現場ドキュメント: 2006年7月アーカイブ


何故これまでの研修や教育の効果が上がらないのか!
風土や体質が新しいやり方を暗黙のうちに拒絶している。

人財教育の実効を上げるために⑤

これまで、人財教育の実効性が上がらない要因として"1.人財像の定義が不明確""2.教育の内容や中身そのものの"問題、そして"3.まずは教育ありき"という考え方に大きな問題があることさらに、"4.教育施策や育成制度がビジネスモデルや経営戦略と全く連動していない"ことの問題について説明してきた。
今回は、

5.組織の規範や企業風土が新しい知識や情報を阻害

筆者が各企業から人財教育を委託される際、必ず事前打ち合わせのために経営トップの方々からお話をお聞きすることにしているが、その際、多くの経営者の方々から出てくる発言に「うちの管理者は危機意識がないので意識変革をしてほしい」「自分の仕事の範囲内のことしか考えていないし、会社全体のことにはかかわらない」「部下を育成できない、マネジメントが出来ない」等といった、要するに「駄目だから、何とかしてくれ」というお話やご依頼がことのほか多い。

この発言の背景にあるのは、駄目な原因は管理者の固有の意識や能力にあるという考え方である。
然しながら、「自分の範囲内のことしかやらない、或いは視野の狭い管理者を作り出してきた本質的な要因は、実は自社の組織内の規範や風土に本質的な問題があるのである。
例えば、これら管理者が外部の卓越した教育を受講して「危機意識を持ち、仕事のやり方を変えなければ」と気づいて戻ってきたとしも、彼らを待っているのは組織の現実であり、換言すれば、組織の規範や企業風土である。

その組織が、仕事の変革を容易に受け入れるような規範や風土を備えていれば、受講者の教育効果は高まるが、動機づいている受講者が仕事の変革の提案や改革のための行動をとったとしても
「言っていることはわかるが現実的ではない、理想では飯が食えない」等といった反応が返ってくるような組織や企業では、新しい発想や考え方は容易に受け入れられず、当事者は改革意欲を喪失してしまうために、教育の成果には全く結びつかない。


このような組織では、どのような教育をしても独創性や斬新なアイデアを持った或いは挑戦的で活力のある人材は育たない。

容易に変革出来ていない組織や企業に関わっているとその組織や企業の経営幹部や管理者の人たちには、ひとつの共通する考え方やパラダイムがある。
「我々の業界は特殊である」「理想と現実は違う」「資源がないから難しい」等等である。

これは「自分達のやっていることが現実で、自分がやれていないことを理想と片づけてしまう」考え方、「自分達の業界は特殊であるから他業界のやり方や新しい方策は通用しない」といった短絡的な思考等である。

そして、最も恐ろしいことは、「自分達は分かっている」という思い込みにある。

業種業界の垣根がなくなりフラット化が叫ばれている今日、経営幹部や管理者のこうした考え方が日常のマネジメントの判断や意思決定の質と組織全体に与えるマイナスの影響は極めて大きい。

これは、まさに企業組織全体としての学習能力の低下を如実に物語るものであろう。


*続きはこちらにどうぞ。 
  【人財教育現場で思うこと】⑧

人財教育の実効を上げるために④

これまで、人財教育の実効性が上がらない要因として"1.人財像の定義が不明確""2.教育の内容や中身そのものの問題、そして"まずは教育ありき"という考え方に大きな問題があるということについて説明してきた。

4.ビジネスモデルや経営戦略との連動性の喪失

経営を取り巻く環境変化のスピードが極めて速い今日の経営課題はねこれまでの「組織の内部効率をいかに高めるか」ということから「外部環境にいかなすばやく適応するか」ということに移ってきている。
組織内部の効率化重視の志向は、社員の思考を内向きにさせ、外部環境の変化に対して非常に硬直的にさせてしまうという弊害を生み出し、それが企業革新を進める上でまの大きな障害となっている。
従って、これまでの「個人や集団の動機づけ、コミュニケーション等を中心としたミクロの組織論」に代わって「市場や経営環境の変化に自社を適合させるためのビジネスモデルの構築」が経営上の大きな課題となってきている。
そこで、自社のビジネスモデルの推進に必要な人財のイメージや保有すべき能力の明確な定義づけが必要となってくる。
ビジネスモデルが変われば、当然のことながら人材の育成や教育の方法も換わらなければならない。
2000年9月6日の日本経済新聞によると、「三井物産では新入社員を原則として入社2年間は
経理審査部門に配属して営業部門への配属は入社3年目以降とする」と報じている。
この背景には、商社のビジネス形態がこれまでの仲介取引から事業投資やIT関連へと転換したことがうかがえる。
これは、同社がビジネスモデルの変化に応じて、人材の育成方法も転換したということである。
然しながら、未だ多くの企業では、ビジネスモデルや経営戦略が変わっても育成方法や教育体系は旧態依然としていたり、従来の方式をそのまま踏襲しているというパターンがあまりにも多い。
ビジネスモデルや経営戦略と経営戦略と教育体系や人材育成制度をリンクさせ、連動性を強化することが非常に重要である。


*続きはこちらにどうぞ。 
  【人財教育現場で思うこと】⑦

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