人財教育の実効を挙げるために②
前回(5月10日)、人財教育の実効性が上がらない一番目の要因として"1.人財像の定義が不明確"ということについて説明した。
2.教育の内容や中身そのもの
"売り手側の効率性や生産性が全て"
現状の人財教育の多くは、現実の仕事とは全く無関係の領域で行われている。
具体的には、その多くは階層別教育が主流で、役割認識に訴求したものや意識や姿勢の変容を目的としたもの、或いは個人や集団の動機づけ等コミュニケーションを中心としたものやMBA的な抽象的な概念や知識レベルを提供するものなどである。
しかも、そのほとんどは、売り手である教育を提供する側の論理で考え出され、パターン化やパッケージ化されている。
プログラムは多種多様に用意されているが、個々の企業の個別の状況や経営課題、業務課題等に訴求したものは非常に少ない。
要は、すべからく売り手である提供者側の効率性や生産性が全ての起点にあるために、業種・業態を問わず、全く同一のものを顧客に提供するためにパターン化、パッケージ化を行い、一律的に提供しているのである。
また、その対象も最もボリュームが多いということで中間のミドル層に焦点を当てているものが多い。
まずは"商品ありき""プログラムありき"ということでいかに顧客に自社商品を導入させるかという価値観であるために、顧客側の固有ニーズや課題の解決に有効となるものを提供するという考え方は見受けられない。
"理論と実践との間の大きなズレが存在"
一般的な教育や研修というのは、講師がマニュアルやシナリオに従って、予め用意された落しどころに受講者を呼び込み、その上で教育を行う。
用意されたマニュアルやシナリオの範囲内では対応できるものの、その枠外やそこから異なる方向に分岐してしまうと容易に対応出来なくなってしまう。
これは、現実の経営や仕事とは無関係の領域で"人材教育として正しいこと"或いは"正しい人材教育がある"という考え方が紛れもなく存在しているのである。
これらの点が、ビジネスの世界の実務家に"研修や教育は役に立たない"といった消極的な姿勢を醸成させ、研修や教育に対する関心を遠ざけてしまう結果をもたらしている。
言葉を換えれば、教育の提供者側が現実のビジネスの世界や経営といった顧客側の進化のスピードに全く対応できておらずいまだ自分たちの論理の世界にとどまってしまっている。
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【人財教育現場で思うこと】⑤