2010年2月アーカイブ

今回の現場ドキュメントは、次世代のビジネスリーダーを養成するトレーニング
のワンシーンからお届けします。対象者は管理職手前の中堅社員。

 

トレーニングは計15回で行われ、今回ご紹介するのはその最終回。

 

最終回では、新たな観点に気づき、学習しながら練り上げた、
「自社の将来方向についての改革案」を経営陣に提言していきます。

 

提言をする前、まずは参加者からこのトレーニングに参加してみての
所感が述べられました。

 

・我々が動かなければ、何も変わらない。また、今の市況は我々に対して、
 変化を要求する情勢でもあるということを知った。
・アウトプットを導くプロセスはメンバーとの意見の戦いであり、
 その中で自分が本当に何をしたいのかが明確になった。
・学んだ内容を職場に戻って部下に伝え、部下もまた、意識が変わっていった。
 フォロワーが自発的に動けるようにする、それによって会社の質、レベルが上がる。
・今迄は「業務、業務」ばかりだった。
 経営的な視点から、自分の会社をどうしていきたいかを考えていなかった。
・ここ数年、仕事に対して緊張感が薄れていた。一番の学びは「甘え」を知ったこと。
 「甘え」をうまく断ち切ること、その大切さに気づいた。
・ビジネスに対する捉え方も変わったが「人としてどの様に生きていくべきなのか」を
 考える契機となった。

 

回を追う度に感じていた事ではありましたが、
参加者の様子はスタートした当初に比べて、随分違っていました。

 

しかし、提言後、経営陣との質疑応答の段になると、
全体的に、ややトーンダウンした様に感じました。
前号の「経営人語」とも重なる内容でもありまずが、この様なケースは少なく

ありません。

 

この場を見ていて私は二つの事を感じました。

 

①提言を聞く側について
‐質疑で多かったのが(本題とやや離れた点も含めて)問い詰めるよう様な内容。
重要度の高いテーマになればなるほど、案に対して慎重を期すことは
不可欠だと思いますが、その一方で、提言する側の考え方や意識が
以前と比べてどの様に変化しているのか、
それが我が社に何を示唆しているのか、どの様な影響を与え得るか、
という"背景"を、見極める観点も重要なのではないでしょうか。

 

②提言する側について
‐提言後、参加者から「質疑応答の中で、参加メンバーの総意を探ってしまった」
とのコメントがありました。提言を導くまでのプロセスで、様々な経歴、部署を超えて
「コンセンサスをとる」ことも重要な学習要素となります。
しかし、本当に物事を為し得たい時、最終的に拠り所となるのは自らの見解。
「意見がばらつくこと」だけに注意するのではなく、個々人がいかに自分なりの見解を展開するか、そのためにも、コンセンサスをいかに深いところでとるかが重要だと実感しました。

 

今回の株式会社幸楽苑 新井田社長のインタビューでは"現場からトップまでオープンな経営""社員全体を巻き込んでいく動き"について語られていましたが、
日々、企業様を御伺いすると、「○○はわかっていない...」「○○がこうだから...」
という状況も少なくありません。

 

厳しい現状を打破すべく、風穴を開けるためには、
会社の将来方向を見渡し、見解を持てる人財を引き上げると共に、
我が社全体の動きとして制約や規制を打ち破っていけるかどうかが、
重要なのではないかと感じました。

日本経済の構造変化が起きています。
この背景には何があるか・・・
『旧来型のビジネスモデルVS新しいビジネスモデル』である。

 

今回はこのような切り出しでトレーニングが始まり、変化について
トレーナーが話し始めました。

 

日本の経済成長率が0.3%と低迷、経済成長を抑制する要因の一つは
既存の商品・サービスに対する需要の飽和で、単なる従来型の営業努力では
無理になりつつある。経済成長を生み出す鍵は新しい商品、新しい分野、
そして、顧客の潜在的なニーズの創出ではないだろうか。
今、苦戦を強いられているのは、時代の変化についてこれない企業である。

 

インターネットの普及、エコ、デフレ等、様々な要因から業界の垣根を越えた

戦いが激化している。
例えば、電力・ガス業界は、脱石油の傾向が強まり、今まで以上に需要が

高まる為に、その需要獲得に向けて争奪戦が激しさを増し、電力業界がガスへ、

ガス業界が電力へと相互進出も始まっている。

 
『そんな住み分けが無くなっている経済の中で、今後自分達の戦う場所はどこか。』

 

トレーナーは続けて受講者に問いかけます。

 

品質・開発力・他のベンダーとの差別化は?我が社ならではのものはありますか?
今、毎日残業で忙しい。仕事がある。しかし、それがこれからも続くという保証はない。
顧客はコストパフォーマンスの良いところ、また付加価値の高いとこへ行く。
常に、そのことを頭に入れ、危機感を持って取り組んでいるか。

 

トレーナーのこの一言に対し、受講者の回答は
 ・自分の会社は大丈夫だろうと思っていた
 ・忙しいということに満足していた
 ・勉強していないと今の世の中の状況さえ分からなかった
 ・自社の付加価値を考えてみたが、すぐに出てこない
というものがありました。

 

ITの発達により売り手・作り手よりも知識を持った顧客が増えてきました。
選択には積極的な選択と消極的な選択があるがあり、今後消極的な選択で選ばれ
てきた方は潰れるとトレーナーは訴えます。

 

受講者は
 ・我々は今後どのようなスキルを身に付けるべきか、真剣に考える必要がある
 ・視点の低い自分が管理職という立場を任されている。ということの不安を感じた
と危機感を感じていました。

 

これまでの競争のルールが通用しなくなり、より価値の高いもの、機能的なもの
そして、より顧客の立場に立って利便性を考えたものだけが生き残る。という時代に
突入しようとしています。

 

今何が起こっているか・・・
まずは、現状を把握し、目線を変え顧客が何を求めているのか。それによって
自分はどういった仕事をするべきか "仕事を定義し直す" ことが必要だと改めて

感じました。

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