OBT 人財マガジン

2007.02.28 : VOL17 UPDATED

人が育つを考察する

  • 「メタ認知」から、自分を知る。

    2007年もあっという間に2ケ月が経ちますが、3月で年度末をむかえる企業様の多くが、教育・研修について来年度の予定を具体化しつつあります。
    日々、様々なお客様とお話をさせていただく中で、最近は"不祥事を起こさない組織作り"についてのご相談をいただく機会が大変増えてきました。またその他にも、以下のような事を組織の課題として捉えていらっしゃる企業様は大変多いです。

    ・経営理念が浸透しない。
    ・ボトムアップを目指しているが、下からは新しい意見がなかなか出てこない。
    ・仕事の幅を広げてもらいたくてチャンスは与えているのに、自分自身で仕事の内容を制限してしまっている。
    ・マネジメントがきちんと機能していない。

    企業ごとに異なる風土やマネジメント、制度などが大きな影響を与え、上記のような問題を引き起こしているため、課題の解決策は企業様によって全く異なりますが、効果的な手法の一つとして、私たちは"メタ認知"という方法を研修で用います。

    ※メタ認知...人間が自己を認識する場合において、自己の思考そのものや行動そのものを対象として把握し認識すること。

    自分を客観的に見る・知るということです。

    自分の現実を知らなければ、意識を改革することはできません。また、個々の意識が変わらなければ、会社が変わることもありません。しかし"自分を知る"というのは、良いことだけではなく、今まで目を背けていた点にも向き合わなければいけないため、思った以上に難しく時間がかかることでもあります。自分が思っている"自分"や"会社の強み"が、「思っていたことと違う」ということが、多々あるのです。そして、人も会社も経験が豊富で自信があり、過去の成功体験が根強くあるほど、「思っていたことと違う事実」を受け入れることは容易ではありません。様々な企業様で研修をさせていただく中で、こういった場面に出会う機会が多く、その度に"私自身の価値観は、どうだろうか"と自分自身を振り返ります。

    最近は、"従業員満足度調査"を実施する企業も増えていますが、ある会社ではそれらを、「社員の不満に少しでも早く気付き、運営を改めるための"メタ認知の材料"」として用いているケースも多いようです。

    4月からの新しい年度に向けて、3月は1年間の総括をし、次の期へ向けて準備をする時期でもあるかと思いますが、新しいスタートをするにあたって"今の自分を知る"ということは、とても価値のあることだと思う日々です。
                             OBT協会  伊藤 みづほ