OBT 人財マガジン

2008.03.26 : VOL42 UPDATED

OBTカフェ

  • 他者との関わり方

    「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

    自分だと答えてくれるから、白雪姫だって鏡に問う。
    自分の醜さを映す鏡だったら怖くて誰も好き好んで見ることはできない。

    しかし、美しいのは自分だと言ってくれる、白雪姫と同じ鏡を本当は多くの人がこっそり隠し持っている。この鏡が非常に厄介。

    それぞれが持っている鏡に問えば、「自分はこのままで大丈夫だ」「自分は正しい判断を下している」「自分は分かっている」「悪いのは自分じゃない」という答えが返ってくる。
    しかし、他人の鏡で映されると全く逆であることが多い。
    この鏡を別の言葉で言ったら、『正当化の鏡』『逃避の鏡』と言い換えることが出来るかもしれない

    いかにこの鏡を捨てることが出来るかが、組織の成長にも、人の成長にも繋がるのではないだろうか。

    自分が思っている自分と、人に映っている自分は必ずしも同じではない。
    かといって、醜く映った相手の姿を直接伝えるのは難しい。組織の中であればなおさらである。
    結局、言いたいことはあるが口には出さず、当たらず触らずの馴れ合いのコミュニケーションをとる。
    しかし、そんな人達の言葉に責任感や、人を納得させる力がどれだけあるかは疑問である。

    たしかに、人の嫌なところや間違っていると思うことを直接本人に言うのは簡単なことではない。
    それに、日本人は実名で個人間の批判をするのを嫌う。ネット上に匿名で批判的言説が多いのは、そんな日本人の特徴を象徴しているのかもしれない。

    そう考えると、個人として面と向かって他人を批判できる人は組織の中にどのくらいいるのだろうか。そんなことは上司や先輩がすればいいことだと思っている人が大半なのではないだろうか。

    最近では、部下や後輩を褒められない、叱れない上司や先輩も多くなっていると聞く。
    これは、我社や他社への関心の度合いが下がっていることを意味し、組織にとっては非常に危険なことではないだろうか。

    人に対して指摘や批判をすることは、褒めるよりも何倍ものパワーを使う。
    言われた方は嫌な気持ちになるかもしれないが、言う側も同じくらい嫌である。
    しかし、本人には気づいていない自分を映し出し、自覚させるためには必要不可欠である。
    そのギャップを認識し、自分を変化させることがその人にとっての成長なのではないだろうか。

    変革も革新も、成長も発展も、総じて変化が起こっている最中、もしくは、変化が起きた後の状態である。当然だが、変化なくしてそれらは起こらない。
    変らないこと、変れないことは、むしろ衰退を意味するのかもしれない。

    個人として面と向かって他人を批判できないということは、いじめを傍観している子どもとなにも変らないのではない。

    『悪いことをはっきりと悪いと言う。』
    それが、強い組織を作る上でも、自分を高めていくためにも、非常に重要なのではないだろうか。

    OBT協会 伊藤誠司