2008年2月アーカイブ

一般的な組織の発展段階は、
機能別組織→事業部制組織→カンパニー制組織→分社組織と考えられます。

機能別組織とは、開発、生産、販売、管理といった経営機能ごとに組織編成された
形態です。機能別組織では、技術者は開発部門に、技能者は生産部門に、
事務員は管理部門というように機能ごとに同一部門に集められることになります。

同じ仕事を担当するスタッフが1つの組織に集結するため、スキルや知識の
伝達・共有化がしやすく、専門性を高めやすいというメリットがあります。

では、なぜ機能別組織は、事業部制組織に移行していくのでしょうか。

たとえば、製薬メーカーが食品事業に参入した場合、新事業の食品とは、研究開発、
製造、物流、営業のすべてが異なりますので、機能別組織の適合性が低下します。

そこで、各々の事業部として研究開発から営業、マーケティングまでの一貫した
マネジメント、すなわち事業部制組織への移行が必要となってきます。

事業部制への移行ニーズは、このような製品の多様化のほかにも、販売エリアの
拡大や、販売チャネルの多様化に伴って採用されることもあります。

事業ごとに編成された事業部制組織は、事業運営に関する責任・権限を本社が
事業部に委譲することで、本社の経営負担を軽減するとともに、各事業の状況に
応じた的確で迅速な意思決定を促進しようというものです。

カンパニー制組織は、英語のカンパニーが日本語で会社と訳されることからもわかる
ように、社内組織にもかかわらず、あたかも独立した会社のように自律的な経営が
なされることをねらった組織で、各事業部が経営機能を重複するため、経営資源面で
の無駄が生じる、あるいは、組織の壁により、事業部をまたがる新商品、新サービス
が生まれにくくなる、といった、事業部制組織の弊害を解消したものです。

さらにそれを徹底させていけば、分社化ということになります。

分社化とは、
企業の事業や業務機能を担う一部門を本体から分離して独立した子会社
にすることです。

このように、企業組織は段階的に発展していきます。

近年、日本で分社組織が注目されてきた背景の、1つは、企業の国際競争が激化
する中で、日本企業が機動的に組織を再編する必要性が生じていることです。

もう1つは、株式市場の評価が企業経営に与える影響が高まり、株主資本の効率的な
運用の観点から、事業の選択と集中が求められているためです。

事業の選択と集中は、同時に人事機能においても求められます。

突き詰めれば、果たすべき人事機能は何かということです。

その1つに「人事企画機能」があります。

企業における終身雇用、年功序列のコンセンサスが大きく変わってきた現在、自社の
人員の状況に照らして、どう変えていくのかの解を見出していかなければなりません。

また、幹部社員の養成の計画策定や教育プログラムの開発や実施が、人事制度
開発と同様期待されます。人事は、いまやオペレーショナル業務から研究開発業務に
変わってきています。

以上

経営や経済学に強い影響を与えた米国のアルフレッド・チャンドラー(経営史家)は、
企業(経営)戦略について次のように言っています。
「将来ビジョンを明確に提示し、行 動方向を採択し、目標遂行に必要なる資源
(物的、人的、時間的)の配分を行うこと」 

また、「Structure follows Strategy(組織構造は戦略に従う)」といって、戦略と組織の
強い関連性とその重要性を説いています。しかし、「組織構造は戦略に従う」と同時に、
経営環境は絶えず変化しています。
その中で企業が生き残り、成長していくためには、変化する環境に適応するよう、
自らを変えていかなければなりません。
つまり、「組織構造は戦略に従う」以前に、「組織構造は環境に従う」というのも事実です。

企業が環境に適応し、成長するための戦略を考える上で、とかく陥りやすい間違いが
あります。
特に人事戦略においては、これまで「経済が成長し、需要が増大し、企業が成長する」
という、戦略観が前提にあったように思われます。
たしかに、1990年代の後半以降の人事リストラの時代を経てきたために、各企業はもう
何年も採用を絞り込んできましたが、人事戦略の指向性は「人材は増やすもの」という
前提になっていると思われます。

多くの企業では、中高年の余剰感はあっても、若手や中堅の不足感があります。
団塊の世代の大量退職や少子高齢化を背景に新卒や若手の売り手市場は今後も
続くと思われます。
このような環境下においても、企業は収益が低迷すれば人を減らし、収益が向上
すれば人を増やすという、景気連動型の人事戦略は本質的に変わっていないの
ではないでしょうか。

日本の企業においては、収益低迷期において、かつてのピラミッド組織の中で、
中高年が余剰なので、その人材を減らしましたが、それでピラミッド組織が回復し、
運営できるかといえば、そうはなりません。
また、フラット化するという形で、中間管理職の人員を減らしてきました。
では、残った人材でマネジメントができているかというと、これもそうはなっていない
ように思われます。

環境適応を踏まえた人事戦略を展開するためには、基本的なやり方を変えなければ
なりません。環境適応を、人事戦略だけで対処することは困難であり、「組織変革」
という組織戦略的な観点が、合わせて必要です。



*続きは後編でどうぞ。


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