OBT 人財マガジン

2007.10.24 : VOL33 UPDATED

人が育つを考察する

  • 現場が変われば、マナーも変わる

    -現場との温度差-
    研修実施に向け、担当の方とお話をしていると、「何度言っても現場は
    変わらない」「現場から、本社でどうにかしてくれって言われるんですけど、
    こちらは現場の事は、よくわからないですし...」というような声をよく聞きます。

    「何度言っても現場が変わらない...」
    これは、指導を受けても、結局のところ、現場のスタッフの腹に落ちていない
    からではないでしょうか?

    -本に載っていない、あんなこと、こんなこと-

    「手続きが終わり、お客様がお帰りになったので、次のお客様の応対を
    始めたところ、帰られたはずのお客様が用を思い出し、戻ってくる事が
    よくあるんです。そんな時、どうしたらよいのかわからなくて...」

    先日、現場の方からこの様な相談を受けました。
    現場ではよく見られる光景ですね。ただ、現場にいなければわからない
    ことでもあります。

    こんな時の対応の仕方は、現場によって変わってきます。

    【手が空いているスタッフがいる場合】
    お戻りになったお客様の応対を他のスタッフに引き継ぎ、速やかに自分は
    対応中のお客様の応対に戻る。

    【他にスタッフがいない場合】
    お客様に少しお待ちいただけるよう丁重にお願いをする。その際には
    「しばらく待とう」とお客様が思えるように言い方の工夫も必要です。

    どちらの場合にも、お客様が納得できるような対応をするにはどうすべき
    なのか、スタッフが腹落ちするようにその場その場で説明をしていきます。

    様々なケースにおいて、一般的な対応、マナーを教えるということは
    簡単ですが、お客様との対応の際には、「その会社がどんな基準でお客様
    対応をするのか」「お客様と接する時に何が大切だと考えているのか」によって
    も対応が変わってきます。また、同じ現場でも時間帯や、出勤人数によっても
    答えは変わってくるのです。

    そして、これらを考えた上での指導が現場のスタッフの腹に落ちるのだと
    考えます。

    しかし、このような現場の問題は「経験してみないとわからない」事が圧倒的に
    多いのです。
    そのため、本社・担当者と現場の温度差、考え方の違いがうまれ、冒頭に
    述べたような担当者の声がでてきます。これは、どの企業にもある問題です。

    -橋渡しの役目-

    私は、「自分の経験を活かし、問題を一緒に考える」をモットーにしています。
    私自身、トレイナーとしての活動を行うと共に、店舗や様々な現場の立ち上げ、
    フォローをやりながら自らもスタッフとしてお客様に接し、問題を解決することで
    様々な現場の経験を積んできました。

    だからこそわかる職場・現場の声があります。その経験を活かし、「職場・
    現場の声を聴き」研修企画担当側と現場の橋渡し役になりたいと考えて
    います。
    またこれは、外部の人間だからこそスムーズにできる事の一つなのでは
    ないでしょうか?

    -共に考え、わかりあうこと-

    基本となるマナーや、CSの考え方をいくら紙に書いて見せても、
    くどいくらいに説明しても、「その職場・その現場」に合うものでなければ、
    効果は表れないでしょう。
    まずは、「問題を抱える職場・現場を知り、共に考える」その姿勢を持つ事が
    大切ではないでしょうか?

     ある金融系会社のカウンター業務の方から現場でのお話を聞いていたところ、
    「今まで、いくら上司や会社に言っても伝わらなかった事が、わかってもらえて
    嬉しい!!」と、研修の企画に対して協力姿勢を示していただくことができました。

    「わかりあう」 
    これができると、問題解決は意外と早いかもしれませんね。
    ただ、それが難しい事は今までの経験上、よくわかっています。
    そんな時、外部の人間として「橋渡し役」を担うことも私の役目だと
    思っています。

                              OBT協会 鈴木美貴子