってしまっている。


*続きはこちらにどうぞ。 
  【人財教育現場で思うこと】⑤

人財教育の実効を上げるために①

大方の日本企業では"人が大事"といいながらも不況や業績に陰りが見え始まると、人への投資を絞りはじめる。要は、交際費や広告宣伝費といった類のものと同レベルの考え方や扱いなのであろう。

この背景にあるものは、

●人財教育や研修そのものの効果性や実効性といった点に対する疑問。
●機械設備や固定資産への投資効果は、即検証できるが人財への投資は
  即効性がない。

それでは何故、効果性や実効性が上がらないのであろうか。

我々が現在まで多くの企業に関わって或いは人財教育という場に接してきた経験からの知見では、その要因として考えられるものが7つほどある。

  1.人財をマネジメントする人事部門に自社が必要とする人材像の
    具体的な定義がない
  2.教育の内容や中身そのもの
  3.先ずは教育ありき
  4.ビジネスモデルや経営戦略との連動性
  5.組織の規範や企業風土
  6.教育や研修講師のレベル
  7.経営トップの関心や関与

7つの要因、個々について考えてみると、

1.人財像の定義がない
人事部門に事業環境にマッチした人財の定義が明確でないために、社員にどのような能力やスキル、意識・姿勢を身につけさせるべきなのかといったことを論理的に見出すことができない。
そのために、外部の教育団体がいろいろな企業で汎用的に展開している流行の教育やパンフレットのキャッチコピーやワードに飛びつきがちでそれが真に我が社で必要なものかどうか誰も理解していない。
また、全社の人財をマネジメントする組織であるにもかかわらず、社員個々の能力やスキル,適性等について客観的に把握できていない。
単に各組織の管理者の評価結果のコピーをファイルしておくだけでは、我が社にとって本当に必
要な独自の人財戦略、人財方針、人財教育等を構築できうるのだろうか。


*続きはこちらにどうぞ。 
  【人財教育現場で思うこと】④

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