現場ドキュメント: 2012年2月アーカイブ

「会社をより良い状態に変えていこう」
「リスクをかけても新しいことにトライしよう」

トレーニングを通じて受講者がこの様な気概を持っても、
現実の職場に戻ると旧態依然な上司や風土によってかき消されてしまう・・・

―  受講者/参加者の意識や考え方は大きく変化しているが、
   一方で、職場や上司が変わっていないことによるギャップ

多くの企業がこの壁に苦しんでいるのではないでしょうか。

私共もこの問題に非常にジレンマを感じますが、
今まで様々な企業様を支援する中で、
その解決に向けて、効果を実感できる取組みがあります。

それは毎回のトレーニング終了後、受講者に

 ● 自己のレビュー
 ● 職場展開

を徹底していただくことです。

通常、10回以上のトレーニングを重ねて、
新たな観点を学習しながら改革案を創り上げますが、
各回が終わる毎に、受講者には次回までの宿題として、
次の3点についてまとめてきて頂きます。

今回のトレーニングを通じてわかったこと
今後、自分に活かしていくこと・実践していくこと
職場で周囲(上司・部下)に①②を報告した際の反応


20120222genba.JPG

 
しかし、これは容易なことではありません。
特に③、職場の上司・部下へ報告し、理解させることです。

トレーニングに参加し、新しい観点を習得し続ける受講生とは違って、
上司・部下は、その"場体験"を共有していません。

①~③についてまとめてきた結果を共有するセッションで
受講者の議論を聞いていると、

「上司に伝えたら『話としては分かるんだけど、
うちの会社の場合難しいじゃないか』という話があった」

等、最初の内は職場の反応は冷ややかなことが多いです。

しかし、根気強くこの取り組みを5回、6回と繰り返していくうちに
受講者の会社を良くしていきたい、という思いが、
周囲に広がっていく手ごたえを感じることがあります。

先日、全12回のトレーニングの最終回を迎えたある受講生に、
先輩社員から次のようなコメントが寄せられていました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私は勤続年数も、年齢も(受講生)より、ずっと上です。
しかし、わが社のリーダーとして、この様な考え、思いを持っている人であれば、
私の長年の経験で得た知識や情報を惜しみなく提供し、
リーダーのために、できる限りのことをしていきたいと思いました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

既存事業が行き詰る中、自社の新たな方向を考えだせる
次世代リーダーの育成が多くの企業で急務となっています。

しかしそのための特効薬はなく、また、経営や戦略の知識をインプットすれば、
リーダーが育つのかといえば、必ずしもそうとは言い切れません。

トレーニングの場で体得した気づきを、一旦、自己で深く理解し直し、
思い・意志を持って自分の考えを職場の上司・部下に伝え、
試行錯誤しながら賛同者を増やしていく。

一見地味ですが、この地道なプロセスを繰り返していくことが、
リーダーの育成、変革の気運を会社、職場へ波及させていく上で、
必要だと実感しています。

選抜型の次世代リーダー育成の実施にあたり、
人選の基準について、ご質問をよくいただきますが、
その際、OBT協会の考えとして、思い・ヤル気を一番に挙げております。
それは、これまでの経験を通じて
この会社を・この事業...をどうしていきたいのかという思いの高さが
目線や視野の高さをもたらすと考えているからです。

「思いは醸成できるのか?」というご質問をいただくことがあります。

もちろん全員に言えることではありませんが、
毎年、数社様の次世代リーダー育成の全工程を拝見させていただく中で、
思いを醸成することは可能だと確信を持っています。

OBT協会の次世代リーダー育成では、
以下の図のように、「論理」から「現実」を行ったり来たりさせます。

「論理」は、経営リテラシーや実在する企業の経営や戦略、実在する経営者など。
これらをテンプレートとして、我が業界・自社・事業・自組織・自分...を
俯瞰させるプロセスを繰り返していきます。

20120208.PNG

しかし、こういった「論理」は学習させることはできますが、
思いや主体性は学習で習得できるものではありません。

次世代リーダー育成のプロセスを見ていると、
思いや主体性などは、深い内省的な思索を繰り返し、自社・自分と対峙することにより、
湧き上がってきたり、火が着くものなどだと実感します。

だからこそ、新たな視点や見方を獲得させるために何を学習させるだけでなく、
行ったり来たりさせるこのプロセスの中で、
どれだけ深い内省や対峙を起こさせるかが重要なのです。


今回の「この人に聞く」にご登場いただきました
ライフネット生命保険の出口社長から、
生命保険のあるべき姿に対する揺るがない思いが伝わってまいりました。
そして、あるべき姿の明確さや思いは、
人に活力を与える力があるのだと改めて感じました。

自分のヤル気を高めるものは、
自分がどうありたいのか、
自分の仕事をどうしたいのか、この事業をどうしたいのか・・・
これらに対する自分の思い。
自分はどれだけ明確に持てているか、再確認せずにはいられません。

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