<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom">
    <title>この人に聞く</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/" />
    <link rel="self" type="application/atom+xml" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/atom.xml" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2008-03-28:/web_jinzai_magazine/person//2</id>
    <updated>2012-01-25T05:07:56Z</updated>
    
    <generator uri="http://www.sixapart.com/movabletype/">Movable Type 4.1</generator>

<entry>
    <title>勝てる土俵で勝負する。自社の強みを磨きあげる『選択と集中』（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2012/01/post-112.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2012:/web_jinzai_magazine/person//2.775</id>

    <published>2012-01-25T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-25T05:07:56Z</updated>

    <summary>株式会社スーパーホテル</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社スーパーホテル<br /></A>
会長　山本梁介さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">
企業が軒並み出張旅費を削減し、国内旅行市場は低迷。ホテル業界にとって厳しい経営環境が続く中、スーパーホテルでは客室稼働率89％という驚異の業績を誇り、攻めの経営を展開しています。顧客に提供する価値を『安全、清潔、ぐっすり眠れること』と定め、宴会場など価値に結び付かないものはすべて廃止。枕やベッドなど、眠りの質を高めるものを徹底して研究し、経営資源を投入する。自社の強みに特化したサービスが、同社の競争力を支えています。今も進化し続けるスーパーホテルの『選択と集中』について、山本梁介会長にうかがいました（聞き手：OBT協会　伊藤みづほ）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [OBT協会の視点]  </em></p>
<p class="fs14 spacing10">サービス産業における生産性の向上は、顧客満足と二律背反の関係にあり、難しい課題である。

スーパーホテルに置いても、『選択と集中』を行い、顧客満足の為に行なっている『安全、清潔、ぐっすり眠れること』以外の不必要なものを全て削除。顧客満足度指数にて業界1位を獲得している。しかし、山本会長は「何事も長所と短所は表裏一体」とその難しさを語ります。

特長あるホテルを築くまでには、必ずしも順風満帆な道ではない。なぜなら、特に日本人は変化求めない・受け入れない、それは、顧客だけではなく、社内の従業員の中にもあるからである。つまり、成功の秘訣の一つは、初めに多少つまずいても、自らの信じられるコンセプトであれば、迷わず進み・貫く企業の強さが必要となるのではないだろうか。
</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社スーパーホテル</em> （<a href=" http://www.superhotel.co.jp/" target="_blank"> http://www.superhotel.co.jp/</a>）<br>
1989年設立。シングルマンション事業から参入し、シティホテル『ホテルリンクス』を展開。1996年に宿泊特化型ホテル『スーパーホテル』1号店を博多に出店。宿泊客のチェックインに無人で対応できる『自動チェックイン機』などの独自のシステムによりコストを削減し、朝食付きで1泊4980円からという低料金を実現する。その一方で枕は7種類から、ベッドの硬さは2種類から選べるなど、コンセプトの一つである『ぐっすり眠れる』を追求してサービス開発に注力。近年、『ロハス』をコンセプトに加え、環境保護につながる宿泊プラン『エコひいき』などを開発。こうした取り組みが支持されて、女性やファミリー客の利用を伸ばしている。2009年度に経営品質賞受賞、サービス産業生産性協議会のJCSI（日本版顧客満足度指数）において、2010年、2011年の2年連続でホテル業界第1位を獲得。<br>
企業データ／資本金：6750万円、店舗数：102店舗、従業員数：260名（2011年12月現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> RYOSUKE  YAMAMOTO </em></p>
<p class="fs14">1942年に大阪・船場の織物商社の3代目として生まれる。大学卒業後は蝶理株式会社に入社し、25歳で家業に転じて代表取締役社長に就任。4年後に同職を退任し、シングルマンション事業を立ち上げて6000室を管理するまでに育て上げる。1989年に株式会社スーパーホテルを設立し、同社会長に就任。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">トップが本気を見せなければ、経営理念は浸透しない</h3>
<div class="txt">　
<p class="fs14 spacing10"><em>────ホテル業界で唯一、返金保証制度（※）を導入されていますが、これも顧客の満足度を高めるための施策の一つでしょうか。</em></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※一部店舗を除く。</p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">それだけではなくて、社員には「ホンマもんの経営をしよう」ということをずっと言っているわけです。ですが、口ではいいことを言っても、やってることが違ったらかえって悪影響があります。では、ホンマもんの経営とは何かといえば、経営理念に沿った判断をして、経営理念に沿った行動をすることです。返金保証制度はその一つなんです。つまり、トップが真剣な姿勢を見せるということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">私どものお客さまというのは、各地域にビジネスのために出張してこられる方、あるいは文化・スポーツの交流や観光のために来られる方ですので、言ってみればその都市の応援団なんですね。その方にぐっすり休んで元気に活動していただけば、地域の社会と経済の活性化につながる。われわれはそういう素晴らしい仕事をしているのだと、誇りを持ってやっているわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">それを実行する一番の方法は、『安全、清潔、ぐっすり眠れる』を提供することですから、できていなければ料金はお返ししようじゃないかと。それはわれわれのサービスでもありますが、企業の一番の根幹である存在価値にもかかわってくるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────実際には、どの程度の返金が発生されているのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">当初は月間で100万円以上ありましたね。できるだけ挑戦して、ずい分減らしてきましたが、今も月間で何十万円とお返ししています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「眠れなかった」というのは自己申告かと思いますが、どのようにして検証されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まずは何も聞かずにお返しして、理由はその後にお聞きするようにしています。やはり中には、お客さまがクーラーの操作を間違えて「部屋が暑かった」とか、そういったこともありますが、そうしたときもご返金しています。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから、ホンマもんの経営をするということは、辛抱がいりますね。経営理念を曲げて、ちょっとこうした方が儲かるとかね。「お客さまのクーラーの操作がおかしかったからです」とか、言おうと思ったら理由はなんぼでも見つかるわけです。目先はその方が得しますけども、私どもはホンマもんの経営をしようということを一番の柱にしていますから、そこはやはり徹底しませんとね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうしたトップの姿勢を感じれば、スタッフの方々もこれは真剣に取り組まなくてはいけないという意識になりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">経営理念を浸透させるには、まずはトップが経営理念に沿って行動し、社員の目線を経営者の価値判断にできるだけ近付けていくことが大事なんです。理念に沿ったことをきちっとやっていれば、売り上げや利益は後からついてくる。これがホンマもんの経営なんですよ。そして、やはり上が真剣だなということで、社内にも理念が浸透してくる。これが、私どもの一番の強みではないですかね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">朝礼での『発表』で、経営理念を行動に落とし込む</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────ただ、頭で理解することと実行できることは別かと思いますが、理念を社員の方々の日々の行動に結び付けるには、何が大切になるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">スーパーホテルの理念は、『Faith（フェイス）』と呼ぶカードにまとめて全員が携帯し、毎朝の朝礼で毎日１ページずつ、みんなで読んでいます。しかし、お経ではありませんから読むだけではだめで、読んだことに関して自分の考えを、毎日順番に発表してもらっているんです。これはパートさんも含めて全員参加です。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0303_b.jpg" alt="" /><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0304_b.jpg" alt="" /></p>
<br>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> スーパーホテルの『Faith』（抜粋）。経営理念や行動基準のほかに、『働く仲間への約束』や『サービススタンダード』など、ホテルの一員として働くにあたって求められることが、詳細にまとめられている。</p>
<p class="fs14 spacing10">このやり方がいいのは、一番は他人の発表のときにその人の話を聞くようになるということです。理念の内容も、自分なりに深く考えるようになります。それから、毎日の仕事で理念を実行するようにもなる。発表で説得力があるのは実体験ですから、自分でやってみようと思うんですね。例えば、お客さまにプラスアルファのひと言をかけてみるとか、一つのところをきれいに掃除してみるとかね。それでお客さまに喜ばれたり、自分としてもやって気持ちがよかったとなれば、身につくようになるんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">最初のころは、なんぼやっても理念がなかなか浸透しませんでしたが、発表してもらうようにしたら一石三鳥です。まず人の話を聞く、自分で深く考える、そして実行する。でも、これをやめたらダメですね。本社では私と社長が中心になって、必ず毎日発表してもらうようにしていますし、店舗でも支配人と副支配人が中心になって毎日、毎日です。これを徹底的に行わないと、一が始まらないんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうして順番が回って来るたびに発表を重ねると、皆さんの考え方も進化していかれますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いやいや、中には後退する人もいますから、そういう人には社長や私、店舗では支配人がひと言、アドバイスするわけです。そのためには、コメントする方も勉強です。やはりある程度気を使わないと、コミュニケーションはできませんのでね。コミュニケーションというのは、両方が勉強なんですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">長年の人間観察から生まれた人財像『自律型感動人間』</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社では、『自律型感動人間』を求める人財像として掲げておられますが、具体的にはどういった人財を指しておられるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">『自律型感動人間』というのは、私がこれまでいろいろと本を読んだり、成功した人、失敗した人から直接話を聞いて、その中から浮かんできた人財像です。</p>
<p class="fs14 spacing10">私は25歳のときから経営者としてやってきましたが、なかなか成功しませんでした。これは、机で勉強していた大学と人生大学はどうも違うなと。オイルショックやバブル崩壊も経験して、すべったり転んだりしながら、本を読んで人にも会ううちに、成功する人には共通点があることがわかってきたんです。ひと言でいえば、ツキのいい人です。では、それはどういう人かと考えたら、やはり人間力のある人なんですね。それから、感性もなくてはいけません。</p>
<p class="fs14 spacing10">といっても感性や人間力を磨くのは、なかなか難しいことですが、突き詰めれば何かあったときに他力本願で逃げたりしないで、貧乏くじを引いても自分で考えて頑張る。そうしたときに、人間力や感性が磨かれるんです。そういう人は、自分がいろいろな人に支えられているということもよくわかっています。感謝の気持ちを持っているんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">そういったことを考えて名づけたのが、『自律型感動人間』です。『自律』の由来は、福沢諭吉の『独立自尊』。福沢諭吉の本を読みまして、これが成功する人の一番の肝やなと。そこに、もう少し自分自身でしっかりと立つという意味を込めて『自律型』としました。『感動』は『感謝』でもいいのですが、やはり求めるのは、感謝の心を持ってお客さまを感動させるサービスができる人間だと。そう考えて、『自律型感動人間』としたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">こんな風に人に重きを置くようになったのは、スーパーホテル開業当時のある出来事がきっかけです。当初は生産性を重視していましたから、自動チェックイン機をロビーに設置して、無人で運営することを考えていたんです。しかし、それでは旅館業法違反になるという指摘を受け、やむなくフロントに人を置くことになった。思惑が外れたわけですが、それがよかったんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">サービス産業というのは生産性も大事ですが、第一はお客さまに感動していただくことだと。ITはその補助はできても、やはりフェース・トゥ・フェースでのサービスが欠かせない。そういう新たな気付きがあり、そこからは『1円当たりの顧客満足度』を地域ナンバーワン、日本ナンバーワンにすることを目標に、生産性も顧客満足度もどちらも高めるというように考えが変化していったんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">上司と部下のコミュニケーションを仕掛けて、人財を育てる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────自律型感動人間になるには、生まれつきの素質が必要なのか、仕事を通じて育てることができるのか、どのようにお考えですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">生まれつきのDNAも影響すると思いますが、育てることもできる。私どもではそう考えて、育てる仕組みをつくっています。具体的には、チャレンジシートとランクアップノートというものを使って、目標に近づくことを支援しているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">チャレンジシートには年間の組織目標と個人目標を書き込み、ランクアップノートで目標の達成状況を追いかけます。ここで大事になるのが、上司と部下が話し合いをするということです。何かツールがなければ話すきっかけがありませんから、この2つはそのためにつくった仕組みなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">話し合いで一番の核になるのは、部下の長所を発見して、それを自信につなげるということです。人間は自信がないとどうしても人を頼って、他責型になってしまいます。自律型になるには、自信を持つことが必要なんです。何もなければ、「社内で一番声が大きい」とか、そういうことでもいいから、まずは長所を見つけて自信につなげる。これが大切です。</p>
<div class="alignright" style="width:350px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> スーパーホテルの『13の習慣』（抜粋）。アマチュアとプロの考える習慣の違いを対比し、プロ意識を持つことを促している。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">次は、やはり個人の夢です。これを上司ができるだけ明らかにしていく。例えば、将来は家庭を持ちたいという女性なら、仕事で笑顔を研究して人が集まってくるような女性を目指すとかね。自分の夢と会社の仕事とが『Win－Win』の関係になれば、仕事が腹に入ってくるようになるんです。でも当初は、「夢がない」とか「自分探しをしている」と言う人もいて、「夢も自分も、自分自身でつくるものでしょう」と。今はそういった人はいなくなりましたが、そんなところから話さないといけないことも多かったですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうして明らかになった夢に向かうために、私どもでは『13の習慣』を設定しています。この習慣を身につけながら、夢を目指して日々の仕事に取り組む。そんな風にして自律型感動人間を育てているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────上司が忙しくて、部下となかなか関われないという職場も多くありますが、御社でこの仕組みがうまく回っておられるのは、何がポイントなのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり会社の姿勢ではないかと思いますね。自律型感動人間の育成が一番の核となるものであり、その周りに経営理念や経営品質、さらにその周りに技術や知識がある。私どもではそう考えていますから、何よりも自律型感動人間を追求していこうと。その重要度の捉え方だと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────お話をお聞きして、人を育てる仕組みには秘策はないということを実感しました。単にツールを導入するだけではなく、仕組みの中にビジョンや経営理念をいかに溶け込ませるか。そのことが大切なのですね。</em></p>
</div>
<h3 class="fs18">『ベンチャー支配人』制度で、現場に経営感覚を持たせる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0402_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社では支配人は『ベンチャー支配人』と呼び、最短4年契約の業務委託契約を結んで、将来の独立起業を目指すご夫婦を歓迎されているとお聞きしています。なぜこうした方式を取っておられるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">当初は、生産性を高めることが目的でした。100室程度のホテルであれば、従業員が8人はいりますが、シングルマンションでしたら夫婦2人で管理できます。ホテルとマンションでは、生産性が全然違うんですね。ですから、ホテルをシングルマンションに近づけて宿泊特化型にすれば、夫婦2人に住み込みでやってもらえるじゃないかと。こう考えたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、ホテルの場合は、普通の管理人ではダメなんですね。ホテルを伸ばしていくうえで、自律型感動人間に一番近い人財というと、やはり経営者なんです。つまり、企業の成長を速めるには、経営者になりたいという発想を持っている人を伸ばした方が速いわけです。それでベンチャー支配人制度を始めてみたら、希望する方が案外たくさんおいでになって、このやり方が定着したということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ベンチャー支配人にとっても、独立資金が溜まるというメリットがありますし、夫婦2人で勤められるところというのは、そうないですからね。もちろん、未経験者を育てる研修システムが本部にきちっとあるからできることですけれども。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────最短4年の契約期間が満了した後は、飲食店を開業するなど、希望通り独立される方が多いと伺っていますが、御社のノウハウが流出する心配はないのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">お客さまに感動を提供してリピーターになっていただくという、サービス産業で一番大切なことは同じですから、スーパーホテルで得たことは、商売は違ってもそこで活かしてもらえばいいと思いますね。われわれは感動のサービスをどんどん進化させて、さらにレベルの高いものをつくっていけばいいわけですから。</p>
<p class="fs14 spacing10">せっかく育てた支配人が4年で卒業してしまっていいのかということもよく聞かれますが、人間は長さではないと思うんです。十年一日のごとく何も出てこない人もいれば、4年でも素晴らしいベストプラクティスを生みだしてくれる人もいます。それを本社が吸い上げて蓄積していくという歴史があるわけですからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────山本会長にとって、御社で働かれる支配人や社員の方々はどのような存在ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">全員が自律型感動人間として育って、自分なりの夢を実現してくれたら嬉しいですね。それは独立でも構いませんし、うちの幹部として伸びてもらってもいい。ツキのいい人になって、成功してほしいと思います。そして、山本と知り合いになってよかったなと。そう思ってもらえたら一番ですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────選択と集中によるサービスの独自性の強化と、人財育成による組織力の強化、この両輪を決して止めずに回し続けておられることが、貴社の強みを支えていると感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
<div class="aligncenter" style="width:450px;">
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/">OBT協会　　伊藤みづほ</a></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">OBTとは・・・
現場のマネジャーや次世代リーターに対して、自社の経営課題をテーマに具体的な解決策を導きだすプロセス（On the Business Training）を支援することにより、企業の持続的な競争力強化に向けた『人財の革新』と『組織変革』を実現している。
</p>
</li>
</div>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>勝てる土俵で勝負する。自社の強みを磨きあげる『選択と集中』（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2012/01/post-111.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2012:/web_jinzai_magazine/person//2.769</id>

    <published>2012-01-11T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:43:29Z</updated>

    <summary>株式会社スーパーホテル</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社スーパーホテル<br /></A>
会長　山本梁介さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">
企業が軒並み出張旅費を削減し、国内旅行市場は低迷。ホテル業界にとって厳しい経営環境が続く中、スーパーホテルでは客室稼働率89％という驚異の業績を誇り、攻めの経営を展開しています。顧客に提供する価値を『安全、清潔、ぐっすり眠れること』と定め、宴会場など価値に結び付かないものはすべて廃止。枕やベッドなど、眠りの質を高めるものを徹底して研究し、経営資源を投入する。自社の強みに特化したサービスが、同社の競争力を支えています。今も進化し続けるスーパーホテルの『選択と集中』について、山本梁介会長にうかがいました（聞き手：OBT協会　伊藤みづほ）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [OBT協会の視点]  </em></p>
<p class="fs14 spacing10">サービス産業における生産性の向上は、顧客満足と二律背反の関係にあり、難しい課題である。

スーパーホテルに置いても、『選択と集中』を行い、顧客満足の為に行なっている『安全、清潔、ぐっすり眠れること』以外の不必要なものを全て削除。顧客満足度指数にて業界1位を獲得している。しかし、山本会長は「何事も長所と短所は表裏一体」とその難しさを語ります。

特長あるホテルを築くまでには、必ずしも順風満帆な道ではない。なぜなら、特に日本人は変化求めない・受け入れない、それは、顧客だけではなく、社内の従業員の中にもあるからである。つまり、成功の秘訣の一つは、初めに多少つまずいても、自らの信じられるコンセプトであれば、迷わず進み・貫く企業の強さが必要となるのではないだろうか。
</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社スーパーホテル</em> （<a href=" http://www.superhotel.co.jp/" target="_blank"> http://www.superhotel.co.jp/</a>）<br>
1989年設立。シングルマンション事業から参入し、シティホテル『ホテルリンクス』を展開。1996年に宿泊特化型ホテル『スーパーホテル』1号店を博多に出店。宿泊客のチェックインに無人で対応できる『自動チェックイン機』などの独自のシステムによりコストを削減し、朝食付きで1泊4980円からという低料金を実現する。その一方で枕は7種類から、ベッドの硬さは2種類から選べるなど、コンセプトの一つである『ぐっすり眠れる』を追求してサービス開発に注力。近年、『ロハス』をコンセプトに加え、環境保護につながる宿泊プラン『エコひいき』などを開発。こうした取り組みが支持されて、女性やファミリー客の利用を伸ばしている。2009年度に経営品質賞受賞、サービス産業生産性協議会のJCSI（日本版顧客満足度指数）において、2010年、2011年の2年連続でホテル業界第1位を獲得。<br>
企業データ／資本金：6750万円、店舗数：102店舗、従業員数：260名（2011年12月現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> RYOSUKE  YAMAMOTO </em></p>
<p class="fs14">1942年に大阪・船場の織物商社の3代目として生まれる。大学卒業後は蝶理株式会社に入社し、25歳で家業に転じて代表取締役社長に就任。4年後に同職を退任し、シングルマンション事業を立ち上げて6000室を管理するまでに育て上げる。1989年に株式会社スーパーホテルを設立し、同社会長に就任。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">異業界出身だからこそ見えた『業界の常識』の盲点</h3>
<div class="txt">　
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社は『ぐっすり眠れるホテル』に徹底してこだわり、他社との差別化に成功しておられます。『選択と集中』の重要性はよく言われることですが、顧客やサービスをなかなか絞り込めずにいるケースも少なくありません。御社がなぜここまで『宿泊』に特化できたのか、『選択と集中』のあり方について今日はお伺いできればと思います。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">それほどたいしたことではなくて、私どもは、もとはホテル屋ではありませんでしたので、だからできたことだと思います。シングルマンションの経営から入りましたから、言ってみればホテル業界に非常識を持ち込んだわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">シングルマンションに求められるのは、快適な居住空間をつくるということが一つ。二つ目は、ローコストでハイクオリティを実現するということ。三つ目は、IT化です。管理をIT化することで、誰にも干渉されずに自分のペースで部屋が使える。単身で住まわれる方は、このことに非常に大きな価値を置かれるんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そのシングルマンションの常識を、ホテル業界に持ち込んだ。それだけです。丸きり新しいものではなく、新しい組み合わせと言いますかね。それを思い切ってやったというだけで、たいしたことではないんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────当初は、会議室やレストランを併設したシティホテル『ホテルリンクス』を展開しておられましたが、それを宿泊特化型の『スーパーホテル』に転換されたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ホテルリンクスを展開していたときにはバブルの余韻がまだありました。しかし、次第にバブル崩壊が響いてきて、経済が息切れしてきた。それはお客さまが来られる勢いでわかるわけですから、このままではうまくいかないなと。では、どういったホテルをやるべきかと、いろいろと悩みましてね。</p>
<p class="fs14 spacing10">その当時、ビジネスホテルは1泊7000、8000円くらいしていましたが、従業員やお客さまに聞くと、出張費の範囲で夜にちょっと一杯飲める程度のおつりが出たら嬉しいという。とすると1泊5000円以内ですね。そういうホテルをつくれば喜んでもらえて、お客さまに来ていただけるだろうと。そこで、まずは単価ありきで『一泊朝食付4980円から（※）』と決めたわけです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※一部のホテルを除く。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただし、『安かろう悪かろう』はポリシーに反しますし、それではリピーターになっていただけませんから、当たり前ですが『低価格高品質』でなければいけない。けれど、すべてのお客さまに『低価格高品質』を提供しようとしたら、それこそ店を閉めなくてはいけなくなります。そこで、出張の多いビジネスマンの方々に顧客を絞ったわけです。次に、ビジネスマンにとって一番大切なことは何かを考えて、『安全、清潔、ぐっすり眠れる』にコンセプトを絞った。そして、これに関しては他社の追随を許さないと決めてスタート切ったということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────コンセプトを定めても、例えば会議室もあったほうが便利ではないかなど、サービスを広げる方向にどうしても考えが向きがちではないかと思います。『安全、清潔、ぐっすり眠れる』に絞り込むことができたのは、何が決め手になったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ホテル業界の中で、どういう地位を築くかを考えたということです。飲食や宴会では、どうしたって伝統あるホテルにはかないません。しかし、ホテルをいろいろと見てみたら、『宿泊』に関してはまだちょっと甘いところがあるのではないかと思ったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">というのは、ホテルの宿泊は1泊や2泊と短期間ですね。だから、お客さまは何か不満を感じても、「次からここは使わないでおこう」と、黙って終わってしまうことも多い。しかしシングルマンションは、最低でも1年、2年と借りられますから、何かあればお客さまから真摯な不平不満を受けます。そのシングルマンション事業で30年間培ってきたハードやソフトをホテル業界に持ち込めば、一つの領域が築けるのではないかと考えたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、ホテルでは、ビジネスマンの方は夜10時ごろにチェックインされて、朝8時ごろに出て行かれますから、滞在のほとんどをベッドの中やベッドの周りで過ごされます。ここを高品質にしないことには、ホテルの勝負どころがない。そこで、宿泊に特化したホテルをスタートさせたということです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">開業から続いた不振を、サービスの価値を信じて乗り切る</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────1996年にスーパーホテルの1号店を博多にオープンされました。当時は、どの程度の勝算を見込んでおられたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね、最初は「こんなものはホテルではない」と言う人もあって、まったく流行りませんでしたのでね。しかしあるとき、ＮＨＫの記者の方が来られて「こういうホテルは必要だ」と。ＮＨＫ福岡放送局で2、3分放送してくださって、それからワッとお客さまがやってこられるようになりました。ですから努力したといえば、ちょっと淋しいなというのを我慢してコンセプトを貫くというね。それくらいのものですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────1号店の営業が軌道に乗られるまでに、半年ほどかかられたとお聞きしていますが、その間に迷いが生じることはありませんでしたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">プライスに対する自信がありましたからね。というのは、シングルマンションを1年間借りるのと、スーパーホテルに1年間宿泊し続けるのと、計算するとほぼ同じ金額になったんですよ。マンションは保証金や家財道具に費用がかかりますから、それも含めてのことですが、1年間だけ住むと考えたらスーパーホテルに泊まった方が得なんです。最初はそういった価格に対する自信が下支えになりましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────最初の半年間の稼働率はどの程度だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">65％くらいを目標に考えていましたが、実際には半分を割っていました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────その間、スタッフの方々は不安を抱いておられたのではないかと思いますが、どのようにしてみなさまを引っぱっていかれたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ただ忙しく過ぎていきましたが、一つあるとすれば従業員が2、3人のときから朝礼をやっていました。今も各店舗でそれはやかましく言うのですが、朝礼でコミュニケーションを取って、いろいろなことをオープンにガラス張りで経営し、われわれの信念を伝え続ければ、それに賛同する者が必ず出てきます。そして、事業も徐々に当たり出してくるんです。売り上げ至上主義よりも、理念浸透主義ということですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">社員の離反、宿泊客の苦情...、逆風の中で経営理念を貫く</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10">ただ、宿泊産業というのは古い業界ですから、例えば客室の電話をなくす（※）とか、これまでにないことへの抵抗は大きいんですね。ですから、当時の社員のうち約3割がホテル業界から来た人でしたが、その人たちはみんな辞めていきました。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※スーパーホテルでは自動チェックイン機による完全前払い制でチェックアウトを廃止。それに伴い、清算の対象になる室内電話も廃止している。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社内の雰囲気はいかがでしたか。残った方は、さらに不安になられたのではないかと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはそうですよ。お客さまが来ないことでも、不安になっていましたからね。そこを、こちらは信念を持って貫いたということです。</p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0301_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────辞めていかれた方は、何に反発されたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">みんなが一番反発したのは、やはり客室の電話をなくすということでした。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────電話はそれほど重要なものなんですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">今でもこれだけ携帯電話が発達しているのに、電話がないのはうちのホテルぐらいでしょう。しかも当時は14年前で、携帯電話も一部の人しか持っていない時代でしたから、そんなことをして大丈夫かと。ホテルとしての意味をなさんじゃないかという声がありましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうした方針は、山本会長の中で概要をお決めになってから、みなさんに話されるのですか。それとも、みなさんとの議論の中で決めていかれるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">輪郭は私が決めて、細部に関してはみんなと議論しながら、現場ですり合わせて進めていきます。しかし、人間というものは、今までの環境から抜け出すことに非常に抵抗があって、自分が経験していないことにはなかなか飛び込めないんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────お客さまからの苦情はいかがでしたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはりいただきました。今でも、「内線がないからフロントまで行かなくてはならない。これでホテルと言えるのか」といったお声をいただきます。</p>
<p class="fs14 spacing10">私どもでは、お客さま相談室を設けて苦情やご要望をお受けしているのですが、お客さまのご意見は大きくは、ハードに対するものとソフトに対するもの、それからビジネスモデルに対するものに分かれます。ハードは設備のメンテナンス、ソフトは従業員教育といったことに力を入れて、クレームをなくしていかないといけません。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかしビジネスモデルに関しては、私どものやり方を変えるのか変えないのか、常に議論する必要があります。例えば、客室には冷蔵庫も置かないことにしていたのが、お客さまの声からやはり必要だということになり、後から設置した。そういったものもありますが、室内電話に関しては方針を変えてしまったら、スーパーホテルのビジネスモデルとは違うものになってしまうんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">何事も長所と短所は表裏一体ですから、お客さまの満足度を高めれば生産性は落ちますし、生産性を高めれば満足度は下がる。その中で、これは変えられないというものはお客さまにそうお伝えして、「他のホテルをご利用ください」とお願いすることもあります。そうでないと、特長あるホテルを守ることはできません。ですから自然と、スーパーホテルのやり方がいいと言われるお客さまが中心になりますので、リピーターの方が増えてくるんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">現在に満足せず、常にベストを求めて変革し続ける</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのようにして『しないこと』を明確にされる一方で、例えば枕は7種類から選べるなど、『安全・清潔・ぐっすり眠れる』を実現するための取り組みに力を入れておられます。開業からこれまで、どのようにしてサービスをつくり上げてこられたのでしょうか。</em></p>
<div class="alignright" style="width:250px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_04012_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> ロビーに『ぐっすりコーナー』を設置し、好みの枕を宿泊客が自由に選べるようにしている。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">枕ついては、私どもは「ぐっすり眠れなかった」という方に宿泊代金をお返しする『返金保証システム』を導入しているのですが、当初は枕を理由にする方が多くおられたんです。それでいろいろと研究して、NASAの技術を取り入れたという高級な枕をつくったこともありましたが、それでも人によって「高すぎる」「低すぎる」ということがあったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">いったいどないしたら、枕のクレームをなくせるのかと。いろいろと考えた結果、自分に合った高さと柔らかさが大事だということに気づきましてね。高いものから低いもの、柔らかいものから硬いものまで、今は7種類を揃えています。大抵のものがありますから、ご自分に合った枕で寝ていただこうということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今のやり方に行きつくまでに、どのくらい試行錯誤されたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">2年はかかりました。お部屋に関しても改善を重ねて、今では『眠りと健康』という意味ではパーフェクトではないかと思います。室温や照明、防音などに基準を設けて、それをクリアするようにつくっているんです。例えば、音は40デシベル以下（※）、ベッドもロングでワイドなものを入れて、マットの硬さも2種類から選んでいただけるようにしています。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※図書館内と同程度の静けさ</p>
<p class="fs14 spacing10">また、大阪府立大学の健康科学研究室と共同で『ぐっすり研究所』というものを設立して、快適な睡眠を研究しています。そこでわかったのは、睡眠というのは時間の長さではないということ。眠りの深さが大事なんです。では、深い眠りはどんな状況で生まれるのか。一番は、血流を良くすることです。そこで私どもでは、体のイオンバランスを改善するように特殊な加工を施したパジャマや、天然鉱石の微粉末を加工して岩盤浴と同じ効果があるスリッパといったものをつくってご提供しています。</p>
<p class="fs14 spacing10">もう一つ、室内の空気も大切ですから、例えばこの部屋の天井には珪藻土を使用しているんですよ（※）。珪藻土もいろいろと試しまして、北海道の稚内のものが一番いいなと。湿気を吸ったり吐いたりする調湿効果が高いんです。壁紙もケナフという自然素材でつくった環境配慮型クロスを使っています。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※取材はスーパーホテル浅草で行われた。内装材は店舗により異なり、珪藻土や環境配慮型クロスは一部の店舗に使用されている。</p>
<p class="fs14 spacing10">さらに、このホテル（スーパーホテル浅草）から初めて取り入れるのが『水』です。水というのはH2Oの水分子が水素結合しているわけですが、それを特殊な技術で加圧すると結合が外れて分子がバラバラになる。水の粒子が細かくなって活性化するんです。飲んでも美味しいですし、女性の方などはこれでお風呂に入っていただくと、保湿効果があっていいですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうした特殊な水が、客室の蛇口から出るということですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。これまでは、『力水』といって低分子に加工した水をピッチャーで飲料用にご提供してきましたが、それを今回は水道から出すようにしました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それではコストがかかるのではないですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですが、これからの時代は『1円当たりの顧客満足度』が大事ですから、コストばかりを追うのではなく、やはり徹底的にこだわった本物をつくっていきませんとね。そのために、私どもでは社内にロハス委員会というものをつくって、快適な睡眠と地球の環境にこだわったサービスを毎日研究しています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>徹底した『選択と集中』で、サービスの独自性を高めてきたスーパーホテルは、2010年、2011年の2年連続で、サービス産業生産性協議会のJCSI（日本版顧客満足度指数）においてホテル業界第1位を獲得。顧客満足度の高さの秘けつは、ビジネスモデルだけでなく人財力にもあります。後編では、経営理念を現場に落とし込む同社の人財育成法について、山本会長にじっくりとうかがいました。</em></p>
<br><br>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2012/01/post-112.html
">
<em><u>
勝てる土俵で勝負する。
自社の強みを磨きあげる『選択と集中』（後編）
</u>
</em></p></a>

</div>
</li>
<div class="aligncenter" style="width:450px;">
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/superhotel_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/">OBT協会　　伊藤みづほ</a></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">OBTとは・・・
現場のマネジャーや次世代リーターに対して、自社の経営課題をテーマに具体的な解決策を導きだすプロセス（On the Business Training）を支援することにより、企業の持続的な競争力強化に向けた『人財の革新』と『組織変革』を実現している。
</p>
</li>
</div>
</ul>

]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>銀座発の「つなげる力」と「遊び心」で、街に自然を、地方に活気を取り戻す（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/12/post-110.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.763</id>

    <published>2011-12-21T01:00:00Z</published>
    <updated>2011-12-21T06:47:11Z</updated>

    <summary>特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト<br /></A>
副理事長　田中淳夫さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">個人として、企業として、社会に何ができるのか。東日本大震災を経て多くの人が自問したであろうこの問いに、一つのヒントを提示してくれる団体があります。東京・銀座の街中でミツバチを飼い、都市と自然環境の共生を目指す銀座ミツバチプロジェクトがその団体。今や、北海道、名古屋、小倉と全国に姉妹プロジェクトも誕生し、街の緑化や地域の活性化など、多彩な活動を展開しています。とかく難しく考えがちな社会問題に向き合うその姿勢は、粋を楽しむ銀座流。遊び心でさまざまな地域をつなげてきたプロジェクトの歩みと活動への思いを、副理事長の田中淳夫さんにお聞きしました（聞き手：OBT協会　及川　昭）。
<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  </em></p>
<p class="fs14 spacing10">「プロジェクトが予想もしない方向に発展していく」。<br>
田中さんが言われたこの言葉に、社会を変革するための大きなヒントが隠されている。
銀座ミツバチプロジェクトは非営利団体であり、利益の追求を第一の目的とはしていない。しかし、利益につながらない活動であっても、志が正しければ、予想もしない別の形での利益となって帰ってくるのである。<br>
ただし、それには条件がある。活動の対象となる事業や商品、銀座ミツバチプロジェクトでいえば蜂を心から愛おしいと思えなければ、大いなる力は働かない。理屈抜きの愛情から生まれる信念や情熱こそが人を動かし、やがて社会を変革するうねりとなるのである。銀座のミツバチは、そのことを我々に教えてくれている。</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト</em> （<a href=" http://www.gin-pachi.jp/" target="_blank"> http://www.gin-pachi.jp/</a>）<br>
2006年設立。ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じることを目的に発足し、銀座3丁目の紙パルプ会館屋上でミツバチを飼育。有志のボランティアとしてバーの支配人や、スイーツのパティシエ、弁護士、アナリストなど多彩なメンバーが参加し、活動を推進している。銀座周辺は皇居や浜離宮、銀座の街路樹など緑に恵まれ、1年目の2006年には約150キロ、翌年は約260キロのハチミツを採取。6年目の2011年は約1トンを見込む。採れたハチミツは、銀座の老舗の技を活かして和菓子やスイーツなどのオリジナル商品に。活動を通じて銀座にコミュニティが生まれ、全国各地に姉妹プロジェクトも誕生。新潟や福島、茨城などとも交流し、コラボレーション商品を開発して地域の生産者を応援している。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> ATSUO TANAKA </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1957年東京生まれ。1979年に多目的ホールを運営する（株）紙パルプ会館に入社。現在、関係会社フェニックスプラザ代表取締役　兼　（株）紙パルプ会館常務取締役。2006年に特定非営利活動法人銀座ミツバチプロジェクトを立ち上げて副理事長を務める。2010年には農業生産法人・株式会社銀座ミツバチを設立し、代表取締役に就任。著書に「銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ」（オンブック）、「銀座・ひとと花とミツバチと」（時事通信出版局）共著、「新銀座学」（さんこう社）、共著</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">志を持つと、思わぬ出会いが生まれる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────銀座ミツバチプロジェクトでは、『ファームエイド銀座』というイベントも開催しておられます。これはどのようなことから始まったご活動なのですか。</em></p>
<div class="alignright" style="width:200px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> ファームエイド銀座は年4回開催。地域の生産物が並ぶマルシェや地域活性化を考えるフォーラムなど多彩な内容で、都市と農村の交流の場になっている。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">銀座から、地域の生産者を応援しようと始めたイベントです。一昨年でしたか、世界各地でミツバチが突然いなくなったことがありましたが、農薬が原因の一つではないかといわれているんです。その一方で、農薬や化学肥料をなるべく使わず、環境を大切にしている生産者の方もいる。そういう方々を銀座に招いて、生産物を売るだけではなく、できれば銀座の技とつなげて商品をつくってしまおうと。そんな仕組みになればと思ってやっています。</p>
<p class="fs14 spacing10">例えば、ファームエイドで新潟との交流が生まれ、『トキ×ミツバチ応援プロジェクト』が立ちあがりました。佐渡ではトキが棲める環境づくりのために、農薬をできるだけ減らした環境保全型の農業に取り組んでおられるんです。そうした生産者の方々を応援しようと。自然栽培のコシヒカリ『トキひかり』を生産されているのですが、どうしても規格外のお米が出ますから、僕らはそれを米粉にしてもらって、ハチミツとあわせたロールケーキを松屋銀座さんで販売していただきました。</p>

<br>
<div class="alignleft" style="width:350px;">
<img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0102_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font>
<img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0103_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> <br>『トキ×ミツバチ応援プロジェクト』では、新潟産イチゴの越後姫を<br>使ったハチミツスイーツも開発。地域を応援するオリジナルブランドが、次々と銀座で誕生している。</p></div>

<p class="fs14 spacing10">同じように福島市の方々と立ち上げたのが、通称『うさっぱちプロジェクト（※）』。吾妻山に毎年春になるとうさぎの形に雪が残って、これが農業の始まりを知らせる合図になるんだそうです。だから、福島地方では雪うさぎが農業のシンボル。それがミツバチと組んで、『うさっぱち』というわけです。福島からは、毎年銀座の冬の蜜源に菜の花の苗を提供していただいていまして、銀ぱちが受粉させた菜の花の種から搾った「菜の花オイル」を、銀座で売り出そうと考えています。菜の花オイルは福島では天ぷら油が中心ですが、銀座だとシェフが岩塩とガーリックを加えてオリーブオイルと同じ食べ方を提案したりね。銀座の技で、いろいろな形に展開できるなと考えているんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:350px;">※正式名称は「雪うさぎ×銀ぱち　福島・銀座　交流プロジェクト」</p>
</p>


<h3 class="fs18">異質なものとのつながりが、新しい価値を生む</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────多彩なご活動が、次々と広がっておられますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「こんなことができたらいいね」と冗談みたいな話をしていると、どんどんつながって、実現してしまうんですよ。皆さんそれぞれに活躍されている方々ですから、ちょっとした発想をお話すると、ご自身の何かにポッと火がつくんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">銀座では、ほかにもいろいろなつながりが生まれています。例えば『トキ×ミツバチ応援プロジェクト』の一環で、新潟の黒埼茶豆を銀座の屋上で育てているのですが、銀座のクラブのママさんたちにも苗を植えるのを手伝ってもらったんです。それも着物姿で農作業して、収穫した暁には夜のおつまみにしようと（笑）。新潟市の篠田市長もお見えになって、クラブのママと一緒に苗を植えている様子が朝日新聞や新潟日報に掲載されました。</p>
<p class="fs14 spacing10">地域同士のつながりとして、徳島県の阿南市と大分県の竹田市の交流も生まれています。阿南市の名産は『すだち』、竹田市は『かぼす』。サンマにかけるのは『すだち』か『かぼす』か、すごい論争をしてきたわけです（笑）。それがファームエイドに出店する中でご縁ができ、それぞれの市長さんが来られて、銀座に『すだち』と『かぼす』の苗を植えたんです。10月にその収穫祭が行われ、やはり両市の市長さんが見えて「今まではライバル同士だったが、銀座の屋上で仲間になった。これからは『かぼすだち』でいこう」と（笑）。地元紙がそれを取り上げて、話題をつくっていくわけです。</p>
</p></p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0201_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0202_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">（写真左）収穫祭では大分県竹田市の首藤勝次市長（写真右端）と、徳島県阿南市の岩浅嘉仁市長（写真左端）が揃ってかぼすとすだちを収穫。「かんきつ文化を共に広めよう」と交流を温めた。（写真右）会場となったのは、銀座白鶴ビル屋上にある『天空農園』。独自開発の酒米『白鶴錦』が栽培されており、都会の案山子が銀座の街を見守っている。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、屋上農園にはどうしても草が生えますから、地元の福祉作業所『さわやかワーク中央』の方々に委託して、草取りをお願いしています。僕らはハチミツを有償でお分けし、それをインセンティブとして皆さんの働く場にしていただこうということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">最初は屋上でミツバチを育てることだったのが、今は何か地域を元気にするような、そういう一つの役割を担い始めている。そんな活動になってきましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうしてやっておられることの1つずつの点が、いつか大きな面につながる可能性もありますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。今、鉄道会社さんからもミツバチを飼いたいと相談を受けているのですが、駅舎の屋上緑化だけでなく、線路沿いにも花を植えていけば、都会から奥山へと広がる生態系のつながりができるかもしれない。海外からも、ソウルや台湾などからミツバチを飼いたいという話があって、いろんな方からいろいろな相談をいただいています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────普通なら、時間とコストをかけてつくり上げたものを教えてくれといわれたら、何か見返りがあるのかというような、抱え込む発想に陥りがちですが、そうしてノウハウをオープンにされているから、つながりが広がっていかれるのでしょうね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">僕らがやっていることが参考になるならお伝えしますし、皆さんがいい取り組みをされれば、僕らも教えてもらえますし。異質なものとつながることって、学ぶことが多いですよね。でも中には、こちらが時間をかけて養蜂を教えて、スタートしたら、「我々は銀座とは違う」と何かコンペティターのような話をされるところもあって、それは残念だなと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">社会性のある、健全なお金の流れをつくる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────お話をうかがっていますと、銀座ミツバチプロジェクトのご活動には「世の中のために」という強い思いがあって、だからこそここまで発展してこられのだということを実感します。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0301_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そうなればいいなと思いますよね。例えば、松屋銀座さんでは、クリスマスシーズンに合わせて、銀座ミツバチのチャリティー蜜蝋キャンドルをつくられ、収益は東日本大震災で被災した遺児の支援にあてられます。家族と過ごす幸せな時間であるクリスマスに、両親とケーキを食べられない子どもたちがいる。その子たちのへのドネーションにしようということなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そういうものが健全なお金のめぐり方なのかなと思っていまして、こうした動きが街に広がっていけば、銀座の街のブランド価値をまた上げていってくれるのではないかと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、まさに僕らが今、買うことで地域を応援し、誰かを支える仕組みをつくっているところですよね。震災を経て、いろんな方々の中に考えることがあったのだと思いますが、おそらく社会はこれからそういう方向に向かうのではないでしょうか。だから、ミツバチを飼うことから始まった活動が、こういった形で動き出したのだと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────『行きすぎた資本主義』や『行きすぎた利益の追求』といったことが、社会問題化してきていますけれども、銀座ミツバチプロジェクトのご活動は『ソーシャルイノベーション』といいますか、そういった問題の一つの解決になっておられるという気がとてもします。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">私も企業に勤めていますので、効率や収益を求めるのは、株主に対する会社のあり方として当然だと思います。しかし、ビジネスもさまざまな皆さんとつながって成り立っているわけですから、関わる方々をステークホルダーとして捉えて、大きなお金ではないけれどもそれが社会に優しく、うまく還元するような仕組みがあってしかるべきだと思うんですよね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">活動を育てるために大切なのは「続ける」こと</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0501_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────田中さんたちが取り組まれてきたことは、これからの日本や世界のあり方の、一つのモデルのようなものになると思います。同様のことを模索する人たちもたくさんいますが、うまくいくためのポイントは何だと思われますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">続けられることではないかと思いますね。街の中にはまだ、「ミツバチは危ない」と思っておられる方もいると思いますし、そういった我々には見えない意見や思いは、やはりいろいろあると思うんです。けれども、ミツバチが街の中で共生しているのは、悪い事じゃないよと。そういう風に多くの方々が考えるようなことになれば、ありがたいなと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">銀座では、毎年春にミキモト本店前のミキモトガーデンプラザで菜の花が咲くのですが、昨年でしたか、心配だったので見にいったら、銀座のミツバチがいっぱいいたわけです。そこに家族連れが来られて、おばあちゃんがお孫さんに「ほら、銀座のミツバチよ」と。「危ないから」なんてことになったらまずいなと思っていたら、しばらく見て、「可愛いね」といって歩いていかれたので、ああよかったと。こんな風に人といろいろな生き物が共生することを街の方々が受け入れていく社会は、健全かなと思うんですね。そういったものが広がることですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また銀座には、資生堂のように世界展開をされるところもありますが、ここだけの老舗の味を守っているところもあります。もっとつくればいいのにお昼で売れてしまう最中屋さんや、「味が変わるなら成長を止めた方がいい」とおっしゃる老舗のおでん屋さんもある。すごいなと思いますよ。そういう考え方ってね。ですから、続けることの難しさって、あると思うんです。続けるためには、その時その時の変化を受け入れて、自身も変わっていかなくてはいけない。でも、変えてはいけないものもあって、そのバランスをどう取るか、なんですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">視点を変えれば、見えなかった問題が見えてくる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────田中さんたちが、ご自分でミツバチを飼われたことも大きかったのではないかと思います。養蜂家の方に屋上を貸すということでは、今のような発展はなかったのではないでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。「今シーズンは、ハチミツは採れたの？」みたいなね（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのハチミツがいくらで売れて、何％がマージンで、と（笑）。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そういったビジネスにしようとは思っていませんでしたが、採れたものをみんなで飲んだり食べたりして終わっていたかもしれないですね。自分たちで飼い始めると、やはり違いますよね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────田中さんが書かれた本を読んで、ミツバチの生態の神秘に私自身も感動しました。自分で飼うといっても、そういった感動や愛情を覚えないと、なかなかできないのだろうなと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">でも彼らには、飼われているという意識はないんですよ。よくこういって笑われるんですが、ビルや会議室を提供して料金をいただくのが、紙パルプ会館のビジネスです。ですからミツバチも、屋上に巣箱というマンションを用意して、フィーとしてハチミツをいただく（笑）。つまり、彼らにはいてもらっているわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そう考えると、彼らがいられるような場を提供するということにつきると思うんです。そういう小さな生き物の視点でものを見ていくと、銀座の環境が違った目線で見えてくる。日本の環境のあり方も、もしかしたら見えてくるのかもしれないなと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">宮城県の気仙沼湾で牡蠣を養殖されている漁師さんで（※）、「海は、川が運ぶ山の滋養で豊かになる」といって、山に木を植える活動をしている方がいます。それも、日本が戦後の大造林で植えたようなスギやヒノキではなく、花が咲く広葉樹を植えておられる。すると花蜜が出ますから、「ミツバチを飼えば、お年寄りや女性の添え仕事になりますよ」と話しているんですが、そうして一つの生態系の中でモノを考えると、いろんなものが見えてくるんですよね。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※NPO法人森は海の恋人・代表　畠山重篤氏。震災時の津波によって気仙沼湾は大きな被害を受けたが、復興に向けて活動を再開されている。</p>

<p class="fs14 spacing10"><em>────同じものを見ても、そこに視点や関心を持たないと、問題は見えてこないということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">普通なら、そこまでのことは僕も学べなかったと思います。ファームエイドでもいつもフォーラムを開催して議論するんですが、地域の皆さんや友人たちと、環境と農業はどう折り合いをつけるべきか、お金の活かし方はどうあるべきか、自分たちはどう生きてきて、これからどうやって生きていくべきなのかといったことを一緒に考え、皆さんのメッセージを聞くことで、僕もいろんなものが見えてきたのだと思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────やはり、そういう多様な関係性の中で、『つなげる』というようなことなんでしょうね。世の中が抱える問題を解決するヒントを教えていただいたように思います。貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>銀座発の「つなげる力」と「遊び心」で、街に自然を、地方に活気を取り戻す（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/12/post-109.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.757</id>

    <published>2011-12-07T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:45:52Z</updated>

    <summary>特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト<br /></A>
副理事長　田中淳夫さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">個人として、企業として、社会に何ができるのか。東日本大震災を経て多くの人が自問したであろうこの問いに、一つのヒントを提示してくれる団体があります。東京・銀座の街中でミツバチを飼い、都市と自然環境の共生を目指す銀座ミツバチプロジェクトがその団体。今や、北海道、名古屋、小倉と全国に姉妹プロジェクトも誕生し、街の緑化や地域の活性化など、多彩な活動を展開しています。とかく難しく考えがちな社会問題に向き合うその姿勢は、粋を楽しむ銀座流。遊び心でさまざまな地域をつなげてきたプロジェクトの歩みと活動への思いを、副理事長の田中淳夫さんにお聞きしました（聞き手：OBT協会　及川　昭）。
<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">「プロジェクトが予想もしない方向に発展していく」。<br>
田中さんが言われたこの言葉に、社会を変革するための大きなヒントが隠されている。
銀座ミツバチプロジェクトは非営利団体であり、利益の追求を第一の目的とはしていない。しかし、利益につながらない活動であっても、志が正しければ、予想もしない別の形での利益となって帰ってくるのである。<br>
ただし、それには条件がある。活動の対象となる事業や商品、銀座ミツバチプロジェクトでいえば蜂を心から愛おしいと思えなければ、大いなる力は働かない。理屈抜きの愛情から生まれる信念や情熱こそが人を動かし、やがて社会を変革するうねりとなるのである。銀座のミツバチは、そのことを我々に教えてくれている。</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>特定非営利活動法人　銀座ミツバチプロジェクト</em> （<a href=" http://www.gin-pachi.jp/" target="_blank"> http://www.gin-pachi.jp/</a>）<br>
2006年設立。ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系を感じることを目的に発足し、銀座3丁目の紙パルプ会館屋上でミツバチを飼育。有志のボランティアとしてバーの支配人や、スイーツのパティシエ、弁護士、アナリストなど多彩なメンバーが参加し、活動を推進している。銀座周辺は皇居や浜離宮、銀座の街路樹など緑に恵まれ、1年目の2006年には約150キロ、翌年は約260キロのハチミツを採取。6年目の2011年は約1トンを見込む。採れたハチミツは、銀座の老舗の技を活かして和菓子やスイーツなどのオリジナル商品に。活動を通じて銀座にコミュニティが生まれ、全国各地に姉妹プロジェクトも誕生。新潟や福島、茨城などとも交流し、コラボレーション商品を開発して地域の生産者を応援している。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> ATSUO TANAKA </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1957年東京生まれ。1979年に多目的ホールを運営する（株）紙パルプ会館に入社。現在、関係会社フェニックスプラザ代表取締役　兼　（株）紙パルプ会館常務取締役。2006年に特定非営利活動法人銀座ミツバチプロジェクトを立ち上げて副理事長を務める。2010年には農業生産法人・株式会社銀座ミツバチを設立し、代表取締役に就任。著書に「銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ」（オンブック）、「銀座・ひとと花とミツバチと」（時事通信出版局）共著、「新銀座学」（さんこう社）、共著</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">すべては『大人の遊び』から始まった</h3>
<div class="txt">　
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご活動をスタートされたのが2006年。今では北海道から九州まで、全国に『ミツバチプロジェクト』が生まれ、コミュニティが広がっておられます。私は、『銀座ミツバチプロジェクト』のご活動は、ある意味でソーシャルイノベーションだと思っておりまして、今日はそういった観点から、コミュニティを通じた社会的な価値の創造といったことについてうかがえればと思っています。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">私たちの活動は、そんな大仰な考えで立ち上げたものではなく、たまたま、都心でミツバチを飼える場所を探している養蜂家がいると聞いたことがきっかけです。街でハチなんて危ないんじゃないのと思ったけれど、ミツバチはむやみに人を刺さないという。だったら、うち（紙パルプ会館）の屋上を貸せば、場所代としてハチミツがもらえるだろうと安易なことを考えたわけです。ところが、なぜか自分たちが飼うはめになって（笑）、まあ、銀座でハチミツが採れたら面白いよねと。そんなスタートだったんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、そうはいっても、本当に銀座でミツバチを飼ってもいいのかと。紙パルプ会館にはテナント企業がいらっしゃいますから、万が一、刺されでもしたら大変です。私はビルの責任者も務めていますので、テナントの皆さんや銀座通連合会、京橋消防署や中央区役所といった関係各所に、「銀座の環境のためになることです」と説明にうかがいました。そこで反対されれば考えたと思いますが、応援してくれていると勘違いしまして（笑）。それで始めたんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────プロジェクトのメンバーはどのようにして集まった方々なのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">友人たちに声をかけたら、ボランティアですぐに集まってくれました。紙パルプ会館は貸し会議室業も行っていて、医療関係の勉強会や日中ビジネスの交流会など、いろんな方に使っていただいているんです。また、私は銀座の街を学ぶ勉強会（銀座の街研究会）を開いていますし、一緒に立ちあげた友人（NPO法人銀座ミツバチプロジェクト理事長　高安和夫氏）は「銀座食学塾」といって、農と食を銀座で考える勉強会を主催しています。そこで知り合った人たち──証券会社の法務担当や心理カウンセラーなど、いろんな友人が集まってくれて、彼らの力をエンジンに、養蜂の指導を受けながら始めたわけです。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0102_a.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0103_a.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0104_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">紙パルプ会館屋上の養蜂施設。風が強い高所での対策として、風避けの囲いがしっかり施されている（写真左・中）。ミツバチの行動範囲は半径4キロ。銀座のビル街を眼下に、働きバチが飛び回る。巣箱の奥に見えるのは電通テックビル（旧電通本社ビル）（写真右）。</p>
</div>
<h3 class="fs18">「職人の街・銀座×ミツバチ」のコラボレーション</h3>
<div class="txt">  
<p class="fs14 spacing10">初年度は、150キロのハチミツが収穫できました。それを僕らの仲間で分けたらそれまで。銀座はもともと職人の街なのだから、できればつくり手の方にハチミツを使って何かをつくっていただきたいと。でも一流の老舗ばかりですから、最初は難色を示されたのですが、味わってもらったら「クオリティがいい」と評価していただきましてね。</p>
<p class="fs14 spacing10">話題先行でテレビや新聞に取り上げられていたこともあって興味を持ってもらえて、松屋銀座さんに協力をお願いしていろいろな老舗につないでいただいたんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※プロジェクト初年度は、アンリシャルパンティエのマドレーヌ、ミクニギンザのケーキ、萬年堂と清月堂の和菓子などに、銀座のハチミツを使った特別商品が誕生。いずれも銀座でしか手に入らない限定販売とし、銀座の地産地消を実現させている。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────話題が先行しても一過性で終わるものも多いですが、銀座ミツバチプロジェクトがここまで発展してこられたのは、そうした街の皆さんとのつながりを大切にされたことが大きいのでしょうね。</em></p>
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> ハチミツを採るのは4月から8月頃まで。多い時期は週に2回、銀座のビルの屋上で採蜜が行われる（写真は田中氏）。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。ですから、ハチミツを使っていただくときには「ぜひ一緒に採りましょう」と。ビルの屋上にきていただいて遠心分離機をガラガラと一緒に回すと、「銀座でこんなものが採れるんだ」と、皆さん驚かれるんです。フレンチのシェフは「これで羊を焼いたらいい」とか、「チーズにハチミツをかけたらシャンパンにあう」とかね。シェフの中にある膨大なレシピに、次々とつなげていっていただける。そういう銀座ならではの技を持つ方々とつながったことが、大きかったと思いますね。</p>	
<p class="fs14 spacing10">銀座の街の研究では第一人者の老舗社長が、こう言っておられました。「昔から、銀座には奇想天外なことをするヤツが出る。銀座にはそうした新しいものを受け止める力があるけれど、いいものしか残らない。また、いいものになるように変わっていかなければ消えてしまう。それが銀座のフィルターだ」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">こうして銀座からさまざまなものが生まれて、多くの人たちの思いが銀座というものをつくってきたんです。僕らの活動が、それにふさわしい形になるかどうかはわからないけれど、できるだけ意味のあるものにしていかなくてはいけないという思いはありました。</p>
</div>
<h3 class="fs18">活動のありようは、目的の捉え方で変わる</h3>
<div class="txt"> 
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0301_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 花粉団子を後ろ足につけたミツバチ。花粉は貴重な栄養源になるため、上手に団子状にまとめて巣に持ち帰ってくる。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そこで考えたのが、『人と自然環境との共生』です。ミツバチは『環境指標生物』といわれるくらい環境の影響を受ける弱い生き物で、ミツバチが生きられる環境は僕らにとっても安心で安全。また、例えば街路樹の桜をミツバチが受粉させて、桜が実をつけるようになり、それを鳥が食べにくるといったように、小さな生き物が環境を動かして、街に多様な生態系が生まれるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうしたメッセージを、僕らはなるべく多くの皆さんに伝えるようにしてきました。それによっていろいろな方に協力していただけるようになり、活動が広がったのではないかと思います。ですから銀座では、ミツバチのために屋上緑化をしようという動きが広がっているんですよ。幸い中央区には、屋上緑化に対する助成制度がありましてね。同じ利用するなら、芝生などではなく、花が咲いてミツバチの蜜源になるものにしようと。それも、収穫して食べられるものだと面白いよね、という方向に話が向かっていったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">こうしてできた『屋上農園』は8カ所、1000平米を超え、近隣の小中学校の子どもたちも苗を植えに来て、学びの場にもなっています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご活動がどんどん広がりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、やはりミツバチプロジェクトを立ち上げたある街では、ハチミツを使った商品で地域おこしを考えておられましてね。でもハチミツは採れないときもありますから、「うちのハチは働かないな」と（笑）。それは、その時期に近くに蜜源がないのかもしれない。だったら花を植えて生態系を豊かにすればいいのですが、どうしてもハチミツにフォーカスしてしまう。そうすると、活動がなかなか広がらないのではないかと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────田中さんの考え方は、今のお話に集約されているような気がするのですが、一般的に皆「うちのハチは働かない」というだけで、「ハチが住みやすい環境を作ること」をしていない。まず、「ハチが多く住めるいい環境づくり」に注力すれば、周辺の環境は良くなり、たくさんのハチミツを生産できる。まずは環境ありきということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。環境に生かされているんですよね、ミツバチは。我々もそうなんでしょうけども。ですから、ミツバチを生かすためにはもっとよりよい環境をつくっていけばいいわけであって、大阪でも同様の動きが起こっているんですよ。大手農機具メーカーのヤンマーさんが花を植えるプロジェクトと連携して、今年、梅田でもミツバチプロジェクトがスタートしたんです。</p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/ginpachi_0302_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────銀座は周辺に皇居や浜離宮の自然があり、意外に蜜源に恵まれていると田中さんが書かれた本で知りましたが、梅田には蜜源はあるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いえ、少ないんです。それは予想していたことでしたが、ヤンマーさんが航空写真を撮って調べたら、何と緑が少ないんだと。ただ昔は、梅田は菜の花畑で、北新地の街の灯りは菜の花の油で灯していたそうなんです。そこで、もう一度菜の花を植えようという話が出て、ヤンマーさんが大阪市役所にも談判し、大阪の屋上緑化を提案されています。自然があるからミツバチを飼うのではなく、ミツバチを飼うために自然をつくる。順序が逆だけど、そういう方法もありますよね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ミツバチを飼うことで、ハチミツを生産するのか、自然環境を考えるのか。目的の捉え方によって、活動のありようは変わりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">僕らは活動の趣旨をなるべく伝えるようにしてきましたし、街の皆さんが「それはいいことだ」と。そう言って支えていただけたから、続けてこられたのではないかと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">内向きの議論ではなく、外に開かれた活動を</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">また、冒頭でいわれたように、名古屋や仙台などあちこちで面白い取り組みが広がっています。名古屋は、COP10（※）の開催地になったこともあって環境への意識が高まり、久屋大通や長者町といった商店街、愛知県庁や名古屋学院大学など、いろいろなところでミツバチプロジェクトを立ち上げておられるんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※2010年開催の生物多様性条約第10回締約国会議</p>
<p class="fs14 spacing10">僕も何度か名古屋にお邪魔していますが、「それぞれがバラバラに動くよりも、お互いのいいところを学びながら仲間を増やしていくほうがいいのではないですか」とお話したら、皆さんが見学会を開くようになって、つながり始めているんです。名古屋学院大学のミツバチを愛知商業高校の学生さんたちが借りて、地元の商店街の活性化に取り組むといった広がりも見せています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────名古屋でも、銀座と同様に地域のコミュニティが育っておられるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">『ミツバチつながり』で、いろんな動きが広がっていますね。一方で、やはり地域活性化がテーマのある町では、町の中だけで議論しているようなところがあって、もったいないなと思いますね。町をつくってきた文化や周辺の地域といったものとつなげないで、自分たちの町だけが元気になるわけがない。もっと、いろいろなものとつながっていくことで、一つの文化圏をつくっていけるといいんじゃないかなという気がするんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>銀座でミツバチを飼い始めた当時、現在のように活動が発展することは想像もしなかったという田中さんは、「これからも、どうなっていくかわわかりません」と笑います。その柔軟な姿勢から生まれる多彩な活動は都会を飛び出して、新潟や福島といった地域にも広がっています。後編では、各地とのコラボレーションプロジェクトや、プロジェクトを通して見えてきた世界についてうかがいます。</em></p>
</div>
</li>
</ul>

<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/12/post-110.html
">
<em><u>
銀座発の「つなげる力」と「遊び心」で、
街に自然を、地方に活気を取り戻す（後編）
</u>
</em></p></a>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>信じるのは、自分のものさし。徹底的なリーダーシップで拓いた企業再生の道（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/11/post-108.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.750</id>

    <published>2011-11-24T01:00:00Z</published>
    <updated>2011-11-24T08:02:44Z</updated>

    <summary>株式会社ダイシン百貨店</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社ダイシン百貨店<br /></A>
代表取締役社長　西山 敷さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">刺身は3切れから販売し、太巻き寿司は1切れずつ小分けにパック──ダイシン百貨店は、住民の高齢化が進む東京都大田区大森の地で、高齢者に優しい店づくりを徹底し、『半径500ｍ圏内のシェア100％』を目指す老舗企業です。年間約400万人が買い物に訪れる同社ですが、今から7年前、2004年に資金繰りの悪化が判明して倒産の危機に直面。経営再建にあたったのが、建築設計事務所から転じた異色の経営者、西山 敷社長です。経営危機をどう乗り越え、売り場に活気を取り戻したのか。企業再生の道のりと西山社長の経営観をうかがいました（聞き手：OBT協会　及川　昭）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  </em></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>経営リーダーに必要な直感的能力の重要さ</em></p>
<p class="fs14 spacing10">直感というと一見ヤマカン的印象があるが、リーダーには、データの分析からでは得られない非論理的なものの積み重ねから生まれる構想力や判断力が非常に重要となる。<br>
所詮、理詰めやロッジック等で勝てる事業は大したことはない。それだけでは勝てない時が必ず来る。本当の勝負はそのロジックの限界点から始まる。<br>
数値化された科学的確率といえる分析データは守りには活用出来るものの、そこからの将来は全く生み出せず、未来に向けての構想には全く不向きといえる。<br>
その場、その瞬間ごとに自分の感覚や判断によって鋭敏に察知していかなければならない。<br>
それは、様々な修羅場的体験等を通して積み重ねられたものが判断や意思決定の物差しとなっている。<br>
ダイシン百貨店を再生した西山社長は、まさにこのような経営リーダーとお見受けした。</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社ダイシン百貨店</em> （<a href=" http://www.daishin-jp.com/" target="_blank"> http://www.daishin-jp.com/</a>）<br>
1948年に、創業者の竹内義年氏が長野からリンゴを売りにやってきた大森で株式会社信濃屋を創業。戦後の高度成長の波に乗って事業を拡大し、1964年に株式会社ダイシン百貨店に商号を変更。1992年に竹内義年氏が死去し、後を継いだ長男の竹内洋一氏も2004年に死去。この時点で洋一氏による無理な拡大路線がもたらした財務悪化が発覚し、同社は一転、倒産の危機に直面する。設計事務所の所長としてダイシングループの店舗設計・建設も手がけていた西山 敷氏が役員として経営に参画し、2006年に代表取締役社長に就任。資産を大幅にリストラし、品揃えやサービス、在庫管理などを強化して業績をV字回復させる。現在は営業を継続しながら建て替え工事を実施中。2012年夏にグランドオープンを予定している。<br />
企業データ／資本金：9690万円（グループ合計）、売上高／60億円（平成22年度実績）、従業員数／社員100名　契約社員50名　パート100名</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> HIROSHI  NISHIYAMA </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1947年生まれ。大学卒業後、建設会社を経て、大手スーパーチェーンの長崎屋に入社。ショッピングセンターの開発や、フランチャイズチェーンの開発に携わる。1977年に株式会社商業建築計画研究所（現・株式会社商業建築）を設立。数多くの商業施設の建築設計を手がける。2004年に株式会社ダイシン百貨店の取締役に就任。2006年に創業家の株を買い取り、名実ともにトップとして代表取締役社長に就任。著書に「"下町百貨店・ダイシン"はなぜ、不況に強いのか」（講談社）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">「みんなで楽しくやろうぜ」が、経営の原点</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────店の規模を必要以上に大きくしないという西山社長のお考えに、僕はとても関心があります。大きくしようとすると、効率ばかりを追って、本当にやりたかったことができなくなるように思うんです。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">ですから僕は、経営者としては失格かもしれませんね。商店のデカイのをつくって、みんなで楽しくやろうぜという考えですのでね。例えば、今年は韓国への仕入れ旅行に、社員を20名ほど公募で連れて行くんですよ。費用は、半分は会社が出すけれども、半分は一年ローン。自費です。昨年は社員のほかに、お客さまや問屋さんもお誘いして、島根県へのツアーを企画しました。なかなか、一度には連れて行けないじゃないですか。お金もありませんしね。だから、こうして工夫してみんなで楽しくやろうぜと。</p>
<p class="fs14 spacing10">社員の誕生会もそうです（※）。女性と旨いものを食べて、仕事に励む。これが僕のパターンなんですよ（笑）。ですから、社員にもフルコースを食べさせて、プロのミュージシャンに生演奏してもらって、無礼講でチークダンスしてね。みんなもそういう文化をたしなめと。誕生会にはお客さまも招待するんですが、余剰金がでたらみんなで食っちゃおうというのが僕の考えなんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※ダイシン百貨店では毎月、その月に誕生日を迎えた社員を招待し、店内のレストランで誕生会を開いている。</p>
<p class="fs14 spacing10">「それよりもボーナスを上乗せしてほしい」という人もいるけれど、それはあまり好きじゃない。格好いい言い方をすると、みんなで連帯感と帰属意識を持って楽しもうということなんです。2号店をつくったら、こういうことはでません。運営をマニュアル化しないと、店を維持できない。すると、どんどん冷たくなって、「マニュアル通りにやればいいだろう」という人ばかりになるんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営の継承後、5年間は人事改革を封印</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────企業再生の主役はリーダーのリーダーシップだと冒頭に言われたことは、その通りだと思いますが、これから先を考えたときの主役は何だとお考えですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それが今のうちの課題ですね。社員は、僕に聞けば全部回答してくれると思っているんです。今の社会は、若い人も含めてほとんど指示待ちですよ。コンプライアンスも含めてそういう風につくってきちゃったから、自分で判断しないようになってるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、僕は5年間は人事改革できないと思っていますので、改革はこれからです。なぜかといえば、今のダイシンには僕が採用した人は一人もいないわけですよ。社長に就任したときも、誰も僕を認めませんでしたしね。僕に挨拶もしない社員もいました。それはそうですよ。1年半前は設計事務所にいて、こき使われていた方なんだから。それが突然やってきて、社長だと言うわけですからね。そこで、「俺に挨拶をしないやつはクビだ」と宣言したんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────誰がボスなのかを、ハッキリさせるということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それが一つと、挨拶もできないヤツに、何ができるんだということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それはとても大事なことですね。普通の人が普通にやることができなくて、何ができるんだと。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">商売のコツといったいわゆるビジネスは、一年生と十年生との差があるのは当たり前じゃないですか。一年生もいずれ十年生のレベルになるんです。そのときに、基本的なことが曲がったままではまずいなと思うんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">今年、初めて20名の新卒を採用しましてね。彼らが僕の子分です。僕の思想を徹底的に伝えていきます。来年は50名を目標に採用予定です。いわゆる新陳代謝ですね。30年も40年もやってきた人の考え方を変えるのは無理なんですよ。それはもう仕方がない。だから、若い人たちを教育して、彼らがそれをどう身につけてくれるかということを考えているんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">我がままに──自分のままに生きてきた人生の集大成</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">考えてみれば、僕の人生は相当わがままな人生で、それはやはり母が常に「お前の思うようにやれ」と言ってくれたことが、一つのベースになったように思いますね。それに、僕は子どものころから気に入らないとすごかったらしくて、モノが欲しいとなったら道路に座って動かない、左利きを矯正するために右手で箸を持たせたら、何日も飯を食わない。僕はもう覚えてないんだけれど（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────気に入る、気に入らないの基準は、何かあるんですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり、自分の価値観でしょうね。だから、自己中心ですよ。昔、長崎屋に入社したときも、入って半月も経たないうちに、母校の大学の研究室が30日間のヨーロッパ旅行を計画して、友人が「西山、行こうぜ」と。給料が4万円くらいのときに、30万円くらいかかるんですよ。そこで、長崎屋の重役に談判したんです。「30日間の休みと、30万円を貸してくれ」と（笑）。</p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0301_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────休みはわかりますが、借金まで（笑）。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうしたら直属の役員が、銀行出身の人でしたが、「わかった、30日の休みをやる」と。「お金は銀行に言っておくから、部長に頼んで借りてもらいなさい」と、そこまで言ってくれましてね。でも部長は、「お前にそんな責任を持たせられない」と。そのときちょうど、全米を回る社員旅行があったんです。功労者が招待される旅行でしたが、「それにお前を行かせる」と（笑）。それで8万円の小遣いまでもらって、ハワイからニューヨーク、シカゴまで行って。初めての海外旅行でした。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今は、そういう計らいをしてくれる上司はなかなかいないですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いませんね。まあ、当時はバブルでしたからね。そこでニューヨークのソーホーを視察したときに、自分の店を出して、自分でデザインした椅子や何かを売っている人がたくさんいましてね。そうやって好きなことをやっている人たちが、次のパワーになっていた。その後ろには、場所を無料で提供する資本家がいるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">僕はそれがやりたくて、ダイシン百貨店の屋上にカフェをつくって、若いスタッフに勝手にやらせているんです。原点はソーホーなんですよ。うちの会社の中で何かをやりたいというヤツがいたら、金がある限りは「やってみようぜ」と。それが飲食店であろうと、小売業であろうとね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それが人を育てることにつながりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">育てるというか、僕がそうでしたからね。長崎屋では、その後いろいろあって左遷されてしまったんですが、左遷された先が売り場だったんです。これが一番勉強になりましたね。仕入れして、棚卸して。万引きによる減亡率をどうするかとか。それに利益を乗せていかなきゃいけないとかね。その後、独立してからは、フランチャイズチェーンの立ち上げにいくつか関わって、契約書やマニュアルのつくり方を勉強しましたので、それが今、非常に役に立っていますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">百貨店発の『街づくり構想』</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────ダイシン百貨店は、『住んで良かった街づくり』を目指しておられます。小売業である御社がなぜ『街づくり』なのか、そもそも西山社長にとってビジネスとはどういうものなのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">これまでの僕にとっては、ビジネスは金稼ぎですよ。金にはとにかく苦労してきましたし、金があってはじめて何でもできるわけですから。でもこの年になると少し資金もできて、それもどうかなという感じになってね。僕も建築家の端くれですから、住み良い街をつくってみたいという思いがあるんです。東京のほかの街がどんどんきれいになっているのに、大田区大森はずっと昔のままですからね。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから今、隣の土地のマンション建築に僕は正式に反対しているんです（※）。こういう開発を続けてきたことで、日本は成長したけれど、泣いている人がたくさんいるわけです。格差社会、それも収入の格差だけではなく、地域の格差ができてしまった。六本木のミッドタウンと大田区大森と、どれだけ違うんだということです。だからうちは「屋上に小さなミッドタウンをつくろう」といって、和食レストランと川が流れる屋上庭園を設けたんですよ。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0402_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※ダイシン百貨店が売却した北側隣接地に、24階建ての超高層分譲マンション建設が予定され、建築主と地権者に計画の見直しを求めている。反対姿勢を明確に表明するため、店舗のエントランスに超高層マンションの建築模型を設置（写真左）。模型の上にパネルを掲げ、『住んで良かった街づくり』の構想を地域住民に向けて発信している（写真右）。</p>
<p class="fs14 spacing10">さらに、近隣の空き家が目立つ区域を再開発して大学を誘致し、教育と芸術・文化の拠点をつくって若者を街に呼びこむ。これを『ムーミン村構想』と名づけて運動しているんです。ダイシンで買い物したポイントを使って、地域で医療サービスを受けられるようにするという構想もあります。こういうのを住民の人たちはみんな喜んでくれるんだけど、行政は何もしないんですよね。最初は「いいね」と言うんだけども、突っ込んでいくと「ノー」。ダメなんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">うちが今、走らせているバスだって、「コミュニティバスを出そう」という話が地域で出始めて、15年経っても出ない。「じゃあ、勝手に出しますよ」といってスタートさせたのが、ダイシン送迎バスなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────西山社長が言われることは、地域との共生という観点で考えると、これからはとても大事になることだと思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">でもそれは、大それた考えですよ。街のランドマークになっているダイシン百貨店というポテンシャルがあって、お客さまと一緒にここで63年歩んできたという歴史があるから、こういう生意気なことを言っているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">それに、これまで僕はとにかく人に助けてもらいましたからね。でも、助けてもらおうとは思ってなかったですね。無我夢中でしたから。この年になって思うのは、やはり助けると、助けてくれるんですね。まあ、いちいち「助けるぞ」とか、そんなことは考えないんですけれども。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────自分がやったことが返ってくる、やってもらえば返すということなんでしょうね。お客さまとの関係でも同じですよね。こちらがコストをかけて先に何かをすれば、結果的に返ってくるように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。つまり、理屈は抜きにして『ファンづくり』なんですよ。よく「ダイシンの極意」と言われるけれども、僕はそんなことは何も言ってないですよ。小売業というのは自分のところで商品をつくっているわけじゃないから、店は違っても品物は同じなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">では何が違うかといえば、お客さまの心をどれだけつかめるかということなんですよ。そのために、うちはイベントも配達も送迎も、すべて社員の手づくり。失敗してもいいから社員がやることで、ごひいきにしてもらおうということが原点にある。それは『システム』じゃないんですよね。そのことをみんな、忘れているんじゃないですか。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────後付けの理屈やシステムに頼らない。非常に大切なポイントですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>信じるのは、自分のものさし。徹底的なリーダーシップで拓いた企業再生の道（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/11/post-107.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.744</id>

    <published>2011-11-09T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:46:44Z</updated>

    <summary>株式会社ダイシン百貨店</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社ダイシン百貨店<br /></A>
代表取締役社長　西山 敷さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">刺身は3切れから販売し、太巻き寿司は1切れずつ小分けにパック──ダイシン百貨店は、住民の高齢化が進む東京都大田区大森の地で、高齢者に優しい店づくりを徹底し、『半径500ｍ圏内のシェア100％』を目指す老舗企業です。年間約400万人が買い物に訪れる同社ですが、今から7年前、2004年に資金繰りの悪化が判明して倒産の危機に直面。経営再建にあたったのが、建築設計事務所から転じた異色の経営者、西山 敷社長です。経営危機をどう乗り越え、売り場に活気を取り戻したのか。企業再生の道のりと西山社長の経営観をうかがいました（聞き手：OBT協会　及川　昭）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  </em></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>経営リーダーに必要な直感的能力の重要さ</em></p>
<p class="fs14 spacing10">直感というと一見ヤマカン的印象があるが、リーダーには、データの分析からでは得られない非論理的なものの積み重ねから生まれる構想力や判断力が非常に重要となる。<br>
所詮、理詰めやロッジック等で勝てる事業は大したことはない。それだけでは勝てない時が必ず来る。本当の勝負はそのロジックの限界点から始まる。<br>
数値化された科学的確率といえる分析データは守りには活用出来るものの、そこからの将来は全く生み出せず、未来に向けての構想には全く不向きといえる。<br>
その場、その瞬間ごとに自分の感覚や判断によって鋭敏に察知していかなければならない。<br>
それは、様々な修羅場的体験等を通して積み重ねられたものが判断や意思決定の物差しとなっている。<br>
ダイシン百貨店を再生した西山社長は、まさにこのような経営リーダーとお見受けした。</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社ダイシン百貨店</em> （<a href=" http://www.daishin-jp.com/" target="_blank"> http://www.daishin-jp.com/</a>）<br>
1948年に、創業者の竹内義年氏が長野からリンゴを売りにやってきた大森で株式会社信濃屋を創業。戦後の高度成長の波に乗って事業を拡大し、1964年に株式会社ダイシン百貨店に商号を変更。1992年に竹内義年氏が死去し、後を継いだ長男の竹内洋一氏も2004年に死去。この時点で洋一氏による無理な拡大路線がもたらした財務悪化が発覚し、同社は一転、倒産の危機に直面する。設計事務所の所長としてダイシングループの店舗設計・建設も手がけていた西山 敷氏が役員として経営に参画し、2006年に代表取締役社長に就任。資産を大幅にリストラし、品揃えやサービス、在庫管理などを強化して業績をV字回復させる。現在は営業を継続しながら建て替え工事を実施中。2012年夏にグランドオープンを予定している。<br />
企業データ／資本金：9690万円（グループ合計）、売上高／60億円（平成22年度実績）、従業員数／社員100名　契約社員50名　パート100名</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> HIROSHI  NISHIYAMA </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1947年生まれ。大学卒業後、建設会社を経て、大手スーパーチェーンの長崎屋に入社。ショッピングセンターの開発や、フランチャイズチェーンの開発に携わる。1977年に株式会社商業建築計画研究所（現・株式会社商業建築）を設立。数多くの商業施設の建築設計を手がける。2004年に株式会社ダイシン百貨店の取締役に就任。2006年に創業家の株を買い取り、名実ともにトップとして代表取締役社長に就任。著書に「"下町百貨店・ダイシン"はなぜ、不況に強いのか」（講談社）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">再建に必要なのは、徹底したリーダーシップ</h3>
<div class="txt">　
<p class="fs14 spacing10"><em>────私どもは、人財や組織の革新を通じて企業の競争力を強化するという仕事柄、さまざまな業界の企業に関わらせていただいていますが、昨今は経済の成長が見込めないことから、多くの企業に閉塞感が漂って非常に元気がないなと感じています。そんな中で、なぜダイシンさんを存じあげていたかと言いますと、たまたま私はこの近くに約30年住んでいまして、家族ともども買い物に来ていたんです。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ああ、そうですか。ありがとうございます。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────昨今のダイシンさんの変貌を目の当たりにしていたものですから、企業を再生する、変えるといったことについてぜひお話をうかがいたいと思い、インタビューをお願いした次第です。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ダイシンを再生したとか何とか、みなさん素晴らしいことをおっしゃるんですが、ダイシンのどこが変わったかって、店が多少きれいになったのと、社長が私に変わったと。そして、潰れそうだったのが潰れなかったということでね。それが誰かに脚色されると、すごくきれいな言葉になってしまうんですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────我々もマスコミも同じだと思いますが、後付けで論理的に整理していきますから、「きれいになる」というのはとてもよくわかります。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうなんですよ。僕の場合はたまたま、歴史がある会社に関わったということでね。僕がすべてやったように言われていますが、自分のパワーだけで100％なんてあり得ないじゃないですか。それをみなさんが持ちあげるから、私も自分でやったのかななんて思ってしまいそうでね（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ダイシンさんを再生されるときに、一番重要なことは何だと西山社長はお考えになったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">これも結果論ですが、やはりリーダーシップでしょうね。それも徹底的なリーダーシップ。豪腕ですね。でないと、できないですよ。まあ、私自身がそういう性格なんですが（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────豪腕を振るわれた対象はいくつかあったと思いますが、一番は何だったのでしょう。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">第一段階としては、私は社長になるつもりで入ったわけではなかったんです。二代目の社長が突然亡くなられて、資金繰りをされていなかったことが明らかになって。先々代の創業者は、僕はお会いしていませんが、すごい方だったのだろうと思うんですね。けれども、今から19年前に創業者が亡くなられて、それからは無手勝流にやってきたんじゃないですかね。</p>
<p class="fs14 spacing10">私自身は、もとは設計事務所のオヤジで、ダイシン百貨店はお客さまでした。見積もりを出せばノーチェックで契約をくれて、金額でいえば50億円は下らないくらい箱モノ（店舗）に使ったわけです。だから、私が不良債権をつくったともいえるんですよね。でも、当時の私にはダイシンの資金繰りまではわかりませんから、「西山さん、店をつくってください」「わかりました」と、どんどんつくっていったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">二代目の社長が亡くなられたときにはもう、銀行管理になっていましてね。当時の店長から、「助けてよ」と連絡がきたんです。「銀行に何を話していいかわからない」と。私はこういう外見ですから、睨みが利くと思ったんじゃないですか（笑）。よし、わかったと。その代わり平社員じゃ話にならないから役員就任が条件、報酬もいただきますよと。そういうことで入ったんです。ですから、再建に向けてなんて動いてないですね。銀行対策をして、しめしめ報酬が入るなと。そう思っていたくらいですから（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのときに、西山社長のご心中には「これは相当厄介だな」というような思いはなかったのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いや、全然。だいたい僕は、物事を深く考えないんですね。それで、銀行側のコンサルティング会社が我々の総資産をリストにして出してきて、見たら共同担保が100億円以上入っているわけですよ。スワップも入れるとね。ひどい状態でした。「今なら、会社を潰せばみんなの退職金の一部くらいは払える。がんばるなら、資産リストラを相当しなくてはいけない。どうしますか」と、銀行側とコンサルティング会社から迫られたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そのときに一人だけ、僕を呼んでくれた店長が「自力で再建したい」と言いましてね。僕はその人に恩義があるから、勝算も何もなかったけれども「わかった」と。そこから始まったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────勝算もなく、ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">僕自身も過去に倒産を経験したことがありますから、銀行対策のやり方はわかっていましたが、再建の方法なんて全然知りませんでしたからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────何らかのシナリオは描いておられたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まったくないです。シナリオは、シンクタンクが描いていましたから。資産リストラと人事リストラをしなさい、工程はこうで最終的にはこの程度になる、とね。自分たちの金の回収ですから真剣ですよ。それに対して、「ではそれは、我々でやりましょう。その代わり、資産をいくらで売却したら、いくら返済するというのを決めてくれなければできない」と。そう言ったら、銀行が怒りましてね。「あなたが口を出すことじゃないだろう。どこの社員だ」、「ダイシン百貨店の役員です」と、相当ドンパチがあって。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────言われたことを言われた通りやれ、ということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。僕が経験した倒産も、銀行の言うままに借り入れて、がんじがらめになった結果でしたので、今回は言いなりにはならないぞと。第一条件として、資産の売却予定額を決めたんです。これには、コンサルティング会社の担当者は相当渋りました。でも、やはり人間なんですね。最初はすごいやり取りがありましたが、そのうちに面白い関係になって、金額を合意して。たまたま半年くらいで、僕が電話一本で売却を全部決めてしまったんですよ。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営戦略の成功は「結果論」でしかない</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────最終的には、本店だけを残してほかの店舗は売却されましたが、それも当初から決めておられたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いやいや、シナリオがいくつかあって、銀行のシナリオは一番ポテンシャルのある本店を売って、久が原店（東京都大田区）で営業を続けるというものでした。でも、ダイシンの歴史がどこにあるといえば、ここ（本店／東京都大田区）にあるわけです。無意識にそう思ったんですね。戦略として組んだわけではまったくないです。</p>
<p class="fs14 spacing10">「戦略は結果でつくるものだ」と誰かが言っていましたが、「戦略はストーリーだ」と言いながらも、結果論なんですよ。格好いい言い方をすれば、勘で「ここなら再生できる」と感じたということです。ここには売るポテンシャルがあって、63年もの歴史があるわけですから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし企業再生で圧倒的に多いのは、本拠地を売るパターンですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはやはり、銀行主導だからですよ。もう一つは、誰がその後の再建をやるのかを考えていないからです。僕も当時は、後のことなんて考えてないですよ。二代目の社長が急逝した後は、遠縁にあたる方が社長になりましたから。でも、私を呼んでくれた人だけが、「西山に任せろ」と。ほかの役員は、ほとんど反対です。僕が役員に入るときも反対でしたが、結局はほかの人では銀行対策ができないから仕方がないという話になって、僕が社長を引き受けたんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから、こういうのは『棚ぼた』ではなくて、何て言うんですかね。どうして社長になったのか、いまだにわからないんですよ（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────後付けで整理すると話がきれいになると冒頭に言われたこともそうですが、今のような話を聞くと本当に人間味があって、腹に落ちます。そうして社長になられて、ダイシン百貨店の中をどうご覧になりましたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ここ（本店）は、絶対にポテンシャルがあると思いましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>──── 一番大きなポテンシャルだと思われたのは、何だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">お客さまです。いわゆる『ダイシンファン』の方々です。だって、毎日来てくださるお客さまがいるんですから。マーチャンダイズを提案するといってコンサルテーションの方がいろいろと来られますが、ダイシンは歴史がつくっているんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">これが儲かったからといって、じゃあ隣町も、住民の所得レベルが高いから店を出したら来ていただけるだろうというようなことでつくった店は、全部浅いんです。金太郎飴でどれも同じ。だから、僕はチェーンストアをやろうとは一切思っていません。この店を守っていけばいいと思っているんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">一般的なチェーンストア理論の真逆をいく</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────それでも規模的な成長といったものは、お考えになられているのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まったく考えていないですね。ここは年間で100億円売ればいいかなと思っているんです。『売り過ぎ』というのが、僕はあると思うんですよ。売り過ぎると雑になる。人もたくさん抱えることになる。売り上げよりも、やはり『質』ですよね。もう、そういう時代になってきていると思うんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────とてもよくわかります。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ですからみんなに言っているのは、「俺は商売人じゃないから、モノよりコトを売ろうじゃないか」と。ということで、例えば2008年から夏祭り（※）を始めたんです。実は出店を10円でやりたかったんだけど、うちの連中が大反対なので「じゃあ20円でやろう」と（笑）。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※2010年まではダイシン百貨店の駐車場を会場に、2011年は屋上広場を第二会場に加えて規模を拡大し、2日間の日程で開催。フランクフルトやかき氷などを格安で提供し、金魚すくいや射的などのゲーム、プロのミュージシャンによるライブなども企画。イベント業者には外注せず、すべて社員の手づくりで運営している。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────倍の金額にして（笑）。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう（笑）。それでスタートしたら、買い占めですよ。大人がね。そこで次の年は、大人は100円にして子どもには無料の券を配ってね。だから、子どもたちは私の顔を見たら、何て言うと思います？「しゃちょう、しゃちょう」って。子どもがですよ（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それは嬉しいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">嬉しいですよね。最後には私もステージで歌わされて、子どもたちが「一緒に歌う」って上ってきて。お客さんは「ダイシン、最高！」なんて言いだしちゃうし（笑）。昨年の来場者は約1万3000人でしたが、今年は初日でその人数に達しましてね。2日間で約2万2000人の方に来ていただいたんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから地域密着というのは、何か特別なことをするというのではなくて、こうしてみんなと遊ぶことだという気がするんです。『コトを売る』ということが、こんなにうまくいくとは思いませんでした。でも、やはりやる方は冷や汗ですよ。この世の中、チラシはバンバン、ディスカウントはバンバン。大手チェーンは売り上げだけを狙って、どんどん安売りでくるでしょ。我々は無茶な安売りはできないから、その辛さはありますよね（※）。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0301_c.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0301_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※以前は割引セールを多用していたが、経営再建後は価格戦略に頼らない店づくりを追求。売り場には、年に数個しか売れないものも顧客の要望があれば取り揃え、他店を圧倒する品揃えを実現している。写真左は、日本中のほぼすべてのペットフードが手に入るというペットフード売り場。写真右は、オーラル用品売り場に並ぶ、大正14年発売の缶入り歯磨き粉「スモカ歯磨」。昭和の香りを残す、ダイシンにしかない品揃えが、地域の高齢者の心を捉えている。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>──── 一般的なチェーンストア理論の、真逆を行かれているということかもしれないですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">真逆かもしれないですね。だから、ときには欠品などもあるわけです。すると、例えばイトーヨーカドーかこちらかといえば、ヨーカドーに行く方もいらっしゃる。商品が揃っていますからね。それはもう、仕方がないんですよね。そういうジレンマはありますが、何とかギリギリやっているということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ただ、『顧客満足』を標榜しない小売業やサービス業はありませんが、ほとんどが自分たちの都合の範囲での『顧客満足』ですからね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">おっしゃる通りですね。『お客さま満足度』というものも、僕らの価値観を押しつけているんですよ。お客さまが想像することそのものに、密着できていない。お客さまは安く買えればそれでいいかといえば、そうじゃないと思うんですよ。例えば休憩できる椅子が置いてあるとか、屋上に子どもを遊ばせられるプールがあるとかね。『コトとモノ』とをお客さまの側から見たときに、「ああ、いいわ」という価値観を拾っているかということなんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">お客さまが自分の母親だったら、どう対応するか</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10">だから、モニター調査などよりも大事なのは、売り場に僕がいることなんです。お客さまは、僕に直接クレームを言ってこられます。あるいは「○○さんに言ったけど、社長に届いてる？」とかね。そこにヒントがあるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">『しあわせ配達便（※）』もその一つです。はじめは、すべて無料で配達しようと思ったんですが、社員は「できません」と。確かに、お客さま全員に対しては無理なんですね。外注せずに、うちの社員が配達するわけですから。そこで彼らは考えましてね。お年寄りや妊婦さん、体が不自由な方に限定しよう、と。そう対象を絞って、スタートさせたんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※ダイシン百貨店では『通常配達便』『即日配達便』『しあわせ配達便（要事前登録）』の3タイプの配達便を用意し、店頭で購入した商品を自宅まで届けるサービスを提供している。『通常配達便』『即日配達便』は購入金額の条件があるが、『しあわせ配達便』は70歳以上の高齢者や妊婦、体が不自由な人を対象に、金額制限を設けずに無料で即日配達している。</p>
<p class="fs14 spacing10">既に1000人以上のお客さまが登録されていますが、1000人がいっぺんに来られるわけではありませんから、うちの社員でも対応できるわけです。なおかつ、宣伝効果は抜群です。こういった知恵がよく生まれるようになるんですね。</p>

<p class="fs14 spacing10"><em>────チラシか何かを見て自宅から注文するよりも、自分で店に来て、自分の目で見て選んだ商品が届く方が、価値がありますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">あります。なぜそうしたかというと、私自身が母を三十数年介護してきた経験からなんです。母が快適に過ごせるように、田舎に小さな庭付きの家を買ったものの、結果は違うんですよね。毎年、あちこちに旅行にも連れて行くんですが、そのときの方が元気なんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────外の世界と接することが刺激になるんですね。</em></p>
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/daishin_0401_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> ※ダイシン百貨店ではバスの路線が少ないエリアや坂道が多いエリアを中心に、地域を回る無料の循環バスを毎日運行し、高齢者の外出を促している。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そうです。そこで、住まいも都心に変えましてね。そうしたら、もっと良くなったんです。ですから店でも、当たり前だと思うことをしているだけでね。家にこもらないで店に来てください、荷物はこちらがお届けしますと。自分で来られない方は、バスでお迎えに行きますよと（※）。だから、うちのみんなにも言うんです。「自分の母親が買い物に来たときに、そういう対応をするか」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、福祉関連のNPO法人の方などから、介護サービスをやらないかといった話もいただきますが、僕は介護をやる気は一切ないんです。だって、できないですよ。何かの催しをするだとか、別の形では提供しますけれどもね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────あくまでも、小売業のフィールドの中で展開するということですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。店に落語家さんを呼んで、老人ホームの方々を招待したりね。今やっている建替工事でも、上棟式にお客さまを招待して餅をまいたんです。そうしたら、おじいちゃん、おばあちゃんたちが、ついていた杖を放り出して取りに来られましたからね（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────力が湧くんですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">湧くんですよね。そういう姿を見ると、うちのお袋と同じだなと思いますのでね。もう一つ驚いた話があって、大森から千葉の娘さんのところに引っ越した90歳くらいのおばあちゃんが、久しぶりに店に来られて「社長を出せ」とおっしゃるんです。何かと思ったら、貯金通帳を持ってきて「1600万円あるから、あたしの家をこの辺でつくってくれ」って（笑）。そのおばあちゃんは、僕のことは知らないんですよ。でも、ダイシンの社長ならそれくらいのことをしてくれるだろうと。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ダイシンに行けば何でもあると（笑）。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうそう。だから、僕じゃないんです。ダイシンありきなんですよ。今回の建替工事でも、借り入れでいろいろな金融機関の方にお会いしましたが、「子どものころからダイシンによく行って、ダイシンで育ったんですよ」という方が何人かいましたからね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そこで思うのは、僕らは戦後、学校教育も受けたけれど、駄菓子屋教育もあったじゃないですか。子ども同士がケンカしたりケガしたり、店のおばあちゃんに「こらっ」と怒られたりね。そういったコミュニケーションや優しさがあったけれど、今はそれがなくなってしまったでしょう。そんな商店というかね、原点がつくれないかなという思いも、僕の思想の一つなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>イトーヨーカドーや西友、東急ストアといった競合店が周囲にひしめく激戦区・大森で、経営再建を担ってきた西山社長。その語り口には気負いがなく、店づくりを心から楽しんでおられることが伝わってきます。西山社長の経営観とは。西山社長が描く、ダイシンの未来とは。後編でもじっくりとうかがいました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/11/post-108.html
">
<em><u>
信じるのは、自分のものさし。
徹底的なリーダーシップで拓いた企業再生の道（後編）
</u>
</em></p></a>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>『仕組み』と『情緒』で人と店を伸ばす、ブックオフの人財育成術（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/10/post-106.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.738</id>

    <published>2011-10-26T09:00:00Z</published>
    <updated>2011-10-26T05:46:13Z</updated>

    <summary>ブックオフコーポレーション株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">ブックオフコーポレーション株式会社<br /></A>
取締役会長　橋本真由美さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">従業員数9630名のうち、パート・アルバイトは8634名。設立から14年で東証一部に上場したブックオフコーポレーションの成長は、従業員の約9割を占めるパート・アルバイトのスタッフによって支えられてきました。正社員の育成にも苦心する企業が少なくない中、非正社員をどのように戦力化してきたのか。そこには緻密に設計された『システム』と、スタッフの心の機微に配慮する『情緒』が共存する、独自の人財育成術がありました。自身もパートタイマーとして入社し、パート出身の経営者として脚光を浴びた橋本真由美会長に伺います（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  若い時の過ごし方で一生が決まる</em><br>
結果を出すためには行動の量を増やすしかない。頑張って１０万キロ走ってもそれは自慢にはならない。行動の量がなければ運も転がり込んでこない。チャンスをつかむには、やはり行動を最大化するしかないのである。まさに、偶然は必然である。勿論、行動の質を高めることは大事であるが、ただ、若い時から行動の効率化からスタートすると、行動の最大化することの重要性から目をそむけてしまう。２０代、３０代は行動量を増やすことを認識すべきである。２０代、３０代の経験は、後の仕事観に大きな影響を与える。この時期をどう過ごし、何を考えるのか。若いうちはそれによって自分の一生が決まるというぐらいの覚悟を持って、目の前の仕事に全力をあげて取り組むべきである。<br>
ブックオフ会長、橋本真由美さんのお話は、若い人達へのメッセージにも思える。</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>ブックオフコーポレーション株式会社</em> <br>
1990年創業。1991年にブックオフコーポレーション株式会社を設立、同年にフランチャイズ展開もスタート。本の目利きが必要とされていた古本業界に風穴を開け、採用されたばかりのアルバイト店員でも買い取りや販売価格の設定ができる明快な基準を設定。買い取った古本は新刊同様に磨き上げ、明るく清潔な店内に並べる。これまでにない業態が消費者の心をつかみ、創業4年目に100店舗を達成。1999年から本以外のリユース事業に参入し、洋服やスポーツ用品など取扱商品を拡大。『捨てない人のブックオフ』をミッションに掲げて、循環型社会の実現に取り組む。2004年に東証二部、2005年に東証一部に上場。<br />
企業データ／資本金：25億6400万円、売上高／連結733億4500万円（2011年3月期実績）、従業員数／996名、パート・アルバイトスタッフ 8,634名（2011年3月末現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> MAYUMI HASHIMOTO </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1949年生まれ。短大卒業後、給食会社に栄養士として就職。その後、病院勤務を経て結婚。二女をもうけて育児に専念し、1990年に18年ぶりに再就職。ブックオフ直営1号店にオープニングスタッフとしてパート入社する。91年に正社員に登用、94年に取締役、2003年に常務取締役、2006年に代表取締役社長兼COOに就任。2007年から現職。著書に「1日1回の『声がけ』で売り上げが伸びる！」（すばる舎）、「お母さん社長が行く！」（日経BP社）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">中古ビジネスの面白さを、いかに次の世代に伝えるか</h3>
<div class="txt">　 
<p class="fs14 spacing10"><em>────パートでご入社された当時から、「この店を潰すわけにいかない」と使命感を抱かれた、そのお気持ちの中にあったものは何だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ポイントは3つあると思っています。1つには、私はそれまで18年間、立派な専業主婦だったのですが（笑）、私個人を認めてもらえるということが、パートに出て初めてわかったんです。『橋本真由美』を認めてもらえるのは、とてもうれしいことなんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">2つ目は、収益が伴うということ。これも大きいです。主人のお給料でやりくりできないことはない。でもそこにプラスして、給料日にいくらかのお金が入ってくるのは、とても魅力的なことでした。</p>
<p class="fs14 spacing10">3つ目には、『中古』はやはり面白いんですね。新刊本と違って、私どもはお客さまから買わせていただかないと仕入れが成り立たちません。ですから、どうしたら持ってきていただけるかと。待っていてもダメですし、「買ってやる」という上から目線ではお客さまはきてくださらない。「どうか本をお持ちください」という、謙虚な気持ちが大切なんです。</p>
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> ブックオフ各店で見られる「お売り下さい」のキャッチコピーは、パート入社して間もない時期に橋本氏が創業メンバーと考案したもの。消費者にアピールするだけでなく、買い取りには謙虚な姿勢で臨むという企業姿勢をスタッフに示す役割も果たしている（写真はブックオフ五反田店）。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">また、モノを売るのは何となく気恥ずかしいものですよね。どうすれば、気楽に持ってきていただける店になるだろうと。そこで考えたのは、例えば、駐車場でトランクから本を出そうとされているお客さまがいたらすぐに走り寄って、「お売りいただける商品ですか。台車を持ってきます」とお声をかけなさいと。それから、今は節電で照度を落としていますが、『独身の女性でも入りやすい店』をコンセプトに、明るい店づくりを徹底してきました。</p>
<p class="fs14 spacing10">そういうようなことに気を使って、買わせていただいたものを粉だらけになって加工して値段をつけて、それが売れたときはものすごくうれしいんですね。「あの商品は私が買ったのよ」とか、「私があの棚に並べたから売れたのよ」という喜びが芽生えるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そして大事なのは、店長が必ずそれをキャッチするということ。バックヤードで先月の売り上げのグラフつくってたって、終わったものを分析しても売り上げなんて上がらないですよね。それよりも、スタッフさんが一所懸命にやっているのをちゃんと見て、本が売れたら「やったね」と。スタッフさんのモチベーションを上げるというのはそういうことで、常に細かく気づいてあげるのが店長の力。そうすると「またがんばろう」と思えるじゃないですか。実際はそんな単純なことばかりでもないんですが、でも、そういうことのくり返しなんですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">１万人のスタッフを『親子関係』の絆で結ぶ</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────一般的には組織が大きくなりますと、橋本さんのように経験から学習して現場がわかっていくというようなことが難しくなると思いますが、そういうような課題に対してなさっていることは何かおありですか。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">分身といいますか、そういう風にして伝えてきた人たちが今、現場のトップにいますので、その人がまた次の人に伝えるということですね。ですから、誰に育成されたかで『血筋』がわかるんですよ（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご著書で『親子制度（※）』と書かれていたものですか？</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう、親子制度ですね。今はもう社員が増えましたのでなかなか全員は覚えられなくて、「○○店の○○です」と挨拶されると「育成担当者は誰？」と聞くんです。すると「△△さんです」と。最近は、私からすると『ひ孫』くらいまでいってしまうのですが（笑）、△△さんは△△店の人だから、その血筋ねと。そういう分身をつくっていくということですかね。<br></p></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※ブックオフの『親子制度』：橋本氏の著書「おかあさん社長が行く！」より。<br>
「たとえばヤマダさんという新人がいたとします。新人には必ず『親』がつき、仕事を手取り足取り教えます。（中略）ヤマダさんの親にイチカワさんが付いたとすると、（中略）入社して何年経っても、2人ともが異動して勤務店が変わっても、イチカワさんはヤマダさんの親であり、ヤマダさんはイチカワさんの子なのです」<br>
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────入社時の配属店の店長さんが『親』になるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">誰でもいいんです。育成担当者が親でもいいのですが、そうすると弊害もありましてね。相性が合えばいいのですが、合わない場合もありますから、育成担当者だけが親じゃないよと。隣の店舗の人でもいいし、違う事業部の人でもいい。誰でもいいとういうことにしているんです。途中で変わっていく人もいますしね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────『親子制度』という言葉は、社内でもよく使われるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">今はあまり使わなくなりましたが、入社して何年経ってもやっぱり親を慕うというのは今でもそうですね。親にとっても、育てた社員はずっと可愛いし、心配なんですよ。異動して離れても、｢あいつ、すごいな」と噂が聞こえてくると、自分が褒められたように嬉しいですし。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────組織が大きくなっても、そうした1対1の関係を大切にするというのは、大事なことですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それでしか伝わらないですからね。ただキャリア（中途採用）の方はちょっと大変で、「文化が違う」といって、なかなか受け入れられなかった時代がありました。生え抜きの人だけがわかっているといった感じでね。辞めていかれたもったいない人もたくさんいたと思います。でも今は、そういう人たちの力を借りることが必要だという風潮になってきました。アパレルやいろいろなところで経験を積んでこられているわけですから、すごい力をお持ちだということを認めて、受け入れる土壌ができてきましたね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">ブックオフモデルは海外でも通用する</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────海外でも、同じようなやり方でやっていらっしゃるんですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。最初は日本から店長を派遣しましたが、そのうちに現地のアルバイトさんが社員になりましてね。ただ、私たちはチームプレーでしょう。これはフランスでの話ですが、「そうじゃない」と言うんです。セバスチャンという日本語が話せるスタッフでしたけれど、『ブックオフ唱和』というのがあって「今日も一日、私たちは自信と情熱を持って～」と毎日唱和するのを、「ボスのためには働くけども、そんなものはやらない」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">これには苦労しましたね。日本から行った店長が、こんこんと言って聞かせて。でも今は、セバスチャンが店長としてフランス語に訳した唱和を一所懸命にやってくれています。「ボスのためにしか働かない」と言われたときにはどうしようかと思いましたが（笑）、今はブックオフの考え方が伝わっていますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────スタッフの方々の育成方法も、日本と同じなんですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">一緒です。ただ、アピアランス（服装・身だしなみ）については、海外は派手な人もいましてね。鮮やかなピンクの洋服を着てみたり、髪型もすごくて（笑）。何だかブックオフじゃないみたいだなと思って、最初は直そうとしましたが、やはり土地柄ですから仕方がないなと。今はもう許していますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────事業のやり方も、日本と同じですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まったく同じです。最初は赤道を通って日本の本を船で運びましたが、あれっと思ったのは、オープンと同時に青い目の方が入ってこられるんです。ですから、向こうで買って向こうで売るという、うちのシステムと同じことをやってもいいのではないかと。そこで、最初3スパン（※）くらいを洋書にしてやっていくうちに、とうとう全部が洋書の店舗をつくったり、日本の書籍と混ぜたりということをやっています。今、フランスにある3店舗のうち2店舗は洋書のお店ですね。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※スパン：棚を数える単位。1スパンは、1つの棚の片面。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0301_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0302_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 海外は、アメリカ、フランス、カナダ、韓国に13店舗を展開（2011年3月現在）。写真左はBOOKOFFニューヨーク西45丁目店、右はBOOKOFFパリキャトーセブタンブル店。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営者の責任として、社員のやり場を次々とつくる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────著書には、上場後に会社の風土が少し変わられて、古い社員の方の中には去っていかれた方もおられたとありましたが、具体的にはどのような変化があったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">キャリアパスプランや店舗のQSC基準シートといったツールは活用しつつも、創業当時からの『けもの道』（前編参照）の風土も残っていたんです。けれども、やはりそうではないと。上場企業としてコンプライアンスを推進していかなくてはいけないということになって、働き方が変わりました。</p>
<p class="fs14 spacing10">それまでは深夜までやって、夜中に「やったぞ、乾杯！」とかね。だから棚もいいものができるんです。けれども会社が変わるためには、それを改めなくてはいけない。でも、誰も強制されてやっていたわけではありませんから、スタッフはやりたいんですね。もっとやれば、この棚ができるじゃないかと。私にしても、「できるまでがんばろう」と言っていたのが「いつまで残ってるの」と言うわけですから、古い社員は「今までの橋本さんの言ってることと違うよ」と。それが、今はジレンマですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────コンプライアンスも確かに大事ですが、一般的にあるのは「これをしてはダメ、あれもダメ」と。「ダメ」が非常に多くなりますね。それがマイナスになる部分も大きいのではないですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。私どもの大切な一つの手法として、『出し切り』という言葉があります。お客さまから今日買わせていただいたものは、今日のうちに売り場に出すというルールですが、今は本が残っていても時間になったら帰らなくてはいけないわけです。ほかにもいろいろな施策が入ってくるけれども、時間がない。その消化不良をどう改善していったらいいのかと。コンサルの方たちは「生産性を上げればいい」とおっしゃるのでしょうが、そう簡単には割り切れないんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そういう何か相克のようなものが、どうしても出てきますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ありますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今のお話で実感しましたが、例えば朝まで仕事することを厭わない人たちがいる。だからこそ強いともいえるじゃないですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────企業って、僕はそうだと思っているんです。それが上場によってコンプライアンスやいろいろな問題でそういうことができなくなっていくと、本当の強さみたいなものがなくなっていくように思うんですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ちょうど今は、その狭間だと思いますね。もちろん、長時間働くことはいいことではありませんから、時間を短縮する中でも思いは消さないで、DNAを引き継いでいきたいと思っています。そのためには、過去を振り返って「あのときはよかった」と言うだけでは、ただの戯言になってしまいますから、5年後、10年後もブックオフグループが生き残っていくためには何をすべきかを考えて、次の事をやっていこうと。</p>
<p class="fs14 spacing10">社員には、キャリアパスプランといったツールを使いながら、「もっと次の道があるんだよ」と。ブックオフという業態も今のままでいつまでも続くとは限りませんから、次の業態を育てていかなくてはいけない。次から次と課題があるから、それに向かうエネルギーに変えていくといいますかね。そうしてDNAを繋げでいきたいと思っているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社のビジネスモデルに本以外のものを乗せるというのは、当然おやりになっているわけですが、さらに多角化していかれるということですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">本とCDは、創業から21年間ずっとやってきまして、12年前に第2の柱として子ども用品やスポーツ用品といったものを扱うリユース事業立ち上げました。その他に貴金属なども扱って、ノウハウを蓄積しているところです。本は後ろに定価がついていますが、ベビーカーや洋服は値札なんてつけて使いませんでしょう。だから難しいんですね。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0401_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0402_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 2009年に大型リユース複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の1号店をオープン。1000坪前後の広い売り場に婦人服や靴、バッグ、スポーツ用品、楽器、貴金属など、幅広い商品を揃える。写真はどちらもBOOKOFF SUPER BAZAAR 409号川崎港町店。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから先ほど申し上げましたように、キャリアの方々の力を借りていこうと。今までは「GAPにいました」といっても、「ブックオフの文化も知らないで」という目で見られがちだったのが、「GAPではどういうディスプレイをしていたの？」と。ブックオフしか知らない人間にとってみれば、照明一つとっても学ぶことがあるんですね。先日は、ブランド品のエリアにヒノキのいい香りを流すというアイデアを出した担当者もいて、私たちだけでは気づかないものを取り入れて進化してきています。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうやって新しい分野を深堀りして育てていくと、閉塞感なんていっていられないんですよ。新しいことにどんどん挑戦して、やり場をつくっていくことは、経営の責任だと思いますね。会社が生き残っていくためには、人財が育たなければ困るわけですから。</p>
</div>
<h3 class="fs18">人生は自分がやったことしか残らない</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────ブックオフと橋本さんとのたまたまの出会いが、このようなすごい形になられたのだと思うのですが、そう考えますとブックオフという会社は、橋本さんにとってどのような存在ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">本当にひょんなことから40歳で入社しましたが、もう、それから死ぬまでの自分の人生そのものですね。</p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0501_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────いいですね。そういう風におっしゃれるのは、僕はとても大事だなと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">寝ても覚めても、そればっかりでね。そして、この年になっても働かせてもらえるというのは、若い人にはわからないでしょうけれど、自分が本当に苦労しながらはいずり回ってやってきた、その体験があるからなんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">店で「この棚はおかしいよ」と言えるのは、私が『取締役店長』といわれながら、現場でやってきた体験があるから。「スタッフさんとうまくいかない」と店長から相談されても、そんな経験はごまんとしていますから、「私も同じことがあって、こうしたらうまくいったのよ」と、スッとアドバイスできるんです。それはつまり、自分がやってきた結果だと思うんですね。50のことをすれば50が返ってきますし、逆にいえば50しかしなければ50以上は返ってこないともいえますし。そう考えて現場でやってきたことが今、私の仕事の中で生きていますし、それしかないのかなと思っていますので。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────おっしゃる通りですね。やったことしか自分に残らないし、そのことしか自分に戻ってこない。そういうことって、今の若い人にもわかっていてほしいなと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">目の前にあることを一所懸命にやってれいば、その体験が必ず血となり肉となって、自分の人生にプラスになります。自分が生き残っていくための糧といいますかね。人は、自分がやったことの結果しか手にすることができない。そう思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────本当によくわかります。言うは易しで、なかなかできないことだと思いますが。今日は貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>『仕組み』と『情緒』で人と店を伸ばす、ブックオフの人財育成術（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/10/post-105.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.732</id>

    <published>2011-10-12T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:48:31Z</updated>

    <summary>ブックオフコーポレーション株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">ブックオフコーポレーション株式会社<br /></A>
取締役会長　橋本真由美さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">従業員数9630名のうち、パート・アルバイトは8634名。設立から14年で東証一部に上場したブックオフコーポレーションの成長は、従業員の約9割を占めるパート・アルバイトのスタッフによって支えられてきました。正社員の育成にも苦心する企業が少なくない中、非正社員をどのように戦力化してきたのか。そこには緻密に設計された『システム』と、スタッフの心の機微に配慮する『情緒』が共存する、独自の人財育成術がありました。自身もパートタイマーとして入社し、パート出身の経営者として脚光を浴びた橋本真由美会長に伺います（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。<br>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点]  若い時の過ごし方で一生が決まる</em><br>

結果を出すためには行動の量を増やすしかない。
頑張って１０万キロ走ってもそれは自慢にはならない。
行動の量がなければ運も転がり込んでこない。
チャンスをつかむには、やはり行動を最大化するしかないのである。
まさに、偶然は必然である。
勿論、行動の質を高めることは大事であるが、ただ、若い時から行動の効率化からスタートすると、行動の最大化することの重要性から目をそむけてしまう。
２０代、３０代は行動量を増やすことを認識すべきである。
２０代、３０代の経験は、後の仕事観に大きな影響を与える。
この時期をどう過ごし、何を考えるのか。
若いうちはそれによって自分の一生が決まるというぐらいの覚悟を持って、目の前の仕事に全力をあげて取り組むべきである。<br>
ブックオフ会長、橋本真由美さんのお話は、若い人達へのメッセージにも思える。

</p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>ブックオフコーポレーション株式会社</em> （<a href=" http://www.bookoff.co.jp/" target="_blank"> http://www.bookoff.co.jp/</a>）<br>
1990年創業。1991年にブックオフコーポレーション株式会社を設立、同年にフランチャイズ展開もスタート。本の目利きが必要とされていた古本業界に風穴を開け、採用されたばかりのアルバイト店員でも買い取りや販売価格の設定ができる明快な基準を設定。買い取った古本は新刊同様に磨き上げ、明るく清潔な店内に並べる。これまでにない業態が消費者の心をつかみ、創業4年目に100店舗を達成。1999年から本以外のリユース事業に参入し、洋服やスポーツ用品など取扱商品を拡大。『捨てない人のブックオフ』をミッションに掲げて、循環型社会の実現に取り組む。2004年に東証二部、2005年に東証一部に上場。<br />
企業データ／資本金：25億6400万円、売上高／連結733億4500万円（2011年3月期実績）、従業員数／996名、パート・アルバイトスタッフ 8,634名（2011年3月末現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> MAYUMI HASHIMOTO </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1949年生まれ。短大卒業後、給食会社に栄養士として就職。その後、病院勤務を経て結婚。二女をもうけて育児に専念し、1990年に18年ぶりに再就職。ブックオフ直営1号店にオープニングスタッフとしてパート入社する。91年に正社員に登用、94年に取締役、2003年に常務取締役、2006年に代表取締役社長兼COOに就任。2007年から現職。著書に「1日1回の『声がけ』で売り上げが伸びる！」（すばる舎）、「お母さん社長が行く！」（日経BP社）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">成長のステップを具体的に示し、アルバイトを戦力化</h3>
<div class="txt">　
<p class="fs14 spacing10"><em>────今日は御社の人材育成や組織のあり方が、企業としての成長力や競争力とどうつながっておられるのかという点を中心にお話を伺えればと思っています。私どもは、人財の革新や組織の変革を通じて、さまざまな企業の競争力強化のお手伝いをさせていただいていますが、ここ数年、特に大手の企業に閉塞感や停滞感が非常に強く漂っていることを感じています。職場で何か新しい提案をしてもなかなか動かない、挨拶も会話もなく人間関係が希薄になっている。そのような環境を放置したままでは、組織の勢いなんていうものは出てこないと思うんですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>例えば掃除でも何でもいいのですが、何か一つの共同作業をすることがお互いの接着剤になって、組織の勢いにつながっていく。そういったことが、現実にはたくさんあるわけですが、そんな観点で御社を拝見したときに、店舗の方は皆さん元気があって、挨拶も非常にしっかりとしてくださる。そういうところに経営の原点があるのではないかと感じ、お話をお聞きできればと考えた次第です。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>まずはじめに、橋本会長が入社された頃に、この業態がこんなに大きく成長するということは予測されていたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いいえ、まったくですね。まだ一軒の古本屋でしたし、子どもの学費の足しになればと思って入っただけでしたから。当時は、何もなかったんです。知恵もない、経営資源といわれるヒト・モノ・カネもない。何よりノウハウがありませんでした。そこから、ああだこうだと皆でやりながらつくってきましたので、苦労はありましたが、反対にそれが強みといえば強みでしょうか。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ここまで大きく成長された要因は、たくさんあるかとは思いますが、橋本さんがお感じになられている最大のものは何でしょうか。</em></p>
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">ブックオフのキャリアパスプラン。第1ステップの『トレーニー』から、サブ店長クラスの『マネージャー』まで、7段階のランクが設定されている。</p>
</div> 
<p class="fs14 spacing10">やはり『人』ですね。特に、私どもの店舗はパート・アルバイトさんの比率が高いものですから、その人たちの育成が原点にあると思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうした人の戦力化は、ご創業当時から感じておられたことだったのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">直営の3号店あたりまでは、口伝えで教えればいいと思っていたんです。ところが、フランチャイズ募集を始めて出店が加速し、どうがんばっても口伝えでは無理だと。そして、これは人を戦力化しなければやっていけないビジネスだと。当時の社長（※1）がそう見抜きまして、マクドナルドの銀座1号店を立ち上げられた林先生（※2）という方がいらっしゃるのですが、その先生のコンサルティングを受けて、『キャリアパスプラン』というスタッフ戦力化のシステムを導入したんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※1　ブックオフ創業者の坂本孝氏。2007年6月に代表取締役会長兼CEOを退任。<br>
※2　故・林 俊範氏。米国マクドナルドでオペレーションを学び、日本マクドナルドのオペレーションシステムマニュアルを築き上げる。1988年にピープルビジネススクールを設立。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────いつ頃導入されたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">創業の2年後くらいでしょうか。これまでの道のりを『けもの道』や『カーナビ型』と名づけて整理しているのですが、当初は『けもの道』だったんですね。馬車馬のように、朝から朝まで。朝から晩まで、ではないんですよ。「とにかくやりなさい、骨は拾ってあげるから」と（笑）。いわゆる体育会のノリでしたが、楽しかったですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">でもそれでは結局、体力のある元気な人だけが残るんですね。いい人財もたくさんなくしたと思います。そこで今度は『カーナビ型』に切り替えて、キャリアパスプランを導入し、方向性をきちんと示した育成の仕方に変えてきたということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そういう意味では、『けもの道』の時代がなければ、『カーナビ型』の必要性が見えなかったのかもしれないということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうかもしれませんね。ただ、システムの導入は簡単ではなくて、名前だけで機能しなかったりと、何度も挫折しそうになりました。やはり『けもの道』の方が楽しいし、楽なんですよ。私は特に、人をシステム化することに拒否反応があり、当時、私が中心になってパートのおばさんたちがクーデターを起こしたんです。「こんなの、やってられないわよ」と。コンサルタントの方にも、「現場もできないのに何？」という思いがあって（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────よくわかります（笑）。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうした抵抗感が、導入の壁になったように思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────その後システムが定着されたのには、何かきっかけがあったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">出店が加速して、もう限界だったんですね。教えたことがまったく伝わっていなかったり、店長の言うことをよく聞くスタッフの時給が上がって、一所懸命にやっている人が評価されなかったり。やはりツールがなければ無理だということになり、これを導入したんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────外食産業や小売業など、チェーンオペレーションを展開する企業は多くありますが、そういった企業のオペレーションと御社との違いは何でしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">当社のキャリアパスプランは、作業指示ではないんですね。努力の方向性を示し、結果に対して正当な評価をするためのものなんです。ですから、ランクは時給と連動しています。といっても、昇給額はそれほど高いわけではありません。1時間あたり20円や30円ですから、1日にしても缶ジュースが飲めるかどうかというくらい。それでも、ランクを認めてもらえるのは嬉しいものがあって、『チャレンジャーC』になれば、次は『B』を目指そうと。そうして、向上心を持ってやっていくためのものなんです。</p>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0102_a.jpg" alt="" /><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0103_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> キャリアパスプランの抜粋。画像はキャリアの第一段階の『トレーニー』のもの。『役割』、『やってはいけないこと』、『次のランクへのチャレンジ目標』と、求める行動が具体的に書かれている。各ランクの在籍期間が、『30シフト=195時間』などと明記されているのも特長。育成担当者は、この期間内に次に進めるようにスタッフを育てなければならない。</p> 
</div>
<h3 class="fs18">業績は人財のレベルで決まる</h3>
<div class="txt"> 
<div class="alignright" style="width:420px;">
<p class="alignrleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0201_a_02.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">店舗のQSC基準の抜粋。下から2番目の『レベル２』は、「チャレンジャーB以上のP/A（パート・アルバイト）リーダーが2名以上育成されている」ことが基準の一つ。スタッフの成長が店のレベルアップと連動するように設計されている。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そしてここがポイントですが、スタッフの時給が上がっても、店舗の売り上げが伸びなければ意味がありませんよね。研修などもそうで、人が育っても業績が上がらなければ、その研修は無駄なんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから、キャリアパスプランは店舗のQSC基準に連動させています。QSCのレベルは1から4までの4段階あり、例えばチャレンジャーB以上の人を2名以上認定するためには、QSCレベルが下から2番目の『2』まで上がっていなければいけません。時給が上がるということは、スタッフのレベルが上がる。そして、店舗のレベルも上がるという仕組みになっているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ということは、逆にいいますと、キャリアパスプランが正しく運用されていれば、業績は上がるということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">必ず上がります。新卒かアルバイトか、女性か男性かに関わらず、レベルが高い人が不振店に入るとガラッと生まれ変わります。その反対もあります。面白いくらに、対前年比でバーッと変わりますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────人のレベルが組織のパフォーマンスを決めるという考え方を、言葉としてはたくさん耳にしますが、現実に制度として取り入れている企業は、僕は、恐らく非常に少ないと思いますね。小売業界では市場環境や消費動向、エリアの特性といったことが大きな要因として考えられる場合が多いじゃないですか。ということよりも、やはり人なんだということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">現状はそうですね。ですから、時給ばかりが上がって、店舗のQSCレベルが上がらなければ、店長のスタッフに対する評価がおかしいんです。もっといえば、評価というよりはトレーニングですね。店長の仕事の9割はトレーニングですから。</p>
<p class="fs14 spacing10">店長がレベルの低いアルバイトさんしか育成できなければ、全部自分でやらなければいけませんから、クタクタなんですね。でも早く人を育成すれば、今度はその人が下の人を育成できます。そうすると、店長は空いた時間をマネジメントに使えますでしょう。販促をどうしようかとかね。</p>
<p class="fs14 spacing10">というように、新卒やパート・アルバイトの成長と店舗のレベルアップを連動させているのですが、ずっと店長のままだと「その次に自分はどうなるんだろう」という閉塞感が出てきますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そこで、ずっと店長としてキャリアを積んできたベテラン店長の次のステップであるエリアマネジャーに『Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』とランクを設け、キャリアパスプランにセカンドステージをつくりました。その上には統括エリアマネジャー、ディストリクトマネジャー（地域社長）、役員というステップがあり、その中で「自分はここを目指そう」と。次の目標が持てれば、閉塞感がなくなるのではないかと考えています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────キャリアパスプランに多様性を導入されたという理解でよろしいですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。次の目標を明確にしたといいますか、『やり場』をつくったということです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">規模が拡大しても『現場が主役』を貫く</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────日本の企業は、かなり前から「現場力が大事」だと言っていますが、現場が活性化している企業は非常に少ないと感じています。組織が大きくなって階層が増え、マネジメントする側と現場との距離が遠くなってしまっている。そうなると、マネジメントがどうなるかといえば、いわゆる『管理』ですよね。数字だけに関心がいって、結果的に現場の元気がなくなっているような気がするんです。一方で御社の現場は、先ほども申し上げたように、お店一つを見ても挨拶の声が非常によく出ていますし、活性化されているように感じるのですが、何が違うのでしょうか。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0301_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">私たちは現場が稼いでいるものですから、現場が主役でなければ回らないんです。そこが特長的なところかなと思いますね。ですからうちでは、調整は少し入るとは思いますが、店舗の計画はすべて自分たちで立てます。自由度を与えて、やり場をつくると言いますかね。その代わり責任もあります。それに、仕事の報酬は次の仕事と言うように、閉塞感を感じている暇がないんです。それは、上に立つ人たちが社員のやり場を次々とつくっているからだと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、役員室はもちろんなくて、皆と同じフロア。島の端っこにそれぞれの机があるだけで、私の席は日が当たる窓際です（笑）。金曜日や土曜日は、私も現場に入ります。でないと、わからないんですね。店のレイアウトがおかしいとか、チャレンジャーAのスタッフがたくさんいるのに店舗のレベルが対応していないといったことがね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────お店に入られて、パッと見るだけで何が問題かがすぐおわかりになる。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"> 3秒ですね。現場にいた人間はだいたいわかると思いますよ。パッと見たときにもう一瞬で、ここと、こことを直せば改善できるなと。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営トップが現場の肌感覚を持ち続ける</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────お店のどういうところをご覧になるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">入り口から全体を見るんです。注目するのは、スタッフの動きですね。カウンターの中に集まっておしゃべりに興じていたら、もうそれでNG。おしゃべりするなとは言いません。「○○さん、レジをお願い！」というような声はアリです。でも、「昨日のテレビ観た？」というのは、どんなに小さな声でもお客さまには耳触りです。「動くときは小走りで」ということも言っていますが、別に小走りでなくても機敏な動きができる店舗と、仕方なく時給で働いているような店舗とでは全然違う。店に入った瞬間にわかります。</p>
<p class="fs14 spacing10">挨拶一つとっても、マニュアルには「『いらっしゃいませ』と言う」と書いてあるだけですが、ただ元気よく言えばいいわけではないんです。昔、挨拶の声が大きくて耳触りだというクレームが入ったことがありましてね。遠くにいるお客さまには、大きな声で「いらっしゃいませ！」、レジで目の前にいる方には心地よい大きさの声で「いらっしゃいませ」と、使い分けなくてはいけない。そういうことは、現場でなければわからないですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────これが、僕はとても大事なことだと思うんです。マネジメントされる方が現場を肌感覚でわかっているということは、とても大事ですね。経営トップが数字を見るだけでは、実態を正確に把握出来ないですからね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。現場をよく見て、アルバイトさんがきちんと評価されるようにして、この店のためにがんばろう、店長を助けようという気持ちになってもらわないと、いくらマニュアルを整備しても店はよくならないですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうして現場で培われたノウハウを形にしたものが、キャリアパスプランだということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。マニュアルをつくろうと考えて作成したわけではなく、もう本当に悩みながら。商品はない、人の育成はうまくいかない、辞めていく人もいる･･････、ということをくり返す中で、どうしたらアルバイトさんに一所懸命に働いてもらえるのか、商品はどうやったら集まるのかと。そういう試行錯誤の積み重ねを集約したものなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────キャリアパスプランの『トレーニー』の欄には、レジの開け締めや入金業務が書かれていますが、御社では入社したばかりの方にお金に関することを任されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">フランチャイズに加盟いただく企業さんが、最初に質問されるのはそこですね。アルバイトにお金を触らせていいのかと。でも実は、しっかりした責任感のあるアルバイトさんはとても多いんです。ですから、任せるんですよ。任せることによって信頼関係ができるんです。「アルバイトだから任せない」といったのでは、その人は不正を考えるかもしれませんしね。ただ段階はありますが、それもキャリアパスプランでオープンにしています。そうして、自由度とやり場を与えることが大切なんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ここまでの形にされるまでに、どのくらいの時間がかかられたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">創業からの21年間、しっかりかかっています。キャリアパスプランのセカンドステージは、最近つくったものですし。内容は、一見するととても単純なものですが、これも現場のエリアマネジャーや統括から出てきた言葉を形にしたものです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">育てる側に『情緒』がなければ、人は育たない</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/bookoff_0501_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員に積極性や当事者意識をどうすれば持たせられるかに悩む経営者も多くおられますが、御社のキャリアパスプランは、その意味でも有効なものだとお感じですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">先ほどもお話しましたように、キャリアのランクが上がるということは、時給にして20円や30円であってもうれしいもので、それが次を目指そうという向上心につながるのだと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ中には、「私はもうランクアップしなくてもいい」という人もいます。その方は、それでも仕方がありませんが、何年もずっと向上心が生まれないというのは、トレーニングする方が悪いことが多いですね。店長が声もかけずに、本人にまったく刺激を与えなければ、結局は私たちが求めるレベルよりも下がっていってしまいます。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうではなくて、「会社が求める基準にはこういうランクがあるよ。どこまでできた？　次を目指してる？」と。「まだです」といえば、「じゃあ、これをがんばってみよう」と。そう声をかけてあげれば、その人は私たちが求めるレベルからはみ出して上を目指すようになります。それが人財育成なんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────お話をお聞きしていますと、橋本さんの中に、人は情緒がないと動かないというような、何か情緒性が一貫して流れているように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">もう、それがすべてですね。システムは、情緒がないと機能しないと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────私は、そのお考えに大賛成なんです。今、日本の大手といわれる企業に最も欠けているのはそういったことだと、私は思っているんです。アメリカからきた成果主義というようなものを導入して、論理的にきちっとしたスタンダードにまとめていますが、そこに情緒や人の気持ちに対する配慮といったものが、非常に欠けているなと。それが、先ほど申し上げた停滞感につながっているという気がして仕方がないんですけれどもね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">うちはそればかりでやってきましたからね。私の口癖が、「なにぶったるんでるの」という言葉なんですが、ある加盟企業さんでは二度目に訪問したら、「ぶったるんでんじゃないわよ」と書いたものが応接室に貼ってありましてね（笑）。「これが今、うちに欠けている」とオーナーさまがおっしゃって。ただ、直営店だけでアルバイトさんが1万人近い規模になると、それだけでは進まないんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから情緒性が土台にあって、自らがやって見せ、思いを語る。そこにキャリアパスプランをプラスしたから、何とか動いているのではないかと思います。最初から、「キャリアパスプランはこういうものです」と言ったって、それでは機能しないですし、第一、人は育ちません。その根底にあるのは何かと言えば、「いちがい」という言葉はご存知ですか？</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ええ、知っています。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですか、田舎の言葉かと思っていましたが（笑）、私は、「いちがいにやらなくては」と思い込むところがあるんです。「何としてもこの店は潰すわけにいかない」という思いがあって、今はそれが会社全体に対して、なんですね。絶対に会社を潰せない。上場した以上は計画に応えたい。寝ても覚めてもそれがあり、そうした思いにプラスしてシステムを乗せるということでないと、うまくいかないのかなと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>「いちがい」とは、橋本会長が生まれ育った福井県の方言で、「まっすぐな」という意味の言葉。何事にもまっすぐに、のめり込むようにしてきた結果が今につながっていると、橋本会長はいいます。従業員数が1万人に迫る規模になり、海外展開も進む中でその思いをどう伝えていくのか。後編ではブックオフのDNAの伝え方や、東証一部上場企業として新たに抱える課題などについてお話を伺いました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/10/post-106.html
">
<em><u>
『仕組み』と『情緒』で人と店を伸ばす、ブックオフの人財育成術（後編）</u>
</em></p></a>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>規制緩和と市場縮小。二重苦を乗り越えたカクヤスの『強みを生み出し続ける力』（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/09/post-104.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.726</id>

    <published>2011-09-28T09:00:00Z</published>
    <updated>2011-09-28T01:12:16Z</updated>

    <summary>株式会社カクヤス</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社カクヤス<br /></A>
代表取締役社長　佐藤順一さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">2001年から2003年にかけて、酒販免許の規制が段階的に緩和され、酒販業界は淘汰の時代を迎えました。加えて、消費不振や若者の酒離れなどによる構造不況にも直面。縮小する一方の市場の中で、カクヤスは右肩上がりの成長を続けています。『ビール1本から2時間以内に無料配送（※）』という独自のサービスで注目される同社ですが、佐藤順一社長は「真の強みは、これから生み出すものにこそある」と、過去の成功に安住しない経営を貫きます。年商800億円に迫るポジションを築いてなお、そう語る佐藤社長の思いやこれまでの歩み、今後のビジョンについて伺いました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。<br>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※東京23区内のみ</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>日本企業の世界市場でのシェアが様々な分野で揺らいでいる。それは、売上のかなりの部分をコモディ化した商品が占めており、利益が出にくいとわかっていても売上を確保するため、そうした商品を作り続けているのである。当然のことながら、こうした状況から早く脱する必要があるのだが、そのためには現状のビジネスモデルからの脱却が欠かせない。それは、例えば、消費財を単品で売らずに、サービスやインフラ等と組み合わせて売るといった発想が必要な時代である。重要なのは、最初に出来るだけ大きな経営の絵を描き、何を付加価値としてどこで需要を喚起し、どこで利益を上げるかといった絵が描けるかということである。<br>
今回の株式会社カクヤスさんでは、既に1998年に価格戦略から付加価値戦略へと大きく転換し様々な試行錯誤を経て今日の地位を築いている。同社の佐藤社長とお会いして経営リーダーとしての賢慮さが企業の将来を決めるということの重要性を感じざるを得なかった。 </p>
<p class="fs14 spacing10">
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社カクヤス</em> （<a href=" http://www.kakuyasu.co.jp/" target="_blank"> http://www.kakuyasu.co.jp/</a>）<br>
1921年に、飲食店向けの業務用酒販店として創業。バブル崩壊後に業務用市場が縮小したことを受けて1992年に酒小売店「大安」を2店舗展開、家庭向けの酒販市場に参入する。1998年には無料宅配サービスを開始し、価格戦略から付加価値戦略へと大きく転換。2003年8月に東京23区全域での無料宅配網を完成させ、翌9月に酒販免許の規制が緩和されて淘汰の時代を迎える中、快進撃を続ける。2004年にはコールセンター運営子会社を立ち上げ、一括受注体制を確立（現在はカクヤス本体に統合）。2007年に飲食店向け通信販売「ミクリード」を、2010年には「オフィス・デポ・ジャパン」を子会社化し、『お届けビジネス』を拡大させている。<br />
企業データ／資本金：2億7889万5千円、売上高／794億円（2011年3月期実績）、従業員数／1039名（2011年3月末現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> JUNICHI SATO </em></p>
<p class="fs14">1959年生まれ。大学卒業後、祖父の代から続く合資会社カクヤス本店（現・株式会社カクヤス）に入社。1993年に3代目代表取締役社長に就任。1998年にディスカウント業態からの脱却を決意し、入社当時年商7億円弱・従業員16名であった同社を、年商800億円に迫る企業に育て上げる。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">こちらから球を投げなければ、顧客のニーズはわからない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────相手の立場に立って考えるというのは、わかってはいても、なかなかできることではありませんね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">お客さまに対してだけでなく、上司と部下、経営と雇用でも必要なことですね。相手からどう見えるのかを常に考えることが、とても大事なのだろうなと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">一つのサービスを生み出すときでいえば、「何をしたらいいですか」とお客さまに聞いても、「安くしてほしい」としか言わないんです。キャッチボールに例えると、お客さまから球がくるのを待っていても絶対に来ない。でも、「こんなサービスはいかがですか」とこちらから球を投げると、「それは良いね」とか「うちはいらない」と答えが返ってくる。それに対して修正を重ねるうちに、ストライクゾーンに入るわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>──── 一般的には、一度やってうまくいかないと諦めてしまうことが多いですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">だから、キャッチボールを続けることが大事なんです。諦めたらそれで終わりですからね。例えば、2008年に銀座にワインセラーをつくったのですが、これなどもお客さまから「高額なワインやシャンパンを在庫するのは大変だ」と聞いたことからスタートしました。我々が銀座にワインセラーをつくって、急なご注文にも対応しますよと。最初の球を投げたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうしたらお客さまは、「飲みに来た方を待たせるのは、せいぜい10分が限度なんだよね」と。ということは片道5分でしょう。最初は、高級クラブが集中する銀座6、7、8丁目の全域に配達するつもりでしたが、遠いところは片道7分かかる。それではダメだと。最も集中している銀座7丁目と8丁目に絞って、その真ん中にセラーをつくろうと。こう修正したんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ところが家賃が高いから、倉庫の広さは15坪。そこに主要なアイテムを400から500くらい揃えましたが、まったく売れませんでした。お客さまの立場で考えると、主要なものはカクヤスに頼んでも、ないものは他の店で買わなくてはいけない。これでは二度手間ですよね。主要なものだけでは意味がなかったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">でも、全部揃えるには約2500アイテムが必要で、面積も100坪くらいいる。銀座で100坪の倉庫か...、みたいなね（笑）。最終的にはその広さの倉庫をつくりましたが、そこまでやるとお客さまに評価されて買っていただけるんです。今やこうしたサテライト事業（繁華街での即配ニーズに対応するサービス）は、うちの稼ぎ頭に育っています。</p>
<p class="fs14 spacing10">つまり、いきなりストライクゾーンには入らないんですね。失敗しても、どこが悪かったかを考えて修正し、もう1度球を投げる。これができないと、何も生み出せないんだろうなと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうして成長してこられたことを、あたかも意図通りだったというような後付けの整理で語られることも多いと思いますが、現実はそうではなく、その時々に応じて最適な経営を考えてこられた積み重ねの結果が、今の御社だと。お話を聞いて、改めてそう感じました。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり、一発目の球は勘で投げるしかないんですよね。どこが狙い目なのか、わからないんですから。ただ、返ってきた結果は真剣に検証するということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────『ＰＤＣＡ』が大切だとよく言われますが、一般的には『ＣＡ』ができてないケースが多いですね。そして簡単に諦めてしまう。もったいないと思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">一発ではうまくいかないということを常に経験してきましたが、最終的には成功させるぞと。この思いを持っていないと、新しいサービスは生まれないですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">挑戦を支えたのは、『真に価値あるものは生かされる』という信念</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────今日に至るまでに困難や障害も数多くおありだったと思いますが、どう乗り越えてこられたのでしょうか。例えば、東京23区全域にビール1本から無料配送すると打ち出されたときには、社内には反対意見が多かったと伺いました。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">最初は役員も盛り上がるんです。それが100店近くになって赤字店が増えると、様子が変わるんですね。もう少し足場を固めてからにしましょうと。ところが、それでは酒販免許の規制が緩和される2003年に間に合わないんですよ。私は、『どこでも』を手に入れない限り勝ちはないと思っていました。だから、何が何でも手に入れるぞと突っ走るわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのときに、一定の確信のようなものが社長の中におありだったのだろうなと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">世の中にないサービスだとは思っていましたね。本当にお客さまの立場に立ったお届けサービスというのは世の中に存在していないから、真に価値があるなら必ずうまくいくはずだと。もっといえば、生かされるだろうと。生かされなければ、おかしいよねと。何にすがったかといえば、おそらくそういう思いだったのだろうと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">そのときには『勝ち負け』は、気にしてないんですよ。サービスを完成させてマーケットに認めてもらうことがとても大事で、それでスーパーに勝つぞといった勝ち負けは、あまり考えていませんでしたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────迷いや葛藤はありませんでしたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">資金面の不安はありましたが、幸いなことに何とかやりくりできましたし、役員7名のうち5名が反対していた中で、私のほかにもう一人「それは面白いから、やったほうがいい」と言うのがいたんですよ。でも決議を取ったら否決されますから、もう決議はしない（笑）。しかし、仕組みができても売り上げはすぐには立ちませんでしたし、家庭用だけでは結局ダメだったわけですよね。そう考えると、経営者として正しい判断だったのかなと思うことはありました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────結果論でいえば「正しかった」ということも、当時、社長の側で客観的に見ていた方からすると、ある種の暴挙のような感じだったのではないでしょうか。けれどもそこに、やはり何か相当確信に近いものが、信念といってもいいかもしれませんが、あったのだろうと思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">つくり手中心の論理がまかり通っていたお酒の業界で、本当にお客さまの立場に立ったサービスを、何とかしてつくれないかという思いは強かったですね。ビールメーカーとも、対立するわけではないのですが、例えば、価格が横並びで値上げの時期も各社同じというのはおかしいよねといった話を、最近もずっとしています。こうして消費者を起点にした仕組みをつくっていくことが、すごく大事だと思っているんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">競争優位の源は、アウトソーシングしてはならない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10">企業の強みとは何だろうとよく考えるのですが、おそらく本当の意味で強みは、今ある強みではないんですよね。だって真似されますから。これから生み出すものが、強みになっていくんです。それが止まった瞬間に、企業は強くなくなってしまう。ですから、強みを生み出し続ける力が大事だと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────例えば、コンビニなどもそうですね。近場にあって便利ですが、高齢化社会という前提で考えたときに、消費者が店まで買いに行かなくてはいけないというこのスタイルが、どこまで価値があるだろうかと。進化し続けるということは、簡単なことではありませんね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはありますね。確かに、昔は流通の主役はデパートでしたよね。それがスーパーになってコンビニになって、一貫して売り場が家庭に近づいているんですね。コンビニの次の主役はどこかといえば、やはり『玄関』を誰がおさえるかという話になる。しかもそれを自前でやる企業が少ないんです。みんな宅配会社にアウトソーシングするでしょう。そうすると、顧客接点を外に投げているんですよね。我々は絶対にそこを外注しないわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">カクヤスがずっと同じような成長率で伸びているのは、すべて自社で配達しているからです。売り上げを1割増やすには、人が1割余分にいるんですよ。1割までは増やせても、2割増員すると赤字になる。ですから10％ずつしか伸びようがないんですね。これが外注を活用すれば、一気に販促をかけて売り上げを急拡大させられるかもしれない。それをしないのが強みでもあり、弱みでもあるのかもしれません。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────外注すると、ノウハウを社内に蓄積することができませんね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">できないですね。確かに、配達はやっかいで格好も良くなくて、『きつい、汚い、危険』と3Kの代表格のように言われていますが、そこをいかに自前で仕立てて何を乗せていくか。おそらくこれが、カクヤスの今後の強みになっていくと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">酒類市場はピーク時の7兆円から5兆円にまで縮小したとお話しましたが（前編参照）、でも5兆あるんですよね。普通、業界ナンバー1の企業は10％くらいのシェアを取ります。すると年商5000億の酒屋がいてもおかしくないのですが、トップの企業で1000億円。全体の2％ですよ。つまり強い企業がいないということであって、これは大きなチャンスですよね。業務用の市場には新規参入も少ない。こんな恵まれた業界はないですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、お酒の粗利は16、17％くらいしかありませんから、お花や文房具といった他の商材を持ってくると、たいてい粗利を引き上げるんです。粗利が高いところに低いものを乗せるのとは違いますから、やりやすいんですね。そういう意味では、一番しんどいところを自前でやってモデルをつくり上げたのは、カクヤスとしてはよかったのだろうなと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">競争優位の変化を見抜き、経営の舵を切る</h3>
<div class="txt">
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ほかの商材を一緒に乗せるかどうかは、何をポイントに判断されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">これも不思議なところで、ほかの商材を乗せることは、当然重視していますが、本当にそこが大事なのだろうかとも思っているんです。実は、届ける以上必ず必要になるのが、受注という行為。ここに、みなさん結構なコストをかけるんですね。そして、受注データをいかに正確かつ迅速に、ローコストで出荷拠点に流すかというシステムインフラも必要になる。つまり、圧倒的な差別化は店舗にデータが届く手前で起こるんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">たまたま、2007年に食材のカタログ通販の会社を買収しましてね。物流を統合しようと思ったのですが、相手は冷凍食品も扱う全国物流の会社で、カクヤスは店に在庫を持つ即配。冷食をすべて店に在庫するのは難しいため、結局、物流統合は見送りました。にもかかわらず、受注システムを統合しただけで、かなりの利益が出たんです。とすると、物流を一緒にする必要があるのだろうかと。もしかしたら、上流工程が実はカクヤスのプラットフォームなのではないかと、最近考えるようになりました。</p>
<p class="fs14 spacing10">そう考えると、M&Aをするにしても対象が広がるじゃないですか。お届けモデルであれば、商材は何であってもいろんな可能性が広がります。ですから、みなさんは物流に注目されるけれども、その手前の工程に最も知恵を絞らなくてはいけなし、作り込みに時間もコストもかかる。そこが差別化要因なのだろうなと、食材の通販会社を買収したときにつくづく感じました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────確かに、受注プロセスの生産性は改善の余地が大きいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ある通販会社のコールセンターでは1時間当りの処理件数が5、6件だそうですが、うちのコールセンターは1時間に22件。ここがもう圧倒的に違うんです。23件にはならないのかと聞いたら、その答えがさすがでね。「できますが、早口になります。お客さまに早口の印象を与えずに対応できる限界が22件です」と。ここまでのデータを積み重ねて作り込んできましたので、やはり大きな差別化要因になっているんでしょうね。カクヤスは物流モデルが強みだとよく言われますが、それは表に見えているほんの一部分なんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────上流工程の競争になったときには、高付加価値がより一層の強みになるように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">なおかつ自前で構築していることが大きいですね。先日、たまたまあるコンサルタントの方にこう言われたんです。「カクヤスが、玄関口で真っ先に発する言葉の権利を売ってくれないか」と（笑）。我々が一般のご家庭に売るのは、商品とは限りませんよね。情報かもしれないし、企画かもしれない。顧客接点を直接持っているから、いろいろなことができるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">その前提で、受注時の接点とお届け時の接点をどう活かしていくかが、これからのカクヤスの成長に大きな要素を占めると思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営者の最大の役割は、戦略の決定と組織風土のマネジメント
</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────先ほどおっしゃられた「強みを生み出し続ける」とは、まさにこういったことですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">全部つくり上げたかのようによく言われますが、木彫りの仏像ならまだ木の状態。仏像の形にもなってないと思いますね。もっと明確に切り込むところはたくさんあるでしょうし、今はまだまだ途上です。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社長からご覧になって、経営には何が最も大切だと思われますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">いろいろな方に座右の銘を聞かれますが、何にもないんですよね。ただ、これは真実だなと思っているのは、中華料理店に行くと料理が円卓で出てくるじゃないですか。「社長どうぞ」と勧められて2人前をガバッと取ると、「欲張りだ」と言われる。でも「お先にどうぞ」と回して戻ってくると、たいてい2人前残っているんです。これが、経営の極意なのだろうなと。</p>
<p class="fs14 spacing10">つまり、まずお客さまのことを考えると、お客さまもこちらの事を考えてくださる。『ビール1本から無料配達』にして、本当に1本で頼む方がいないわけではないけれど、客単価が5000円あれば十分じゃないですか。ですからまずは敷居を下げて、入ってきたお客さまにどう対応するかに知恵を絞る。その方が面白いですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、私はたいていの仕事は社員に任せます。けれども、最後まで任せられないものが2つだけあって、1つは大きな戦略決断。もう1つは、組織風土のマネジメント。この仕事は、経営者以外にはできないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">従業員は1000名を超えましたから、その人たちを管理しようと思ってももうできない。けれども規律や風土を醸成していくと、そこからはみ出す人は離れていきますし、残る人たちはそれなりの行動を取ってくれます。そういった自浄機能を持つことが、会社を大きくするうえで大事なのだろうなと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────組織風土を守るために一番大切にされているのは、どのようなことでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">目線を合わせるということです。そのためにうちの会社は、役職による差は給与以外は何もないんです。私は交際費の枠を1円も持っていませんし、グリーン車にも乗れません。役員になると専用車がつくとか、そんなことに価値を見出すのは大きな間違い。給与の差は責任の重さの差ですからあって当然ですが、それ以外のことで上下ができるのは違うだろうと。そして、「俺がお前の年齢のときに、お前の仕事はできなかったな」と。そんな風にお互いを尊重することが、とても大事だと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────お話を伺って改めて、社長の一定の論理がベースにあって、そこから積み重ねられてきた今日だということを実感します。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">自分ではそんな風には思いませんが（笑）。言ってみれば、結果オーライなんですよ。世の中のサクセスストーリーのほとんどは、後付けですからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────まったくそうですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">あのときどう思ってやったのかというのも、忘れてしまうんですよ。そのくらいの感覚で、たまたまツイていたというように経営者が思っている方がいいのかなと。予めわかって当てに行ける人なんていませんからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────だからこそ先ほどおっしったように、まずはやってみて結果を検証し、修正していくことが大切だということですね。本日は貴重なお時間をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>規制緩和と市場縮小。二重苦を乗り越えたカクヤスの『強みを生み出し続ける力』（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/09/post-103.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.720</id>

    <published>2011-09-14T01:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:50:04Z</updated>

    <summary>株式会社カクヤス</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">株式会社カクヤス<br /></A>
代表取締役社長　佐藤順一さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">2001年から2003年にかけて、酒販免許の規制が段階的に緩和され、酒販業界は淘汰の時代を迎えました。加えて、消費不振や若者の酒離れなどによる構造不況にも直面。縮小する一方の市場の中で、カクヤスは右肩上がりの成長を続けています。『ビール1本から2時間以内に無料配送（※）』という独自のサービスで注目される同社ですが、佐藤順一社長は「真の強みは、これから生み出すものにこそある」と、過去の成功に安住しない経営を貫きます。年商800億円に迫るポジションを築いてなお、そう語る佐藤社長の思いやこれまでの歩み、今後のビジョンについて伺いました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。<br>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※東京23区内のみ</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>日本企業の世界市場でのシェアが様々な分野で揺らいでいる。それは、売上のかなりの部分をコモディ化した商品が占めており、利益が出にくいとわかっていても売上を確保するため、そうした商品を作り続けているのである。当然のことながら、こうした状況から早く脱する必要があるのだが、そのためには現状のビジネスモデルからの脱却が欠かせない。それは、例えば、消費財を単品で売らずに、サービスやインフラ等と組み合わせて売るといった発想が必要な時代である。重要なのは、最初に出来るだけ大きな経営の絵を描き、何を付加価値としてどこで需要を喚起し、どこで利益を上げるかといった絵が描けるかということである。<br>
今回の株式会社カクヤスさんでは、既に1998年に価格戦略から付加価値戦略へと大きく転換し様々な試行錯誤を経て今日の地位を築いている。同社の佐藤社長とお会いして経営リーダーとしての賢慮さが企業の将来を決めるということの重要性を感じざるを得なかった。
</p>
 <p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社カクヤス</em> （<a href=" http://www.kakuyasu.co.jp/" target="_blank"> http://www.kakuyasu.co.jp/</a>）<br>
1921年に、飲食店向けの業務用酒販店として創業。バブル崩壊後に業務用市場が縮小したことを受けて1992年に酒小売店「大安」を2店舗展開、家庭向けの酒販市場に参入する。1998年には無料宅配サービスを開始し、価格戦略から付加価値戦略へと大きく転換。2003年8月に東京23区全域での無料宅配網を完成させ、翌9月に酒販免許の規制が緩和されて淘汰の時代を迎える中、快進撃を続ける。2004年にはコールセンター運営子会社を立ち上げ、一括受注体制を確立（現在はカクヤス本体に統合）。2007年に飲食店向け通信販売「ミクリード」を、2010年には「オフィス・デポ・ジャパン」を子会社化し、『お届けビジネス』を拡大させている。<br />
企業データ／資本金：2億7889万5千円、売上高／794億円（2011年3月期実績）、従業員数／1039名（2011年3月末現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> JUNICHI SATO </em></p>
<p class="fs14">1959年生まれ。大学卒業後、祖父の代から続く合資会社カクヤス本店（現・株式会社カクヤス）に入社。1993年に3代目代表取締役社長に就任。1998年にディスカウント業態からの脱却を決意し、入社当時年商7億円弱・従業員16名であった同社を、年商800億円に迫る企業に育て上げる。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">優れた戦略は"偶然"から生まれる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────私どもは酒類メーカーや御社と近い業態の企業とも仕事をさせていただいていますので、ご業界の動向は実感しておりますが、市場が縮小している中で、御社はたいへん堅調に業績を伸ばしておられます。その過程ではいろいろな転換点がおありだったと思いますが、そこで社長が何を思い、どのような決断をされたのか。また、内部の組織的な課題をどう解決してこられたのか。今日は、そういったことをお聞きできればと思っております。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">お酒の業界は、かつては免許で守られた非常に閉鎖的な業界でした。互いのお客さんを取ってはいけないという、相互不可侵条約があった。そんな業界である程度割り切って商売をしていくとなると、軋轢もたくさん生じるといいますか。まあ、いろいろとありました（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10">酒販には飲食店向けの業務用と家庭用の2つの大きなチャネルがあり、全国的に見ると業務用が25～30％くらいで、家庭用が約70％といわれています。東京は飲食店の数が多いので、業務用と家庭用は50％ずつくらい。その中で、カクヤスはもともと飲食店向けのベンダーでしたが、その業務用のマーケットがバブル崩壊で一気に縮小したんです。順調に伸びているときにはみんなで仲良くできても、みんなで仲良く縮みましょうとはいかないわけで、そこで競争が起こるんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかし、今まで競争をしてこなかった業界ですから、何で競争するかというと値段しかない。マーケットは縮小し、価格は下がり、なおかつ不良債権が発生するというトリプルパンチです。これはもう業務用だけではやっていけないということで、ちょうどその当時、お酒のディスカウントショップが隆盛を極めていたこともあって、カクヤスも家庭用に参入していくわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、当時の酒販免許は『人と場所に下りる』といって、『○丁目○番地の○○さん』に下りた免許は、経営者が変わるのも店舗を移転するのも基本的にNGなんです。一番近い酒屋まで100m以上ないといけないといった制約もありましたので、ディスカウントショップが出店したのはだいたい環七（※）の外側。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※環状第7号線。東京都大田区を基点に東京23区内を環状に回り、江戸川区臨海町に至る幹線道路。通称「環七（かんなな）」。</p>
<p class="fs14 spacing10">ところが、当時のカクヤスは環七の内側で、車も入れないし人通りも少ない。そんな立地でディスカウントショップをやっても自分がお客さんなら来ないだろうな、というような場所でね。そんな店をやる経営者の心境って、あまりいいものではないんですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうはいいながらも、やらなくてはいけないということでオープンするんですが、さすがに店で売れるとは思っていませんので、苦肉の策で配達をやろうと。ただし、1回300円の配達料はいただくことにして始めたんです。300円の根拠は何かといえば、アルバイトの時給が約1000円でしたから、1時間に3件くらいは運べるだろうと考えての金額です。</p>
<p class="fs14 spacing10">商圏の切り方もわからなかったので、とりあえず半径1キロの円を描いてみました。そしたらそこに団地があって、3分の2までしか入らない。全部入るように描き直したら、半径が1.2キロになった。「カクヤスの1.2キロ商圏モデル」などと、詳細に分析して設定したかのごとくに言われていますが、実際は団地が欲しかったということなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ一つ言えるのは、1.2キロが1.5キロだったら、面積は実は1.56倍になります。その中の移動距離はおそらく倍になりますから、そうなると採算が合わない。仮に1キロの圏内に団地が全部入っていたら、半径が200メートル狭まるだけで面積は0.69倍になる。3割も減るんです。3割少ない売り上げで採算が合うかといえば、やはり難しかったかもしれません。微妙なところで、後から検証すると1.2キロというのは妥当な商圏設定だったと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">優れた戦略は"トライ＆エラー"から生まれる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そんなことでディスカウント並みの価格でお届けを始めたら、不思議なことに配達だけでなく、立地が悪いはずの店の客数も増えたんです。理屈は簡単でした。1.2キロの商圏には、一般の酒屋さんしかなかったんですね。にもかかわらず、はるか環七の彼方にある大きなディスカウントショップをライバル視していた。競争相手を間違っているんですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから「配達料300円です」と言うと、お客さまは「無料じゃないのか」とおっしゃる。我々はディスカウントと比べていましたので、彼らがやらない配達をするわけだから、それには料金をいただこうと思っていたのですが、実際のライバルは一般の酒屋さんです。酒屋さんは配達料なんか取りませんよね。お届けという一つの価値で郊外型のディスカウントに対抗するつもりが、結局戦った相手は一般の酒販店で、しかも勝てた理由は安さだった。当時の戦略がいかに稚拙だったかということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それも、やってみて初めて学習されたということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────私はそこが大事なところなのだろうと思うんです。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。商圏もまずは半径1.2キロでやってみて、後で検証したらそれでしか成り立たないんだと。そこに一つの基軸ができるじゃないですか。それがすごく大事だと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">300円の配達料も、売り上げは伸びていましたから、いただき続ける手もありますよね。今もいただいていたら、1日の配達件数は約1万2000件ですから、1日360万円。年間で十数億円を儲け損ねたことになります。でも、お客さまの中には両隣と3件一緒に注文される方もいましてね。すると1件100円じゃないですか。そんなに300円に抵抗があるのか、それなら何とかしなきゃいけないなと。</p>
<p class="fs14 spacing10">そもそも配達料は人件費を考えてのことでしたが、店売りの人件費との差を計算してみたら、実は配達の方がかかっていなかったんです。なぜかといえば、1時間当たり3件どころか5件も6件も配達できていたのと、客単価が非常に高かったんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────まとめ買いをされるわけですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。ビール2ケース、3ケースは当たり前、当時で客単価が1万5000～6000円は出ていました。もはや配達料をいただく根拠がありませんから無料化を考えるのですが、客単価が下がったのでは成り立たない。そこで、最初はお買い上げ1万円以上を無料配送にしました。すると「ビールを2ケース買っても1万円にならない」と苦情がきた。そこで5000円以上にすると、「ビール1ケースじゃ持ってこないのか」という話になって。最後は3000円以上にしたら、1箱2980円の発泡酒が出てきちゃいましてね。</p>
<p class="fs14 spacing10">結局すべて無料にするという、非常に格好の悪い撤廃の仕方をしましたね。でも結果としては、今でも5000円強の客単価が出ていますので、「ビール1本から無料配達」と言いながらも、お届けというのは結構まとめて買っていただけるんだなと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">決めた戦略は妥協せず、徹底して貫く</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">その後、27、28店舗を出したのとほぼ同時期の1996年から、お酒の消費が減り始めました。1996年のピーク時に約7兆1000億あった市場規模が、今は5兆円を割っていますから、どんどん小さくなっていったんです。なおかつ1998年に酒販免許の規制緩和が決まりました。今まではディスカウントショップや近所の酒屋さんが競争相手だったものが、大手スーパーやコンビニと戦わなくてはいけなくなる。つまり、競争相手の方が圧倒的に強いんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">そして、1997年から3年連続で酒類市場が縮小しました。3年続けて減った市場は、今後も減り続ける。つまり、完全な構造不況に陥ったわけです。販促費を投じてシェア拡大に力を入れていたビールメーカーも、利益を確保する方向に変わるだろうと。それが何を意味するかといえば、メーカーの販促費に支えられてきたディスカウント商法はもう成り立たないということ。それが、2000年のこの段階でわかっているんです。それなのに多くのディスカウントがスタイルを変えずに安売りを続けて、潰れていきました。</p>
<p class="fs14 spacing10">では、カクヤスはどうするか。価格や店づくりでは大手スーパーにはかなわない。利便性はコンビニが圧倒的に優位です。宅配はどうかといえば、みんなあまりやってない。しかも、うちは購入額の基準を設けずに無料配送していますから、これなら勝てるかもしれないなと。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、カクヤスがお届けでうまくいっていると聞けば、大手スーパーが参入してくるかもしれませんから、我々が生き残るには彼らがやらないことを実現しなくちゃいけない。そんな宅配はあるのかと思いながら世の中のお届けを見てみたら、ピザ屋さんでも何でも、必ずいろんな制約があるんですね。一つは地域の制約。店頭モデルに置き換えると、遠くからわざわざ来てくれたお客さまはウエルカムじゃないですか。でも宅配は、配達エリア外の人には「あなたには売らない」と言うんです。これっておかしくないか、というのが一つ。</p>
<p class="fs14 spacing10">もう一つは、お店では缶ビール1本のお買い上げでも「ありがとうございます」ですよね。ところが配達は、「缶ビール1本では届けない」と言う。すべて売り手の都合なんです。では我々は、まずエリアの制約をなくそうと。そうはいっても『日本全国どこでも』はできませんから、まずは23区内に限定して『どこでも行きます』と。うちの事業目的には『いつでも』『どこへでも』『どれだけでも』とあるのですが、消費者にとってとてもわかりやすいこの『どこでも』というキーワードを、まずは手に入れようということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そして、ロットの制約も設けない。本当は「いくら以上」と言いたいところですが、「ビール1本から届けます」と。次に、お届けのリードタイム。お約束できる最大限を計算したら、1.2キロの商圏では2時間です。このモデルで勝負するしかないんだろうなと考えたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>──── 一般的には、そうした戦略が頭ではわかっていても、エリアやロット、時間といった制約がトレードオフになって、踏み切れないことが多いように思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうでしょうね。私は、それは『敷居』だと思っているんです。エリアの制約をつけて敷居をあげて、ロットや時間の制約でさらに敷居をあげて。誰もそんな高い敷居はまたがないというのが、それまでの売り方であってね。ですから、とりあえず敷居を全部下げて、お客さまにできるだけ入ってきていただこうと。入ってきたお客さまにどう対応するかは、今度は我々の問題になるわけですから。そういったことでスタートしたのが、ちょうど2000年。それまでの価格一辺倒の売り方から、『真に便利なお届け』という付加価値に会社の最も大きな戦略をシフトさせたわけです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">優れた戦略は"危機との戦い"から生まれる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">ただ、価格戦略は答えが早く出ますが、『真に便利なお届け』という付加価値は、人によって感じ方が違うんですね。例えば高齢者の方には喜ばれても、自分で買いに行くことが苦ではない人は少しでも安いお店がよかったりするわけです。もっと難しいのは、一度利用していただかない限り、お届けの良さを実感してもらうことができない。価格戦略は、それこそ半年以内に必ず黒字転換します。ところが付加価値は時間がかかるんですね。あの当時で最低2年、普通は3年くらい黒字になるのにかかりました。</p>
<p class="fs14 spacing10">23区全域で『いつでも』『どこでも』を実現するには、計算すると137店が必要でした。当時のカクヤスは28店。効果がすぐに出ない状況の中で、規制が緩和される2003年までの3年間に、137店を目指して出店していったんです。</p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/kakuyasu_0401_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────世の中の多くの企業が同じような状況にありながら、短期的な利益が長期的な利益よりも優先し、御社のような思い切った手が打てない。そういうケースが、本当に多いように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">うちはオーナー経営ですから、すべてに自分の意思を貫けたのだと思いますね。上場会社では難しいでしょう。だって、何年間か大赤字を出すんですから。何よりも28店舗の会社が毎年30店以上出すは至難の技で、資金や人の確保はどうするのかといった、いろんな問題が起こるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">今思えば笑ってしまうのですが、店長候補の中途採用のキャッチコピーが、「キミも明日から店長だ」。そう言って採用していました (笑)。当然、酒のプロではないから商品を知らない、接客もよくわからない。それはもう「わかった」と。「だけど頼むから、配達だけは間違えないで時間通りに行ってね」と。ただ1つ、これだけを言っていましたね。でも、そうやって100店まできたときに、実は60店近くが赤字という事態だったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それは、ある程度は予想されていたことだったのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まったく予想してないですね。もう少し売り上げが立つと思っていました。そもそもチェーン店というのは、赤字店が2割あると利益が出ないといわれています。ところが6割の店が赤字。利益が出ないどころの騒ぎじゃないですよね。でも137店を出さなくてはいけない。最終的には、羽田空港など住宅がない地域は除外して118店で埋めたのですが、あと20店舗くらいのところが一番しんどかったですね。それでも何とかやりくりをして、118店で『23区どこでも』をうたえるようになり、今の原型ができたんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ところが、今は1日約1万2000件の配達をしているとお話しましたが、実は一般家庭のお届けだけでは、これでもまだ赤字です。おそらく損益分岐点は、1日2万件くらい。これは何かしなくてはいけないと周りを見回したら、天ぷら屋さんやお蕎麦屋さんといった、飲酒がメインではないけれど、でも扱っているという飲食店が結構あるよねと。</p>
<p class="fs14 spacing10">よくよく調べると、都内に約11万件のお酒を扱う飲食店があるんです。カクヤス1店につき1000件の計算です。実はこれ、何にもやっていませんでした。カクヤスはもともと業務用の酒屋で営業マンがいましたから、この飲食店を何とか取り込もうとプロジェクトを立ち上げたら、これがものすごく当たったんですよ。通常、業務用の酒屋は、前日に入ったオーダーを朝まとめて積み込んでルート配送します。その後に受けたオーダーの配達は翌日になる。ところがうちはいつでも2時間で運びますし、値段もそこそこ安い。実はこの『すぐ来る』ということが、一般家庭よりも喜ばれたんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────業務用のインフラは、一般家庭向けと同じものが共有できるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">できます。家庭向けは缶ビール、飲食店は樽生ビールや瓶ビールといった商品群の違いはありますが、共通しているアイテムも結構あって、同じインフラで回せる。これが大きかったですね。2003年から2006年までの3年間で開拓した飲食店の売り上げが、それまで十数年をかけた一般家庭の売り上げを軽く超えてしまった。そうして最終的にそろばんが合ったのが、2006年ごろのことでした。</p>
</div>
<h3 class="fs18">競合が見向きもしない市場を、"相手軸思考"で総取りする</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10">ですから、ひと言でいってしまうと『結果オーライ』。家庭用と業務用というのは、そもそも販促の方法がまったく違って、家庭用はマーケティングとマーチャンダイジングですが、業務用はセールスなんです。この両方の部隊を持っている企業が、実はあまりない。うちはもともと業務用の酒屋で、小売もやっていたので両方の仕組みを回すことができたんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────業務用を狙うにあたって、競合が関心を持たない比較的小さな飲食店をターゲットとされたことも大きいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。小さなお蕎麦屋さんやお寿司屋さんは、当日「冷やしビール10本持ってきて」という世界ですから、大手の業務用酒販店にはできないんですよ。だから飲食店さんは、高いのを承知で近くの酒屋に頼んでいた。その酒屋が規制緩和で次々と廃業してしまいましたので、小さな飲食店の買い場がなくなっていたんです。そこにカクヤスがはまって、取引を一手にできた。これは大きかったですね。他社とシェアしていたら、おそらく友倒れしたと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────他社が見向きもしない市場を取りに行ったという、そのご決断がとても重要なところだと私は思うんですね。オーナー経営だからできたとおっしゃいますが、世の中に数多くあるオーナー企業が思い切った決断ができているかというと、必ずしもそうとはいえない。やはりどうしても目の前のものを追うとか、コストがかかるからダメだとかね。この発想から脱却できるかどうかが、とても大きいのだろうなと思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはおそらく、相手の立場に立つということだと思いますね。売り手の立場と顧客の立場は、相反するんです。安くすれば儲からないし、お客さまは安い方がいいというようにね。お届けビジネスでいえば、遠方のお客さまの方がどうしたってコストはかかります。だから、配達エリア外には行かないという話になる。</p>
<p class="fs14 spacing10">でもお客さまからすれば、近所に酒屋さんがあるのに、わざわざ遠くのカクヤスに頼んでくれているわけです。そのお客さまを、遠いというだけで粗末にする。これっておかしいじゃないですか。それが世の常になっているけれど、まったく逆だと思いますね。というように、すべておいて、常に相手の立場に立つという思考の軸を持たなければダメだと思っているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>相手の立場に立つことの重要性を説く佐藤社長は、同時に、相手の立場に立って考えたサービスも「一発では当たらない」といいます。では、外れた場合にどのように修正し、顧客の声に近づけばいいのか。後半ではカクヤス流のサービスの磨き方と、佐藤社長が見据えるカクヤスの今後について伺います。</em></p>
</div>
</li>
</ul>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/09/post-104.html
">
<em><u>
規制緩和と市場縮小。
二重苦を乗り越えたカクヤスの『強みを生み出し続ける力』（後編）</u>
</em></p></a>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>企業永続の条件とは──過去を活かした柔軟な事業展開で、自社の社会的価値を高める（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/08/post-102.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.713</id>

    <published>2011-08-24T09:00:00Z</published>
    <updated>2011-08-24T02:15:23Z</updated>

    <summary>シヤチハタ株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">シヤチハタ株式会社<br /></A>
代表取締役社長　舟橋正剛さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">スタンプ台のいらないハンコでお馴染みのシヤチハタは、今年、創業86年目を迎える老舗企業です。スタンプ台の製造からスタートし、やがて自

社商品を否定することにもなる朱肉やスタンプ台いらずのハンコ、通称"シヤチハタ印"を開発。同社の名前を知らない人はいないほどの、業界トップ企業へと飛躍されました

。「自己否定」と称されることもある柔軟な事業展開によって目指すのは、自社の社会的な価値を向上させること。その視点に企業永続のヒントを求めて、四代目社長、舟橋

正剛さんにお話を伺いました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">創業86年、トヨタ自動車の車は持っていなくてもシヤチハタのハンコは持っている。紛れもなく日本人の誰もがお世話になっている会社といえる

。今、日本の企業を見てみると過去にはそれなりの実績はあるが、新しい時代に対応出来ず将来に向けての展望が開けていない企業が多い。そんな時、従来の経営の基本ソフ

トを捨てて新しい道に踏み出すのも一案である。<A Href="#shiten">→→続きを読む...</A></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体

的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>シヤチハタ株式会社</em> （<a href=" http://www.shachihata.co.jp/" target="_blank"> http://www.shachihata.co.jp/</a>）<br>
1925年に創業者の舟橋金造氏と弟の舟橋高次氏がインキ補充を不要にした「万年スタンプ台」を開発し、舟橋商会として創業。1941年、舟橋商会を改組し、シヤチハタ工業株

式会社を設立。1965年にスタンプ台いらずのスタンプ「Xスタンパー（通称シヤチハタ印）」を発売。従来の看板商品である「万年スタンプ台」を否定することにもなるリスク

を覚悟のうえで開発に踏み切った「Xスタンパー ネーム印」は、累計販売数1億5000万本という大ヒット商品となる。1995年にはパソコンの普及を先取りして、電子印鑑システ

ム「パソコン決裁」を発売。海外展開にも早期から積極的に取り組み1968年には米国・ロサンゼルスに現地法人を設立。海外では筆記具ブランドの「アートライン」を主力商

品に、約80カ国に輸出している。<br />
企業データ／資本金：7億3758万円、従業員数／655人（2011年3月現在・単体）、売上高／172億8224万円(2011年3月期・連結）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> MASAYOSHI　FUNAHASHI </em></p>
<p class="fs14">1965年生まれ。1993年に電通に入社。1997年にシヤチハタ工業(現シヤチハタ)に入社。1999年に取締役、2000年に常務取締役、2003年に副社長に就任。マー

ケティング、企画開発、事業総括、開発・生産事業、国内販売・商品開発などの担当役員を歴任し、2006年に代表取締役社長に就任。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">ニーズを先読みし、市場のないところに市場を生み出す</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────「パソコン決裁」の開発には、どのくらいの期間を費やされたのですか。</em></p>
<div class="alignright" style="width:250px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 「パソコン決裁」。電子印鑑を捺印・管理するためのソフトウェア。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">正確なところはわかりませんが、Windows95とほぼ同時期の1995年にリリースして、すぐにバージョン2を出しています。ただ、ネットワークがま

だ組まれてない時代でしたので、開発の協力パートナーになっていただいたアスキー・ネットワーク・テクノロジーさんと、オフィスにどう浸透させていくかということから

取り組みました。ですから、かなり先んじてやりすぎていたところはあるかもしれませんね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────現在は、何社に導入されているのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">約1万社、20万ユーザーくらいですね。
<p class="fs14 spacing10"><em>────高度成長の当時、スタンプ台はいずれ使われなくなると考えて「Xスタンパー」を開発され、パソコンがまだそれほど普及していな

い時期から「パソコン決裁」をリリースされたことを考えますと、やはり御社は何事もかなり先手を打って、市場のないところに市場を生み出してこられたように思います。

</em></p>
<p class="fs14 spacing10">先んじすぎて売れずに廃番にしたもので、今、発売したら売れるのではないかという商品も結構多いんですよ。「パソコン決裁」も、発売から15

年間バージョンアップを続けてきて、やっと今からいけるのではないかという状況が来たかなと思いますね。当初は基幹システムに向けた何千万円という案件ばかり見ていま

したが、それではなかなか商売にならず、会社全体ではなくて一つの部や課の中で使っていただくとか、勤怠の申請などもできるようにしようとか、いろんなことをやって勉

強してきましたので、今からさまざまな展開ができるのかなと思っています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">過去を活かして、事業を柔軟に展開する</h3>
<div class="txt">
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">例えば、iPad やiPhoneを始めとするスマートフォンもそうですが、今は端末がタブレット型になりつつありますよね。そうしたものが今後どうな

っていくのかは、とても気になります。時代は指紋認証から静脈認証に移っていますので、静脈を登録したデータから自分の印影を呼び出してタブレット型の端末で捺印でき

る、静脈と実際の印鑑のインキが紐付けされてアナログ的にも何かが証明できるといったことが実現すれば、金融機関での活用など、面白いことが提案できるのではないかと

思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────アナログと紐付いているのがいいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり日本人ですので、一緒に考えた方がいいですよね。海外でいえば、例えばサインをしたインキと整合性を持たせるとか、いろいろ考えてい

くと将来的なニーズは結構あるのではないかと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────事業領域が徐々に変わってきていると思われますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。ただ、我々のまったく手が届かないことをやっているわけではありませんし、核となる部分は変わっていないですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社に関して「自己否定」という表現がマスコミなどではよく使われていますが、今日、社長のお話をお聞きして、「否定」とい

うよりは「フレキシブル」だという印象を受けました。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">説明しやすい言葉でとなると「自己否定」になるのかもしれませんし、先人たちはその考えでやってきたのかもしれませんが、新しいものをつく

ったからといって、前のものがなくなるわけではありませんから、「否定」ではないんです。今のビジネス環境全体を見ると「自己否定」や「競合とやりあう」ということよ

りも、もっとやることがあると感じています。環境が変わってきたからそう思えるのかもしれませんが。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────私はいろいろなオーナー企業と仕事をさせていただいていますが、ご子息が社長になられると自分のカラーを打ち出されて、時に

はやや勢い余って過去を否定するような考えでおやりになる方が、比較的多いように感じています。社長からご覧になられて、創業から会社をここまで大きくされたお祖父さ

まやお父さまは、どういった存在ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">すごいですよ。今の収益はこれまでの事業基盤の上に成り立っているわけですから。そうした先人達がつくった基盤を広げて、30代から50代前半

くらいの我々の世代で、「自分たちはこれをやった」といえるようなものをぜひつくりたいですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">マレーシアに開発拠点を置き、国際化を加速</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうした事業分野のテーマのほかに、これからは海外比率を高めていくということも打ち出しておられます。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。当社は国内ではハンコのイメージが強いのですが、海外ではマレーシア工場を中心に筆記具を生産し、そこから約80カ国に輸出して

います。今後は、特に元気があるアジア、具体的には中国、インド、インドネシア、ベトナムといった市場には力を入れていきたいですね。中国とインドは工場と販売会社を

自社で展開していますので、現地市場でブランドを確立するべく注力しています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────海外で筆記具というのは、どういったご発想だったのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">昭和29年から「ケラミックペン」というマーカーを発売していまして、筆記具は初期のころからつくっていたんです。その当時から海外でも現地

の代理店に販売していただいており、海外展開の歴史は意外に古いんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">当社の筆記具が海外にこれだけ普及したのは、品質に対する評価を得られたということと、代理店ががんばってくれたお陰です。一般的な筆記具

ではなく、サインペンなどのマーカー系が中心ですが、現在ではオーストラリアが最も市場が大きくて、現地では圧倒的にナンバーワンブランドなんです。こう話すとみなさ

ん驚かれるのですが、オーストラリアのほかにもマレーシアや南アフリカ、ヨーロッパの一部の国など、当社が強い国が数カ国あります。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────筆記具の基礎技術は、スタンパーと同じなのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">素材とインキという面では一緒ですが、スタンパーも筆記具もどちらも開発できる人間がどのくらいいるかというと、意外にいないですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────開発拠点は日本に置いておられるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">今のところ主だった開発は日本です。しかし、生産の海外シフトがほぼ100％完了していますので、今後は筆記具の開発はマレーシアを中心にやっ

ていこうと、今、R&Dの部隊を現地につくっているところです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、スタンパーと筆記具のR&Dが分かれているのはもったいないですし、商品構成も国内はスタンプ、海外は筆記具というのは非効率ですから、

こうした効率をよくしていくことも海外比率を高める一つの要因だと考えています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">社員を育てるのではなく、社員が育つ環境を整える</h3>
<div class="txt">
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうした今後に向けてのさまざまな手を打っていくにあたって、人財育成や組織運営にはどのように注力されているのでしょうか

。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">組織や人財育成というのは、とても難しいですね。組織はいろいろと考えて変えてきましたし、教育制度もさまざまなことを取り入れています。

しかし「これが正解」というものがなく、最終的には一人ひとりの思いや気持ちが大切で、それをいかに導くかということなのだと思います。仕事で何かに悩んだときには、

自分が取り組んでいることがお客さまのためになっているか、社会に貢献できているのか、自分たちや家族のためになっているのかといったことに立ち戻る。それは理念的な

ことかもしれませんが、立ち戻れるものがあれば、自ずと社員も成長できると思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、私が入社した当時はまだうちの会長のブレーンの方々がたくさんいて、その方たちに国内や海外のお客さまに引き合わせていただいて、私

の今の環境があります。私はまだ40代ですので、お客さまのところに行って話していても「お前、こうしなきゃだめだよ」と言ってくれる方がいるんですね。これが50代、60

代になったら、そうはいかなくなるでしょうから、本当にありがたいことだと感じています。</p>
<p class="fs14 spacing10">そんな風に言っていただくためには、いつも謙虚な態度でいて、自分だけでは何もできないことを自覚して感謝の心を持ち、相手が年下でも年上

でも、素直に人の意見を聞くことが大切で、この3つができれば人は必ず伸びます。こういった環境をつくることが組織づくりであり、教育なのではないかと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────現状への不安や危機感を社員の方々とどう共有されているのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">これは課題ですね。お客さまらかもたまに「社員に危機感がない」と冗談めいて言われることがあるのですが、小さな成功をしてきた会社ですの

で、何か安堵感のようなものが社内に流れているように思います。といっても過去の成功体験は決して悪いことではなく、こんなにありがたいことはありませんので、それが

あるうえでしっかりと現状を認識して危機感を持たなくてはいけない。先ほどお話した気持ちの問題も、こうした危機感も、くり返し言い続けるしかないと思いますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">社会的価値を向上し続けることが、企業永続の条件</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────改めて、今後の一番のテーマとしてお考えのことをお聞かせください。</em></p>

<p class="fs14 spacing10">既存事業としてはこれだけグローバルな時代になってきていますので、グローバル調達、グローバル生産で効率を高めながら足腰を固めていくこ

とがテーマです。アメリカの工場はアメリカの需要に向けた生産に特化していますので、その他の地域をカバーするのは国内の稲沢工場（愛知県）と中国、インド、マレーシ

アの4工場になります。それに対して、素材の調達も含め、どこで製造してどこに販売することが最適なのかを考えることが、今後必要になってくると思っています。</p>

<p class="fs14 spacing10">新規事業としては、現在は売上の75％が印章関連の事業によるものですので、印章から認証に脱皮をしていく。これが今の一番のテーマです。

</p>

<p class="fs14 spacing10"><em>────事業は永遠ではありませんが、企業は永遠でなければなりません。永遠であるためには、どのようなことが大切になると思われま

すか。</em></p>

<p class="fs14 spacing10">会社として存在する以上は、働いてくれている社員に今日より明日はもっと幸せになってもらいたいという思いが第一にあります。また、我々の

事業は日本の文化に近いところにありますが、その文化が変わりつつある。それに対応できるのは、おそらく我々しかいませんので、「文化を守る」というとおこがましいで

すが、その役割は果たすべきだと考えています。そして、お客さまにもっと便利で安心・安全な商品を提供するという責務を果たす。答えになっているかどうかわかりません

が、そういったことではないかと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社会的価値を向上し続けない限り、企業は永続できない。そのお考えはとてもよくわかります。では、最後に伺わせてください。

社長にとってシヤチハタとはどういう存在でしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">自分の家ですね。社員は家族だと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────創業者の方もそういうお気持ちで、人生そのものとしてやっておられたのでしょうね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうだと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今後さらにご発展されることをお祈りしています。本日は長いお時間をありがとうございました。</em></p>
<br>
<br>
<A Name="shiten"><p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br></A>
<p class="fs14 spacing10">創業86年、トヨタ自動車の車は持っていなくてもシヤチハタのハンコは持っている。紛れもなく日本人の誰もがお世話になっている会社といえる

。</p>
<p class="fs14 spacing10">今、日本の企業を見てみると過去にはそれなりの実績はあるが、新しい時代に対応出来ず将来に向けての展望が開けていない企業が多い。</p>
<p class="fs14 spacing10">そんな時、従来の経営の基本ソフトを捨てて新しい道に踏み出すのも一案である。国内生産にこだわってきたが海外生産に軸足を移す。高付加価

値路線をやめて廉価路線に舵を切る。やみくもに過去を否定しろといっているわけではないが、未曾有の環境変化に直面する企業にとって捨てないリスク、過去にしがみつく

リスクは日々大きくなってきている。</p>
<p class="fs14 spacing10">21世紀の最初の10年が過ぎてしまったが、この間、最も輝いた企業はどこだろうか。アップルであろう。同社は、2001年に従来の基本ソフト（Ｏ

Ｓ）に見切りをつけ、ＯＳＸ（テン）と呼ぶ新しいＯＳに切り替えた。ＰＣの頭脳であるＯＳの全面刷新は容易なことではない。以前のＯＳに準拠した応用ソフトや使い勝手

の熟練は水の泡となるのでかなりの抵抗があったとのことであるが、ジョブスの決断で押し切った。旧ＯＳにしがみついたままでは、アップルを支える商品競争力は生まれず

、今日の繁栄はなかったであろう。</p>
<p class="fs14 spacing10">要は、捨てる決断が功を奏したのである。</p>
<p class="fs14 spacing10">シヤチハタ株式会社　舟橋社長とお会いして改めて企業の永続の条件を実感した次第である。<br><A Href="#top">→→記事の先頭へ戻

る...</A></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>企業永続の条件とは──過去を活かした柔軟な事業展開で、自社の社会的価値を高める（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/08/post-101.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.707</id>

    <published>2011-08-10T09:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:52:07Z</updated>

    <summary>シヤチハタ株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
<A Name="top">シヤチハタ株式会社<br /></A>
代表取締役社長　舟橋正剛さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">スタンプ台のいらないハンコでお馴染みのシヤチハタは、今年、創業86年目を迎える老舗企業です。スタンプ台の製造からスタートし、やがて自社商品を否定することにもなる朱肉やスタンプ台いらずのハンコ、通称"シヤチハタ印"を開発。同社の名前を知らない人はいないほどの、業界トップ企業へと飛躍されました。「自己否定」と称されることもある柔軟な事業展開によって目指すのは、自社の社会的な価値を向上させること。その視点に企業永続のヒントを求めて、四代目社長、舟橋正剛さんにお話を伺いました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">創業86年、トヨタ自動車の車は持っていなくてもシヤチハタのハンコは持っている。紛れもなく日本人の誰もがお世話になっている会社といえる。今、日本の企業を見てみると過去にはそれなりの実績はあるが、新しい時代に対応出来ず将来に向けての展望が開けていない企業が多い。そんな時、従来の経営の基本ソフトを捨てて新しい道に踏み出すのも一案である。<A Href="#shiten">→→続きを読む...</A></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>シヤチハタ株式会社</em> （<a href=" http://www.shachihata.co.jp/" target="_blank"> http://www.shachihata.co.jp/</a>）<br>
1925年に創業者の舟橋金造氏と弟の舟橋高次氏がインキ補充を不要にした「万年スタンプ台」を開発し、舟橋商会として創業。1941年、舟橋商会を改組し、シヤチハタ工業株式会社を設立。1965年にスタンプ台いらずのスタンプ「Xスタンパー（通称シヤチハタ印）」を発売。従来の看板商品である「万年スタンプ台」を否定することにもなるリスクを覚悟のうえで開発に踏み切った「Xスタンパー ネーム印」は、累計販売数1億5000万本という大ヒット商品となる。1995年にはパソコンの普及を先取りして、電子印鑑システム「パソコン決裁」を発売。海外展開にも早期から積極的に取り組み1968年には米国・ロサンゼルスに現地法人を設立。海外では筆記具ブランドの「アートライン」を主力商品に、約80カ国に輸出している。<br />
企業データ／資本金：7億3758万円、従業員数／655人（2011年3月現在・単体）、売上高／172億8224万円(2011年3月期・連結）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> MASAYOSHI　FUNAHASHI </em></p>
<p class="fs14">1965年生まれ。1993年に電通に入社。1997年にシヤチハタ工業(現シヤチハタ)に入社。1999年に取締役、2000年に常務取締役、2003年に副社長に就任。マーケティング、企画開発、事業総括、開発・生産事業、国内販売・商品開発などの担当役員を歴任し、2006年に代表取締役社長に就任。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">"現状への不安"が新しい商品を生み出す原動力</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────企業の中には、規模が大きくなると、事業を続けること自体が目的になってしまうケースが少なくありません。しかし、企業は永遠でなければなりませんが、事業や商品が永遠でなければならないといったことは全くないわけで、御社がさまざまに事業変革を行われ、海外展開も早くから進めてこられたことは、大変参考になると感じています。社長からご覧になって、ご創業からこれまでの間に、どのような変遷があったと見ておられますか。</em></p>
<div class="alignright" style="width:250px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0102_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">初期の万年スタンプ台。空気中の水分を吸収するグリセリンを使用することで"乾かないスタンプ台"の開発に成功した。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">当社は恐らく、きちんとしたスタンプ台を日本で初めてつくった会社なのだろうと思います。「万年スタンプ台（※）」といって、空気中の水分を取り込むことによって表面が乾かないようにしたもので、そのスタンプ台を印章店に売っていただくことから始まり、創業者の祖父から父、父から私へと受け継がれて今に至っているということです。</p>
<div class="alignleft" style="width:250px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">「Xスタンパー」、通称「シヤチハタ印」。昭和40年の発売以降、累計販売数1億5000万本という大ヒット商品となる。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そのスタンプ台がある程度認知されて、そうこうするうちに高度成長期を迎えて事務業務がどんどん合理化され始めたんですね。これは、スタンプ台とゴム印はそのうちなくなるぞ、と。そこで、既存商品とのカニバリゼーション（※）は気にせず、もっと便利なものを消費者の皆さんに届けようと開発したのが「Ｘスタンパー」です。</p>
　<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※自社の商品同士で市場を奪い合う「共食い」現象のこと。</p>
<p class="fs14 spacing10">「Ｘスタンパー」の発売が昭和40年、その後、シヤチハタの社名やブランドの認知を大きく高めることになった「ネーム印」を出させていただいたのが昭和43年。画期的な商品でしたが、印章店さんからは「スタンプ台が売れなくなる」「印鑑メーカーをつぶす気か」と、かなり抗議があったようです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ネーム印が認知されるようになってからも品質が安定せず、大手銀行にも扱っていただきましたが、印影が変色してしまうといった耐光性の問題を含めて不具合がいろいろとあり、会長曰く「謝ってばかりいた」と。「この改良でダメならもうやめよう」というところまで追いつめられて、何とか踏ん張ったと。だから、今があるということだと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうしてできたＸスタンパーは46年選手、スタンプ台は発売から86年になります。事業の次の柱として、パソコンやインターネットの普及に対応した「パソコン決裁（※）」を開発し、コンピューター上での認証も手がけていますが、こうした事業の流れを見ると、やはり現状に対する不安が商品開発の原動力になってきたように思います。当社の事業展開は、「自己否定」とマスコミなどではよく言われますが、結果的にはそう見えても、実際は「次はこういう時代がくるから、こういう商品が必要だ」と。そういった考えから、今に至っているように思います。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※電子印鑑を捺印・管理するためのソフトウェア。</p>
</div>
<h3 class="fs18">新事業は、既存事業の経営資源が活かせる分野で勝負する</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>──── 一般的には、既存事業がかなり追いつめられてから動き出すことが多いように思います。特に業界のナンバーワン企業の場合は、その傾向が極めて強いように感じますが、御社はどういった着眼で先手を打ってこられたのでしょうか。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">業界自体が右上がりではありませんので、常に危機感は持っていますね。次の商品や次の軸といっても、そんなに簡単にはできませんから、どうしようかと一所懸命に動いています。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ我々には、新しい事業は既存技術の延長線上でなければやらないという暗黙の考え方があるんです。スタンパーに使うゴムの素材こそは買ってきますが、カーボンや薬品を配合して自社で製造していますし、本体のプラスチックも、ペレットになる素材は買ってきますが、成形は自社で行います。インキも顔料や染料、溶剤は調達しますが、何万種類という配合は自社で開発しています。ブルー・オーシャンな市場（競争が少ない未開拓市場）が近い業界にあったとしても、こうした既存技術が活かせなければ進出しないという考え方がベースにあるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">その結果、従来からの商品とのカニバリが起こることもあります。例えば、我々はオフィスに納品する商材がメインですが、最近では企業の経費削減で、職場の文房具を個人で買われるケースが増えているんですね。それに対応して、パーソナルを意識した商品構成に変えていこうと。すると、どうしても従来品とのカニバリは起きますが、そんなことをいっている時代ではないという考えでやっていくということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、既存技術を活かして"素材ビジネス"や"個体差認証"といった新事業にも着手していますが、これらは言ってみれば、今まで手をつけてこなかったものです。ですから、過去の成功体験がぬぐえずに苦労している面はありますが、失う物がないんですね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">既存事業の足腰を強化してこそ、新しいことに挑戦できる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────同様に、現状に不安を抱きながらも、事業を変革できずにいる企業も少なくありません。捨てることへの怖さがあって、経営者自身が思い切れないのではないかと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">私には、「捨てる」という意識はないですね。現在の基盤をつくってくれた先輩方には感謝していますし、変化するためにはまずはその基盤を強くしなくてはいけないと思っているんです。海外も含めて、実際に使ってくださっているお客さまのニーズやクレームをどれだけ聞けているかといったことを考えると、既存の商売自体も全くやり切れていないわけです。まだまだやれることはある。そうして足腰を強くしてこそ、新しいことができると思っていますので、何かを捨てて新しいことをするという考えはないですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、既存の商品や市場が消えてなくなってしまうということもないと思います。細くなってくるのをどうプラスアルファしていくかという考え方ですので、新しい事業を手がけることに対してリスクは認識していても、不安はありません。ただ、新事業が成功して一つの柱になるには時間がかかりますので、どうしても焦るんですね。そこはじっくりと育てていかなければいけないと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今までの商品の中でやり切れてないことに注力すれば、まだいろいろなニーズがあるということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ありますね。国内でいえば、事務用品の納品が主流でしたので、個人消費者へのマーケティングはほとんどしてこなかったんです。ですが、先ほど申し上げたように、オフィスで使うものも個人買いが増えてきていますし、オフィス向け以外では子どもさんやシルバー産業といった完全にパーソナルなところで我々に何ができるか。例えば、「おりがみ工場」というチラシなどで折り紙をつくって楽しんでいただくようなものも開発し、ハンコに限らず取り組んでいます。</p>
<div class="alignright" style="width:300px;">
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0302_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">「おりがみ工場」：不用になったチラシなどを使って折り紙を作ることができる。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10"><em>────これは素材の用途開発と考えてよいのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。プラスチックの成型品ですので、既存技術の延長線上にあるものだといえます。パーソナル市場として、お子さんや高齢者の方々に目を向けていますので、そこでのニーズを考えたときに、「おりがみ」というキーワードが出てきて、こうした商品が生まれたということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────新しい領域に行かれると競合企業が変わるように思いますが、いかがですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはないですね。確かに折り紙の道具としての競合は印章とは違いますが、折り紙専門でやっておられる会社を競合と考えるのではなくて、「餅は餅屋」ですから専門のところに売っていただこうと。ハンコの業界もそうですが、競合だからと肩肘を張るのではなく、あいまみえる部分は協力して、いかに「Win-Win」の関係をつくるかに注力した方がいいのではないかと思うんです。徐々にですが、文具のメーカー同士でコラボレーション商品をつくるといった動きも起こりつつあります。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>──── "B to B"と"B to C"の売上比率は、将来的にはどのような割合を目指しておられますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">文具市場がどう変わっていくか、なかなか読みづらいことではありますが、"B to B"が6割、"B to C"が4割といった辺りになるのではないかという気はします。つい最近も、出張先の東京のホテルでフロントの女性が当社のピンクのネーム印を使っておられましてね。何も知らないフリをして、「こんな色のものがあるんですね。個人で買われるのですか」と尋ねたら、「会社が買ってくれないものですから」とおっしゃるんです。同様に、いろいろな企業が文房具を個人買いにして経費を削減されていますので、個人のニーズをよく知らなければならないと考えています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">"印章から認証"へ。技術の内製化を強みに事業を拡大</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────新事業として「個体差認証システム」の開発も手がけておられますが、これは考えてみると、従来の印鑑も認証であるということですね。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/shachihata_0401_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。ただ我々の商品は基本的には簡易なハンコですので、セキュリティとしては脆弱な面があります。といっても、我々は認証制度自体には手を出していませんし、印鑑登録制度がなくなることもないと思いますが、やはり、国内や海外の今後を考えたときに、本当に安心、安全を提供できる認証システムをつくりたいと考えています。</p>
<p class="fs14 spacing10">例えば、最近ではスーパーなどで「○○さんがつくった有機野菜」といって、生産者の写真付きの野菜が通常よりも高い値段で売られていますよね。けれども万が一、そこに悪意があればいかようなことでもできるでしょう。過去にも食品の偽装問題がありましたし、製造部品などでも同様に偽装の問題を抱えておられます。</p>
<p class="fs14 spacing10">安心・安全で正しいものを提供したいというメーカーの商品を、最終的にお届けするまでの流通の中で、登録して認証し、OKなものをお客さまに渡す。そういったシステムのニーズが、今後非常に高まるのではないかと感じています。それも、インターネットとアナログとを紐付けていくことで、市場が広がるのではないかと。今はそうしたことを手探りでやっている段階です。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社の技術はどういった形で活かされるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">我々はインキ屋でありハンコ屋でありますので、ハンコで言いますと、出荷するときにポン、ポンと包装資材に検印を打ち、その印影を一つひとつCCDカメラ（※）のようなもので撮影してデータをサーバーに保存しておくんです。そしてスーパーなどの小売り側が、受け入れた商品の印影を撮影してサーバーのデータと照らし合わせれば、正規品かどうかを確認できるという仕組みです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※小型の高感度カメラの一種</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのときには、やはりハンコが不可欠ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">作業を考えるとハンコもありかなと思いますが、印刷物でも認証できます。印刷の色むらをナノレベルで判別すると、まったく同じ印刷物ということはありえませんので。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ニセ札を見破るようなものですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうですね。ダイヤモンドもまったく同じ結晶のものはありませんから、同じ技術で本物かどうかを識別できるんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────これはまだ世界にない技術なのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">大阪大学の教授を研究パートナーに今、一所懸命にやっているところです。まだ少し深堀りしなくてはいけないところがあるものの、中国など海外からも引き合いがあり、そろそろ実証実験を開始したいと考えているところです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────印刷物も識別できるということは、インキの技術の応用になるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">派生したきっかけは、電子印鑑システムの「パソコン決裁」の開発です。実は「パソコン決裁」を開発したときには、外部からシステムエンジニア（以下SE）を大量採用したわけではなく、社内からできそうな人間を集めて教育してつくったんです。その頃、西和彦さんという方が率いておられたアスキーさん（※）のグループ会社で、ネットワーク技術を手がけるアスキー・ネットワーク・テクノロジーさんと提携しましてね。勉強させてもらいながら開発しました。ですから今、ソフトをつくっているのは、昔はハンコを持って営業していた人間だったりするんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※株式会社アスキー。コンピューター関連の雑誌や書籍の制作を手がける企業。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────なぜ、外注やエンジニアの中途採用ではなく、自社開発を選ばれたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">私が陣頭指揮を取っていたわけではありませんのでわかりませんが、やはり自分たちでつくる苦しさみたいなものがないと、強みがそこに残らないからではないかと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────確かに、自分たちで汗をかいたもののほうが後に残りますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">最初のころは定期的に何人かを出向させていただき、徐々にいろいろな企業とアライアンスを組んで、学びながら今に至っているのが｢パソコン決裁｣です。そうして蓄積した技術がベースとなって、個体差認証システムが生まれたということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>ペーパレス時代を迎え、印章の"その先"を見据える同社ですが、新たな事業展開はこれまでの延長線上にあるものであって、決して「自己の否定」ではないと語る舟橋社長。後編では今後の事業展開に加えて、同社の人と組織についても伺います。</em></p>
<br>
<br>
<A Name="shiten"><p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br></A>
<p class="fs14 spacing10">創業86年、トヨタ自動車の車は持っていなくてもシヤチハタのハンコは持っている。紛れもなく日本人の誰もがお世話になっている会社といえる。</p>
<p class="fs14 spacing10">今、日本の企業を見てみると過去にはそれなりの実績はあるが、新しい時代に対応出来ず将来に向けての展望が開けていない企業が多い。</p>
<p class="fs14 spacing10">そんな時、従来の経営の基本ソフトを捨てて新しい道に踏み出すのも一案である。国内生産にこだわってきたが海外生産に軸足を移す。高付加価値路線をやめて廉価路線に舵を切る。やみくもに過去を否定しろといっているわけではないが、未曾有の環境変化に直面する企業にとって捨てないリスク、過去にしがみつくリスクは日々大きくなってきている。</p>
<p class="fs14 spacing10">21世紀の最初の10年が過ぎてしまったが、この間、最も輝いた企業はどこだろうか。アップルであろう。同社は、2001年に従来の基本ソフト（ＯＳ）に見切りをつけ、ＯＳＸ（テン）と呼ぶ新しいＯＳに切り替えた。ＰＣの頭脳であるＯＳの全面刷新は容易なことではない。以前のＯＳに準拠した応用ソフトや使い勝手の熟練は水の泡となるのでかなりの抵抗があったとのことであるが、ジョブスの決断で押し切った。旧ＯＳにしがみついたままでは、アップルを支える商品競争力は生まれず、今日の繁栄はなかったであろう。</p>
<p class="fs14 spacing10">要は、捨てる決断が功を奏したのである。</p>
<p class="fs14 spacing10">シヤチハタ株式会社　舟橋社長とお会いして改めて企業の永続の条件を実感した次第である。</p>
</div>
</li>
</ul>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/08/post-102.html
">
<em><u>
企業永続の条件とは
──過去を活かした柔軟な事業展開で、自社の社会的価値を高める（後編）</u>
</em></p></a>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>人を大切にする経営──すべてを社員に見せ、分かちあう&quot;丸見え経営&quot;（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/07/post-100.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.701</id>

    <published>2011-07-27T09:00:00Z</published>
    <updated>2011-07-27T01:29:01Z</updated>

    <summary>株式会社21</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
株式会社21<br />
相談役　平本 清さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">『人を大切にする経営』のシリーズ第3回目は、広島を中心にメガネの販売チェーン『メガネ21（トゥーワン）』を展開する株式会社21の創業メンバー、平本清相談役に伺います。社員が自社に出資する『共同出資方式』を採り、内部留保はゼロ。財務や人事評価など会社運営のすべて社内に公開。独自の経営方式で、経営効率と働きがいを高いレベルで実現させておられます。非常識にも見える経営に込める思いを、じっくりと語っていただきました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">『メガネ21』は、一般的な企業とはまったく逆の経営手法を取り入れ、成功されている企業だ。例えば銀行からの融資は受けず、必要な資金は社員からの出資でまかなっておられる。通常、社内株主制度はあっても、出資という形をとる企業は稀である。しかし、社員が出資しているからこそガラス張り経営が求められ、そのことが経営陣への牽制にもなっている。「出資したからには！」と、社員のモチベーションも高まる。同社の施策は、通常の企業ではありえないものばかりだ。ただ、だからといってその正否を論じることはできない。それらは意図されたものではなく、生き残りをかけた模索の中から結果として誕生したものだという。経営の仕組みとは、既成の形式を取り入れればよいのではなく、内発的に生まれるべきものである。そのことを、我々は同社から学ばなくてはならない。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社21</em> （<a href=" http://www.two-one.co.jp/a21/" target="_blank"> http://www.two-one.co.jp/a21/</a>）<br>
1986年設立。広島県内で6割近いシェアを持つ大手メガネチェーンを解雇された同僚4人で創業。「会社に利益を残さず、お客さまと社員に還元する」ことを経営方針に、利益はすべて値下げと社員の賞与の原資に。社員が株主となり、会社運営のすべてをイントラネットを通じて社内にオープンにする『丸見え経営』で、全員参加の経営を実現。社員が高いモラルとモチベーションを持って働き、業績が社員に還元されるという好循環で事業を伸ばし、創業時の2店舗から、広島を中心に全国120店舗以上、年商85億円のチェーンを展開するまでに成長している（数値はいずれもグループ連結）。<br />
企業データ／資本金：5000万円、売上高／42億3467万円（単独、2011年2月期実績）、従業員数／197名（単独、2011年4月現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> KIYOSHI  HIRAMOTO </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1950年生まれ。高校卒業後、広島最大手のメガネチェーンに入社。高い業績を挙げ、26歳で本店副店長に就任し、商品部長や電算室長を歴任。その後、社長交代劇に巻き込まれ、86年に解雇される。同じく解雇された同僚4人で「メガネ21」を設立。2010年に定年退職し、現在は非常勤の相談役として勤務。著書に「お金を会社に残さない！」（大和書房）、「丸見え経営」（ソフトバンククリエイティブ）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">エリア別に別会社化し、リスクを分散</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────独自のシステムを貫くという観点からいえば、私は、企業は無理に規模を追わない方がいいのではないかと思います。どのような考えを持っていても、規模を追うと、大きくするためにはその考えと違うこともしなくてはいけない。そういったことが起こりがちです。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">わが社も株式会社21が広島を基盤にしていますが、隣の山口県では株式会社21山口という会社をつくり、そのほかの地域も21沖縄、21島根、21長野、21東京とすべて別会社にしています。我々も少しは株を持ちますし、資金も援助しますが、社長はそれぞれに置いて自分たちで運営してくださいと。そうすると、みんな元気ですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────自分たちのものだから、ですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう、自分たちのものなんです。ただ、我々の欠点は、ここが売れそうだというところに店を出さないんです。そこでメガネ屋をやりたいという人がいたら、店を出す。そうすれば経費があまりかかりませんでしょう。これが例えば、広島から沖縄に転勤させると転勤費用はかかりますし、家族も苦しむ。それでは幸せではないですよね。</p>
<p class="fs14 spacing10">広島は私の代でここまで大きくなりました。このノウハウがあるから、21山口も同じようにやれば山口でナンバーワンになれます。沖縄もそう。そうやっていけば日本一になれるのではないかと。それが誰かの所有物になって、全体を動かす社長がおかしくなったら全部がダメになるというのが一番怖い。ですから、株式はそれぞれのメンバーが5割以上を持ち、広島から何か言われても「ノー」と言えるようにしてあるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ゆくゆくは各地の21でそれぞれのやり方が生まれるかもれませんが、それもよしとされると。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはもう大歓迎です。山口のものがいいとなれば、こちらは学べばいい。学ばないなら、潰れていけばいいのです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">会社は順調なときの方が危ない</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────21の考え方や風土は、平本さんが中心となってつくってこられたわけですが、変わっていくことについてはどうお考えですか。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">私は全部残していきますが、後に「私はこうしたい」「ああしたい」ということが出てくれば、その人たちの考えでやればいいことだと思いますね。会社というものは、美田を残せば残すほどダメになりますから。</p>
<p class="fs14 spacing10">21がぐんぐん伸びていったときに、ある卸会社からこう言われたことがありました。「21の成長の影で、小さなメガネ店が次々となくなっていく。これをどう思うか」と。だから私は、「わかりました。そういう店を私が救いましょう」と。21の広告や企画は私が手がけていましたから、他のメガネ店の広告や商品企画、仕入れも私が引き受けることにしたのです。</p>
<p class="fs14 spacing10">若い社員は、「そんなことをしたら、うちがやられます」と反対しましたが、「やられるなら、やられてしまえ」と。今は会社の力で安く販売しているから、誰でも勝てる。今度は私が向こうの仕入れも広告もやるから、一所懸命に接客しなくては負けますよ、と。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員の方々にとっては、大きな刺激になりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。会社は順調なときの方が危ないんです。ですから、資金を内部留保するというのは、会社をぬるま湯にすることですよ。美田を残せば残すほどダメになるということは、ことわざにもあって昔から教えられているにも関わらず、一所懸命に美田を残そうとするんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────先人の教えがあるのに学習しない。我々も含めて、そういう例はたくさんあるように思います。</em></p>
</div>
<h3 class="fs18">「満足度」ではなく、「幸福度」を追求する</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────お話を伺って、御社がなさっていることはまさに商売の基本だと実感しました。冒頭で、他社には真似ができないというお話がありましたが（前編参照）、追随しようとする企業がなぜ出てこないのかと、本当に思いますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">価値観の違いだと思います。先日、講演に行ったときに、ある大学の先生がこう言われました。「みなさんは、平本さんの話を勘違いしていますよ」と。その先生によると、アメリカの調査で、年収と満足度や幸福度のとの相関を調べたデータがあり、年収が増えると満足度も上がるという結果が出たのだそうです。けれども幸福度は、年収600万円を超えたあたりから下がっていくらしいんです。それ以上になると、相続はどうするとか、誘拐されるのではないかとか、心配なことが出てくるんですね。「だから平本さんは、幸福度のことを言っているのですよ」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">その意味では、私は今、とても幸福です。たまたま創業には参加しましたが、気持ちは"サラリーマン"ですから。サラリーマンというのは、たくさん売り上げたのに給料がそれほどでなくても楽しめるんです。私には、経営者や創業者といった特別な意識はなくて、今もサラリーマン気質を忘れていません。その方が、幸福になれるんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社の社是にも「社員の幸福を大切にします」とあります。社員の幸福とは、どういうものだと思われますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">幸福の青い鳥を探して旅に出たら、その鳥は実は家にいたという童話がありますね。「これがあれば幸福になる」と考えるのではなくて、辛いことを取り除いていくと不幸ではなくなるんです。例えば、最新の6000万円の車が欲しいといって買っても、2年も経てばもう幸せではないですからね。次のものが欲しくなりますから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────きりがないですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう。満足度は味わえるんです。でも幸福ではなない。では何を一番幸せに感じるかというと、例えば、私が事務所を出たらみんながホッとするというのでは、幸せではないですよね。でも、私は講演料や本の印税、私の特許の使用料も全部会社に入れていますから、みんな優しくしてくださるんです(笑)。ですから、私は今、すごく幸せです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────おっしゃっておられるのは「利他の精神」ですね。自分があるところまでいけば、それ以上は他人に還元し、人のために使う。それのお考えは、とてもよくわかります。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">日本人は、みんなそうしてきたわけですからね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">創業期を知らない社員に、創業期を体験させる</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご業界全体としては、かつてのような上昇トレンドから下降トレンドに向かっておられますが、そういった中で今後の課題としてお考えのことはおありですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「創業期を体験しなさい」ということですね。創業期を体験するのは簡単で、価格を下げればいいんです。そして、給料を下げてお客さまに還元しましょうと。価格を下げるわけですから、業績は下がります。業績が下がっても、お客さまは減りませんから、これはとても大きな内部留保ですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「お客さま」という内部留保ですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。「21は本気だ」と。「本気で会社に利益を残さず、還元している」と。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────厳しいときほどそういう姿勢をはっきりと見せることが大切になりますね。</em></p>
<div class="alignright" style="width:205px;">
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0402_b.jpg" alt="" /><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0403_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">ツルなしメガネの先行品としてすでに発売されている「Fit-mini」シリーズ。</p>
</div>
<p class="fs14 spacing10">そうです。ぬるま湯には浸かってはならないということです。同時に、新しい商品もどんどん開発しています。例えば、今私がかけているツルなしメガネ。鼻パッドにヌーブラ（※）などにも使われている粘着性の素材を使うことで、ピタっとくっつくようにしてあるんです。うちの女性社員から、「美容室でメガネを外されると雑誌が読めない。平本さん、何か考えてください」と言われて開発したものです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※　特殊シリコーンで作られた、素肌に直接貼りつけて使用するブラジャー。</p>
<p class="fs14 spacing10">今は、プラスチックレンズを留めている金属部分を改良して、メンテナンス性を高めたものを試作中です。これは大手のレンズメーカーにもない技術で、私の特許を使ってできるようになったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">もう一つ、こめかみまでの短いつるのメガネも試作中です。小耳症といって、生まれつき耳の形が不完全な方が6000人から1万人に1人の割合でいらっしゃるのですが、そういった方に使っていただけるものです。私たちも普段、ソファーで横になるときなんかに、耳が圧迫されてもメガネがずれませんからいいんですよ。ほかにも、花粉症の人のためのメガネも試作中です。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そうやってアイデアを次々と打ち出していかれれば、市場の可能性はまだまだ大きいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ええ、もうまったく大丈夫です。だって、他のメガネ店にはないんですから。今や我社は、フレーム部品とレンズを仕入れてメガネのデザインを創作するメガネメーカーに変身しています。フレームは私の特許を使ってフレームメーカーにつくってもらうわけですが、これもデザインやサイズごとに200万円の金型代が必要だったものを、金型を創らずにデザインをデータで送受信・加工するシステムを独自に構築しました。創作したデザイン情報はお客さまにカタログとしてアピールし、店舗へは制作情報を配信する革命的なシステムです。</p>
<p class="fs14 spacing10">これによって20円の型板でデザインやサイズが無制限に生産できるようになり、圧倒的な競争力を得たんです。『綺麗なメガネ』というキーワードで、インターネットで検索していただければ、詳しい情報を公開していますから、よくご覧いただけると思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今までに何種類くらいご自身で開発されたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">20くらいはあると思いますね。でも、それも簡単なんです。知り合いから「困っている」と相談されることに応えるだけで、結構アイデアが出るんですよ。それも、私の場合は寝ながら、です。夜、問題を考えて回答が出ないうちに寝ると、目覚めたときにアイデアが浮かびます。夜中の1時、3時、5時、7時と何度も目が覚めては、忘れないようにパソコンに打っておくんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">思えば先代のおやじさんがそうで、トイレや枕元に常にメモ用紙を置いていました。若い頃は、「寝るときくらい気持ちよく休めばいいのに」と思っていましたが、年を取ったら私も同じことをしています（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────次のことを常に考えておられるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ええ。仕事中はゴルフのスイングで悩んで、ゴルフ場では「あのフレームはどうしよう」と考えて（笑）。悲壮感を持ってもいいアイデアは出ませんからね。もちろん、結果はしっかりと出していきますが。</p>
</div>
<h3 class="fs18">幸せに働ける会社をつくるには、トップのモラルが不可欠</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────現在のメガネ21は、ご創業時に考えておられた会社に近いのか、それとも違った形になっておられるのか、改めて振り返ってみてどうご覧になりますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ここまでのことは考えていませんでしたね。創業のときは辛かったですし、会社がうまくいかない時期に離れていった人もいました。仕事がうまくいくと妬まれたり、そういう辛さがありましたが、結局は「いい集合・いい分散」で、集まってくれた人はみな気心の知れた人ばかり。だから、本当に今が幸せだと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10">いつ潰れるかと思ってやってきましたが、潰れずに今日まで来て。若い後継ぎがたくさん入ってきて、その人たちが新しい店を出してくれる。私どもの歴代の社長の息子さんも、みな入社しています。息子が入ってくる会社というのは、やはりいい会社だと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">若い社員も会社にお金を貯めて、その金額もみなわかりますし、全員が素晴らしいということはありませんが、でも一緒に10年くらい働けば、お金を出してやろうかという気になるんですよ（※）。年を取ったら、若者を応援して育てる。それができるのは、とても幸せなことですよ。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※メガネ21では人事コースが大きく「一般職」と「経営職」に分かれ、経営職の社員は独立を目指す。その際の開業資金は給与から積み立てるほか、社内で出資を募る仕組みになっている。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────平本さんがお作りになられた会社のありようが、ずっと広がっていくとよろしいですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはもう、望外の喜びですね。経営を世襲にすると泥沼になりますが、それは禁じているわけですから、変な事はできませんしね。平本の息子だから社長になるということもないし、私の仕事ができるわけでもありません。みんな、それぞれの力量に合った仕事をしていって欲しいと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのように自分をコントロールされるのは、とても難しいことだと思います。頭ではわかっていても、なかなかできない経営者の方も多いのではないでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">みなさん年を取ると頭が回らなくなるのと、家族が許さないんですよ。ということは、個人の資産にするからいけないんです。わが社では、株主の上位3者が合計で5割を超える株を保有することも禁じています。3者というのは、私の義理の弟夫婦とその息子、私のいとこ、はとこまで、親族のほとんどを合わせて1人と数えます。民主主義になったから日本が今日あるわけで、会社も民主主義の方が継続すると思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社のこのシステムを維持するためには、トップのモラルが一番大切だと著書にも書いておられますが、世襲や株の大量保有を禁ずるのもその一つということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。経営者のモラルが低ければ、周囲のモラルも低くなります。高ければ、周囲も高くならざるを得ない。低い人を排斥しますからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────自己管理するために、他律的なものをいつもどこか意識の中に置いているという経営者の方もいらっしゃいました。「常に神様に見られていると思うことが、自分の戒めです」と。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ですから、私は全部オープンにしているんです。外から見えるようにしておけば、何かあばみんなから言われますから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────最後に伺います。平本さんにとって、メガネ21はどういう存在ですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">私の趣味であり実益であり人生で貫いた仕事、ですね。最近になってやっと商品開発までできるようになりました。もう少し早くできていればと思いますが、やはり時期があるのでしょうね。だから若い人にも言うんです。お客さまのリクエストに応えられないことがあっても、ただ「できません」というのではなく、「今の能力ではできません」と、謝り続けていればそのうちに解決策が見つかる、と。私も最近になって商品のアイデアが出始めましたから。ただし、特許を取って儲けてやろうと思うと、儲け話ばかりになってしまう。そうではなくて、このお客さまにこんな風に使ってもらったら喜んでいただけるという、その思いが大切なんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────おっしゃることはまさに経営のあるべき姿であり、経営者であれば誰しもそのことを理解できるはずですが、わかっていながらできない企業があるとすれば、なぜできないのかと。やはりそう思わずにはいられません。本日は貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>人を大切にする経営──すべてを社員に見せ、分かちあう&quot;丸見え経営&quot;（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/07/post-99.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.695</id>

    <published>2011-07-13T01:00:00Z</published>
    <updated>2012-01-26T00:52:15Z</updated>

    <summary>株式会社21</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs14 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
株式会社21<br />
相談役　平本 清さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">『人を大切にする経営』のシリーズ第3回目は、広島を中心にメガネの販売チェーン『メガネ21（トゥーワン）』を展開する株式会社21の創業メンバー、平本清相談役に伺います。社員が自社に出資する『共同出資方式』を採り、内部留保はゼロ。財務や人事評価など会社運営のすべてを社内に公開。独自の経営方式で、経営効率と働きがいを高いレベルで実現させておられます。非常識にも見える経営に込める思いを、じっくりと語っていただきました（聞き手：OBT協会代表　及川 昭）。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing10"><em> [及川昭の視点] </em><br>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">『株式会社21』は、一般的な企業とはまったく逆の経営手法を取り入れ、成功されている企業だ。例えば銀行からの融資は受けず、必要な資金は社員からの出資でまかなっておられる。通常、社内株主制度はあっても、出資という形をとる企業は稀である。しかし、社員が出資しているからこそガラス張り経営が求められ、そのことが経営陣への牽制にもなっている。「出資したからには！」と、社員のモチベーションも高まる。同社の施策は、通常の企業ではありえないものばかりだ。ただ、だからといってその正否を論じることはできない。それらは意図されたものではなく、生き残りをかけた模索の中から結果として誕生したものだという。経営の仕組みとは、既成の形式を取り入れればよいのではなく、内発的に生まれるべきものである。そのことを、我々は同社から学ばなくてはならない。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/trainer/trainer01.html">OBT協会　　及川　昭</a><br>
企業の持続的な競争力強化に向けて、「人財の革新」と「組織変革」をサポート。現場の社員や次期幹部に対して、自社の現実の課題を題材に議論をコーディネートし、具体的な解決策を導き出すというプロセス（On the Business Training）を展開している。</p>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社21</em> （<a href=" http://www.two-one.co.jp/a21/" target="_blank"> http://www.two-one.co.jp/a21/</a>）<br>
1986年設立。広島県内で6割近いシェアを持つ大手メガネチェーンを解雇された同僚4人で創業。「会社に利益を残さず、お客さまと社員に還元する」ことを経営方針に、利益はすべて値下げと社員の賞与の原資に。社員が株主となり、会社運営のすべてをイントラネットを通じて社内にオープンにする『丸見え経営』で、全員参加の経営を実現。社員が高いモラルとモチベーションを持って働き、業績が社員に還元されるという好循環で事業を伸ばし、創業時の2店舗から、広島を中心に全国120店舗以上、年商85億円のチェーンを展開するまでに成長している（数値はいずれもグループ連結）。<br />
企業データ／資本金：5000万円、売上高／42億3467万円（単独、2011年2月期実績）、従業員数／197名（単独、2011年4月現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> KIYOSHI  HIRAMOTO </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1950年生まれ。高校卒業後、広島最大手のメガネチェーンに入社。高い業績を挙げ、26歳で本店副店長に就任し、商品部長や電算室長を歴任。その後、社長交代劇に巻き込まれ、86年に解雇される。同じく解雇された同僚4人で「メガネ21」を設立。2010年に定年退職し、現在は非常勤の相談役として勤務。著書に「お金を会社に残さない！」（大和書房）、「丸見え経営」（ソフトバンククリエイティブ）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">当たり前のことを当たり前に追求していたら<br>真似のできないシステムが生まれた</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────私どもは、さまざまな企業の風土改革や人財育成に関わってきましたが、特にこの5、6年、ある問題意識を強く持つようになりました。「人こそ最大の経営資産」とおっしゃる経営者が多い一方で、その経営施策が結果的に社員を疲弊させている企業が少なくありません。例えば、アメリカ型の精緻な戦略や過度の効率化、成果主義型の人事制度といったものが前線の士気を低下させているように思います。かたや御社では、独自の経営スタイルで取り組んでおられるさまざまなことが、社員の方々のやりがいや意欲にすべて結びついておられます。その背景にどのような経営観がおありなのか、今日はその点をぜひ伺えればと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まず、ここ（本部）にいる彼女たち（※）は、この会社が異質だと思ってはいないですね。大学の先生やいろいろな企業の方が話を聞きに来られて、彼女たちは「どうしてみなさん真似されないんですかね」と。結局、来られて話を聞いても真似ができないんですね。けれども、決して奇をてらったわけではなく、社員が困っていることを1つずつ解決していったら、こういうシステムになったということなんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※メガネ21の本部は一般職の女性社員だけで構成されている。人事、総務といった専門部署はおかず、採用、広報、広告宣伝、経理といった本社業務を全員がマルチタスクで兼務している。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご創業時から今のような構想を描いておられたわけではないのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それができていたら、私はたぶん天才だと思います。実際は、1つずつ解決していったということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのときに平本さんが一番大事にされたのは、どのようなことだったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">前の会社の先代社長が急成長させたときの教えを守ることです。その方は、一代で会社を大きくされた素晴らしい方でした。私も含めてうちの創業メンバーは会社がまだ小さいころから、その社長と一緒になって100店舗以上にまで伸ばしたわけですが、会社が小さいうちはいい人財がなかなか集められないんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから一所懸命に給料を出し、大卒が入ってくるともう嬉しくて大切にするわけです。そうやって大切にされると、社員も一所懸命に働きます。しかし2代目になると、今度は入社を希望する学生さんを「ダメ」、「よし」と。こうなるわけです。「入社していただく」という気持ちがあれば、自分の給料を少しがまんしてでも、社員にボーナスを出しますよね。それが「入れてあげる」になると、給与はこの規定通りでいいでしょ、と。残った利益は経営者のもの、ということになってしまうんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">では、その先代社長の教えはどなたからのものかというと、松下幸之助さんといった方々です。社員を大切にしなければと企業は大きくならない。それも、モラルの高い人を育てようとすると、経営者のモラルが高くなければいけない。それを一番よく知っているのは、やはり創業者じゃないですか。</p>
</div>
<h3 class="fs18">出資者と労働者と経営者を、社員が兼務する</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">また、さきほど言われた欧米型の経営は、支配する思想が強いですね。サボる人間をチェックして、たくさん働いたらインセンティブを出すというように。けれども、日本は農耕民族ですから、一つの田んぼにみんなで一緒に田植えをする。中には働かない者もいるけれど、まあ目をつぶろうじゃないかと。そういった、「みんなで何とかしよう」という考え方でいた方が、楽しく働けると思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですからうちでは、出資者と労働者と経営者を、みんなで兼務しましょうと。これが、対峙する形になるとうまくいきませんからね。今、広島だけで社員から11億円くらい集めていますよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員の方々からの直接金融として実施されている「社員借り入れ」制度の残高ということですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。昔はいつ倒産するかわかりませんでしたから、女性社員（一般職）からの融資は受け付けていなかったんです。けれども、それでは差別だということになって、今は女性社員は200万円、そのほかの社員は1000万円を上限にしています。役員は無限で、恐らく私が一番多くて8000万円か9000万円くらいでしょうか。利息は、最初のうちは払えませんでしたが、今はきちんと支払っていますよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────今の日本の多くの企業では、御社とは逆に、経営者と社員との区別が暗黙のうちに非常にはっきりしているような気がします。考えるのは上の人たちで、考えたことを実行するのが下の人たちだと。これそのものが、とても大きな弊害だと私は思っているんです。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">完全にそうですね。現場でやっている人たちが、一番アイデアを持っているんですから。それを、社長は最大の情報源を持っていながら、その人たちには情報を制限して、「どうしてお前たちは俺と同じように先見性がないのか」といっても、情報弱者にしているわけです。「俺と同じようにアイデアを出せ」というのは失礼ですね。だから、私たちはすべて情報を公開します。そうすると、本当に実力がある人はアイデアを持ってきますし、「こうしたらいい、ああしたらいい」と、方向性を示してくれますよ。</p>
</div>
<h3 class="fs18">世襲は禁止。社長は4年で交代する任期制</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">一般に会社の社長といえば、アメリカのプレジデントみたいに、もう天才ですからね。外交も親善も担わなくてはいけない、パワーを見せて指揮命令もしなくてはいけない。でも日本には天皇がいて、総理大臣がころころ変わっても周りがどうにか支えてね。うちはこのやり方に近いんです。社長は4年の任期制で、大きな権限はありませんから、誰も社長になりたいとか、選挙をしたいということはないんです。日本風だと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社長といえども、ある意味では「機能」だということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">名誉職です。ですから今も、社長は店にいますよ。また、私自身は一度も社長になっていないんです。私は、仕事はできる方ですし、アイデアもしっかり出しますが、私がすべてをやると、何といいますかカリスマに近くなるんです。それともう一つ、社長だから仕事ができるとか、社長という名前をもらったら能力が高まるといったことはありません。社長でなくても提案をして、それがみんなに認められれば実行できる。そのことを見せたいという思いもあります。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────先ほど私が「機能」と申し上げたのは、一般的に企業人はみんなそうだと思うのですが、「役職が上の人間の方が、能力がある」という暗黙の前提があるような気がするんですね。ですから、経営者でいえば「なぜ自分がいった通りにやらないのだ」という話が出てくるわけです。これが、「能力」ではなく単なる「機能」なのだと合理的に捉えれば、御社のようなシステムに行きつくのではないかと思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">社長も、年を取れば鈍くなってきますから、ずっと能力があるといったことはいえませんね。それに優れた社長は、若くて学歴がない社員も力があれば出世させますが、能力に欠けた人が社長になると、それでは社長の体面が守れなくなる。社員が競争相手になって、本当の評価ができなくなるんです。それでは、会社はうまくいきません。</p>
<p class="fs14 spacing10">そういう関係をつくらないようにするには、世襲制はない方がいいですし、株式の全体保有もないほうがいい。ですから、私は定年になったときに、それまでは筆頭株主でしたが、すべて額面で社員に売却しました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────平本さんにとって、こういった組織体をつくられた一番の前提になったものは、何だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり前の会社で、あれだけ優れた社長が世襲制にしてしまったということですね。「今は小さなパイだけど、みんなで大きくして、みんなで食べよう」とがんばってきて、さあ大きくなったと思ったらなくなるわけです。マスコミからすごいといわれた経営者でも、年を取っておかしくなった方はたくさんいますね。それほどの方々でもそうなら、私は100％そうなる。それがわかっているから、世襲は禁止、定年したら株はすべて売り渡すといったことを定めたのです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">定年後の再雇用は、現場の後輩が決める</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/two-one_0401_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">私どもでは60歳で定年ですが、その後は再雇用といって、引き続き働いて欲しいと思う人には後輩からオファーを出す。クビにしたければいつでもできる。そういう仕組みにしてあるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────先輩の仕事を後輩が評価する。それが大事だということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">再任を誰が選ぶかということなんです。社長が選べば、みんな社長の顔色を伺うようになります。その点、わが社では後輩が選びますから、定年前になったら先輩たちは誰も横柄な態度はとりません（笑）。けれども、給料をたくさんくれと言われると、後輩も来てほしくないですね。ですから、再雇用後の月収は14万円と決めています。私もその給与で働いていますよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────こういった組織体をつくられたことで、社内が活性化しているなというご実感はありますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">活性化しているメンバーの率は、一般の会社よりも多いと思います。しかし、そうでない人もいます。仕事の成果があがらない、メンバー同士の相性が悪いといったことはありますから、全員というのは無理です。例えばある店では、そこの若い責任者が女性社員から「ギブアップ（※）」と言われました。うちではそれも全部オープンにしているんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※メガネ21では、一緒に働きたなくない上司や社員がいれば人事異動を要求できる「ギブアップ宣言制度」を設けている。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうなったら責任者であっても、他店に異動させます。ただ、どちらが悪いかは問わず、異動させやすい方を配置転換することになっていますので、言った本人が動く可能性もありますが。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────どんな方がギブアップを宣告されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">やはり、実力以上に威張った態度を取るとか、みんなが元気にならないような采配をする人ですね。それにも関わらず給料をたくさんもらっているのは、みんなわかるわけですから。そういう人も、ギブアップが3回目くらいになれば、楽になりますよ。「あなたは多くの人と合わないのではないですか」と言えますから。「次は引き取り手がないかもしれませんよ」と。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────異動先から拒否されることもあるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">あります。そうなったら仕方がありませんから、「僕のそばで働きなさい」と。そして数年経ったら、また店に「誰か引き取ってくれないか」といってね。そんなこともありました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そういった異動のローテーションは、会議が何かで決定されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">一緒に仕事をすれば、どういうタイプの人かわかるじゃないですか。それをいちいち、会議をする必要はないですね。異動先がなければ、「では私が引き取りましょう」という正義感のある人もいますし、そうやって引き取ってもらった人は、感謝して一所懸命働く可能性が高くなります。ギブアップが続けば本人も発言しなくなりますし、周りも「あの人はそういう人」という目で見るようになりますしね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────自然の摂理のようなものですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。農家で一緒に畑仕事して、「あそこの次男坊はちっとも仕事しない」というのはみんな知っていても、しょうがないなと。「あそこのお父さんはすごく働くから」とか「嫁さんがいいから」と、何とか許しますよね。ただ、その人がたくさんの分け前をくれと言ったら、みんな反対すると思うんです。うちでは分け前まですべてオープンですから。</p>
</div>
<h3 class="fs18">オープン経営は究極の合理的な経営</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社では管理職をつくらず、人事や経理などの専門部署も設けておられません。こうした一連のシステムを「人事破壊」と呼んでおられますが、「破壊」の目的は何だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">創業したときには資金がありませんでしたから、無駄なことは一切できなかったということです。広島県で6割のシェアを握るメガネチェーンを解雇になってメガネ店を出しましたから、潰されないためにはどうしたらいいか。前の会社が出せない販売価格でやろうと考えたわけです。そのために利益を全部なくし、高額な報酬を得る役員もなくして、中間管理職も全部廃止しようと。つまり、非生産者をなくさない限りはやられてしまうということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────競争力という意味で「やられてしまう」ということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。先輩たちは「値引き競争で、大きな会社に勝てるはずがない」と反対しましたが、私は「違う」と。タダで売ったらどちらが損をしますか。うちは小さな店でしたから、1日40人接客して40本タダにすればいい。でも相手は、4万本をタダにしないといけない。ということは、ギリギリの線でやれば我々は勝てるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────では「人事破壊」は、経費節減のためのであると。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。それ以外に何もありませんよ。ただ、よくこう言われますね。うちでは会社のお金をすべて本部の女性社員に預けていますので、「平本さん、大丈夫なんですか」と。だから私はこう言うんです。「それは確率の問題です」と。会社の金を盗んで海外逃亡する確率は、女性社員と私のどちらが高いか。当然、私の方が高い（笑）。それなら、彼女たちに渡しておく方が正しいでしょうと。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「大丈夫か」という発想は、「監督者はいなければいけない」ということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。でも悪いことをするのは、たいていは監督者ですからね。うちでも創業間もないころは、経営幹部の間で資金運用をめぐるトラブルがありました。そういった問題を一つずつ解決して、オープン経営に至ったわけです。ただ、社員にとっては厳しい会社ですよ。誰が利益をあげているかが、全部わかりますからね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────初めからいろいろなことを考えていたと、後付けでおっしゃる方もいますが、平本さんのお話はとてもよく納得できます。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それなら天才ですね。本を2冊出しましたが、そこに書いてあることが全部ではなく、やってきたことはものすごく沢山あります。そういうものの積み上げが、今なんです。私はその一つひとつを全部考えてきましたから、どれも必ずリンクしています。つじつまが合わないということがない。すべてが有機的につながっているんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>創業後に直面した問題を一つひとつ解決していったら、『人事破壊』『オープン経営』に行きついたと平本氏は語ります。しかし世の中を見渡せば、創業時の理念や体制を貫き続ける企業は多くはありません。成長してもなお、経営効率と働きがいを両立されている秘けつは何か。後編でご紹介します。</em></p>
</div>
</li>
</ul>
<p class="fs14 spacing15">＊続きは後編でどうぞ。<br>　
<a href="
http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/07/post-100.html
">
<em><u>
人を大切にする経営
──すべてを社員に見せ、分かちあう"丸見え経営"（後編）
</u>
</em></p></a>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>人を大切にする経営──企業と社員を伸ばす&quot;利他のこころ&quot;（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2011/06/post-98.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2011:/web_jinzai_magazine/person//2.684</id>

    <published>2011-06-22T01:00:00Z</published>
    <updated>2011-06-24T06:28:46Z</updated>

    <summary>日本理化学工業株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
日本理化学工業株式会社<br />
取締役会長<br />
大山泰弘さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">シリーズ『人を大切にする経営』、第2回目は黒板に使われるチョークの製造で国内トップシェアを誇る日本理化学工業の大山泰弘会長にお話を伺います。同社は障害者雇用を推し進め、社員の7割以上が知的障害者。製造工程を工夫することで他社に劣らない生産性をあげ、社員の幸福と企業の成長を両立されています。「障害者の方々に支えられて今がある」と語る大山会長に、同社の取り組みについて伺いました。（聞き手：OBT協会　伊藤みづほ）。</p>
</div>
</li>
<li>
<div class="align center" style="width:500px;">
<p class="fs14 spacing10"><em> [OBT協会の視点] </em><br>
<p class="fs14 spacing10">「幸せになりたかったら、まず、人を喜ばすこと勉強しなさい」──これはイギリスの詩人、Ｍ・プリオールの言葉です。自分の幸せしか考えられない人は、結局のところは幸せになれない。相手のことを第一に考えて行動すれば、結果は自分に返ってくる。人の幸せの道を「利他の精神」に見出すこの言葉は、企業経営にも当てはまるのではないでしょうか。真のリーダーに求められるのは、人に尽くす精神や、他人の幸せを自分の喜びに思える感性。この資質を持たない人がリーダーになると、組織の歯車が狂い始め、現場が疲弊し、不祥事といわれるような間違いが生じます。日本理化学工業の大山泰弘会長が貫かれているのも、まさに「利他の経営」。これを「きれいごと」と見るか、「真理」と受けとめるかによって、今後の自社のありようが見えるインタビューです。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>日本理化学工業株式会社</em> （<a href=" http://www.rikagaku.co.jp/" target="_blank"> http://www.rikagaku.co.jp/</a>）<br>
1937年設立。石膏チョークが主流で教師に肺結核が多かった日本で、初めて炭酸カルシウム製チョークの国産化に成功。衛生無害なチョークとしてシェアを伸ばす。1960年から知的障害者の雇用に取り組み、1975年に全国初の心身障害者多数雇用モデル工場を開設。1981年には北海道美唄市にも同モデル工場を開設。これが縁となり、北海道立工業試験場との共同研究によって世界的にも稀なホタテ貝殻を再利用したダストレス・チョークを、2005年に開発。同年、粉がまったく出ない固形マーカー「キットパス」を早稲田大学と共同開発。幼児教育などの分野にも販路を拡げる。長年に亘る障害者雇用が評価され、労働大臣賞や企業フィランソロピー大賞社会共生賞など受賞歴も多数。<br />
企業データ／資本金：2000万円、従業員数／74名（2011年5月現在）</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> YASUHIRO  OHYAMA </em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1932年生まれ。父が設立した日本理化学工業に、1956年、大学卒業と同時に入社。病身の父の後を継ぎ、1974年に社長に就任。2008年から現職。1960年から障害者雇用に取り組み、障害者雇用割合70％を実現。その経営姿勢が評価され、2009年に渋沢栄一賞を受賞。 著書に「働く幸せ」（WAVE出版刊）、「利他のすすめ」（同）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">知的障害者の雇用は「四方一両得」</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社では、人を仕事にあわせるのではなく、仕事を人にあわせることで、知的障害者の方々がいきいきと働ける職場を実現しておられます（前編参照）。一方で、利益をあげることも企業の命題ですが、この2つをどのように両立されているのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「両立」ということではなく、労働力をいかに効率よく活用して生産するか、私が考えるのはこの1点です。障害者を雇用していて大変だから、経営が成り立たないというわけにはいかない。少しでも効率よく生産するというのが、企業の宿題でしょう。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────雇用しているのが健常者であれ、障害者であれ、企業活動に違いはないということですね。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">障害者は、働いて役に立つことに幸せを感じます。企業は、事業である以上は彼らに役に立ってもらわなくてはいけない。この共通点があるから彼らも成長し、企業も努力して発展します。しかし今の社会では、職業訓練を福祉施設で行いますね。そこに私は、社会のムダがあると思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">知的障害者を20歳から60歳まで福祉施設でケアした場合、1人あたり約2億円の社会保障費がかかると言われています。日本理化学は障害者雇用を続けて50年、60歳を過ぎた社員が5人もいます。それだけで10億円分の社会貢献になっているそうで、こうした取り組みが評価されて、平成21年に第7回渋沢栄一賞を受賞しました。それまでも労働大臣賞などはいただいていましたが、経済的な貢献にもなっていたとは、私自身も驚きました。</p>
<p class="fs14 spacing10">ベルギーには、企業が障害者を雇用すると、最低賃金額を国が助成してくれる制度があります。日本でいえば、最低賃金は年額にして150万円前後。施設でケアすれば40年で2億円、年額500万円の社会保障費がかかります。つまり、雇用を促進して最低賃金額を助成すれば、国は社会保障費を抑えられるのです。障害者は収入を得て自立でき、働くことで「究極の4つの幸せ」（前編参照）も味わえますから、意欲が湧いて成長します。そういった人財が中小企業で育ったら、企業体質の強化にもつながります。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────障害者の方々を受け入れるにあたって、製造工程や業務フローを見直すことが、企業体質の強化につながるということでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。なぜそれができるかといえば、日本には「職人文化」があるからなのです。あるとき、ハンガリー人のジャーナリストが「日本には『職人文化』があるから、文字が読めない人もこうして戦力として活躍しているのですね」と、素晴らしい示唆を与えてくれたんです。欧米のマニュアル文化は、文字が読めることが前提です。しかし日本理化学では、砂時計を使うといった工夫で（前編参照）、知的障害者が働いています。それを「職人文化」といってくれた。</p>
<p class="fs14 spacing10">となると、そうした職人文化を受け継ぐ日本全国の中小企業が働く場を用意できる仕組みをうまく作れば、知的障害者が自立できて働く喜びを得られますし、親御さんも助かるでしょう。企業は経営体質を強化でき、国は社会保障費を抑えられます。これを私は、「四方一両得」と言っているんです。このことを一人でも多くの方々に知っていただくことも、日本理化学の役割だと思っています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">人間には、役に立てることを喜びと感じる本能がある</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10">そういう意識でいると、いろんな情報がタイムリーに入ってくるんですね。ある雑誌でたまたま読んだのですが、東京都立駒込病院脳神経外科の篠浦部長（篠浦伸禎氏）の説によると、人間の脳には「動物脳」と「人間脳」があるそうです。動物脳には本能や情動に関する機能が集まり、人間脳は知性や論理を司る。周囲の役に立つことに喜びを感じるのも、人間脳の働きだそうです。このことは「人を育てる」ということを考えるうえで、大変貴重な情報になりました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────周囲の役に立つことに快感を覚えるのは人間だけ、そしてその性質は誰にでもあるということですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そういうことです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし実際の職場では、「ここが足りない」と至らない点ばかりを指摘されることが多くあります。自分が何かに役立っているという実感や、働く喜びを感じられなくなっている人が増えているように思うのですが･･･。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">人はみな人間脳を持っているという前提でコミュニケーションを取れば、相手を見る目も変わるのではないかと思いますね。相手の理解が悪いとすれば、その人の人間脳を目覚めさせるこちらの努力が足りないということ。そう思えば、人のせいにはできませんよ。</p>
<div >
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 食堂には社員それぞれの目標が貼られている。スローガンは「まわりの人に役立つ成長をしよう」。「時間を守る」「パウダーの計量を間違えないようにする」など具体的な目標を掲げることで、成長意欲を引き出している。</p>
<p>
</div>
</div>
<h3 class="fs18">「利他の経営」が、企業を永続させる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────経営的に厳しい時期もおありだったと伺っています。知的障害者の方々の雇用を守りつつ、どのようにしてそういった局面を乗り越えられたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「守りつつ」ではなく、「助けられつつ」ですよ。本当に困ったことがあるのは事実です。例えば、モデル工場（※）をスタートさせたときには「簡単に作れるチョークだから、障害者を大勢雇用できるのだ」と、日本理化学はこう言われていたんです。そこで、チョーク以外もできることを示そうと、東京青年会議所を通じて知り合ったパイオニアの松本さん（三代目社長・故松本誠也氏）に、「何か仕事を発注してもらえませんか」とお願いしたところ、ビデオカセットの組み立てを任せてくださった。一時はチョークよりも売上高が多い事業に育ちました。ところが、カセットはベータ規格でしたから、数年後の「ビデオ戦争」の影響で生産が激減してしまったんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※昭和50年に国の心身 障害者多数雇用モデル工場第1号として川崎工場を開設</p>
<p class="fs14 spacing10">そのときは大赤字を出しましたが、ビデオカセットの仕事の後は、取引先が「こんな仕事がありますが、やってみませんか」と紹介してくれました。また、モデル工場を作ろうという時、今の取引銀行である三菱銀行（現・三菱東京UFJ銀行）が応援してくれました。この銀行とのご縁も、不思議なつながりです。モデル工場の建設費用1億2000万円の融資を信用金庫から断られて困っていたときに、たまたま取引先を開拓していた三菱銀行の人が訪ねてきましてね。経緯を話したら、支店長にかけあって融資を引き受けてくれたのです。取引実績がゼロだったにも関わらず、です。そうしてつなぎ、つなぎでやってきたわけです。
</p>
<p class="fs14 spacing10">「カンブリア宮殿」に出たときに、村上龍さんがこう言ってくれました。「障害者を支え人を幸せにしていることが、ブーメランのように返ってくるんですね」と。その通りだと思いますね。人のために一所懸命にやっていると、多くの人が応援してくれる。それによって企業が永続できるのだと思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────2005年には粉がまったく出ない新商品「キットパス」を開発され、販路を広げておられます。ホワイトボードの普及でチョークの需要が減少する中、新しい市場の開拓に成功された秘けつは何だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">ホワイトボードマーカーは粉が出ないといいますが、チョークに比べれば少ないけれども、実際は少しは黒い粉が出ます。ですから、粉がまったく出ないチョークを作らないとマーカーに負けてしまう。そこで長年、研究開発に取り組んでいたんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかし、当社の技術力だけでは難しいので川崎市に相談したところ、産学連携の助成金制度を活用してはどうかと助言していただきましてね。早稲田大学の先生が、「障害者雇用に取り組む会社ならば協力したい」と応援してくださって、キットパスを開発することができたのです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ホワイトボードはもちろん、ガラスや鏡など表面が滑らかなものであれば、何にでも描くことができます。これも偶然の発見で、従業員が試作品でガラスに落書きしたんですね。注意したら、慌ててぬれた雑巾でサッと消した。それで、ガラスや鏡にも描いて簡単に消せることがわかったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかも、これは子育てに役立つ商品です。子どもを外で安心して遊ばせられる場所が減っている今の時代、キットパスがあれば、外の景色を見ながら窓にお絵描きができるでしょう。木々の枝が風で揺れている、小鳥の声が聞こえると、五感を刺激できる。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そこまで考えて開発されたのですか。</em></p>

<p class="fs14 spacing10">とんでもない。やはり偶然の発見です。日本初の知的障害児教育施設をつくられた曻地先生（福岡教育大学名誉教授　曻地三郎氏）が、3歳までに五感を刺激すると障害の程度が改善される可能性があると言われているのを、たまたま読んだ本で知りましてね。キットパスはガラスに描けるのだから、白い画用紙に描くよりはずっと五感を刺激します。そこで学校やオフィスなどの従来の販路に加えて、幼児用教材としての可能性も追求しようと考えたのです。</p>
<p class="fs14 spacing10">偶然がこうも続くと、何か仕組まれたみたいでしょう。神様は、誰かの役に立つことをする人には必ず報いてくれる──「神様なんかを当てにして」と言われそうですが、そういうことをもっと信じてもいいのではないかと思います。信じたほうが、結果としてうまくいくように思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし私も含めて、そうしたことを信じる勇気がなく、目の前の損得で判断してしまう人が少なくないように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">でも、人には「人間脳」があるわけですからね。役立つことをしている人は、みんなの支えが得られるんですよ。当社に視察に来られたある経営コンサルタントの方は、「これからは、地域社会にどれだけ貢献できるかが企業永続の条件だ」とおっしゃっていました。私は現実に、こうして周りの応援をいただきながらやってきましたから、そのことを実感しますね。</p>
<div>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0302_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;"> 同社の食堂の窓にも、キットパスで絵が描かれている。社員は誰でも自由に描くことができ、自分たちがどのような商品を作っているかが実感できる。</p>
<p>
</div>
</div>
<h3 class="fs18">「働く」とは、人のために動くこと</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────その一方で、職場で疲弊し、働く幸せを感じられなくなっている人も多くいます。企業や人はどのようにすればこの現状を変えられるでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">人間の究極の幸せは、人に愛されること、人に褒められること、人の役に立つこと、人から必要とされること。この4つであると、禅寺のご住職が私に言われましたが（前編参照）、これは人間が幸せになるための道を説いたものでもあると思いますね。人間はみな、愛されることを求めています。そのためには、まずは褒められることをして、自分の存在を周りに示さなくてはいけない。次に周りの役に立つことをして、必要とされるようにならなくてはいけないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">今の若い人はどうかすると、幸せがくるのを待っているようなところがありますね。そうではなく、自分から動かなくてはだめだということです。</p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0301_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「生活のために働く」のではなく、「自分の幸せのために働く」というように、働く側も意識と行動を変えなくてはいけないということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「働」という文字は、日本で作られた国字だそうです。「人」と「動」が組み合わさってできているこの文字は、神社の宮司かお寺の僧侶が作ったのではないかと思うんです。禅寺のご住職に教えられた「究極の幸せ」は、まさに「人のために動くこと」でしょう。それが、「働く」ということなんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">工場見学にくる小・中学校の子どもたちに「働くってどういうことか知っていますか」と聞くと、「はい！」とみんな手を挙げて言うのは、「会社に行ってお金をもらうことです」（笑）。だから、こう話すんです。「ただ来るだけでは、会社はお金をあげないよ。働くとは、人のために動くことだよ」と。文字の成り立ちと一緒に説明すると、みんな働くことの意味をわかってくれますよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────働くとは、人のために動くこと。とてもシンプルですべてが集約されている表現ですね。最後に一つご質問させてください。大山会長にとって日本理化学工業はどのような存在でしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">宿命、ですね。やむを得ず父の後を継いだわけですが、日本理化学に入ったから、それもチョークだったから、今の私があるのだと思います。振り返ってみれば、大学受験がうまくいかなかったり、思うような道は歩めませんでした。日本理化学の社長にも、渋々なりました。けれども、そのことで一番教えられたのは、逆境の中でも自分を最大限に活かす努力をするということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">チョークの市場規模は決して大きくありませんが、そこで障害者雇用に取り組んでいたら、世の中がそういうことに注目するようになって、本当に不思議なくらいにさまざまな応援をいただきました。これは単なる運やツキではなく、人の幸せのために頑張っている人は神様が応援してくれるということなんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし、天の応援をアテにする気持ちがあったのでは、事はそのようには運ばなかったのではないかと思います。大山会長ご自身が、懸命に努力なさられたからこそではないでしょか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">でも、それも自分の幸せのためにやっているわけでしょう。人間は、人の役に立つことが幸せなんですから。そして、それをみんなが応援してくれる。こんないいことはありませんよね（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────何のために働くのか。今日お話を伺って、私自身も働くことの意味を改めて考えたいと思いました。貴重なお話をありがとうございました。</em></p>
<div>
<p><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0401_b.jpg" alt="" /><font color="#F5F5F5">＊</font><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0402_b.jpg" alt="" /></p>
</div>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">正門横に建つ「働く幸せ」のブロンズ像。障害者雇用に取り組むきっかけとなった禅宗の住職の言葉に寄せる、大山会長の思いが刻まれている。<br>
「導師は人間の究極の幸せは、人に愛されること、人にほめられること、人の役に立つこと、人から必要とされること、の四つと云われた。<br>
働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのだ。<br>
私はその愛までも得られると思う」</p>
</div>
</li>
<div class="aligncenter" style="width:450px;">
<li>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/rikagaku_0000.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">聞き手：<a href="http://www.obt-a.net/">OBT協会　　伊藤みづほ</a></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">OBTとは・・・
現場のマネジャーや次世代リーターに対して、自社の経営課題をテーマに具体的な解決策を導きだすプロセス（On the Business Training）を支援することにより、企業の持続的な競争力強化に向けた『人財の革新』と『組織変革』を実現している。
</p>
</li>
</div>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

</feed>

