OBT 人財マガジン

2011.12.07 : VOL129 UPDATED

編集後記

  • 今後、求められる企業のあり方

    よくソーシャル・イノベーションの代名詞として使われるグラミン銀行であるが、
    グラミン銀行はバングラデシュにある貧困層向けに事業資金を融資し、
    生活の質の向上を促す活動を行っている企業である。

     ● メンバーになるには、土地無しか、0.5エーカー(2,023平方メートル)未満の
       耕作地しかもっていないことが条件
     ● 銀行は顧客に対し担保を求めない代わりに、顧客5人による
       互助グループをつくることが条件として求められる
     ● 銀行と借り手の間には法的な文書の契約はなく、システムは
       信頼を基礎として機能している
     ● 大規模商業銀行では女性が融資を受けることができないが、
       グラミン銀行では女性に焦点を当てているため、借り手の97%が女性である
     ● 返済率は98%

    などの特徴があり、顧客の半数以上が絶対的貧困から脱出してきているという。

    しかし、なぜ創業者のムハマド・ユヌスはこういった、銀行を立ち上げたのだろうか。

    担保や保証人がいない人、そして、貧しい人々へ、信頼関係だけで、
    お金を貸すことができたのだろうか。

    それは、"誰のために銀行を作ったか"がはっきりしているからではないだろうか。

    かつて松下幸之助は
    "人生には損得を超越した一面、自分がこれと決めたものには命を賭けてでも
    それに邁進するという一面があってもよいのではないだろうか。"
    という名言を残している。

    しかし、現在の多くの企業では自社の利益追求が企業活動の目的と
    なっているのではないだろうか。
    利益の追求は、自ら(自社)が満足するだけであり、
    決して、人を幸せにはできない。
    強いては、最終的に自ら(自社)を幸せにすることもできないのだ。

    これからの企業は、人々に必要とされ、また支えられ、そして、
    人のために尽くす企業であることが重要になる。
    まさに利他の精神である。

    損得なく、人のために動ける企業が増えると、
    日本が少しずつ変わっていくかもしれない。
    この機会に、そういったことを考えるのも悪くない気がする。

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