2010年4月アーカイブ

公益財団法人日本生産性本部から発表されている新入社員のタイプ。
今年は「ETC型」だそうです。

 

その心は・・・
  性急に関係を築こうとすると直前まで心の「バー」が開かないので、
  スピードの出し過ぎにご用心。
  IT活用には長けているが、人との直接的な対話がなくなるのが心配。
  理解していけば、スマートさなど良い点も段々見えてくるだろう。
  "ゆとり"ある心を持って、上手に接したいもの。

 

昨年は、「エコバッグ型」。
そのネーミングの巧さに毎年、感心してしまいます。
しかし、新入社員の方々を見て人の本質はそう変わっていないのだろうとも思います。

 

先週、新入社員研修を担当させていただき3年目になる
企業様の研修を3日間オブザーブしてまいりました。

 


答え(正解)があった学生時代と、答えがないビジネスの世界。

 

私も含め、頭ではわかっていても、
答えがあった時代から抜けられない先輩社員も多くいる中、
ビジネスとは、会社とは、上司とは・・など
テンプレートがない新入社員に、何を教えるべきだろうか。

 

今回の新入社員研修では、
 ① 世の中は、正解がない - そんな中で自分がどう考えるかが重要
 ② 人間関係は選べない -  様々なものの見方、価値観の中で仕事をしていく 
ことをトレーニングを通じて理解し、
自分を振り返ること、また、他者との対比やフィードバックから 
 ③ 自分を知る
ことにポイントを置いて進めていきました。

 

新入社員の議論や行動を見ていると
実際のトレーニングのワークをやっている時にではなく
トレーニングのワークについて、また今日の自分について
振り返っている時に一番、得ているものが多いようです。


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 ・昨日は、私は義務感でやっていた。でもそれではだめなんだ。
   自分の主体的な意思でやらなければ、自分にとって意味がない。
 ・毎日、日記を書いているが
  昨日の日記に、自分でバカやろうと書いた。
 ・同期の中で意見を言えなかった自分は、学生の頃もそうだった。
  影響力が発揮できなかった。
 ・報告・連絡・相談はわかっているのに、時間が守れなかった。
  簡単なことなのに、実際に行うことは難しい。
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振り返ることにより気づき、学習し、成長する。

 

個人の振り返りに対して、議論をすることにより、また気づき、深く学習していく。
他者からの意見や自分と違う意見を吸収しようとする
新入社員の方々の素直さから、私達が学習することが多くあります。


外部による新入社員研修を検討いただく際、カリキュラムや資料、
また今までにない画期的な手段に関心がいきがちですが、
「何を気づかせ、何を教えるか」を明確することが重要ではないでしょうか。

そしてそれは、
新入社員の受け入れ期間中の事務局側のスタンスとも連動し、
一貫したメッセージとして言葉と行動で打ちだして伝えていかなければ
新入社員の方々には伝わっていかないと感じます。

今回の現場ドキュメントは、管理職を対象としたトレーニング現場からお届けしたいと思います。

 

選抜された課長職8名を対象に、「監督者ではなく、経営幹部という観点から
(より大きくより高い観点から)自組織の在り方を考える」
というテーマに基づき、大きく分けて次の様なステップで実施しました。

 

①外部環境の変化
...外部環境の変化をどの様に捉えているか(どれだけの範囲と時間軸で捉えているか)
   ↓

②経営計画の理解
...全社計画をどの様に捉えているか、自分にとってどのような意味合いがあるか、
 組織のリーダーとしてどの様に関わろうとしているか
   ↓

③自組織の将来像と問題点
...どこ迄の範囲を自分が関わるべき対象として捉えているか、
  自分の担当組織、部下をどのような状態にしたいか

 
以降は、議論の中で参加者から上がった声です。

 

・経営計画の難易度は高いと感じている。ただ、高い目標だと思う一方で、何がどう高いかがわからない。

・(中計では)新規事業を大きな柱にしているが、その領域が見えにくい。

・我が社は、数字達成意欲は強いが、組織体質、体制(制度や仕組み)が弱い。

・ジョブローテーションが全くない中で来た。事業部での囲い込みが、行く行くは組織の弱体化に繋がる。

 

全てのセッションを終えて、参加者の意見を聞くと、
トレーニングで得た気づきは大きく分けて次の二つにまとまりました。

 

① 「自社事業を取り巻く外部環境の変化に対して、各人が危機意識を肌身で感じていたことが

 わかった。しかし、それに対して具体的な対処策がないという我々の現実を知った」

 

② 「この現実を変えていくためには、マネージャーである我々自身の自助努力もさることながら、

 体制や組織風土を変えていくための全社的な取り組みが必要である」

 

...これを聞いた時、私はふと、こんなことを思いました。
 "我が社の管理職が今どの様な状態か、どの様な考えを持っているのか"
 "この状況から言える自社の実態(課題)とは何か"等について
 トレーニングの企画・運営を行う事務局や経営陣は、どこまで把握しているのだろうか...

 

というのも、多くの企業では「うちの管理職は○○ができないから...」
という理由で、様々な"研修"を実施するものの、導入した施策を通じて、
自社の課題を深掘りしていく、会社全体を変えるためにやり方を再考する、
というケースは少ない様に感じます。

 

トレーニングによって参加者を磨き上げる事も、もちろん重要ですが、
事務局の方々、または経営に近い方々が、そのトレーニングの現場に立ち会って、
自分の目と耳で自社の実態をしっかりと認識すること、
そして我が事として、当事者意識を持つことが重要だと思います。

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