現場ドキュメント: 2009年6月アーカイブ

 

今回の現場ドキュメントでは「OJTトレーナー養成」をテーマに実施した教育をご紹介します。

数年前からOJTトレーナー制度を導入された企業様で

当初は 「現場で使えるスキルや知識を伝えてほしい」 という御依頼でした。

 

しかし、そもそも、
・「自分がOJTトレーナーを担当している」という当事者意識
・OJTトレーナーとしての自分なりの考え方
(例えば"OJTトレーナーを担当するということは(会社のためでなく)自分の成長のためである"等)
がなければ、スキルや知識をいくら伝えたても参加者は「自分に必要なこと」として捉えられず

全く頭に入りません。

そこで、最終的には教育の目的を
「OJTトレーナーの意味付け(役割の再認識)」 の一点に絞りました。

 

 【教育の実施】

 教育では、

 ・OJTトレーナーを担当してみて、今、課題に感じていること
 ・新人の育成において、自社で現実に起きている課題

 を主な題材として、ディスカッションを繰り返していきました。

 現実に起きている課題について、お互いの考え方・意見を交換することで参加者は次第に

 "気づき"を得ていきます。

 スタートした当初は"何となくうまくいっていない"というレベルで捉えていた事象を

 後半の方では、自分が解決しなければならない問題として捉えているように感じました。

 

 最終的には

 ‐仕事の全体を理解した上で、仕事を割り振りたい
 ‐普段「忙しいこと」にかまけている自分に気づいた。
 ‐場当たり的ではなく、中長期的に指示命令を出していきたい。
 ‐半年、1年と、明確な目標を持つ事が大事だとあらためて感じた。

 等のコメントが参加者から上がりました。

 

 【教育を終えて ‐OJTが機能するために‐】

 新入社員の定着化・早期育成を目的にOJTトレーナー制度を導入する企業は数多くありますが

 「うまく機能していない」現状をよく耳にします。

 その多くは「OJTトレーナー制度」という枠組みだけ導入して、それを運用する人・組織(企業のソフ   

 ト構造)の在り様が変わっていないためです。


   しかし一方で、すぐに「では、マネジメントが悪い」等と部分に原因を見出しても仕方ありません。

 もちろんOJTトレーナーの上司に当たる管理職のあり様も大きく寄与しますが
 多くの場合、部下の育成と同時にプレイヤーとしての成果も強く求められている現実があります。
 
 下が悪い、上が悪いと指摘していては切りがありません。
 
 やみくもに"OJT""メンター""部下育成"と唱えず、まずは「OJT」そのものが

 機能しにくくなってきている現状を認識しすること、その上で自社の人財に対する姿勢を明確にし

 また、全社的に人を育成する風土・体質を時間をかけてでも構築していくことが

 これからますます企業の競争力を決するのではないでしょうか。

 

 

キーワード : 経営方針浸透

【事例】 : 経営方針の浸透と実現

 

流通の近代化で卸会社は消滅すると予言した著書「流通革命」が
ベストセラーとなったのが半世紀前。
卸という機能がなくなったかといえば、そうではない。

 

卸という機能を兼ね備えた生産者、卸という機能を取り込んでいった
小売業の出現など、業界のかつての区分がなくなっています。

 

そんな中、新たな戦いのルールを構想し、中期経営計画として社員に示し、
その実現に向けて大きく舵を切った会社があります。

 

我が社の5年後を描いた中期経営計画は、中堅幹部が中心になり、
経営陣と一緒になって作り上げていきました。しかし、どんなに
素晴らしい経営計画であっても、言ってみればそれはあくまでもハード部分。
経営計画でも戦略でも新しい制度でも仕組みでも、ハードとソフトが
両輪となって回って行かないとすべからく「仏作って魂入れず」となり、
絵に書いた餅化してしまう。

 

多くの企業で常態化している状況を避けるために、
重要視したのがソフトの部分である。

 

経営計画の実現に向けてハードだけでは、絵に描いた餅に終わってしまう。

 

実現に向けて最も重要なのは、経営計画に対する社員のコミットメントであり、
ものの見方や考え方、また会社に対するロイヤリティーや
モチベーション等といったソフト部分であり、このソフトの部分を
変えていかなければ、経営計画の実現は難しいという経営陣の危機感のもと、
OBT協会では、ソフト部分の変革を会社側と一緒になって取り組んでいます。

 

つまり、ハードとソフトの両輪をまわして、
変革を実現していくためのシナリオを一緒に描き、進めていきます。

 

先月、その第一弾として、事業部のトップを対象とした変革プログラムを
スタートしました。
ソフト面の変革の実効をあげるためには、上層部から始めて下位層に
降ろしていくという方法が効果的であると考えているためです。

 

●事業部長に対する変革プログラムのステップ

①自己のマネジメントの現状を俯瞰する
②経営計画の浸透状況や企業風土の現状
③顧客からの見方 

を材料に、変革に向けての道筋をつけていきます。

 

今回は第一ステップとして、
①自己のマネジメントの現状を俯瞰

   自己の日常のマネジメントの現状に対する周囲からの見方を材料に、
   自己を振り返り、変革の実現に向けて、自己の何をどう変えていくのか
   を明らかにし、行動変容を促進させていきます。
   
   ・中期経営計画をちゃんと伝えているつもりの自分
      ⇔ 会議の場で聞いた記憶はあるという程度の認識の部下

   ・現状について危機感を持ち、変革に向けて行動できているつもりの自分
      ⇔ 変革に向けて一番変わっていないのは経営層だと思っている部下

   ・変革に向けて何をすべきかを示しているつもりの自分
      ⇔ 自分達の何をどう変えていけばいいのかわからない部下
 
   日常のマネジメントにおいて、自分はやっているつもりであっても、
   その方針を受け、具体的に動いていく部下たちがその意図とは
   違う受け止め方をしているということは往々にしてあります。

 

   自分の認識と周囲の認識が違う場合に、人はそれに抵抗したり、
   自分を正当化したりと、この現状を受け入れる事は容易ではありません。

 

   第三者の立場で見ていると、変革や変わっていくためには、
   強みや弱い点も含めて自分に気づき、それを受け入れる事だと
   素直に思えるのですが、当事者の立場だと頑なになっている自分。

 

   周囲に映っている現実の自分を容易に受け入れない事業部長に対し、
   中期経営計画達成のために、お互い変わっていこうという
   一体感が事業部長の間に生まれたステップでした。

 

お問い合せはこちらから : OBT協会(お問い合わせフォーム)

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