現場ドキュメント: 2007年10月アーカイブ

-現場との温度差-
研修実施に向け、担当の方とお話をしていると、「何度言っても現場は
変わらない」「現場から、本社でどうにかしてくれって言われるんですけど、
こちらは現場の事は、よくわからないですし...」というような声をよく聞きます。

「何度言っても現場が変わらない...」
これは、指導を受けても、結局のところ、現場のスタッフの腹に落ちていない
からではないでしょうか?

-本に載っていない、あんなこと、こんなこと-

「手続きが終わり、お客様がお帰りになったので、次のお客様の応対を
始めたところ、帰られたはずのお客様が用を思い出し、戻ってくる事が
よくあるんです。そんな時、どうしたらよいのかわからなくて...」

先日、現場の方からこの様な相談を受けました。
現場ではよく見られる光景ですね。ただ、現場にいなければわからない
ことでもあります。

こんな時の対応の仕方は、現場によって変わってきます。

【手が空いているスタッフがいる場合】
お戻りになったお客様の応対を他のスタッフに引き継ぎ、速やかに自分は
対応中のお客様の応対に戻る。

【他にスタッフがいない場合】
お客様に少しお待ちいただけるよう丁重にお願いをする。その際には
「しばらく待とう」とお客様が思えるように言い方の工夫も必要です。

どちらの場合にも、お客様が納得できるような対応をするにはどうすべき
なのか、スタッフが腹落ちするようにその場その場で説明をしていきます。

様々なケースにおいて、一般的な対応、マナーを教えるということは
簡単ですが、お客様との対応の際には、「その会社がどんな基準でお客様
対応をするのか」「お客様と接する時に何が大切だと考えているのか」によって
も対応が変わってきます。また、同じ現場でも時間帯や、出勤人数によっても
答えは変わってくるのです。

そして、これらを考えた上での指導が現場のスタッフの腹に落ちるのだと
考えます。

しかし、このような現場の問題は「経験してみないとわからない」事が圧倒的に
多いのです。
そのため、本社・担当者と現場の温度差、考え方の違いがうまれ、冒頭に
述べたような担当者の声がでてきます。これは、どの企業にもある問題です。

-橋渡しの役目-

私は、「自分の経験を活かし、問題を一緒に考える」をモットーにしています。
私自身、トレイナーとしての活動を行うと共に、店舗や様々な現場の立ち上げ、
フォローをやりながら自らもスタッフとしてお客様に接し、問題を解決することで
様々な現場の経験を積んできました。

だからこそわかる職場・現場の声があります。その経験を活かし、「職場・
現場の声を聴き」研修企画担当側と現場の橋渡し役になりたいと考えて
います。
またこれは、外部の人間だからこそスムーズにできる事の一つなのでは
ないでしょうか?

-共に考え、わかりあうこと-

基本となるマナーや、CSの考え方をいくら紙に書いて見せても、
くどいくらいに説明しても、「その職場・その現場」に合うものでなければ、
効果は表れないでしょう。
まずは、「問題を抱える職場・現場を知り、共に考える」その姿勢を持つ事が
大切ではないでしょうか?

 ある金融系会社のカウンター業務の方から現場でのお話を聞いていたところ、
「今まで、いくら上司や会社に言っても伝わらなかった事が、わかってもらえて
嬉しい!!」と、研修の企画に対して協力姿勢を示していただくことができました。

「わかりあう」 
これができると、問題解決は意外と早いかもしれませんね。
ただ、それが難しい事は今までの経験上、よくわかっています。
そんな時、外部の人間として「橋渡し役」を担うことも私の役目だと
思っています。

                          OBT協会 鈴木美貴子

いろいろな企業や、店舗の経営者から研修のご依頼をいただく際、
「いやー、今まで何も手をつけずに来てしまったところ、新人がなかなか
育たなくて、クレームも目立つようになって来ましてね・・・」という事から、
それならば、「マナー研修」「CS研修」をしようと考えたというお話を伺います。

-マナーは育ちや環境・個人の問題??-

そこで、まず担当の方から更に詳しくお話を伺うと、よく耳にする言葉は
「マナーといっても、育ちですよね!」「最近の人はねえー」と言った内容...。

「育ち...?」 待ってください!
子供ではないのですから「親が与えた環境や躾」だけが問題でしょうか?
社会に出てから、その企業が与えた環境や教育を問題として考えるべき
では??

企業として「人を育てる」という事に何か改善が必要と考えることが大切
ではないでしょうか?

「今年の新人はマナーができていない。」「最近の店舗スタッフのお客様への
態度がなっていないから、クレームが起きる。」と個人の問題にして、
その人に研修を受けてもらえば、問題解決と考えるのは間違いです。

企業のあるべき姿を取り戻す為に、マナーやCSを重視しようとお考えで
あれば、個人の問題としてしまうのではなく、会社全体として根本的な問題に
取り組む姿勢が求められます。

-現場との乖離-

私は、担当の方の話をお聞きした後、必ずその現場で活躍している方に、
仕事の内容や、そこで起きている問題を挙げていただくインタビューの時間を
作っていただきます。
この中で、担当側(本社・本部側)と現場の様々な点での温度差がだいたい
見えてきます。

先日、あるメーカーの一部門からの依頼で、研修を担当することがありましたが、この会社でもやはり担当側と現場側に温度差がありました。
そこで、管理職の方にもオブザーバーとして参加していただき、タイミングを
見計らって、受講者と共に研修に参加していただきました。
セッションごとに、部下から上司へ、よかった点、そして改善が必要と感じた点、
今度は、上司から部下へ・・・とコメントを出し合います。

こうしているうちに、今までは、大きな壁があった研修会場全体が一つになって
目的に取り組みだしたのです。

部下は上司に気働きを見せ始め、始めは座ったまま、動こうともしなかった
入社まもない男性が事あるごとに周りの為に動き始めたのです。
これは、マナー、相手を思いやることがわかり始めた証拠です。
 
こうして、お互いに気遣い・気働きを表し、それを認め合う。

このような環境こそマナーやCSに取り組むには必要なのではないでしょうか?
日ごろの環境の中に、相手への気遣い・気働きが無いのに、なぜ、お客様や
外部の方々にそういった事ができるでしょうか?

-形ではなく「心」-

まずは、問題のある環境を整える事。それが企業の成長、そして、人材育成に
欠かせないと思います。
形をマニュアルどおりに指導するのではなく、「心」の部分に「気づく」事から始め、
気づいたら、その後はどのような事が「気遣い」「気働き」なのか...。
どうやってそれを表現したらよいのかを学んで行きます。
形だけでは、相手は満足しません。
そこに「心」が添えられていることが必要なのです。

OBT協会 鈴木美貴子
   

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