2008年4月アーカイブ

このシーズンになると、「今年の新入社員はどんなタイプ?」という会話が飛び交います。
新入社員のタイプに毎年大きな特徴が現れるとは思えませんが、
今年は「常によい待遇、よい仕事を求めて「銘柄の乗り換え」、
つまり「転職」をもくろむ『デイトレーダー型』」だそうです。
こういう意識を、一日の何度もネット取引を行いながら利益を確保していく個人投資家に
似ているとして命名されたそうです。
 
『デイトレーダー型』と命名された、まだ着慣れないスーツ姿の新入社員達の多くは、
ゴールデンウィーク明けや三ヵ月後には現場に配属されていきます。
配属後、現場から多く上がってくるのは「電話にも出ない」「言われないと動かない」など、
新入社員研修で何をやっていたのだという声ではないでしょうか。
 
1位 : あいさつがきちんとできない                   519名
2位 : メモを取らず、同じことを何度も聞く              432名
3位 : 敬語が使えない                           409名
4位 : 雑用を率先してやろうとしない                  300名
5位 : ホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができない           297名
 
日本経済新聞社が、"これまで職場で出会った「困らされたり、腹が立った新人」"に
ついて、今年2月中旬にビジネスマン1,030名を対象に行った調査結果です。
 
新入社員研修を自社で実施している企業が多くなっています。
我が社が新入社員に対して望むこと、また配属される先の体質も各社様々な中、
画一的なカリキュラムを実施する外部の研修団体に任せるのではなく、
これから配属される彼・彼女達に対して望むことを会社のメッセージとして、
自分達の言葉で明確に伝えるということは重要なことだと思います。
 
多くの外部団体では、社会人としての意識付け、マナー、PDCAや会社理解などが
新入社員研修に盛り込まれており、飛びぬけて画期的で斬新な新入社員研修はない
ように思います。
 
 
●新入社員研修で何を訴求すべきなのでしょうか。
 我が社の新入社員に会社として教えることは、また気づかせるべきことは何なのか?
 
入社まで、また新入社員導入研修時、会社を理解するために様々なルールの説明や
各事業についてなど、殆ど一方的に説明を受け、また何をするにも指示を受けて行動
しています。
「情報は提供されるものであり、指示されたことを遂行することがやること」という
受身的になりやすい環境を提供しまっているのではないでしょうか。
 
受身的な新入社員導入研修の後、新入社員たちはそれぞれ職場に配属されていきます。
受け入れ先の職場は、日常の仕事をしながら、新入社員たちを受け入れていく。
しっかりと受け入れ態勢が整っている職場の方が少なく、新入社員に対しては、
わからない中でも主体的に動くことを望んでいるのではないでしょうか。
 
だからこそ、新入社員導入研修時に、受身的な姿勢から主体的な姿勢への転換を
図ることに注力することが大事なのではないでしょうか。
 
OBT協会でも毎年、新入社員研修を担当させていただいておりますが、
全て自社内で実施できるようよう内省化を前提にしており、実施する企業毎に
新入社員研修を組み立ててまいきます。
 
受身的な姿勢から主体的な姿勢への転換を行なうために、"自力回転できる人財"への
訴求をポイントとして、以下の点を押えていきます。
("自力回転できる人財" = 自ら考える、自ら情報を、仕事を取りにいく人。)
・最低限のマナー : 何故、必要なのかの理解と体で覚える 
・働くということとは : ここは学校ではない。
 口を開けて待っていても何も与えられないのが会社であり、これが世間の常識である。
・この仕事が好きかどうか、向くか向かないかは、徹底的にやって初めて判るもの
 新入社員導入研修の中で、自分自身の在り様に気づかせ、しっかりと向き合わせる、
 自分がわかってないことをしっかり理解させていきます。
 
次回は、新入社員研修の現場で起きている「新入社員たちの変化」について、
お届けしてまいります。

*続きは後編でどうぞ。
 
前回までは、組織の変遷を機能別組織から分社化へと、分化していくプロセスから
見てきましたが、逆に組織の集合というプロセスも当然あります。
M&Aといわれるものです。

M&Aとは
「Merger and Acquisition」の略称で、「(企業の)合併・買収」という意味になります。

通常は企業全体の合併・買収だけでなく、営業譲渡や株式譲渡、資本提携などを
含めた広い意味での企業提携の総称として使われています。

すなわち、自社に不足している経営資源(ヒト、モノ、カネ、技術、情報など)を補うために、
あるいは事業の再構築やリストラを行うために、経営権や事業資産を譲り受けたり、
譲渡したりすることをいいます。

今まで、別個に存在していた企業組織が1つになるには、企業文化の違い、価値観の
違い、マネジメントルールの違い、人事制度の違いなど多くの乗り越えるべき課題が
発生します。

特に合併当事者である各企業の人事・労務管理システムの一元化は大きな課題です。
人事融合の基本方針は、合併による処遇上の不利益な扱いを受ける者はないと同時に、
特別に優遇される者もいないこと、すなわち、処遇上のゼロベースが基本となります。

ゼロベースの基本は次の3つの原則です。

■ 第1の原則 不利益変更の防止
  労働法判例からも不利益変更がなされないことが要請されています。
  非組合員(管理職)と組合員の区分を変更しないこと。
  賞与や報償金等の業績反映部分は別としても、所定内月例給与の支給額の
  減額は行わないこと。
  合併時点での既経過勤続確定分の退職金は、今後も保証されることなどが
  その具体的なポイントとなります。

■ 第2の原則 既存の各社内秩序の尊重
  企業間での調整結果によってレベルの差が生じることはやむを得ないとしても、
  これまでおのおのの企業内で運用されてきた人事制度の序列関係が崩れると、
  種々の混乱が生じることが予想されます。
  合併に当たってはお互いの企業内序列を尊重することが融合をスムーズに
  進めるコツです。

■ 第3の原則 合理的期待権の保証
  合理的期待権とは、例えば最長年数基準による自動昇格を一定等級に至る
  まで設定していた場合等は、到達すべき時期と等級がそれにあたります。

  その他「期待権」については、年齢給などの自動的に昇給する要素のあるもの、
  また将来においても従来の制度や以前の企業に「このまま在職し続けたとしたら」
  という仮定のもと、それぞれの社員が自分の思惑で将来の退職金を計算した額
  などが期待権を形成することとなります。

  合理的期待権の保証も人事融合のポイントとなります。


こうした原則に加えて、合併による移行原資がむやみに膨らむことは経営上
マイナスとなるため、一定の原資枠内での移行が経営上の要請としてあります。

したがって、これらの要請や原則を満たしながら合併に伴う移行や調整を行おうと
すると、月例賃金での個人別調整のみでなく、年収ベースから体系上の差を調整
するマクロ的アプローチがきわめて重要となります。  

以上
                      

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