現場ドキュメント: 2006年10月アーカイブ

法の整備が進み、また環境の変化も女性の活躍を後押しする中で、本当に女性が生き生きと働ける社会、そして会社にしていくために何が必要なのだろう?

以前、働く女性の分科会に参加し「仕事をする上での悩み」を話し合った際、
  ・やりたいことが見つからない
  ・社内にモデルケースとなる人がいない
  ・仕事がマンネリ化して遣り甲斐が感じられない
  ・仕事と家庭の両立が難しい
  ・男性に比べてキャリアの選択肢が少ない
  ・出産・育児に関する制度はあるが利用しづらい
  ・いろいろあるけど、楽しいし遣り甲斐もある
  ・仕事は遣り甲斐があり頑張りたいが、家族の理解が得られにくい
など、様々な意見が出てきました。

会社や年齢、役職や未婚・既婚など違いはありますが、同じ女性としてこの意見の違いは何だろう?同じ会社や職場にいながら、遣り甲斐が持てる人、持てていない人がいる。その違いは?生き生きと働きたいし、頑張りたい。でも、自分だけでは超えられない現実がある。どうすればいいの?など、活発な議論が行われたのですが明快な答えが出せないまま、「明日から頑張るぞ!」との掛け声で時間切れとなってしまいました。

女性の能力発揮に積極的に取り組む中で、このような場面に遭遇されたことはないでしょうか。

女性が生きがい、遣り甲斐を持って生き生きと仕事に取り組める状態にするために、そして成果を上げていくためには、

 ①企業としてのインフラ:女性が十分力を発揮できるための仕組みや制度
 ②企業や組織としての風土:女性の位置づけ、女性に対する認識の仕方
 ③上司のマネジメント:男女の格差をつけない女性を有効な戦力とみなす
   上司のマネジメント観の変革
 ④女性の意識(自分の在り様):仕事や生き方に対する欲や思い、意識、能力

これらのどれかでなく、全てに取り組んでいくことが重要ではないでしょうか。

働きやすいインフラの整備はできた。でも、これだけでは女性が活躍できる、生き生きと働ける会社にはならない。

「女性ワーキングプロジェクトチーム」を発足し、プロジェクト第1期では、各種制度や仕組みなどの整備に取り組んだプロジェクトのメンバーの次の取り組みテーマは、『女性の意識改革』でした。

誰の手で、『女性の意識改革』を促すのか

「女性の意識を変えたい」1日や3日で。
そんな都合のいい講習や研修は残念ながらありません。

仕事柄ということもあり、女性のセミナーや研修などに参加し刺激を受けることは多くあります。その刺激をモノにできる人はごく一部で、そういう人はきっと本や雑誌、どんな刺激をも変化の材料としていけるのでしょう。
でも多くの人にとって、講習や研修、セミナーの刺激効果は短く、短い期間で元に戻っていく。

『女性の意識改革』を外部の機関に託すのではなく、自分たちの手で。

具体的には、我が社の女性社員にどういうメッセージを伝えたいのか、どういう意識を持ってほしいのかという所から『我が社オリジナルの女性の意識改革プログラム』を作り、『社内トレーナーの養成』をし、『自分たちの手によって女性社員に展開』していくことになりました。

通常の業務を行いながら、自分たちが主体となって、『女性の意識改革』を進めていく。女性の意識改革が何故必要なのか?どうすれば女性の意識改革が図れるのだろう?などを主体的に考えて続ける。そのことにより、女性が生きがい、遣り甲斐を持って生き生きと仕事に取り組める土壌を作りあげていくことを目的としました。
                               OBT協会 伊藤みづほ

「2007年度問題」による団塊世代の大量退職や人口減少社会の到来などを背景に、2003年7月に次世代育成支援対策推進法が成立。2006年6月には「改正男女雇用機会均等法」など、法の整備が進んでいます。

「次世代育成支援対策推進法」では、
次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ育成される環境整備を進めるため、従業員数が301人以上の企業では、労働者が仕事と子育てを両立させ、少子化の流れを変えるための次世代育成支援対策のための行動計画を策定し、その旨を届け出ることになりました。

「改正男女雇用機会均等法」では、
10年ぶりの改正で、「差別的取扱いを禁止する雇用ステージの明確化」として、配置における権限の付与・業務の配分、雇用形態・職種の変更などについて規定。また「間接差別の禁止」として、募集・採用における身長・体重・体力要件、総合職の募集・採用における全国転勤要件、昇進における転勤経験要件など、性差別禁止の範囲が拡大され、来年4月の施行に向けて動き出しました。

また、企業の価値を測る重要な物差しとして定着しつつあるCSR(企業の社会的責任)の一つとして、女性活用が数えられるようになり、法の整備が進み、環境の変化も女性の活躍を後押ししています。

 しかし、国連開発計画(UNDP)が、女性の働きやすさなどを指標化した国別ランキングでは、日本は80カ国中で43位。課長職に占める女性の割合は5%。このような指標を目にし、改めて、女性に関して"質"を求める、高付加価値の人材を育成するという意識が社会全体で不十分であるということを感じます。

 毎日、様々な企業にお伺いし、2年ほど前から女性の活用・戦力化などの課題に対するお話をいただく機会が多くなってまいりました。法の整備が進む中、また上記のような現状への反省からでしょうか、企業における働き方の見直しの大きな流れ「ワーク・ライフ・バランス(生活と仕事との調和)」、多様な働き手に合わせ働く環境も多様で柔軟な仕組みにする「ダイバーシティー」や、女性の戦力化を促すプログラムの展開など支援策についてのご相談が多くなってまいりました。

そんな中、昨年10月に、「女性ワーキングプロジェクトチーム」を発足し、自社において女性がさらに活躍できる環境を実現するために具体的に取り組んでらっしゃる企業様があります。

第1期の活動では、現在の女性社員の活用状況や働き方に関する意識、要望など自社の現状をアンケート等により把握。制度や仕組みも含め対策等の提案を実施。
今月から第2期に入り、女性・管理職の意識改革、各種制度の新設も含め更なる見直しなどに取り組んでいます。

次回からの現場ドキュメントにて、数回にわたり、女性の意識改革などの具体的な取り組みについて、可能な限りご紹介をさせていただきます。
                                      OBT協会  伊藤みづほ

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