OBT 人財マガジン

2008.04.09 : VOL43 UPDATED
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企業組織変革と人事戦略 (5)
<M&Aと人事融合>
前回までは、組織の変遷を機能別組織から分社化へと、
分化していくプロセスから見てきましたが、逆に組織の集合というプロセスも当然あります。
M&Aといわれるものです。
M&Aとは「Merger and Acquisition」の略称で、「(企業の)合併・買収」という意味になります。通常は企業全体の合併・買収だけでなく、
営業譲渡や株式譲渡、資本提携などを含めた広い意味での企業提携の総称として使われています。すなわち、自社に不足している経営資源(ヒト、モノ、カネ、技術、情報など)を補うために、
あるいは事業の再構築やリストラを行うために、
経営権や事業資産を譲り受けたり、譲渡したりすることをいいます。今まで、別個に存在していた企業組織が1つになるには、
企業文化の違い、価値観の違い、マネジメントルールの違い、人事制度の違いなど
多くの乗り越えるべき課題が発生します。特に合併当事者である各企業の人事・労務管理システムの一元化は大きな課題です。
人事融合の基本方針は、合併による処遇上の不利益な扱いを受ける者はないと同時に、
特別に優遇される者もいないこと、すなわち、処遇上のゼロベースが基本となります。
ゼロベースの基本は次の3つの原則です。
■第1の原則 不利益変更の防止
労働法判例からも不利益変更がなされないことが要請されています。非組合員(管理職)と組合員の区分を変更しないこと。
賞与や報償金等の業績反映部分は別としても、所定内月例給与の支給額の減額は行わないこと。合併時点での既経過勤続確定分の退職金は、
今後も保証されることなどがその具体的なポイントとなります。
■第2の原則 既存の各社内秩序の尊重
企業間での調整結果によってレベルの差が生じることはやむを得ないとしても、
これまでおのおのの企業内で運用されてきた人事制度の序列関係が崩れると、
種々の混乱が生じることが予想されます。
合併に当たってはお互いの企業内序列を尊重することが融合をスムーズに進めるコツです。
■第3の原則 合理的期待権の保証
合理的期待権とは、例えば最長年数基準による自動昇格を
一定等級に至るまで設定していた場合等は、到達すべき時期と等級がそれにあたります。その他「期待権」については、年齢給などの自動的に昇給する要素のあるもの、
また将来においても従来の制度や以前の企業に「このまま在職し続けたとしたら」という仮定のもと、
それぞれの社員が自分の思惑で将来の退職金を計算した額などが期待権を形成することとなります。合理的期待権の保証も人事融合のポイントとなります。
こうした原則に加えて、合併による移行原資がむやみに膨らむことは経営上マイナスとなるため、
一定の原資枠内での移行が経営上の要請としてあります。したがって、これらの要請や原則を満たしながら合併に伴う移行や調整を行おうとすると、
月例賃金での個人別調整のみでなく、
年収ベースから体系上の差を調整するマクロ的アプローチがきわめて重要となります。










