現場ドキュメント: 2010年1月アーカイブ

昨年末の日経新聞に、2009年に時価総額の逆転が相次いで入るという記事が

載っていました。


『 時価総額 逆転目立つ -「株式市場」経済の構造変化映す 』

 

しまむら>三越伊勢丹、楽天>イオン、日本電産>日立 ・・・ 
デフレ対応やネット販売、成長が続くアジアで収益を伸ばす企業の評価が高まる一方、内需依存型の企業の株価低迷が鮮明になってきているという記事。

 

先週、選抜された10名の次世代リーダー育成コースの冒頭でこの記事を題材に議論

を行いました。

 

問1.『この記事をどう理解したか』
・ 苦戦している企業は旧来型のビジネスモデルである
・ ネット関連企業が旧来の戦い方をしている
・ 業界に違う戦い方で買っている
・ デフレにうまく対応している企業が伸びている
    ・
    ・

その多くの意見が新聞記事に書かれている事象です。

 

では、 
『この記事の背景に何があるのか』
『 "経済の構造変化" とあるが、背景に何があるのか』
という問いには、なかなか回答は返ってきません。

 

私自身もこの問いに考えを巡らせまましたが、明確な回答が出てきません。
起きている事象はこの新聞記事を通して理解できますが、
その背景に何があるのか、具体的にどんな変化があるのかなど
何となく解った気になっているが、本当は "わかっていない" 。

 

この新聞記事の背景を議論し、検討していく中で
その背景にあるものが少しずつ繋がっていきます。
 「日々、短期的な課題への対応でアップアップしている。しかし、この変化の背景に

 あるものを考えた場合、長期的な課題、例えば自分が担当している事業を、組織を

 どういう方向に持っていこうということを真剣に考えないとこの変化に全く対応でき

 ない」
 「新聞は毎日読んでいるが、こんな貴重な情報がスルーしていて、繋がっていない。
 新聞記事一枚で、ここまで学べることがある」
などの意見が出てきました。

 

このセッションでトレーナーより
・聞きかじったこと、事象について評論しているだけ。その自分に気づくことが重要
・論理できちんときってみる。論理が全てではないが、論理の積み重ねで人は学習し
 真理が見えてくる
・自分の主観だけではなく、客観的に見る
・いろいろなものに謙虚になる
・学ぶ人は何からでも学べるが、学べない人はどんなことをやっても学べない
などが議論の中でフィードバックされていきます。


この次世代リーダー育成コースでも、
経営、経営戦略に関する体系的な知識を取得することだけではなく、
"今、何故わが社の経営戦略を再検討すべきなのか" ということに
"自分自身の明確な見解を持つこと" そして、"自分の言葉で明確に語れること" を
重要視しています。

 

同じ題材(新聞記事や実在する企業の事例など)を検討しても、
学べる人と学べない人が、何かを得る人と何も得ない人がいます。
その違いのひとつは、"謙虚" でいられるかどうかということなのでしょうか。

2010年、最初の現場ドキュメントは次世代ビジネスリーダー養成の

ワンシーンから、お届けします。

 

トレーニングは全12回、参加者は中堅社員。

 

次世代を担うビジネスリーダーとして必要な考え方、志を身につけながら、自社の

グランドデザイン(将来方向性)を描き、経営陣に最終提言するステップで進めます。

 

昨年末からスタートし、1月某日、第二回目が実施されました。

 

同社は製造業。事業領域が、比較的"川上"に位置しており、近年では

「顧客へのソリューション」を経営方針としていたものの、ここ数年はコストダウンを

目的にコア事業が海外に移管されつつあり、主力の収益源が揺るがされていた

背景が在りました。

 

第二回目で、「自社事業の市場と顧客」について検討するディスカッションを実施。
(事業における環境変化を、市場と顧客という観点から検討)
全体討議の中では、次の様な議論が行われました。

 

【参加者から多く上がった意見】
・このまま海外への移管が進行していけば、自社のコア技術がますます流出し、
危険ではないか

 

【トレーナーを交えて議論をしていく中で上がった声】
⇔オフショアリングは"潮流"。この大局はヘッジできない(抗えない)。
海外における協力者は、コストセンターを超えてコンペディターになりつつあるのと

同時に、広い意味では(その国が)市場にもなりつつある。
我々は、この前提に立てているかどうか。

 

⇔我が社の経営方針では「ソリューション」を掲げているが、我々は何を持ってして、

「ソリューション」としているのか。
 ソリューションできるほど顧客を知り尽くしているだろうか。
...果たして、他と比較して、どれほど価値があるものなのだろうか。

⇔【最終的に...】技術流出云々という事象ではなく、大局から見て、自社の置かれ

ている現状(前提)を捉えなおすこと。
その上で、形骸化している「ソリューション」という真の意味、つまり我が社の提供すべき

付加価値をもう一度あらため、どの領域に資源を集中させていくかを明確にすることが

重要なのではないか

 

 ... ... ... ...
年が明けても、ますます、先行きが見えない市況。
 
 しかし、最新のビジネスフレームワークや先進企業の事例を知ったからといって、
 秘策が急に出てくるわけではありせん。

 

日々感じている現実の課題を題材として、参加者-トレーナーとの議論を繰り返す

中で、過去の延長線上での考え方を「本当にこれでいいのか...」と客観的に見つめ

なおし、新たな観点を身につけながら、自社にとって最適な解決策を導いていきます。

 

思い込みを捨てれば、不可能も可能となる -

 

今回の「この人に聞く」にご登場いただいた、
ファイテン株式会社 平田 好宏社長はこの様なお話をされていました。

知識や経験も大事ですが、固執しすぎればそれは時として"弊害"となり、新しい策を

見いだせなくなってしまいます。

 

新たな策を思考する前に、まずは既成概念を疑う事が重要なのだと感じました。

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.1

このアーカイブについて

このページには、2010年1月以降に書かれたブログ記事のうち現場ドキュメントカテゴリに属しているものが含まれています。

前のアーカイブは現場ドキュメント: 2009年12月です。

次のアーカイブは現場ドキュメント: 2010年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。