現場ドキュメント: 2009年5月アーカイブ

キーワード : 企業風土、風土調査、風土改革

【事例】 : 企業の風土改革


OBT協会では、多くの経営者や人事部門所管の経営幹部の方々にお会いする機会が多く

その際に「自社の人財に対する話」の中で次の様な悩みを聞くケースが多くあります。

 

・決められたこと、言われたことはやるけれどそれを超えてということをしない。
・主体性や当事者意識を持った仕事の取り組み方に欠如している。
・自分の役割ややるべきことを自ら狭め、

 線引きしその範囲内のレベルに終始してしまっている
・仕事を通して何をしたいのか、

 将来どう在りたいのか等といった思いや意思を持っておらず

 その場しのぎ的なスタイルが多い。
・自分の将来は、自ら創るものであるにもかかわらず、

 会社が与えてくれるものと考えている

 

人財に対する悩みには、色々と表現は異なるものの、

要は「自律型人財」が少ないといったことがいえます。


自律型人財とは「自分は何をやりたいのか」ということだけではなく、

「組織全体の中での必然性と自分の内的な必然性」を十分理解し、

「自分は何をしなければならないのか」という

自らの行動を自らで決めることが出来る人財をいいます。

 

以前、OBT協会でサポートしたIT系企業の「組織改革プロジェクト」の際に、

この企業の中で最も組織に対する危機意識を持ち、

自らの仕事に対して常に高いモチベーションと行動を起こした

若手男性社員A氏についてご紹介したいと思います。

 

当初A氏は、「組織変革プロジェクト」の若手チームのメンバーの一人でしたが、

変革プロジェクトの中、様々な変革案の検討が進むにつれて

自然発生的にリーダーとして中心的な役割を果たし、

若手チームの組織変革のための提言をまとめ、

経営陣に提言するキーマンとして活動しました。

 

A氏は「自分の生きる意味」

「仕事に対する自分のスタンス」等を明快に持っています。
具体的には、自分のマニフェストを明らかにし、志、チャレンジ、責任感、

そして誠実等をスタンスとして仕事をしています。

 

では、こうした「自律型人財」はどうしたら育てられるのでしょうか?
全てが生得的な資質ではなく、多くの人が様々な経験をしながら、

その条件を備えていくように育つ中で、

こうした人財に近づくのではなないでしょうか。

 


具体的には、以下の3つが条件として挙げられます。

①目線の高さ
目線の高い人は難しい状況や難局にでもチャレンジしていく。

そのチャレンジするプロセスで人は育てられるのである。

 

②仕事を通じた場体験
経験も若い頃に経験する仕事の場の大きさである。
幅広くものを考えざるを得ないような

様々な状況の中での悩みや意思決定等が育つ糧となってくる。

 

③思考の広さと深さ
小さいことを考えている人は小さくしか育たない。

自らを省みるといった思索を続け手いる人は大きな考え方で大きく育っていく。
思索のスケールと深さに応じて育ち方が決まるのである。

 

以上の条件を基に、

人は仕事の場やマネジメントによって育ち方が決まるともいえます。


本人の資質や意欲だけではなく、

組織的に計画的に行っていくことで人は変化し育ってゆきます。

 

多くの企業があまりにも生得的な資質に規定されるといったパラダイムで、

育てるという行為自体を放棄してしまっているようにも思えます。

 

学ぶということの本質は"自育""自学"であることは間違いありませんが、

"自ら学ぶように仕向ける"ということにマネジメントの本質を求めれば、

人財の育ち方も大きく変わっていくのだと考えます。

お問い合せはこちらから : OBT協会(お問い合わせフォーム)

【商品開発部門の在り方を考える】

 

先日、食品メーカーの商品開発部門で、研究開発職を対象に

「成熟化時代における商品開発の在り方」というテーマで2日間の教育を実施いたしました。

 

OBT協会で行っている教育は、受講者の見方や考え方の変化に訴求し、

結果として仕事の在り方に大きな変化を与えていくというトレーニングを行っております。

 

特にカリキュラムの2日目、最終のまとめに差し掛かる段階で

「他部署が商品開発部門に求めること」、そして「商品開発部門の課題であると感じていること」に

ついて商品開発部門がそして自らが、どのようにその課題の解決に向けて

取り組むべきかということと、ひとりひとりが向きあい考えざるを得ないようにトレーニングを進めていきます。

 

2日間の教育の中で、自社の抱える経営課題とそれが生じた背景にあるもの、

そしてその課題を放置しておくことにより想定されるリスク等の、

根本的な「考え方」のところに訴求していきます。

 

それは、これまで自分の課題の捉え方とそれへの向き合い方等に客観的に洞察させることで、

自分たちが今何をしなければならないのかといった事がこれまでとは異なった形で

見えてくることを、受講生はこの教育を通して実感するのです。

要は、これまでと同じ状況にあっても"見え方が変わる""わかった"という状態に到達したということです。

 

「商品の価値」を、技術や商品の質の追究というところにおくのか、

または商品の対象や受け入れられる市場の中の、新しい領域に見出すのか。
商品開発において、何に価値をおくかによって、当然のことながら次に動き出す行動が変わってくるのではないでしょうか。

 

勝者は、嵐を生き延びた者ではなく、ゲームのルールを変えた者である。
過去の体験ではなく新しいゲームの戦い方を編み出せる、「構想力」が最も問われる時代になる。

("世界経済危機後の予言"米IBM サミュエル・パルミサーノ会長兼CEO)

 

2日間の教育を終えて、受講生からは次の様な声が挙げられました。

 
「あらためて、ものの見方や視野の広さが大切であることが認識出来た。」
「目の前の仕事や物事への対応に終始してしまい、考える時間軸の短さ、

 物事の本質を把握しえていない自分に気づいた。」
「自分が実践していく、目指すべき所に向かうプロセスには超えるべき壁があり、

 それを超えられるかどうかは、最終的にはすべて自分の意識だと実感した。」

 

2日間の教育から、これからの仕事への取り組み方等について、

受講生の方はそれぞれ気づきを得て、経営課題や組織課題の解決に向けて

当事者として主体的に行動していく道筋をつけることが出来ました。

 

OBT協会 日比野 志帆

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