OBT 人財マガジン

2010.01.27 : VOL84 UPDATED

人が育つを考察する

  • 学ぶ人、学べない人

    昨年末の日経新聞に、2009年に時価総額の逆転が相次いで入るという記事が

    載っていました。


    『 時価総額 逆転目立つ -「株式市場」経済の構造変化映す 』

     

    しまむら>三越伊勢丹、楽天>イオン、日本電産>日立 ・・・ 
    デフレ対応やネット販売、成長が続くアジアで収益を伸ばす企業の評価が高まる一方、内需依存型の企業の株価低迷が鮮明になってきているという記事。

     

    先週、選抜された10名の次世代リーダー育成コースの冒頭でこの記事を題材に議論

    を行いました。

     

    問1.『この記事をどう理解したか』
    ・ 苦戦している企業は旧来型のビジネスモデルである
    ・ ネット関連企業が旧来の戦い方をしている
    ・ 業界に違う戦い方で買っている
    ・ デフレにうまく対応している企業が伸びている
        ・
        ・

    その多くの意見が新聞記事に書かれている事象です。

     

    では、 
    『この記事の背景に何があるのか』
    『 "経済の構造変化" とあるが、背景に何があるのか』
    という問いには、なかなか回答は返ってきません。

     

    私自身もこの問いに考えを巡らせまましたが、明確な回答が出てきません。
    起きている事象はこの新聞記事を通して理解できますが、
    その背景に何があるのか、具体的にどんな変化があるのかなど
    何となく解った気になっているが、本当は "わかっていない" 。

     

    この新聞記事の背景を議論し、検討していく中で
    その背景にあるものが少しずつ繋がっていきます。
     「日々、短期的な課題への対応でアップアップしている。しかし、この変化の背景に

     あるものを考えた場合、長期的な課題、例えば自分が担当している事業を、組織を

     どういう方向に持っていこうということを真剣に考えないとこの変化に全く対応でき

     ない」
     「新聞は毎日読んでいるが、こんな貴重な情報がスルーしていて、繋がっていない。
     新聞記事一枚で、ここまで学べることがある」
    などの意見が出てきました。

     

    このセッションでトレーナーより
    ・聞きかじったこと、事象について評論しているだけ。その自分に気づくことが重要
    ・論理できちんときってみる。論理が全てではないが、論理の積み重ねで人は学習し
     真理が見えてくる
    ・自分の主観だけではなく、客観的に見る
    ・いろいろなものに謙虚になる
    ・学ぶ人は何からでも学べるが、学べない人はどんなことをやっても学べない
    などが議論の中でフィードバックされていきます。


    この次世代リーダー育成コースでも、
    経営、経営戦略に関する体系的な知識を取得することだけではなく、
    "今、何故わが社の経営戦略を再検討すべきなのか" ということに
    "自分自身の明確な見解を持つこと" そして、"自分の言葉で明確に語れること" を
    重要視しています。

     

    同じ題材(新聞記事や実在する企業の事例など)を検討しても、
    学べる人と学べない人が、何かを得る人と何も得ない人がいます。
    その違いのひとつは、"謙虚" でいられるかどうかということなのでしょうか。