現場ドキュメント: 2010年10月アーカイブ

今回の現場ドキュメントのテーマは「変化の時代におけるマネジメント」です。

●顧客企業様の問題意識

・「今の管理職が置かれている状況は確かに過酷です」とした上で、
 「これから5年先、10年先を考えると、現状業務を回すだけでは立ち行かない」
 「管理者の役割が部下の仕事の延長線上であること、
 管理評価にとどまってしまっている今の状態を危惧している。」
 「会社側も支援する中で、管理者を軸に新しい価値を生み出せる体制へと変えていきたい」
 というお話が担当者様からあり、この企画がスタートしました。

●訴求点

・限られた時間の中で何に訴求するか。何度も議論を重ねる中で、
 「我々の今のやり方は時代の変化に本当に適応できているのか」という一点に絞り、
 ①自社を取り巻く環境がどれだけ大きく変わっているか
 ②その中で、自己に求められる役割は何か、を捉えなおす
 という内容で実施しました。

●トレーニングシーンから  ...印象に残った場面を二つご紹介します。

【見え方の差は"賢さ"の差】
 ・「自社を取り巻く環境変化」についてグループディスカッションをしたところ、
 ・経済・社会 ・自社事業の変化 ・顧客の変化 ・社内の状況 ・部下や組織の状態
 等の切り口から、様々な意見が上がりました。

 この議論を聞いて印象的だったのは、注目する変化の要因や影響の捉え方(範囲や
 対象、影響の度合い)が、人によってバラバラだったことです。

 「同じ状況に置かれていても、人も企業も"見え方"に差がある」
 「"見え方"によって打ち手が変わる(例えば、どの様に市場を捉えるかによって戦略が
  変わる)」
 「"賢さ"とは"見え方"のこと」 という講師の言葉の後、
 ・見たくない現実を含めて、より広く変化を捉えること、そして、筋道を立てて自己に結
  びけること(論理性)
 ・目先のことばかり追っている自分に気づいた。今のやり方の延長線上では、通用しな
  くなることを認識しなければならない。
 という意見が参加者から、上がりました。

【いま、管理者に求められる要件とは】
 ・日々、多くの企業で実施されている「マネジメント研修」。
  しかし、変化の時代において、そもそも管理者には何が求められるのでしょうか。

 「今の時代、管理者に求められている要件」を参加者が考えた結果、
 ①人間関係 ②目標に向かい行動すること ③与えられた課題を着実にこなす
 という項目が上がりました。

 しかし、多くの経営者を対象に取ったあるアンケート調査によると、「管理者に求める要
 件」として、①視野の広さ  ②主体的な意思・課題形成力 ③柔軟な発想、対応とい
 った項目を優先度の高いものとして上げていました。

 実は参加者が上げた「人間関係」「目標に向かい行動すること」「与えられた課題を着
 実にこなす」といった項目は、約20年前、同調査で上位を占めた項目でした。
 
 20年前のキーワードは「所与」。
 つまり「どうやればうまくいくか」が読め、それを遂行することをよしとする時代でした。

 一方で、今の変化の時代におけるキーワードは「自ら創る、提案すること」。
 「どうやれば成長できるか」経営トップでさえ、先行きを読めない時代においては、リー
 ダー自らが提案していかなければなりません。

 結果を見た参加者からは、
 ・わが社には"20年前の"リーダーが半数以上。いままでの業界内の常識を出ていない。
 ・経験則。手慣れたやり方に浸りきっている。提案をあきらめてしまう傾向が全体にある。
 という意見が上がりました。

●最後に
 「人材」は多くいるが、変化の時代を戦える「人財」は少ない―
 先に上げた経営者が「管理職に求める要件」を調査した結果では、この様な回答結果も
 出ていました。
 
 しかし、「変化の時代に対応できるマネジメントとはこういうやり方です」「これをやれば
 間違いない」という秘策や正解はありません。

 「我々のやり方は本当に時代に適応できているのか」を問い続ける環境、そして、従来
 型のやり方を見直し軌道修正していける土壌を、教育機会を契機に、どれだけ創れる
 かが、これから先、重要なのだと思います。

既存事業が衰退、あるいは停滞していく中で、企業が生き残る道は・・・

トレーニングの中では、よくこんな議論が行われます。

そんな中、今回は新規事業立案をテーマに、トレーニングを進めている企業の現場レ
ポートをしたいと思います。

よく、新規事業を立ち上げる際に、様々なフレームワークを使い、自社の検討を行うこ
とがあります。この作業は、とても大切な作業でありOBTのトレーニングにも組み込ま
れております。しかしOBTでは、この作業をメインにトレーニングは行いません。

まず、新規事業を立ち上げてる際には、思いが重要である。このことを様々な角度から
繰り返し、受講者に話して行く事から始めます。

それは、立案者達の動機・思いなくして、これからぶち当たるたくさんの壁を越えることが
出来ないからです。提案内容の検討、どこから収益をあげるか、競争優位性はなにか、
経営者の説得等、様々なことをクリアーしていかなくてはいけないからです。

受講者は
・新規事業立ち上げはもっと簡単なものだと思っていた
・人を説得させるにも、思いが重要だと改めて感じた
・自分は、今考えている事業にどれだけの思いがあるのか、昼も夜も常に考えている
 か・・・といわれると、そこまで考えていなかった

など、根本的なことから話し合いがされていました。

そして、新規事業の提案内容が固まっていくにつれ、もう一つ重要なことは全体像を
明確にすることです。一つの面では、すごくいいアイディアであっても、違った角度から
みると、マイナスになってしまうのでは意味がありません。さまざまな要因がそれぞれ
に結びつき、全てがまとまる絵を描かなくてはいけないのです。

そしてそれは、一見今までの世間一般の企業のやり方からすると、無駄・無理とされ
るやり方かもしれませんが、そこを深く考えることこそ他社との差別化に繋がります。
それには、"顧客を誰"と定義することも必要になってきます。例えば、卸の顧客は小
売店なのか消費者なのか・・・

受講者は
・「そんなことは出来ない」と考えてしまうのは、自社目線であって
 "今まで出来なかったことこそ顧客が望んでいるもの"ということを知った
・全体を描いてみて、事業の柱が弱い事に気付いた
・深く考えること・思いなくして、事業は立ち上がらないし、改めて、顧客を誰と定義す
 るのかで、戦略が変わっていくのだと思った。今までは、顧客を小売店とみている
 ことが多かった

などの意見が出ていました。

新規事業立案をするにあたり、改めて自社の強み、弱み、そして、顧客の望むことを見
直す必要性が出てきます。しかし、それは既存事業を継続して行く上で、見過ごしてい
る部分を再確認する際にも、とても必要なことと考えます。

企業が生き残る道、それは新規事業の立ち上げ、構造改革と様々な施策はあると思い
ますが、まずは徹底した自社俯瞰から始まるのだと改めて感じました。


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