OBT 人財マガジン

2009.05.27 : VOL68 UPDATED

人が育つを考察する

  • 自ら、働く環境や企業風土改善の提言を

    キーワード : 企業風土、風土調査、風土改革

    【事例】 : 企業の風土改革


    OBT協会では、多くの経営者や人事部門所管の経営幹部の方々にお会いする機会が多く

    その際に「自社の人財に対する話」の中で次の様な悩みを聞くケースが多くあります。

     

    ・決められたこと、言われたことはやるけれどそれを超えてということをしない。
    ・主体性や当事者意識を持った仕事の取り組み方に欠如している。
    ・自分の役割ややるべきことを自ら狭め、

     線引きしその範囲内のレベルに終始してしまっている
    ・仕事を通して何をしたいのか、

     将来どう在りたいのか等といった思いや意思を持っておらず

     その場しのぎ的なスタイルが多い。
    ・自分の将来は、自ら創るものであるにもかかわらず、

     会社が与えてくれるものと考えている

     

    人財に対する悩みには、色々と表現は異なるものの、

    要は「自律型人財」が少ないといったことがいえます。


    自律型人財とは「自分は何をやりたいのか」ということだけではなく、

    「組織全体の中での必然性と自分の内的な必然性」を十分理解し、

    「自分は何をしなければならないのか」という

    自らの行動を自らで決めることが出来る人財をいいます。

     

    以前、OBT協会でサポートしたIT系企業の「組織改革プロジェクト」の際に、

    この企業の中で最も組織に対する危機意識を持ち、

    自らの仕事に対して常に高いモチベーションと行動を起こした

    若手男性社員A氏についてご紹介したいと思います。

     

    当初A氏は、「組織変革プロジェクト」の若手チームのメンバーの一人でしたが、

    変革プロジェクトの中、様々な変革案の検討が進むにつれて

    自然発生的にリーダーとして中心的な役割を果たし、

    若手チームの組織変革のための提言をまとめ、

    経営陣に提言するキーマンとして活動しました。

     

    A氏は「自分の生きる意味」

    「仕事に対する自分のスタンス」等を明快に持っています。
    具体的には、自分のマニフェストを明らかにし、志、チャレンジ、責任感、

    そして誠実等をスタンスとして仕事をしています。

     

    では、こうした「自律型人財」はどうしたら育てられるのでしょうか?
    全てが生得的な資質ではなく、多くの人が様々な経験をしながら、

    その条件を備えていくように育つ中で、

    こうした人財に近づくのではなないでしょうか。

     


    具体的には、以下の3つが条件として挙げられます。

    ①目線の高さ
    目線の高い人は難しい状況や難局にでもチャレンジしていく。

    そのチャレンジするプロセスで人は育てられるのである。

     

    ②仕事を通じた場体験
    経験も若い頃に経験する仕事の場の大きさである。
    幅広くものを考えざるを得ないような

    様々な状況の中での悩みや意思決定等が育つ糧となってくる。

     

    ③思考の広さと深さ
    小さいことを考えている人は小さくしか育たない。

    自らを省みるといった思索を続け手いる人は大きな考え方で大きく育っていく。
    思索のスケールと深さに応じて育ち方が決まるのである。

     

    以上の条件を基に、

    人は仕事の場やマネジメントによって育ち方が決まるともいえます。


    本人の資質や意欲だけではなく、

    組織的に計画的に行っていくことで人は変化し育ってゆきます。

     

    多くの企業があまりにも生得的な資質に規定されるといったパラダイムで、

    育てるという行為自体を放棄してしまっているようにも思えます。

     

    学ぶということの本質は"自育""自学"であることは間違いありませんが、

    "自ら学ぶように仕向ける"ということにマネジメントの本質を求めれば、

    人財の育ち方も大きく変わっていくのだと考えます。

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