2009年12月アーカイブ

2009年12月22日 冬至
一年中で昼が一番短く、夜が一番長い日とされていますが
現場では、本年度のトレーニングも佳境に入り、残された時間を
最大限に使い、生き残りをかけて必死で学んでいる受講生がいます。
そんな中、今回は新規事業立案をテーマにトレーニングを行っている
現場をご紹介いたします。

 

6月、トレーニングが始まる前に事前課題として出されていた「新規事業案」
個々が自身の思い描く新規事業を構想し、最終的には経営層へ提案を行います。
初めにそれぞれが持ち寄った案を提案し、同じ考え・同じ思いを持つ
受講者が集まりグループごとに別れ一から新規事業を構想して行きます。

 

トレーナーは、新規事業を構想するにあたっての戦略を現実の事例を使い、

ものの見方や考え方などを示します。受講者はその新たな視点から
自分達の思い描く新規事業を再検討し、誰をターゲットとしているのか、
自社の強みは活きるのか、また、その事業に対する思いはどのくらい
あるのかなど、さまざまな角度から検証していきます。

 

新規事業の構想は、初めにいろいろな案が生まれます。

 

「これをしてみたい、これをしたら面白いのではないか」など。

 

しかし、実際に進めて行くなかでは、新規事業の斬新なアイデアに関心が行きがち

ですが、メリット・デメリット、自社の強み弱みを分析し、"やること・やらないこと"
を明確にし、既存の持っている能力を十分に活かせるか。

という観点を持つことが重要になるのです。

 

今回の「この人に聞く」のワタミ株式会社兼ワタミフードサービス株式会社
代表取締役社長の桑原様もおっしゃっていました。

 

"自社の強みが活きる事業領域に特化する"
ワタミグループは、強い理念のもと、自身の事業領域の選択基準を明確にし、
また、既存事業を含めた全体のバランスを考え新しい事業を確立されてこられました。

 

景気の低迷に歯止めがかからない今日、生き残れる場所を探し、
起死回生を目指す企業もあります。
しかし、それには自社の強み・弱みを把握すること。そして、強い理念を持ち、
自社に適した事業領域を見つけることが新規事業の始まりなのだと改めて感じました。

ワタミ株式会社では、業務の標準モデルを作る事を「『正』を明確にする」と呼んでいました。

 

どんな業務にも、どんな現場にも「本来こうあるべき」という手順や状態がある-

『正』が明確になれば何が出来ていないかも明らかになり、修正すべき点がわかる-

とおっしゃっていました。

 

企業によって『正』『型』『基軸』『スタンダード』など表現の仕方は様々ですが、
例えば管理職であれば我流や現象対応ではなく、

「本来こうあるべき」組織運営の在り方などを明確にし、それに照らし合わせて、

日々の判断や意思決定を行っていく必要があります。

 

先月、管理職を対象に「"本来こうあるべき"組織運営の判断や意思決定力の向上」
をテーマにトレーニングを実施しました。

 

このトレーニングを実施した背景として、
・管理職のマネジメントがそれぞれ我流であること、また、
・5年前に3社が統合されたため、出身企業による特徴も見受けられるので
 自社内で「管理職のマニュアル」を作成したが、なかなか浸透しない
という状況がありました。

 

マニュアルで示せる部分もありますが、
・まず管理職として、自分を取り巻く環境のどこまでを自分の取り組むべき対象として捉え、
 どのように関わっていくかが重要である、ということを認識し、
・そして、その前提となっているのが、自分自身の「主体性」であり、
 「判断」や「意思決定」のレベルを上げていくこと
を目的に、トレーニングを実施しました。

 

●我が社の現場で起きている組織運営上の課題を議論

 

事前に、我が社で現実に起きている課題を現場にヒアリングした上で、
生の"日常のワンシーン"を題材として作成。

 

その題材の解決策に対する自分の考え方と周囲の考え方をぶつけながら議論していきます。

 

 - これってウチでもあるよね
 - 本来こう考えるべきだけど、別のことが優先してしまう
 - 同じ情報を見ているのに、意見や考え方がそれぞれ違う
 - 自分が日々"その場しのぎの対応"をしている気がする
 - 判断をする時、狭い範囲や特定のことに注目してしまっている
 - 管理職でこれだけ判断や解決策の軸が違うとまずい
 - この解決策では、本質的な問題には手を打っていない

 

他者との議論を通じて、自分の判断や意思決定等の特徴をそれぞれが認識していきます。

 

普段の判断と意思決定の前提となっている自分の"ものの見方や考え方"
を客観的に見つめ直すことで、自己の「基軸」を革新する必要性を理解していきます。


●現実の課題だから気づきや議論が深い

 

その後、全体で議論していきますが"我が社の課題"として議論がなされていきます。
途中「とは言っても、ウチでは・・・だから」など様々な制約条件や個別事情が出てきますが、
トレーナーも一緒になって議論をしていく中で、"本来、どうあるべきか"
"本来、どう考えるべきか"というところから議論がなされるように流れが変わっていきます。

 

架空のケーススタディではなく"我が社の現場で起きている組織運営上の課題"を題材とする事、
そしてトレーナーが繰り出す"知"から、"現実"を見ることにより、

気づきや議論が深くなっていくのだと思います。

 

ビジネスマンは、現実の課題解決や自分の役割を遂行する上で有効であると認識した時に、
真剣に議論していく。

 

だからこそ、トレーニングに架空やセオリーなどではなく、

"現実"を持ち込むことが重要であると思います。

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