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    <title>この人に聞く</title>
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    <updated>2008-11-12T10:17:48Z</updated>
    
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    <title>社員の生きがい、働きがいを高める経営（後編）</title>
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    <published>2008-11-12T01:00:00Z</published>
    <updated>2008-11-12T10:17:48Z</updated>

    <summary>株式会社損保ジャパン・システムソリューション</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/sjs_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
株式会社損保ジャパン・システムソリューション<br />
代表取締役社長　井戸 潔さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">ダイバーシティへの取り組み、社員の成長機会の創出、労働環境の改善......、今、「非金銭的報酬」が注目されています。その背景には、行きすぎた成果主義を是正する動きがあることもさることながら、働く側の就労観の変化も見逃せません。2009年春の大卒者を対象にしたある意識調査では、入社した会社で「定年まで働きたい」と答えた新卒者が全体の41％に上りました。長期的な視点で企業が選ばれる今の時代、目先の報酬やインセンティブだけでは、もはや優秀な人財をつなぎとめることはできないのです。では、どうすれば社員の働きがいを高めることができるのか。2002年の就任以来、「社員に成長の機会を提供することが経営者の役割」という姿勢を貫く、株式会社損保ジャパン・システムソリューション代表取締役、井戸 潔さんに伺ったインタビューの後編をご紹介します。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社損保ジャパン・システムソリューション</em> （<a href=" http://www.sompo-japan-sys.co.jp/" target="_blank"> http://www.sompo-japan-sys.co.jp/</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1984年4月に、安田システム開発株式会社として設立。1989年、安田火災システム開発株式会社に、2002年、株式会社損保ジャパン・システムソリューションに社名変更。2005年に損害保険ジャパン社の情報システム部と統合し、現在の体制となる。国内損保事業におけるリテールビジネスモデルの革新や、国内生保・確定拠出年金・アセットマネジメント・ヘルスケア事業への注力、海外事業の積極展開などを成長戦略に掲げる損保ジャパン社を情報戦略の面から支える。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> KIYOSHI IDO </em></p>
<p class="fs14">1955年生まれ。78年に安田火災海上保険株式会社（現 株式会社損害保険ジャパン）入社。2000年に社長室 IT戦略室長、02年に情報システム部長を経て、同年6月に安田火災システム開発株式会社（現 株式会社損保ジャパン・システムソリューション）代表取締役社長に就任。07年に株式会社損害保険ジャパン 執行役員　株式会社損保ジャパン・システムソリューション 代表取締役社長。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">実践の場を伴わない研修に意味はない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員の方々に刺激を与える仕事の機会を創出される一方で、教育・研修体系もかなり充実させていらっしゃいますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">体系的に描いたフレームワークの中で人を育てていると思われるのは大変ありがたいのですが、必要に応じて整備した結果、今のような形になりました。むしろ重視しているのは、研修で知ったことを実践する場を与えることです。知識は「使ってなんぼ」のものですから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────研修と実践の場をセットで考える必要があるということでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。実践の場を与えないなら、研修を受けさせる意味はありません。「少し不満が多いから研修でもやってみよう」という程度のことなら、やめたほうがいい。無駄ですし、研修を受ける本人が可哀想です。</p>
<p class="fs14 spacing10">「研修を受けた社員は配置転換させろ」といったこともあります。現場からするととんでもないことだろうとは思いますが（笑）、その職場では得られない何かがあるから、本人は停滞しているわけですよ。それを、研修を受けることによってポジションを高めていこう、新しいノウハウを身につけようと考えるのであれば、別の場所を見つけてあげることも必要です。そうすることによって、研修で得た知識が活かせるわけです。すべては、実践なのです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────研修でできることには限りがあるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。といっても、研修を否定するつもりはありません。当社も教育研修は整備していますし、外部の研修会社を活用することもあります。しかしその場合も、研修会社のノウハウの何を活用するのか、どういう場面でそれを活かすのかということを判断して導入する必要がある。これは我々、導入する会社側の仕事です。</p>
<p class="fs14 spacing10">研修を導入すればそれで育成プログラムができあがるといったことはありえないわけで、SJSという会社のサイズやカルチャーに合わせて、何を使って何を使わないといった取捨選択をしていくことによって、より良い物ができていくのではないかと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────研修を行っても効果があがらないという企業もあります。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それは会社の責任です。研修だけでなく、多面的にいろいろな刺激や機会を社員に提供しているかどうかということだと思います。</p>

</div>
<h3 class="fs18">新人は、人財育成力のあるラインにのみ配属する</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────過去のインタビューでは、「社員の方々には『顔が見える社員』になってほしい」とおっしゃっておられました。「顔が見える社員」とは、どのような社員なのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">標準的な人間になってほしくないということです。社員一人ひとりがそれぞれの強みを持ってほしい。「この人はこれが専門」「この人に聞けば大丈夫だ」という人財になってほしいということです。よく、チームワークが大切だといわれますが、それが慣れ合いになっていては困るわけで、それぞれの強みを持った人が集まって初めて、価値のあるシステム作りができるのです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────強みとは、例えばどのようなことですか。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/sjs_02_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">例えば「彼はネットワークが得意だ」とか、「商品の構造をよく理解している」とか、そういうことであっていいのです。一人ひとりの輪郭が誰から見てもはっきり見えるような、そういう人財であってほしいということなのです。</p>
<p class="fs14 spacing10">採用にあたってもこの点はすごく意識していまして、「こいつは面白そうだな」と思えば採用します。面接でひと言も話さなかった人を採用したこともあります（笑）。その彼も、今はしっかりと仕事をしてくれていますよ。そうかと思えば、「システムのシの字も知らないけれども、英語だけは得意です」といって入ってくる人もいます。とにかく、標準的でどこから見ても金太郎飴みたいな人財にだけは、なってほしくないです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────最近では社員の多様性を尊重する企業も増えていますが、御社の採用はまさにダイバーシティを大切にされているのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">情報システムこそ、多様性を持った人財が携わらないといけないと考えています。業務を標準化することが情報システムの効用ですが、それをつくり上げるのは多様な特性を持った人たちでなければならない。標準的な人ばかりが集まっても、面白みのないシステムづくりしかできません。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────採用時には個性的だった人財が、入社後に平均的な社員になってしまうということはありませんか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それは、ありえます。一番、頭の痛いところです。ですから、新人の配属については「育成するマインドを持たないラインには、絶対に配属するな」ということをうるさくいっています。こういう時代ですから、「人が足りない」という部署はたくさんあります。でも、育てるつもりがないなら、新人は配属しない。「人は足りている」といわれても、育成力があると見ればその部署に配属します。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────新人が配属されない部署は困るのではないですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それはもう、努力してもらうしかないです。やりようはあります。例えば、パートナー会社の方に支援していただくといった代替手段などです。業務遂行ということだけを考えれば、この1年、2年をどう乗り切るかという話でしかありません。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかし、新人にとっては一生の問題です。社会人としての最初の出発ほど大切なものはなく、一人ひとりの人生がかかっているわけです。であれば、しっかりと育成してくれる上司や先輩がいるところ、あるいはライン長や部長の意識が高いところに配属してあげなくてはいけない。数合わせをするように「1人減ったから1人入れてください」というような扱いは、新人に対して失礼です。会社の5年後、10年後を考えても、そうやって育った人たちが会社を背負ってくれることがプラスになります。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────新人が配属されないラインは、人財育成を学ぶ機会がないということでもあるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">機会を与えることは必要です。ですから、「うちに新人を配属してほしい」と要望してきた部署には、育成のプランや考え方を確認するようにしています。それに対して、これなら新人を預けても大丈夫だと思えば預けますし、そうでなければ配属はしません。もしくは、本当にそのラインに新人が必要なのであれば、人財育成力のある中堅社員を前もってそこに異動させてから新人を配属します。いくら新人にやる気があっても、組織の空気が停滞していたら人なんか育ちっこないわけですから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────新人を配属する前に、人が育つ土壌をつくるということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう、それが一番大切なことです。一朝一夕でできるものではありませんが、これはもう続けるしかないです。継続するしかないと思います。</p>
</div>
<h3 class="fs18">「会社と会社」の関係から、「人と人」の関係へ</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご就任からの6年間で、会社はどのように変わりましたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">「この人はプロパー社員」「この人は出向者」といった意識がなくなってきたことが、劇的な変化だと思います。本音ベースでいえば、やはりどうしても本体の社員はプロパーの社員を「子会社の人」だと思う傾向があるものです。ビジネスノウハウやビジネススキルといったものは持っていない、いわゆる「技術屋さん」として見てしまう。</p>
<p class="fs14 spacing10">それが、「こういうやり方をすると、こういう問題があります」とプロパーの社員にいわれたとたんに、「この人は何なの」と思い始めるわけです。そして、自分たちが思う以上のスピードで開発が進む、高い品質のものができあがってくる、あるいは想定以上にコストを削減できたといった成果が積み重なるにつれて、信頼もどんどんと積み重なっていく。その結果、プロパーや出向者という意識がなくなり、「人対人」で仕事ができるようになるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">損保ジャパンと損保ジャパン・システムソリューションという、「会社対会社」で仕事をしている時代から、人が人を信頼して仕事をするようになるというのは、これは劇的な変化です。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────子会社から機能会社へという大きなステージ転換も、「人対人」の信頼関係を一つひとつ重ねていくことの上に成り立っているのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。そのためには、一人ひとりの社員が「技術力」「仕事力」「人間力」の3つの力を身につけることが必要です。子会社の時代は「技術力」があればよかったわけですが、今は我々も損保ジャパンのビジネスをつくり上げる一員。社員には「君たちはシステムエンジニアではなく、ビジネスエンジニアなんだよ」というのですが、システムの面からアプローチしてソリューションを見出すことが役割だとすると、おのずと持つべきスキルは見えてくるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、理想の組織になるにはまだ時間はかかると思っています。長い目で軸をブラさずに、続けていくしかありません。そういった中で先日、2年目職員がある提案をしてきましてね。当社にはコーチング制度という、先輩が後輩をマンツーマンで指導する制度があるのですが、その制度に見直したほうがいい点があるというんです。そういう自発的な提案をもらうと、うれしいですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そういった現場からの提案は、どのような経路で社長に届くのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">特別な制度やルールはなく、その時々でポーンと出てきます。今回は、人財開発部長宛にメールで提出されたものを、「ぜひ読んでください」と部長が私に転送してくれたのです。こういう提案が出てくるということは、技術だけでない目線でものごとを見られるようになってきているということですし、そういった提案には真摯に答えたいと思います。社員が変わろうとしているきざしは、敏感に感じ取って、適切に反応しなければなりませんから。</p>
</div>
<h3 class="fs18">社員の成果を外に向けてアピールする</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────子会社から機能会社へというステージ転換を図る企業に、アドバイスを何かお願いいたします。</em></p>

<p class="fs14 spacing10">大それたことはいえませんが、まずは、向かうべき方向をビジョンとして明確に社員に伝えることが必要です。そして、仕事で成果を収めたなら、本体の人たちを呼んできて「このようにできました」と、実績を共有することが大切です。自分たちだけで「やった、やった」というのではなく、ユーザーに成果をアピールすることが必要です。当社でも、そういったことは積極的に行ってきました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────それがみなさんの成功体験にもなりますね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。自分たちだけでやる打ち上げもするなとはいいませんが、あまり意味がないと思うんです。自分たちでやったことを、周りから評価してもらう。それが、一番大切なことです。本体のユーザー部のトップの人たちから「ご苦労さま」といわれれば、私が「ご苦労さま」というよりもはるかに効果があるわけですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">そこはかなり意識して、「時間があるなら来てよ」と、本体の人間に開発拠点までよく来てもらいました。そういったことが、現場の人たちの励みになると思っています。また、そのような実績が積み上がっていくと、SJSという会社に対する本体からの信頼感も高まってくるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────信頼関係という土台があって初めて、会社対会社の関係から人対人の関係に移行できるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そういうことです。本体のユーザー部の人が、何か困ったことがあるときは「SJSのAさんに連絡しよう」という関係にさえなれば、後は放っておいても大丈夫なのです。そこに至るまでの信頼関係を築く機会を、会社として意識的に仕掛けていくということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>社員の生きがい、働きがいを高める経営（前編）</title>
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    <published>2008-10-29T11:00:00Z</published>
    <updated>2008-11-12T10:15:34Z</updated>

    <summary>株式会社損保ジャパン・システムソリューション</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/sjs_00.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
株式会社損保ジャパン・システムソリューション<br />
代表取締役社長　井戸 潔さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">ダイバーシティへの取り組み、社員の成長機会の創出、労働環境の改善......、今、「非金銭的報酬」が注目されています。その背景には、行きすぎた成果主義を是正する動きがあることもさることながら、働く側の就労観の変化も見逃せません。2009年春の大卒者を対象にしたある意識調査では、入社した会社で「定年まで働きたい」と答えた新卒者が全体の41％に上りました。長期的な視点で企業が選ばれる今の時代、目先の報酬やインセンティブだけでは、もはや優秀な人財をつなぎとめることはできないのです。では、どうすれば社員の働きがいを高めることができるのか。2002年の就任以来、「社員に成長の機会を提供することが経営者の役割」という姿勢を貫く、株式会社損保ジャパン・システムソリューション代表取締役、井戸 潔さんに伺ったインタビューを2回シリーズでご紹介します。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>株式会社損保ジャパン・システムソリューション</em> （<a href=" http://www.sompo-japan-sys.co.jp/" target="_blank"> http://www.sompo-japan-sys.co.jp/</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1984年4月に、安田システム開発株式会社として設立。1989年、安田火災システム開発株式会社に、2002年、株式会社損保ジャパン・システムソリューションに社名変更。2005年に損害保険ジャパン社の情報システム部と統合し、現在の体制となる。国内損保事業におけるリテールビジネスモデルの革新や、国内生保・確定拠出年金・アセットマネジメント・ヘルスケア事業への注力、海外事業の積極展開などを成長戦略に掲げる損保ジャパン社を情報戦略の面から支える。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em> KIYOSHI IDO </em></p>
<p class="fs14">1955年生まれ。78年に安田火災海上保険株式会社（現 株式会社損害保険ジャパン）入社。2000年に社長室 IT戦略室長、02年に情報システム部長を経て、同年6月に安田火災システム開発株式会社（現 株式会社損保ジャパン・システムソリューション）代表取締役社長に就任。07年に株式会社損害保険ジャパン 執行役員　株式会社損保ジャパン・システムソリューション 代表取締役社長。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">親会社のシステム部門と統合。2つの組織の融合が命題に</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────2002年にご就任されてから7年目を迎えられました。この間、人財育成や組織運営という観点から見た企業経営には、どのようなステージがあったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">2005年4月に損保ジャパンのシステム部門と統合したことが、ひとつの大きな転機だったといえると思います。昔は「損保ジャパンの情報子会社」と呼ばれていましたが、今や当社の業務は、損保ジャパンの業務そのものになっている。2005年を境に、会社の位置づけはまったく変わりました。</p>
<p class="fs14 spacing10">つまり、「子会社」から「機能会社」へという段階があり、その次には、まさに「事業会社」を目指すという大きな流れがある中で、今は「機能会社」のステージにいるということです。子会社はどうしても受け身の仕事が中心になりますが、そこから脱して、システム戦略という一つの機能を担う機能会社になったということなんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">会社の位置づけが変われば、社員の考え方や仕事の進め方も変わる必要があります。指示に従うことに全力を尽くすのではなく、「これはできる」「これはできない」ということをきちんとジャッジし、主体的に物事を進める風土を育てなくてはいけないわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのためには、どのようなことが必要だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まず必要だったのは、従来の損保ジャパン・システムソリューション（以下SJS）という会社と損保ジャパンのシステム部門という2つの組織を融合させていくことでした。共に競い合い、切磋琢磨して、それぞれの強みを発揮できる組織にするということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">本体と子会社という間柄ですと、やはりいろいろとあります。例えば、当社のプロパーの社員にとっては、損保ジャパンからの出向者は昔、教えを請うた人たちです。そうすると「お世話になった人だから」という気持ちが強くなりますから、いろいろな葛藤が生まれることもあると思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですからまず、「技術の会社としての原点にしっかりと立ち戻ろう」というメッセージを社内に伝えることが必要でした。「我々が目指すのは、2つの組織が単に1つになることではなく、第3の組織をつくっていくことだ」と。技術を持っているプロパーの社員とノウハウを持っている出向者をいかに融合して、付加価値の高いソリューション機能に仕立て上げるか。これが、統合した時に一番腐心したことですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────具体的には、どのような手を打たれたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">重視したのは、技術者としてのあるべき基準を明確に示すということです。人事制度や処遇は今でも別々ですが、技術者としては共に目指すべきことに向かってもらわなくてはいけない。そのために、統合に先立ってITSS（IT Skill Standard：ITスキル標準※）を導入しました。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※ITスキル標準：各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を、職種や専門分野ごとに明確化・体系化した指標。</p>
<p class="fs14 spacing10">ITSSは、社員のスキルの評価や処遇の査定に利用されることも多い指標です。技術者の単価と結びつけ、お客様への請求に結び付けている会社もあります。しかし、我々がITSSに期待したのはそういったことではなく、まったく別な価値観を持った人たちを一つの方向に向けるためのフレームとして活用することでした。「技術者としての生まれ育ちが別であっても、SJSのエンジニアとしてこれを目指してほしい」ということを指し示すために導入し、今もITSSを技術者育成の指針にしています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">人財の配置ではプロパー・出向の分け隔てなく、実力主義を貫く</h3>
<div class="txt"> 
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/sjs_02_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、やはり一番重視したのは、社員のモチベーションをいかに高めるかということなんですね。高邁な理想や高度な知識云々ということではなく、どれだけモチベーション高く仕事に取り組んでもらうことができるか。人財育成は、これにつきるのだろうと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">「人財こそSJSの最大かつ唯一の資産だ」ということが、私の以前からの持論ですが、これは裏を返せば、人財を育成しない限りSJSという会社は成長しないし、明日もないということ。では、社員の成長を支えるのは何かといえば、それは一人ひとりのモチベーションにかかっているということだと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから人財を配置してラインの構成をつくるときには、実力主義を貫くということを極めて意図的に行いました。ややもすると、親会社からきた社員がラインの長に就くことになりがちですが、システム開発は「いい腕を持っていてなんぼ」の世界です。だから、我々は実力主義でいこうと。その結果、プロパーの社員を高い役職に就け、その下に本体からの出向者をつけるということをかなりやりましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────現場のみなさんの雰囲気はいかがでしたか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">最初は戸惑うこともあったのではないでしょうか。現場の社員からすると、昔お世話になった人に指示を出さなくてはいけないわけですからね。これは辛いことだとは思いますが、そこに耐えてもらわないと、会社全体が同じ方向を向けるようにはなりません。それに、プロパーの人にとってSJSは自分の会社です。自分の会社なのに、自分の頑張りが報われないと思うことほど、つまらないことはないわけですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">意思決定のスピードを速めて開発力を強化するということが統合本来の目的ですが、そのためには一人ひとりの社員がやりがいを感じ、エンジニアという仕事に今まで以上の生きがいを見出す組織をつくりあげることが不可欠。どうすれば社員のモチベーションを高めることができるかを、最優先に考える必要があるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「実力主義」の実力は、どのようにして測るのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">我々は独立系ではなくユーザー系の会社ですから、損保ジャパンの情報システムの価値をいかに高められるかということが、実力と同義になります。そういった観点から一人ひとりの社員の顔を思い浮かべ、これまでの実績を十二分にチェックしたうえで配置を決定しました。</p>
<p class="fs14 spacing10">私も以前は本体のシステム部門にいましたので、受け入れた出向者はみんな私のもと部下。全員をよく知っているものですから、決定はすべて私の判断。こういったことはトップダウンでやるしかないんですね。何かの指標に従って実力を測ったわけではないのは、私が「定量的」や「基準」といったことがあまり好きではないということもありますが（笑）、人財の配置には自信はありますね。</p>
</div>
<h3 class="fs18">刺激と機会を与えれば、人は確実に成長する</h3>
<div class="txt"> 
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員のモチベーションを高めるということは、どの企業にとっても究極のテーマかと思います。人員配置の配慮のほかには、どのようなことをなさられたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">一番必要だと思っているのは、日々の仕事では経験できないような機会を与えてあげることです。何かのプロジェクト開発をやったからといって、それは日常業務の延長。そのことによってモチベーションが高まるわけではありません。そうではなくて、普段では接することのないような場を経験させる。その機会をつくることが、経営の役割なのだと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">どういうことかといいますと、例えば当社では、損保ジャパンおよび損保ジャパングループ以外の仕事を請ける外販事業も行っています。しかし、外販事業で収益を上げることは考えていません。そうした中に社員が入っていくことは他流試合になります。その他流試合を通して人が育つ。そこに価値があるんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">こんな話をすると、「私たちは黒字にしようと思っています」と外販事業の社員に叱られますが（笑）、私はいつもいうんですよ。「これは収益をあげるための事業ではなくて、投資なんだよ」と。こちらとしては、多少は赤字になってもいいじゃないかという気持ちでやっているわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">機会の創出としてはもう一つ、中国の大連に開発拠点をつくりまして、オフショア開発（※）にも取り組もうとしています。これから中国の経済がどうなるか、人件費が上昇する中で安定的に人財を調達できるのかといった不透明な部分は十分に認識していますが、そのリスクを考えてもなお、中国での開発を社員に経験させることには大きな意義があると思っているんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※オフショア開発：システム開発を海外に委託すること。</p>
<p class="fs14 spacing10">これはよく笑い話にすることなのですが、技術研修を企画してもいつも定員に満たないんですよ。けれども「中国語の研修をやります」というと、すごく人が集まる。やはり、みんな刺激を求めているんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">日ごろはどうしても、親会社との閉ざされた世界の中で仕事をすることになります。これがユーザー系の会社の最大の欠点であり、問題点。それを変えていくためには、まったく別な世界を見せてあげないといけないわけです。ですから中国での研修を行った際には、「行きたい」と手を挙げた社員は業務に関係のない人も全員行かせました。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────会社としては相当のコスト負担ですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">コストではなく投資。必要なことだと思いますね。といっても、すぐに何か数字的な効果が表れるというような、過剰な期待はしていません。中国に行かせた中から1人でも2人でも目覚める人が出てくれれば、それが会社の価値になりますから。</p>
<p class="fs14 spacing10">中国で見るもの、聞くもの、肌で感じるものすべてが、彼らにとっては経験したこともないもののはず。例えば、同年代のエンジニアが真剣に仕事に向う姿勢を目の当たりにするだけでも、ずいぶん違うと思います。残念ながら今の日本は、飽食の時代ということもあるんでしょう。全てを投げうって仕事に打ち込むことは、少なくなりましたからね。でも、やはりエンジニアは真剣勝負の中で生きていかなくてはいけないということを、1人でも2人でも中国で感じてくれればそれでいい。それが将来、会社が成長する一つのきっかけになってくれればいいと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">結局、日常の淡々とした仕事の中では、人間は成長しないわけです。毎日朝の9時に眠いなと思いながら会社に来て、上司からは「早くしろ」といわれて（笑）。そんなことでは、成長なんてしませんよ。やはり、新しい世界を見せなくてはいけない。それが経営の役目だと思っています。オフショアの研修で中国に行った社員からは「すごく刺激になりました」とメールをもらったのですが、そういう風に思ってくれるだけでも十分なんじゃないでしょうか。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────社員の方から社長に直接メールがくるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">よくもらいますよ。返信すると、びっくりするようですが（笑）。おそらく上司から「社長に礼状ぐらい送れ」といわれているのだろうと思いますが、そういったメールをもらうと、やったことの意義は十分にあったなと思うんですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、これは他社でもされていることかとは思いますが、本体への出向も積極的に行っています。「どんなに人が足りなくても、1人か2人は必ず出せ」と。これも、環境を変えることが目的です。「こういう価値観で仕事をすることが必要なんだな」「こういう仕事の進め方があるんだな」といったことを感じ取ってほしい。そのために行っているものです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>「社員に成長の機会を与えることが経営者の役割」という考えは、組織運営のすべてに徹底されています。教育研修や採用、新人育成はどのように行われているのか。3年前の統合時と比べて、会社はどう変わったのか。後編も引き続き、井戸社長の組織運営について伺います。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>後発からシェアトップを実現した「社員を感動させる経営」（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2008/10/post-52.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2008:/web_jinzai_magazine/person//2.285</id>

    <published>2008-10-15T01:00:00Z</published>
    <updated>2008-11-12T10:14:42Z</updated>

    <summary>未来工業株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_00_b.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
未来工業株式会社<br />
取締役相談役　山田昭男さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">「景気が悪い」「いい人材が採用できない」「株主対策に翻弄される」──混迷する経済状況の中、企業経営にはさまざまな障害がつきまといます。とりわけ中小企業には厳しい時代が続いていますが、そんな中、景気低迷はどこ吹く風と快進撃を続ける企業があります。常識に反する型破りな経営で知られる未来工業がそれ。業界最大手の寡占市場に挑戦し、今や商品によってはシェア8割を占めるまでに成長した原動力は、社員の意欲を引き出す「社員を感動させる経営」にあるといいます。それはどのような経営なのか？　未来工業創業者である山田昭男さんに伺ったインタビューの後編をご紹介します。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>未来工業株式会社</em> （<a href="http://www.mirai.co.jp/" target="_blank">http://www.mirai.co.jp/</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1965年創立。山田氏が、当時熱中していた演劇の仲間を募って4人で起業。実家が営む電気設備資材メーカーを「仕事もせず劇団に入れ込み過ぎる」と勘当同然にクビになったことが起業のきっかけ。社名は劇団名の「未来座」から命名した。資本金は50万円。仕入れ先も顧客もなく、競合するのは「世界のナショナル（松下電工）」という逆風のスタートから、常識に逆らう型破り経営で急成長を遂げ、1991年には名古屋証券取引所第2部に上場。2008年3月期の売上高は319億7300万円、経常利益は39億6000万円（いずれも連結）、2007年3月期までは16期連続増収、8期連続増益という優良企業に成長した。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em>AKIO YAMADA</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1931年、上海生まれ。旧制大垣中学校を卒業後、家業の山田電線製造所に入社。家業の傍ら劇団「未来座」を主宰し、 1965年に劇団仲間4人で未来工業を設立。1991年、名古屋証券取引所第2部に上場。2000年から取締役相談役。岐阜県中小企業同友会代表理事、同会長、岐阜県電機工業会会長などを歴任。著書に「楽して、儲ける！」（中経出版）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">中途半端な施策では、効果は期待できない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────他の企業も御社のように年功序列制を導入し、「年間休日140日」などの社員を感動させる施策を導入すれば、社員の意欲を高めることができるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">どうでしょうか。そういったことをやる人は誰もいませんからね。みなさん、「そんなことをしたら、うちは倒産する」とおっしゃるから。ただ、一番の問題は、中途半端にやるのはダメだということなんです。どれだけ、とことんやれるか。これが大事です。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし思い切った手を打つには、勇気がいるように思います。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">怖さはあるでしょうね。だけども、そもそも商売を始めるということ自体が怖いことなんですよ。どんな会社も創業したときには、すでにその分野に競合する先行企業があったはず。当社だって、そうでした。先行企業には地盤も資金も顧客も、全部ある。こちらには、そんなものは何もない。それでも、みなさん怖がらずに商売を始めたわけでしょう。</p>
<p class="fs14 spacing10">それが、社員が10人とか15人といった規模を超えた途端に、「こんなことやったらヤバイな」と怖がるようになるんですよ。私は35年間、中小企業の団体（岐阜県中小企業家同友会）の代表を務めて、何万人という中小企業の社長とつきあってきましたが、みなさんそうですね。でも、今までの商売が何とかなってきたんだから、これからも怖がらずに勝てると思ってやればいいわけですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社の手法を取り入れた企業もあるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">私が知る範囲では、岐阜県と沖縄県に4社あります。「欠勤したら日割で給料を引くのに、休む社員が減らない」というから、「それは、給料を引かれてもいいということだ」と教えた。そうしたら、「山田さんのいう通りにやってみたい」と、欠勤しても給料を引かない未来工業方式を取り入れたわけです。で、どうなったか。3年経ったころに聞いたところ、「あれだけ休んだ社員が、まったく休まなくなった。不思議なもんだ」と、感心していましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10">でも、しょっちゅう講演に呼ばれて何万人にこの話をしていますが、実行したのはまだ4社。誰もやらないんですね。怖がって。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────未来工業方式を導入したとして、効果が表れるまでにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">どうでしょうか。その会社の例でいえば、私が確認したのは3年目ですから、それまでには変化があったということですね。ただ一ついえることは、徹底的にやらないと社員は感動しないということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">休んでも給料を払う代わりに、そもそも休みが少ないというのでは、「こき使いやがって」と社員の不満は消えません。休んでも給料がもらえる喜びと、年間休日が少ないという不満が相殺されてしまう。それではダメなんです。もしくは、休んでも給料を払う代わりにサービス残業をさせるとなったら、もうおしまいですよ。「悪貨は良貨を駆逐する」というように、物事は悪い印象のほうが強いもの。すべてを感動させるネタで徹底しなくてはいけないわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">例えば、未来工業は残業禁止ですが、そうすると「残業をして稼ぎたい」という社員が不満を持ちます。だから、他社で残業手当をもらったのと同じ水準の給与を払っています。残業がないのに残業したのと同じだけの給料がもらえれば、社員は喜びますよ。感動します。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そのためには、会社に原資が必要です。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">その考えが違うんですよ。「残業をしたのと同じだけの給料を払う」と、まずは決めてしまうんです。そうすれば、社員は残業しなくても仕事をちゃんとやるようになって、会社は回ります。残業手当が出るとなれば、残業するために引き伸ばして仕事をします。「残業しないと、お客様の要望に応えられません」と大義名分を出してくる。</p>
<p class="fs14 spacing10">「そんなに仕事があるなら、人を雇え」といっても、「仕事は4時間分ほどですから、人を雇うほどではありません」という。でもそれは違うんですよ。残業手当は基本時給の1.25倍ですから、4時間分の残業は通常勤務の6時間分です。当社は7時間15分勤務ですから、残りの1時間15分を遊ばせたってどうってことはない。「だから、人を雇って残業はするな」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">では現場はどうするかというと、雇いませんよ。雇えば会社の利益が減って、自分の分け前も減る。それがわかっているから人は雇わずに、自分も残業せずに、ちゃんとやる。人間っていうのは、そのようにできとるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">もう一つ徹底しているのは、未来工業は「ホウレンソウ」、つまり報告・連絡・相談は禁止です。例えば上司に何かを相談して「やるな」といわれたら、その人間は不満を持ちます。人間には誰しも自負があるわけだから、「こんなにいい物を考えたのに、上は拒否しやがった」となるわけです。だから、不満を持たせないためには、全部思う通りにやらせればいい。「どんどんやりなさい」、と。で「ダメならやめなさい」、と。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────やめるかどうかの判断は、どなたがなさるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">それも自分です。自分で考えてやったんだから、やめるかどうかも自分でやりなさいということです。とにかく、不満を持つネタは徹底して取り除き、徹底して感動させる。そうすれば、社員は「この会社のために頑張ろう」と思うようになるんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_0102_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">未来工業の社内には、いたるところに「常に考える」というプレートが貼られている。全社員が常に工夫を考え、アイデアを形にする行動力を持つことが成長の原動力だ。<br>
ただし、社員の考えを受け入れる土壌がなければ、「常に考える」風土は根づかない。未来工業には、「ホウレンソウ禁止」に加えて、次のようなエピソードもある。<br><br>
「デンコー・マック（作業用ナイフ）が成功してしばらくしたら、『その構造を使って魚釣り用のナイフをつくったら売れるんじゃないか』という提案が上がってきた。おもしろそうだというので（中略）商品化したが、これは年間300~400本しか売れていない。というより売りに行ってないのだから、売れるはずもない。（中略）じゃあ、なぜ、わざわざ製品化したのか？　常に新しい提案を続けていくには、そういう場が必要だからである」（「楽して、儲ける！」より）<br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営者が担うべきは「戦略」。「戦術」には手を出すな</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────すべては、「社員を感動させる」というところに行きつくのですね。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。それに関連した話では、こんなこともありました。私は岐阜県の中小企業家同友会で「岐阜みらい塾」という塾を持っているのですが、あるとき「社長は売るな、買うな、つくるな」ということを教えたんです。なぜかといえば、それは全部、社員の仕事。社員の仕事を社長がかっぱらったら、社員は頭にきます。社員は自分のことを、営業のプロ、経理のプロ、購買のプロ、製造のプロだと思っとるわけでしょう。それを奪って、社員が「頑張ろう」と思うはずがないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうしたら、それを実行して経営が傾いてしまった会社があった。「山田さんのいう通りにしたらこうなった」といわれて私も参ったのですが、私は「売るな、買うな、つくるな」とはいっても、ほかっておけ（放任しろ）といった覚えはないんです。それをほかっておいたから、会社が傾いた。そこでハタと気がついて、以降は「売らせろ、買わせろ、つくらせろ」と、言葉を変えたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">「売る」というのは、「たくさん売る」「高く売る」こと。「買う」というのは、「安く買う」「いい物を買う」こと。「つくる」というのは、「たくさんつくる」「安くつくる」「いい物をつくる」の3つ。これが社員の務めですね。これらをやるために考えることを「戦術」といいます。それに対して、社長が考えるべきことは「戦略」。これを両方やってはダメなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">こんなこともありました。岐阜県中小企業家同友会の会員の、ある2代目社長が相談に来たんですよ。「親父は私に『陣頭指揮、率先垂範をしろ』といって会社を譲った。けれども山田さんは、『それはしてはいけない』という。俺は目が回っとるから、ゆっくり話を聞きたい」と。聞いたところその先代は、戦争中は軍隊で小隊長をしていたそうです。で、「『突撃』といって一番先頭を走らないと部下がついてこないことを経験した。経営も一緒だといっている」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">そこで、私はいったんですよ。「よくわかる話だけども、思い違いもいいところだ」と。小隊長というのは、軍隊では一番下の位です。上には中隊長、大隊長がいて、さらに上には連隊長と師団長がいる。会社でいえば、小隊長は係長。課長以下ですよ。軍隊で一番偉いのは総司令官であって、これが社長と同等なんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから、「どこの世の中に、総司令官が軍刀を持って先頭を走る軍隊があるか」と。司令部で机の上に地図を広げて、兵隊をどう動かすかという戦略を練るのが総司令官の仕事であって、「そういうのをまったく考えないで戦争をやったって、烏合の衆で勝てるわけがないだろう」といったんです。そうしたら「なるほど」と、帰っていきましたけどね（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「戦略」で最も大切になるのは何でしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">どうしたら社員を感動させられるか。これを徹底させることにつきます。経営コンサルタントなどはいろいろなことをいいますが、全部無視していいと私は思いますね。戦術は社員に任せるわけだから、社長に対する「ホウレンソウ」は禁止。私はだいたいが「よきに計らえ」だから、社員のほうが危機感を持って自分たちで考えるようになります（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10">社長は、社員が「高く売ろう、たくさん売ろう」という気持ちになっているかどうかの情報さえ持っとればいいんです。売ったか売らなかったかなんて、いってみればどうでもいい。過去のことなんだから。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────しかし、過去を分析するのは経営の定石です。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">過去を分析して何ができるのか、というのが私の持論です。でも、日本人は分析が好きですね。営業でも「この商品はいくつ売れたか」「この顧客には何が売れたか」と、みんなデータをつくる。でも、そんなものは全部過去。「この商品をあの会社にどれだけ売ろうか」というデータは、これは未来だからいいけれども、いくら売れたかという過去はいらないんですよ。</p>
</div>
<h3 class="fs18">経営者は社員を感動させるだけでなく、先が読めなくてはならない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────過去にこだわりすぎると、未来が見えなくなるということでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう。経営者は、先が読めなくてはいかんと思いますね。未来が読めるカリスマでなくてはいけない（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────1973年のことになりますが、すべての商品にJIS（日本工業規格）を取得されました。これも、時代に先手を打ったということでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">あの当時は、「保革伯仲」といって自民党と社会党が伯仲し、「次の衆議院選挙は社会党が勝つ」と、日本中がそう思っていた時代でした。その動きを読むうちにJIS規格の取得を思いついたわけです。どういうことかというと、われわれ建設関連の業界は公共事業が多いんですね。しかし、公共事業はゼネコンの寡占状態で、地方には仕事は回ってきません。するとどうなるか。頭にきた地方の建設業者は社会党に票を入れるはずで、そうなると自民党にとっては建設業の票田が崩れることになる。これは、自民党は土木建設業に対して何か手を打つだろうなと思って見ていたわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうしたらやはり、共同企業体、つまりジョイントベンチャーという方策を考えてきて、ゼネコンにその他の建設業者をつけましょうということをやった。だから建築屋はみんな喜んで、次の選挙は自民党が勝ちました。いわゆる懐柔策ですね。自民党が建設屋の頭をなでたということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">とすると自民党は、今度はメーカーの頭をどうやってなでるかなと考えたわけです。当時の公共事業は、95％がメーカー指名です。指名されるのは松下電工や東芝ばかりで、われわれは商売になりません。つまり、仕事をもらえない中小のメーカーは怒る。それをなだめるために自民党はどうするか。そう考えて思いついたのが、JISだったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">当時も95％はメーカー指名でしたが、残りの5％はJIS規格の製品ならOKということになっていましたので、今後はその比率が逆転する流れになって、中小にも門戸が開かれるはずだと。そこで急きょ技術部を作ってJISの勉強をし、当社の関連製品すべてにJIS規格を取得したんですよ。</p>
<p class="fs14 spacing10">当時はまだ、JIS規格を取得していたメーカーはほとんどありませんでした。なぜかって電気用品取締法をクリアしていれば、それで商売ができたわけですから。そうしたら未来工業がJIS規格を取得し終わるのを待っていたかのように、公共事業のメーカー指名が廃止されて、代わりにJIS規格の製品ならどのメーカーでもいいということになったんです。日本中の公共事業がそうなった。そこでまた、業績が大変に上がったわけです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">飛躍的に成長するには、プラス思考が必要</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────過去にこだわらずに未来を考えるというのは、前向きな思考でもありますね。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そう、経営にはプラス思考が必要です。こんな話もありました。当社は70歳定年制を導入していますが、そうすると周りの中小企業の社長連中はみんな「どうして未来工業さんは、社員を70歳まで雇って生産性を維持できるのか」と聞いてくるんです。そんなことは、私だってわかりませんよ（笑）。こっちが教えてほしいくらいです。</p>
<p class="fs14 spacing10">逆に聞きたいのは、なぜ70歳まで雇用することの弊害ばかりを心配するのかということなんです。だって70歳まで雇ってもらえると思えば、社員は感動するでしょう。これも日本で当社だけではないかと思いますが、60歳を過ぎても定年まで給料は一切下げません。法律では、60歳以降は再雇用して給料を下げていいことになっているけれども、当社は70歳まで一銭も下げない。これはもう、若い社員が感動して一生懸命働くようになりますよ。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────高齢者を雇用して生産性が落ちるマイナスよりも、若手・中堅社員の生産性が伸びるプラスのほうが大きいということでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そう。だから、経営者にはそういったソロバンができることも大事です。それに、社員が本当に70歳まで勤めるかどうかなんて、わからんのですからね。60歳ぐらいで倒れてくれるかもしれない（笑）。仮に70歳まで勤めたって、全社員に占める割合は数％ですから、大した問題じゃない。でも、みんなはいうんですね。「70歳まで勤めたらどうするんですか」と。</p>
<p class="fs14 spacing10">欠勤しても給料を引かないというやり方にしたって、「そんなことをしたら欠勤が増えるのではないか」と思うのはマイナス思考。「もらった分だけ頑張ろうと思うだろう」と考えるのがプラス思考。実際にちゃんとくるんですよ、社員は。万が一休みが増えるようなら、その施策をやめればいいだけの話ですしね。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから、下手に心配して中途半端にやるのはダメ。やるからには徹底的に、社員を感動させる。社員がやる気を出して初めて、商品やサービスの差別化ができるのであり、それなくして会社の成長はありえないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ありがとうございました。</em></p>
</div>]]>
        
    </content>
</entry>

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    <title>後発からシェアトップを実現した「社員を感動させる経営」（前編）</title>
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    <id>tag:www.obt-a.net,2008:/web_jinzai_magazine/person//2.278</id>

    <published>2008-09-24T01:00:00Z</published>
    <updated>2008-09-24T10:32:05Z</updated>

    <summary>未来工業株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_00_a.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
未来工業株式会社<br />
取締役相談役　山田昭男さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">「景気が悪い」「いい人材が採用できない」「株主対策に翻弄される」──混迷する経済状況の中、企業経営にはさまざまな障害がつきまといます。とりわけ中小企業には厳しい時代が続いていますが、そんな中、景気低迷はどこ吹く風と快進撃を続ける企業があります。常識に反する型破りな経営で知られる未来工業がそれ。業界最大手の寡占市場に挑戦し、今や商品によってはシェア8割を占めるまでに成長した原動力は、社員の意欲を引き出す「社員を感動させる経営」にあるといいます。それはどのような経営なのか？　未来工業創業者である山田昭男さんに伺ったインタビューを2回シリーズでご紹介します。</p>
</div>
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<p class="fs14 spacing05"><em>未来工業株式会社</em> （<a href="http://www.mirai.co.jp/" target="_blank">http://www.mirai.co.jp/</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1965年創立。山田氏が、当時熱中していた演劇の仲間を募って4人で起業。実家が営む電気設備資材メーカーを「仕事もせず劇団に入れ込み過ぎる」と勘当同然にクビになったことが起業のきっかけ。社名は劇団名の「未来座」から命名した。資本金は50万円。仕入れ先も顧客もなく、競合するのは「世界のナショナル（松下電工）」という逆風のスタートから、常識に逆らう型破り経営で急成長を遂げ、1991年には名古屋証券取引所第2部に上場。2008年3月期の売上高は319億7300万円、経常利益は39億6000万円（いずれも連結）、2007年3月期までは16期連続増収、8期連続増益という優良企業に成長した。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em>AKIO YAMADA</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_book.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14">1931年、上海生まれ。旧制大垣中学校を卒業後、家業の山田電線製造所に入社。家業の傍ら劇団「未来座」を主宰し、 1965年に劇団仲間4人で未来工業を設立。1991年、名古屋証券取引所第2部に上場。2000年から取締役相談役。岐阜県中小企業同友会代表理事、同会長、岐阜県電機工業会会長などを歴任。著書に「楽して、儲ける！」（中経出版）。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">社内のすべてに「差別化」の発想を持ち込む</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご著書「楽して、儲ける！」の中で、後発から先発企業に勝つには「差別化が必要である」と書かれ、その結果として多くの独自商品を生み出されました。どのようにして、差別化を実現されたのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">まず一つやったのは、一から十まですべて人がやることの反対をしようということでしたね。未来工業の商品である電設資材は、規格が法律（電気用品取締法）で決められているので、そもそも工夫はしてはいけないことになっとるんです。これは辛いですよ。工夫を考えてはいけないんだから。その条件のもとで、4人で会社を立ち上げたわけですが、敵は何万人、何兆円の松下電工。ものすごいブランドです。一方で、未来工業のブランドはゼロ。日本中で誰も、未来工業のことは知らない。そこから差別化が始まったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">といっても、そんな零細企業に入社してくるのは凡人に決まっとります。賢いのはみんな大企業に行くんだから。だから商品は差別化しなくてはいけないけれども、凡人だから考えようがない。しかし、考えなくてはいけないという宿命を負った。で、どうするか。一から十まですべて人がやることの反対をしてみようと。これが差別化の始まりです。</p>
<p class="fs14 spacing10">極端な例では、「トイレに行っても手を洗うな」と。そんなこともいいましたね（笑）。それも差別化だから。もちろんみんな手は洗っていましたけど、そうやって差別化するクセをつけておくと、商品の差別化を考えるときにいくつかはアイデアが出るだろうと思ったわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そのほかにも、うちの会社には「日本で唯一」というものがいくつもありますよ。どこもやってないことをやれば、それが差別化になりますから。あるときテレビ局がうちの会社の「日本一」を取材したいといってきたから紙に書き出したら、40ぐらいあったこともありましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────例えばどのような「日本で唯一」があるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">株主総会は仏滅にやります。横並びではいけないというのは商売の鉄則ですが、他社はたいてい大安にやるでしょう。だから、当社は仏滅。今どき、横並びではメシは食えません。本社の廊下に一日中電気をつけないというのも、日本中で当社ぐらいではないですか。それから、本社には社員が350人いますがコピー機は1台。廊下の消灯とコピー機1台は、あちこちのテレビ局がずいぶん取材にきましたよ（笑）。なぜ電気をつけないか、なぜコピー機が1台かというと、無駄だから。そして、これも差別化だからです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- </p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_0102_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">差別化を常に考える社風から生まれた製品は、今や2万点を超える。売れ筋商品に絞る他社の逆を行くことで、「未来工業ならどんな資材もそろう」と、ユーザーの支持を得た。「シェアを取るための"ムダ"」（「楽して、儲ける！」より）だという。<br>
2万点の製品は、どれも独自の工夫がなされたもの。徹底するのは、小さなアイデアを大事にすることだ。壁面に取り付けるためのねじ穴が他社は2穴のところを、より固定しやすい4穴にするなど、規格が法律で定められている製品でも「徹底すれば工夫のネタはいくらでも出てくる」（同）という。<br>
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
</div>
<h3 class="fs18">お客様を感動させるために、まずは社員を感動させる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────商品開発に直結しないようなところでも、差別化を徹底されているのですね。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/mirai_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">そうです。そこで大事なのは、差別化のクセをつけることに加えて、社員を感動させるということです。私は経営者が集まる講演に呼ばれることが多いのですが、そこで必ずいうのが、社員は「人材」ではないということ。人材の「ざい」は、財産の「財」でなくてはいけない。「材」の字を使うのは、材料です。材料とは木や紙や鉄のことで、これには感情がない。でも、人間には「感情」があります。お金を儲けるという「勘定」もある。それを材料と一緒にするなよ、ということなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">誰が、材料扱いされて「頑張ろう」という気になりますか。人間には「頭にくる」という感情もあるんだから、「誰が働くか」と思うでしょう。しかし、「この会社のために働こう」という感情を持ったときには、「儲けよう」という勘定もできるようになるわけです。つまり、今流行りの言葉でいえば、社員の「モチベーション」を高めなくてはいけない。では、モチベーションを高めるにはどうするか。それには「モチ」が必要。社員に「餅」を与えるということです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────「餅」を与えるとは、どうすることをいうのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">社員を喜ばせるということです。つまり、社員を感動させればいいんです。そもそも、商売というのは、お客様に商品を買っていただいて成り立つもの。そのためにはお客様を満足させて、喜ばせんといかん。お客様を感動させなくてはいけないわけです。では、お客様を感動させるのは誰かといえば、それは社員です。それならば、まずは社員を感動させなくてはいかん。社員を感動させるためには、餅が必要。それが私の持論です。</p>
<p class="fs14 spacing10">だから、当社には「日本で唯一」がたくさんあるといいましたが、そのほとんどは「どうすれば社員を感動させられるか」を考えて生まれたものです。例えば、年間休日数は、日本で最多の140日。勤務時間は8時30分から16時45分までで、残業は禁止です。140日も休ませれば社員は喜びますよ。なぜかって、社員というのは働きたくないものなんだから。本当は、働かずに給料をもらえるのが理想。だから、休みが多ければ感動します。それも中途半端にやっちゃダメ。感動するところまで喜ばせなくてはいかんわけだから、当社の年間休日は日本で最多にしているんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
そのほかにも未来工業には、社員を感動させるための次のような制度や仕組みがある。<br><br>
●経費を徹底的に節約する一方で、5年に一度の社員旅行（海外）は全額会社負担。毎回1億円以上を支出する。<br>
●工場も含めて制服はなく、全員私服で勤務可。ただし私服が汚れることを配慮し、年に一度「制服代」として被服費を支給する。<br>
●70歳定年制。60歳以降も再雇用扱いにはせず、減給は一切なし。<br>
●育児休暇は最長3年間取得可能。<br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
</div>
<h3 class="fs18">「権利主義」ではなく「義務主義」が、社員の意欲を高める</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────インセンティブ制度を導入する、人事考課制度を再構築して公正な評価に努めるなどして、社員の動機づけに力を入れる企業が多くありますが、こういったことも「餅」を与えることにつながるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">成果主義を導入する会社も多いですが、それは違うんですよ。「馬にニンジン」という言葉がありますね。馬なら走ればニンジンをやればいいけれども、社員は人間です。馬と一緒にするなよといいたいですね。「これだけの働きをすれば、これだけの報酬をあげますよ」というのは、「走ったらニンジンをあげますよ」というのと同じこと。社員を喜ばせようという気持ちがあることはわかりますが、そんなことをやっていて人を使えるわけがないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">成果主義には目標やノルマがありますが、ノルマが効果を発揮するのは何万人という大企業の場合であって、中小企業には絶対に価値がないというのが私の持論。中小企業にくるような社員は凡人であって、大企業の社員とは違うわけですよ。成果主義は、成果を挙げなければ給料がもらえない。そうすると「お金はいらないから、働かない」という人が絶対出てくるんです。働いた人には、お金をもらう権利がある。それに対して、お金がいらない人には、働かない権利がある。これを「権利主義」といいます。</p>
<p class="fs14 spacing10">大企業のように、年収1500万円や2000万円という待遇を与えられえるならノルマにも価値があるけれど、中小企業は社長だってそれくらいの報酬を得られるかどうかあやしい会社も多いでしょう。ましてや社員は、課長になったって部長になったって、平社員と大して変わらんのですよ。働きも変わらんし、給料の中味も大して変わらん。それだったら「金はいらないから働かないよ」となるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">未来工業では成果主義は禁止、年功序列です。売らなくても一定の給料を払います。その代り、売っても給料は増えません。だからといって全員一律に安い給料では社員は感動しないわけで、給与水準は地域で一番になるように設定しています。そうすると、どうなるか。「これだけもらっているのだから、売らなくちゃ悪いな」と思うようになるんです。これを「義務主義」といいます。</p>
<p class="fs14 spacing10">「給料に見合うだけの働きをしなくては悪い」と。これを思えるのが、日本人の特徴なんですよ。なぜかといえば、日本人は儒教の精神を持っているから。今はもう学校で儒教を教たりましませんが、生まれる前から遺伝子を持っているんです。狩猟民族に儒教の遺伝子はないけれど、農耕民族である日本人にはその遺伝子がある。だから、「やらないと悪いな」と思えるわけです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────やってもやらなくても給料が同じなら、サボろうと思う方はいないのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">みなさん、それをいいますね。社員は「2：6：2」で優劣が分かれるという理論を持ち出す人もおる。けれども、「みんながやる」という風土をつくっておけば、評論家がいうような「2：6：2」ということはありえません。サボると居たたまれないんですよ、本人が。周囲はみんなやっとるんだから。農耕民族の最大の特徴は横並びですから、結局はつられてやるものなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">では、成果をあげても給与が増えないというのはどうなのか。そういうことを聞いてくる人もいます。それは私にいわせれば、「勝手に成果をあげて、給料をくれというな」ということなんですよ（笑）。現に、私は社員に「やれ」とか「頑張れ」なんてひと言もいいません。それでも、やるやつはやる。そうすると、私が怒鳴りつけるわけです。「バカたれ、誰がやれといった。やるなよ」と（笑）。でも、「やるな」といわれてやらないかといえば、絶対やるんですよ。なぜかといえば、日本人というものは、やることによって自己満足感を持つものだから。だから「やるな」といっても、働くんです。</p>

<p class="fs14 spacing10"><em>「年間休日140日」「残業禁止」「定年70歳」「成果主義の禁止」といった施策は、部分的に導入しても「効果はない」と山田さんはいいます。では、個々の施策を考える以外にどのような発想が必要なのか。後編では、山田さんの人間観、経営観を伺います。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>社員の「志」に火をつける、人財育成・風土改革（後編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2008/09/post-50.html" />
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    <published>2008-09-10T01:00:00Z</published>
    <updated>2008-10-23T01:52:31Z</updated>

    <summary>帝人株式会社</summary>
    <author>
        <name>OBT</name>
        
    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/">
        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_00_bb.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br /><br />
帝人株式会社　人財部長<br />
兼　帝人クリエイティブスタッフ株式会社　人財部長<br />　
武居靖道さん</br></br>
帝人クリエイティブスタッフ株式会社　人財部　人財開発グループ<br />　
鈴木崇之さん</em><br /></p>
<p class="fs14 spacing10">ここ数年の新卒者の売り手市場を背景に、学生の大企業志向や安定志向が強まっているといわれています。そこには「寄らば大樹の陰」を狙う他者依存の気質が垣間見えますが、大樹が大樹たりえているのは1本1本の根が大地にしっかりと張っているから。組織に置き換えても同様に、社員1人ひとりが志をと使命感を持つことが、企業の発展には欠かせません。では、どうすれば志ある人財を育成できるのか。今年、創業90周年を迎えた帝人では、風土改革の試みの一つとして「私がやる！」プロジェクトを推進中。後編では、その取り組みについて伺いました。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>帝人株式会社</em> （<a href="http://www.teijin.co.jp/japanese/index.html" target="_blank">http://www.teijin.co.jp/japanese/index.html</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1918年創立。東京帝国大学（現・東京大学）の学生であった久村清太氏を新興の総合商社、鈴木商店の大番頭、金子直吉氏が支援する形で、帝人の前身となる帝国人造絹絲(株)が誕生。今でいう産学協同のベンチャー企業として帝人は産声をあげた。その後、合成繊維の台頭や円高不況、オイルショックといったさまざまな経営危機に見舞われるが、"ベンチャー魂"と世界トップクラスの技術・品質で乗り越え、2006年には売上高一兆円を突破。この間、2003年には持ち株会社制への移行を果たす。素材メーカーとしての技術を発展させた事業は、ポリエステル繊維事業を筆頭に、高機能繊維、フィルム、樹脂、医療医薬など7つの事業分野に広がり、グローバル企業グループとして国内子会社81社、海外子会社74社を持つ。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em>YASUMICHI TAKESUEA</em></p>
<p class="fs14 spacing20">1956年生まれ。1980年に帝人株式会社に入社。勤続28年の間2年間を除き、一貫して人事畑を歩む。入社時は愛媛工場勤労課に勤務。その後、三原工場事務室勤労班、大阪本社の勤労部を経て、1999年に帝人全体の人事施策企画機能を担う人財企画室が発足すると同時に東京本社の同室に異動。翌年に大阪本社の人財部に異動し、2001年に帝人化成株式会社・人事勤労部部長に、2004年に同・資材部部長に就任。2006年4月から現職。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em>TAKAYUKI SUZUKI</em></p>
<p class="fs14">1972年生まれ。製薬会社のMR（医薬情報担当）を経て、2003年に帝人株式会社に入社。医薬医療事業において海外との提携業務に従事するかたわら、2003年4月からは「私がやる！」プロジェクトの事務局も兼務。2007年7月に現職に異動し、プロジェクトの事務局専任となる。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">若手の提言を「すぐやろう！」と即決し、風土改革プロジェクトが誕生</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────「私がやる！」プロジェクトという、ボトムアップ＆自然発生型の組織風土改革を2006年から実施されています。これはどのような経緯で始まったものなのでしょうか。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0101_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>武居</strong>　若手交流会という、若手中堅層向けの研修の中で提案されたものです。若手交流会では、毎回約30名を各事業から選抜し、5、6人のグループに分けて半年間の自主活動を行います。グループごとにテーマを持っていろいろな議論をし、最終的には経営陣に提言をするというもで、テーマや進め方はまったく自由。いつどこで集まっても構わないから、自分たちできちんと進めてくださいという、いわば野放し状態ですね（笑）。「私がやる！」プロジェクトは、その自主活動の提案から生まれたものなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────そもそもは、どのような提言だったのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　私が提案メンバーの一人なのですが、当初は、何かキャラクターを作って「私がやる！」というメッセージを社内外に普及させようというブランド活動としての提案でした。なぜこんな提案をしたかといいますと、若手交流会の活動を通して、帝人が目指す企業イメージと社員が抱いているイメージのギャップを強く感じたからなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">研修活動の一環で、グループ社員に帝人に抱いているイメージについてアンケートをとったところ、「伝統的」「堅実」というイメージが強くある一方で、「元気がない」「スピードがない」「かたい」といったイメージを持っている人も多かったんですね。中でも印象的だったのが、ある女性社員が書いた「いい人だけど恋人にはしたくないタイプ」というコメント。「いい人」であること自体は構わないのですが、もっともっと若々しい会社にしたいよねという思いが、提案が生まれた原点なんです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※プロジェクトが生まれた背景には、次のような問題意識があったという。<br>
「アンケートの400名分の自由意見を眺め、気づいたことがありました。それは、批評家・評論家的意見のオンパレードだったということ。（中略）400の自由意見の中で光っているコメントがありました。それは『俺が社長だったら、こうしてああしてこうする』という、ある30代男性のコメントです。「これってTEIJINっぽくないよね」（中略）「TEIJINっぽくないということは、TEIJINに足りないものってこと？」（中略）こうして生まれたのが、「私がやる！」なのです」（事務局発行の冊子『そこに仲間がいる』より）<br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>武居</strong>　この提言には長島前CEO（現・取締役会長）が非常に前向きで、「すぐやろう！」と即決で採用されましたね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────トップが直接ご判断されるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>武居</strong>　若手交流会に限らず、STRETCHやSLP（前編参照）などの研修から出される経営への提言についても、経営としてどう受け止めるのかということは必ず明らかにしています。CEO以下関係役員が提言の取り扱いについて協議・検討し、そこで具体化する価値があるとされたテーマについては、それぞれ担当役員を決めて実行案を策定、実施することとしています。</p>
</div>
<h3 class="fs18">"本気のメンバー"を育てることが、風土改革の最初の関門</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　提案した私たちには想像以上のいい反応で、正直いって驚きました（笑）。トップが受け止めてくれるということは、「本気でやる覚悟があるのか」を問われることでもあると提案後に気づいて慌てたのですが（苦笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────プロジェクトの記録には、2006年3月の欄に「やると決まったものの、どう進めればいいのか悶々と悩む」とあります。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　「悶々と悩んだ」一番の理由は、もともとの提案メンバーは7人いたのですが、メンバーの本気の度合にバラツキがあり、全員で同じ情熱を傾けて一緒に続けることが叶わなかったことなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">CEO決定審議会メンバーに提案が受け入れられた後、もともとの提案メンバー7人で集まりまして、本気でやるかやらないかをひざ詰めで話す場を持ちました。すると、「本気でやる」というメンバーと、「やらない」というメンバー、その中間の微妙なニュアンスのメンバーに分かれ、まずは本気のメンバーで続けようということになったんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────"みんなで進める"というのは、やはり難しいことのでしょうか。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0201_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　社員の自主性に委ねる活動というのは、やらなくてもそれで何かマイナスがあるわけではありませんから、参加者に「思い」があるかどうかが肝になります。ですから、常に本気の人たちだけで進めることが、ものすごく大事になると思うんです。でもそれは、本気ではない人を排除するということではなくて、「来るものは拒まず、去る者は追わず」という感覚。活動を続けていくことが大変になったらいつでも抜けていいし、また参加したくなったら戻ってくるのは大歓迎。プロジェクトの活動方針にも「やりたい人がやる、出入り自由」ということを掲げています。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※プロジェクトの活動方針には、以下の3つが掲げられている。（事務局発行の冊子『そこに仲間がいる』より）<br>
１．やりたい人がやる、出入り自由<br>
組織や権限を使って無理に参加を求めません。また、一度参加をされた方であっても、しばらく参加をやめてもかまいません。<br><br>
２．小さく産んで、大きく育てる<br>
草の根活動をいきなりグループ全体に広げることはできません。（中略）無理に「形」をつくらないこと......これが成功の秘訣だと思います。<br><br>
３．きっかけは、出会いと縁<br>
（前略）タテ・ヨコ・ナナメの個人単位でのつながりが改革を成功に導くと考え、各々の活動を支援しています。<br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────事務局としては、一人でも多くの方に参加してほしいという思いもあるのではないですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　ジレンマに陥るところではあるのですが、このプロジェクトが発生した原点である「私がやる！」という気持ちを大切にしたいんですね。会社の風土について、いろいろ人がいろいろなことをいいますが、結局、評論家的な意見だけでは改革につながらないんですよ（笑）。ですから、「私がやる！」スピリットを原点に始まったプロジェクトとしては、少人数でもいいから本気のメンバーが集まって、「まずは動き出す」ことを大切にしたいと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ご提案から2年が経ちますが、プロジェクトではどのような活動を進めておられるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　一言でいうとリーダー育成ですね。このようなプロジェクトは時間がかかりますから、まずは本気の人に先頭に立ってもらうことが大事なステージがあります。今はまさにその期間で、2008年度中に現場のリーダーを80人つくること、つまり、グループ全体で80の草の根レベルでの活動を顕在化させることを目標にしています。顕在化したリーダーは、今の段階で25人か30人ぐらいでしょうか。私の力不足もあり、正直まだまだです（笑）。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※プロジェクトチームの一例（事務局発行の冊子『そこに仲間がいる』より）<br>
●ちーむケンパス（帝人ファーマ（株））<br>
「日野から次々と新薬の種を出す！」ことをビジョンに、非公式のプロジェクトチームを結成。部署の壁を超えた技術交流や講師を招いた講演会、病院視察などを実施している。チーム名の由来は、"Chemistry and pass"。「化学技術と仲間同士のつながりで、数々の障害を突破する」という思いが込められている。<br><br>
●技能伝承プロジェクト（帝人ファイバー（株）松山原料工場）<br>
「プロの技術を次の世代へ」が活動のスローガン。2年に1度の工場の定期修理が、OB社員の応援なくして成り立たない状況に危機感を覚え、技能伝承の「見える化」を企画。プロジェクトチームを結成して定期修理のビデオ撮影を行い、2年後の定期修理前の教育に活かすべく、編集作業を進めている。<br><br>
●club希（帝人ファーマ（株）の女性社員の皆さん）<br>
「女性営業の"働けてよかった！"」を追求することを活動の目的に、MR（医薬情報担当者・営業職）を中心とした女性スタッフが集結。ブログを立ち上げ、定期的なミーティングを持つなどして、女性が働きやすい職場づくりのための活動を展開している。</br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
</div>
<h3 class="fs18">リーダーだけでなく、リーダーを支えるフォロワーも育てる</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────具体的には、どのようにして本気のリーダーを育成されるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　「基本アクション（※）」と呼んでいる一連のサイクルがありまして、これを回すことを基本にして進めています。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※基本アクション：説明会やビラ配りなどでプロジェクトへの参加を呼びかける　→　チームごとに自主的に学ぶ場づくりとして「企業風土改革講座」を開催。本音で議論することで「私がやる！」スピリットを発火させる　→　それによってリーダー予備軍を作り、その中からリーダーを輩出する、という一連のサイクル。この先のサイクルの中で、次の3つを事務局の役割としている。<br>
１．潜在する多くの草の根リーダーの発掘<br>
２．草の根リーダーによる具体的活動の支援<br>
３．草の根リーダーが職場で伸び伸びできる環境づくり<br>
「言いだしっぺを見つけ出し、心の火種を守り、炎が消えない手当（言いだしっぺが損をしない環境づくり）が必要」という。（事務局発行の冊子『そこに仲間がいる』より）<br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　このサイクルを回す中で接点を持った人は、これまでで1400人ぐらいでしょうか。「企業風土改革講座」は、半日や1日で行うこともありますが、1泊2日の合宿形式が理想ですね。ここでは、ホンネで話せる状態を作ることに時間をかけます。ホンネでディスカッションできるようになると、不思議なもので「よし、やろうぜ！」と、やる気になってくるんですね。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
※企業風土改革講座は大きく4つのプログラムからなる。1～3は職場単位の集合研修形式で、4は主に社外活動として行われる。（事務局発行の冊子『そこに仲間がいる』より）<br><br>
１．改革の理論<br>
組織風土改革に関する知識や考え方を共有。<br><br>
２．チームビルディング<br>
自己紹介、自己開示を行うことで自分を語り、人を知る。1～3の中で最も時間をかけるプログラム。<br><br>
３．ホンネのディスカッション<br>
具体的なアクションプランを作成することを理想としつつも、結論を出すことは目的とせず、連帯感を高めることを重視して、風土に関する問題を議論する。<br><br>
４．自分が変わるプログラム<br>
優良企業の訪問や、地域の志高い生き方を実践している方々と一緒に学ぶ「五感塾」など、社内では得られない出会いを経験することで、自己改革を促すプログラム。<br><br>
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────講座の講師はどなたがされるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　主に私自身です。あちこち飛び回っています（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────カリキュラムは、どのようにして作られたのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　やりながら少しずつ形になってきました。現在の形になるまでは2年以上の時間がかりましたが、試行錯誤するうちに一つわかったのは、こうやって人が集まること自体が風土改革になるのだということ。本気で話し合うことで参加者が互いに共感し合い、ときには感動し合って、「がんばろうね」という風になれるんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">それともう一つ、リーダー育成が講座の主な目的ではありますが、リーダーを支える人たちを作るという効果もあります。一定数のフォロワーにリーダーを支えてもらうことも大事なこと。支えてくれる人がいなければリーダーは成り立ちませんし、誰か一人でも応援してくれる人が身近にいると勇気がわくんです。これはすごく大事なことですね。リーダーの気持ちが折れてしまうと、そこで終わってしまいます。リーダー自身が「自分には支えてくれる仲間がいる」という勇気と感謝を持てると、各活動は飛躍的に発展します。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────講座の参加者はどのようにして募るのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　ケース・バイ・ケースです。初期の頃は身の回りの人を誘って、いわば身内で講座を開いていましたが、その方法では仲良くはなっても、そこで止まってしまうんですね。「自分ひとりでもやり抜いてやろう」と思うくらい本気の人がいないと、その後に発展しない。イントラネットで募集することもありますが、face to faceの出会いで始まった関係ほどはうまく発展しない気がしています（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10">そうやってあちこち歩き回っているしているうちに、例えば飲み会の席で「一緒にやろうよ」といった話が生まれるとか、メールで誰かを紹介してくれるとか、不思議と社員同士のつながりが発展していくんです。そうすると、ある人が言いだしっぺになって、その周りで講座を開くことになったりする。こんな自然な流れを意識した方が圧倒的にうまくいきますね。</p>
<p class="fs14 spacing10">ちなみに、今年からようやく「草の根リーダー塾」という1年間のリーダー育成プログラムを開始することができました。既存のリーダー6名と公募で手を挙げた3名の計9名が、1年間集中して一緒に学んでいきます。まさに本気のチームができたわけです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">組織風土改革は、組織の血流を改善するためのコミュニケーション改革</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────企業風土改革講座を開いたチームは、変わりますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　まずは参加者個人の単位で変わっていきます。もちろん工場や課といった職場単位でも、動き出す人や応援する人が出でてくることで、ジワジワ変っていきます。残念ながら、その変化を帝人グループ全体に伝え切れていないのが実情です。今後の課題ですね。</p>
<p class="fs14 spacing10">このプロジェクトの発想は、一気に全体的な変化を狙うのではなく、ローカルな変化を積み重ねることにあるんですね。ローカルに一人二人と変わっていく流れを、どれだけ多く自然発生させられるか。ボトムアップの風土改革を行うときには、長い目で見て、このような自然発生的なアプローチが一番いいのではないかと思っています。なかなか「形」にならないので、事務局には忍耐力が必要ですが（笑）。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────企業風土改革講座によって、何が変わるのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　コミュニケーションです。今、人間関係がすごく希薄化しているといわれますよね。風土改革もそこに行き着くように思うんです。人間関係が希薄化したというのは、互いに関わり合わなくなったということ。ですから企業風土改革講座では、意図的に深いところまでお互いを出し合います。自己紹介も含めて1泊2日とは、時間がかかるようでいて、実は飲み会を10回やるよりもコミュニケーションの改善効果が高い。非常に効率的な方法です。</p>
<p class="fs14 spacing10">結局のところ、組織風土改革とは組織の血流改善のようなものではないでしょうか。健康な体には、新鮮な血液が組織の末端にまで行き届いています。でも、ひとたびどこかで血流が詰まったら、例えば小指の先のようなところであればその先が腐ってしまいますし、脳でそれが起これば死に至ることもある。血流が滞るというのはそれほどに支障が大きいことです。では、組織にとっての血液とは何かというと、一言でいえば"情報"なのだと思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">ですから、フレッシュな情報、いい情報がちゃんと流れているかどうか。トップのメッセージやビジョンが、末梢の現場にまで届いているのかどうか。それには血流を送る側の問題もありますし、受け止める側の弾力性、たとえばボトム社員の素直さ、謙虚さといった問題もある。また、静脈瘤のように血流が中間管理職のところで滞っていれば、現場の声は経営には届きません。組織風土改革はコミュニケーション改革であるといい切ってもいいかも知れませんね。</p>
<p class="fs14 spacing10">こういった一人単位で変わっていく改革には時間がかかります。「私がやる！」プロジェクトは10年計画で進めていますが、経営陣がそれを理解してくれるのはありがたいなと思います。</p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0401_b.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>武居</strong>　「私がやる！」というのは、ボトムアップの草の根活動ではありますが、経営がその活動を支援しているという前提条件があることは大きいですね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>鈴木</strong>　価値のある提案は、経営がきちっと受け止めてくれるということが浸透し始めていますので、「それなら、私も言ってみようかな」と思えるのではないでしょうか。</p>
<p class="fs14 spacing10"><strong>武居</strong>　それともう一つ、人事としては "気づき"の機会を与えることも大切だと思っています。ボトムアップの風土というのは、社員一人ひとりが「自分は何をやりたいのか」を考え、能動的、主体的に役割を遂行するということ。そういった状態を作るには、「私がやる！」ということの価値に気づくことが必要なんです。主体的に働くことは自分自身を人間的に成長させることであり、せっかく働くのなら人生そのものが豊かになる働き方をしたい。その気づきを与える機会としてさまざまな研修を充実させ、夢や目標を共有するためのコミュニケーションの充実を図っていきたいと考えています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────ありがとうございました。</em></p>
</div>
</li>
</ul>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>社員の「志」に火をつける、人財育成・風土改革（前編）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2008/08/post-49.html" />
    <id>tag:www.obt-a.net,2008:/web_jinzai_magazine/person//2.268</id>

    <published>2008-08-27T01:00:00Z</published>
    <updated>2008-10-23T01:51:49Z</updated>

    <summary>帝人株式会社</summary>
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    </author>
    
        <category term="この人に聞く" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<ul class="secList">
<li class="clearfix">
<p class="photo"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_00_a.jpg" alt="" /></p>
<div class="textArea">
<p class="fs16 spacing10"><em><$MTEntryTitle$><br />
帝人株式会社　人財部長<br />
兼　帝人クリエイティブスタッフ株式会社　人財部長<br />　
武居靖道さん</em></p>　
<p class="fs14 spacing10">ここ数年の新卒者の売り手市場を背景に、学生の大企業志向や安定志向が強まっているといわれています。そこには「寄らば大樹の陰」を狙う他者依存の気質が垣間見えますが、大樹が大樹たりえているのは1本1本の根が大地にしっかりと張り、1枚1枚の葉が養分を生み出して大樹を支えているから。組織に置き換えても同様に、社員1人ひとりが組織を支える志をと使命感を持つことが、企業の発展には欠かせません。では、どうすれば志ある人財を育成できるのか。帝人株式会社　人財部長　兼　帝人クリエイティブスタッフ株式会社　人財部長　武居靖道さんに伺ったインタビューを2回シリーズでご紹介します。</p>
</div>
</li>
<li>
<p class="fs14 spacing05"><em>帝人株式会社</em> （<a href="http://www.teijin.co.jp/japanese/index.html" target="_blank">http://www.teijin.co.jp/japanese/index.html</a>）</p>
<p class="fs14 spacing20">1918年創立。東京帝国大学（現・東京大学）の学生であった久村清太氏を新興の総合商社、鈴木商店の大番頭、金子直吉氏が支援する形で、帝人の前身となる帝国人造絹絲(株)が誕生。今でいう産学協同のベンチャー企業として帝人は産声をあげた。その後、合成繊維の台頭や円高不況、オイルショックといったさまざまな経営危機に見舞われるが、"ベンチャー魂"と世界トップクラスの技術・品質で乗り越え、2006年には売上高一兆円を突破。この間、2003年には持ち株会社制への移行を果たす。素材メーカーとしての技術を発展させた事業は、ポリエステル繊維事業を筆頭に、高機能繊維、フィルム、樹脂、医療医薬など7つの事業分野に広がり、グローバル企業グループとして国内子会社81社、海外子会社74社を持つ。</p>
<p class="fs14 spacing05"><em>YASUMICHI TAKESUE</em></p>
<p class="fs14">1956年生まれ。1980年に帝人株式会社に入社。勤続28年の間2年間を除き、一貫して人事畑を歩む。入社時は愛媛工場勤労課に勤務。その後、三原工場事務室勤労班、大阪本社の勤労部を経て、1999年に帝人全体の人事施策企画機能を担う人財企画室が発足すると同時に東京本社の同室に異動。翌年に大阪本社の人財部に異動し、2001年に帝人化成株式会社・人事勤労部部長に、2004年に同・資材部部長に就任。2006年4月から現職。</p>
</li>
<li class="end clearfix">
<h3 class="fs18">全体最適と個別最適の調和を追い求める</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社は2003年に持ち株会社制に移行されました。それによって、組織・人事面の課題はどのように変わったのでしょうか。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0101_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">帝人はポリエステル繊維事業を中核に高機能繊維事業やフィルム事業など、さまざまな事業を展開しています。これまでは、帝人という一つの枠組みの中で運営してきましたが、事業というものはそれぞれに環境が違い、同じ枠組みの中では御しきれない。個別の環境に応じた経営をするために分社化したというのが、持ち株会社化の大きな流れです。</p>
<p class="fs14 spacing10">この流れは、人事にも当てはまります。今までは帝人という一つの枠組みの中での人事という視点で、制度の構築や人財の能力開発を行ってきましたが、今後は個別の事業環境に応じた仕組みや対応が求められる。そういった大きな流れがあるということです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そしてもう一つ、持ち株会社制に移行する以前にも、人事の機能に大きな変化がありました。1999年のことになりますが、人事部の組織が縦割りから横割りに変わったんですね。これは持ち株会社化の流れと趣旨を一にするものではありませんが、人財を「帝人の究極の財産」だと捉え直した結果としての組織変更です。</p>
<p class="fs14 spacing10">それまでの縦割り人事というのは、人事部、勤労部、教育部という部署からなる機能で、昔ながらの「ホワイトカラーとワーカー」という階層別の人事。しかし人財はみな、帝人の一つの財産です。前近代的な発想は捨てて、帝人の人財全体を一気通貫で「社員と共に成長する」とい企業理念を実現するために、人財育成も含めた全体の人事施策の企画機能を担う人財企画室という部署ができ、これを前身として、今私がいる人財部が誕生しました。人財の「材」に財産の「財」という字を使うようになったのも1999年からなんです。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────帝人グループ全体としての人財育成と、各事業の環境に応じた人財育成の両輪を回していかれるということですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そういうことです。こういう体制の中で人事をやっていて非常に重要だと思うのは、「個別最適」と「全体最適」の調和をどう求めるのかということなんですね。「自己完結的事業運営」を基本としながら「グループ全体最適」を実現する。すなわちグループ経営とは「個別事業価値の総和を最大化するグループ全体最適の実現」という、ある意味では二律背反ともいえる試みだと思いますね。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────武居さんは2006年に人財部長に就任されました。最初に手をつけようと思われたのは、どのようなことですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">これはやらなければならいと思ったのは、「コア人財」の育成です。各事業の中で実績をあげ、なおかつグループ全体の価値の総和を考える視点を持つ人財。そういう人財をたくさん作らなくてはならない。私が就任する以前から注力されていたテーマですが、さらに加速しなくてはならないと考えました。</p>
<p class="fs14 spacing10">そう思ったのには2つの背景があります。1つはグローバル化への対応が急務だという事業環境によるもの。帝人グループは国内1万人、海外9000人という陣容になり、グローバルな視点で物事を考え、グローバルに戦える人財を育成することが急務になっている。これが1つの大きなニーズとしてあります。</p>
<p class="fs14 spacing10">もう1つは、持ち株会社化によって顕在化した人財育成の課題です。分社化するとどうしても、人財がタコ壺のように各事業会社に抱え込まれてしまうんですね。それを引きはがして、グループ共通の人財として育成する強制的な仕組みを持つ必要がある。人財はグループ共通の財産なのだということをグループ各社に対して明らかにし、全体最適の視点から人財を育成しなければならないということです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">研修・戦略的配置転換・経営への提言の3本柱で、コア人財を育成</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────具体的には、どのようにしてコア人財を育成されているのでしょうか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">仕掛けとしては、2002年に立ち上げたStretch（ストレッチ※）という仕組みがあります。これは、部門長・部長クラスを対象としたStretchⅠと、課長クラスを対象としたStretchⅡという2つの階層からなる選抜型の人財育成制度。それぞれおおむね3年程度の時間をかけてさまざまな成長の機会を与え、グループの将来を担う人財を育成するもので、その象徴として、Stretchの人財の人事権はグループのCEOが留保することになっています。各事業で抱え込むのではなく、将来のグループ経営に資する人財に育てていこうということなんですね。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※Strategic Executive Team Challengeの略。 管理職向けのグループコア人財育成プログラム</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────Stretchを通じて与えられる成長の機会というのは、どのようなものなのですか。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0201_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">大きく3つの柱があります。1つはいわゆる集合研修ですね。2つ目は戦略的なローテーション（配置転換）、3つ目は経営への提言の機会を与えるということ。この3つを経験することを、1つのタームとして考えています。</p>
<p class="fs14 spacing10">まずは研修を通じて、いろいろな物事を理屈で考えるという体験をしてもらう。そして、研修で得た視点を現場に持って帰り、今までよりも高い目線から現場を見るという経験をする。この繰り返しを約1年間続け、次のステップとして別な環境で同じ経験をする。これが、戦略的ローテーションです。</p>
<p class="fs14 spacing10">そして、Stretchでは、「自分が経営者になるとすれば、どのようなビジョンを持つか」ということを経営に提言します。単なる集合研修だけでなく、これらをセットで行うことでコア人財の育成を加速させたいと考えています。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ、これがすべてうまく回れば理想的なんですが、戦略的なローテーションはなかなかに難しい（笑）。Stretchに選ばれる人財というのは事業の中でも要職にありますから、CEOが人事権を留保するとはいえ、事業会社をまたいでローテーションさせることは、そう容易なことではないんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">しかし、他事業や海外の経験はできるだけ与えたい。そこでStretchの人財については、最低でも年に1回は事業会社と我々との間で人事会議を持ち、一人ひとりについて「そろそろこんな経験をさせたらどうか」ということを議論しています。議論をすることは、戦略的なローテーションがStretchの大きな柱なのだということを各事業会社に浸透させる機会にもなります。</p>
<p class="fs14 spacing10">また、今後はさらに若い層もコア人財育成の対象にするために、2006年からはSLP（※）という仕組みも追加しています。対象は、30代の中堅社員。課長の一歩手前という層ですね。可能性を持った人財は若いうちから選抜して、将来につなげていきたいと考えています。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">※Strategic Leader Development Programの略。リーダーシップやマネジメントに必要な能力、知識、スキルを身につけるための選抜型リーダー育成研修。</p>
</div>
<h3 class="fs18">研修は、参加者が互いに刺激し合い志を育てる場</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────コア人財の方々には、どのような能力や資質を期待されているのでしょうか。</em></p>
<p class="alignright"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0301_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">ぜひ求めたいと思うのは、当事者意識や使命感、自己責任のようなものですね。すべては自分の問題なのだという主体性を持った思考から出発し、自分の頭で考え、自分の足で行動して解決を図る。さらに、自分はこの会社で何を実現したいのかを常に考えて、それに対する具体的な行動を起こしている。つまり、志があるとういことです。これが、私がコア人財に求める一番ベーシックな要素なのだろうなと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10">それともう1つ、これもなかなか難しいことだとは思うのですが、ある意味での謙虚さといいますか、自分自身を内省できることも期待したいことの1つなんですね。次の行動というのは、自分自身を客観的に見ることを通じて出てくるもの。自然のうちに内省ができるような人が、具体的な成果を上げられる人財なのではないかと思います。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────高い志を持ち、内省ができる人財を育てるには、どのようなことが必要だと思われますか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そういう人財が集うということが大切だと思いますね。自分自身を客観視するためには、比較する対象が必要。集合研修がその機会の1つになると考えています。StretchやSLPの研修には、さまざまな価値観や志を持った人財がグループ内から集まります。そこで、「こいつはこんな発想をしているのか」「自分にもこんな視点が必要だ」といった刺激を互いに受け、互いに学び合う。これが、研修の1つの意味ではないかと思うんです。</p>
<p class="fs14 spacing10">グループの中にはいろいろな人財がいて、自分にはない価値観や強み、弱みを持っています。では自分はどうなのかということを客観的に評価しながら、自分自身を高めていく。研修の中でディカッションしながら、あるいは終了後に一杯飲みながら、いろいろな思いや経験を交換し合う。教育というのはそういった機会を与えることでもあり、Stretchはまさにその1つの形だと思っています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────御社は、女性活用といったダイバーシティのお取り組みにも注力されていますが、コア人財の育成も、多様な価値観を持った人財を育てるという点でダイバーシティ推進の1つだという気がします。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">その通りです。多様な個性を活かすということは当社の企業理念（※）でもあるんです。現在の企業理念は今から15年前、1993年に作られたもので、そこで3つの理念を掲げています。メインとなるのは「帝人グループは人間への深い理解と豊かな創造力でクォリティ・オブ・ライフの向上に努めます」というもの。サブとして2つあるのが「社会と共に成長します」と「社員と共に成長します」というもので、特に後者の理念を実現・実践することへすべての人事管理行為を収れんさせるということを、人事管理の目標としています。</p>
<p class="fs14 spacing10">さらに、「社員と共に成長します」という理念には3つの項目がありまして、そのうちの1つに「多様な個性に彩られた、魅カある人間集団をめざします」というものがある。これがまさに、ダイバーシティをうたったものです。昨今、ダイバーシティの必要性がよくいわれますが、当社は15年前からダイバーシティを1つのキーワードに位置づけているということです。</p>
<p class="fs12 spacing10" style="padding-left:10px;">--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<br>
●帝人の企業理念「Quality of Life」は3つの大項目からなる。<br>
1. 帝人グループは人間への深い理解と豊かな創造力でクォリティ・オブ・ライフの向上に努めます<br>
2. 社会と共に成長します<br>
3. 社員と共に成長します<br>
　　(1) 社員が能カと個性を発揮し、自己実現できる場を提供します。 <br>
　　(2) 社員と共に、革新と創造に挑戦します。 <br>
　　(3) 多様な個性に彩られた、魅カある人間集団をめざします。<br>
詳細は、帝人の企業サイトの「企業理念・ブランドステートメント」ページを参照。<br>
<a href="http://www.teijin.co.jp/japanese/about/about01_01.html" target="_blank">http://www.teijin.co.jp/japanese/about/about01_01.html</a><br>
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<p class="fs14 spacing10"><em>────ダイバーシティといえば、性別や人種などの目に見える多様性が注目されがちですが、価値観や志といった目に見えない多様性も活かすことが大切になるのですね。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">そうなんです。分社化というのは、まさにその多様化の1つの形なんですね。それぞれの事業でそれぞれの経験を積み、いろいろな価値観を醸成している人財が交わる事によって、互いに1回りも2回りも成長する。これが、研修で人をわざわざ集めることの意義だと思うんです。</p>
</div>
<h3 class="fs18">人財が育つのを待っているだけの時間はもうない</h3>
<div class="txt">
<p class="fs14 spacing10"><em>────コア人財の育成プログラムに選抜される方は、何名くらいいらっしゃるのですか。</em></p>
<p class="fs14 spacing10">部門長・部長クラスのStretchⅠが40名、課長クラスのStretchⅡが80名、中堅社員向けのSLPが120名という定員制で運営をしています。</p>
<p class="fs14 spacing10"><em>────全従業員数に対する比率でいえば狭き門ですね。</em></p>
<p class="alignleft"><img src="/web_jinzai_magazine/person/images/teijin_0401_a.jpg" alt="" /></p>
<p class="fs14 spacing10">こういった選抜型の育成をするときによく議論になるのが、「エリートを作るのか」ということなんですね。「選ばれなかった人のモチベーションはどうするのか」と。確かにそれも大事にしなければならないのですが、人財が育つのを待っているだけの時間はもうないというのが、正直なところです。「選ばれた人」と「選ばれなかった人」という対立関係を避けるために、「選ばれた人」の育成に注力できない時代はもう過ぎました。むしろ、「選ばれた人」を戦略的に育てていかなくてはならない。そういった思いでStretchやSLPという取り組みをあえて導入しています。</p>
<p class="fs14 spacing10">ただ形式的には、誰が選ばれているかは分からない仕組みになっていまして、誰が選ばれているかはオープンにしていません。周囲は、「ときどき何かの研修に行っているな」ということは感じているかもしれませんが（笑）、選抜されたことを知っているのは上司と本人だけ。これは周囲に対する1つの配慮でもありますし、選ばれた本人に対しての動機付けの意味もあるんです。選抜者には、グループのCEOから直接「あなたはStretchに選ばれました」という手紙がくることになっています。周囲には知らされない閉ざされた関係の中で、社長から特別に選ばれたということが伝えられる。これは結果として、