OBT 人財マガジン

2007.11.07 : VOL34 UPDATED

人が育つを考察する

  • 人を育てる会社づくり 研修のその後

    これまで2回にわたり、本来あるべきCS、マナー研修とはどのようなものか
    ご紹介してきましたが、そのような研修を受けた後にはどのような変化が
    みられるのでしょうか?

    ある企業では、
    「早速、次の日から、研修で習った事を実践してみたところ、今までは気に
    ならなかった周りの対応が見えてきました。改めて見てみると、これでは
    確かにお客様の満足、企業の品格も何も無いなと気がつきました。
    でも、どうしたら改善していけるのでしょうか?」という声が聞かれました。

    -気づきの重要性-

    「今までは気にならなかった事」が「気になってくる」
    これは研修後の一つの変化です。
    では、なぜいままではそのことが見えなかったのでしょうか?

    おそらく、外界・外部を見ていなかったからでしょう。
    他では通用しない電話でのやり取りや、言葉遣い、来客応対が、目先の
    仕事をこなし、仕事に慣れていく中で、当たり前のこととなってしまいます。
    そして、入社したばかりの時に感じる「これはおかしいのではないか」
    「もっとこうした方がよくなるのでは」という新鮮な感覚も徐々に失われて
    しまいます。

    皆さん、外界・外部を見てみてください。
    お客様への気遣い、気働きが日常の電話応対、ちょっとした言葉として
    表されています。皆さんも「気持ちの良い応対だ」「不快な応対だ」と
    ちょっとした違いから感じることはありませんか?

    外界・外部と自分自身や所属する組織を比較し、広い視野で物事を捉えること、
    これは人としての成長には欠かせません。

    様々な外界・外部で行われている事を知り、自分たちが置かれている状況に
    対して新たな気づきを促すこと、そして、皆様にもう一段、高い視点を持って
    いただくというのが研修の一つの目的です。
    「自分達は、気づかぬうちに周囲の環境の変化から取り残されていた...」
    そこに気づき、危機感を持っていただくということがとても大切なのです。

    -そして、本当の研修はここから-

    その上で、「自分の会社だったら、この職場だったら何が出来るかを」を、
    共に考えていきます。研修でよくありがちな「参加してよかったです」
    「気分転換になりました」と言って終わりの研修にしてしまっては研修を
    行う意味がありません。

    「研修の後、何に取り組むべきなのか」
    そこまで受講生たち自身が考え、具現化できるようにしなくてはなりません。
    ここまでやらなければ何度、研修をやっても進歩は見られないでしょう。
    つまり、その場限りの単なる研修、研修のための研修に終わってしまうのです。

    -長期的な目で取り組む-

    私が研修を行う時に常に意識しているのは、研修をその場限りの研修として
    考えるのではなく、『長期的な視点』で捉え、取り組むということです。
    長期的な視点で現場と共に取り組みを考えていかなければ、研修が一度限り
    の「イベント」で終わってしまいます。

    今まで、様々な企業で研修を行ってきましたが、一回きりで終わってしまう研修
    が多いことも事実です。
    しかし、「数年前に、研修をやってもらった直後は、よかったんですが、その後、
    上手く引き継ぎができなかったり、モチベーションが下がっているのか、
    いろいろなクレームが続いていて...」と数年後にまた同じ内容の相談が来る
    ケースもとても多く、これでは、結局、基礎からのやり直しになってしまいます。

    『もし、一回目の研修の後、フォローアップや、階層別の対策を練っていたら、
    恐らく、この会社はすでに企業として望む姿を得ていただろう...。人を育てる
    環境が整い、社員のモチベーションも高く、大きな力を発揮していただろう...。』
    とそんな風に考えざるを得ません。

    -ヒトを育てる会社づくり-

    研修を通して、サービス、対人スキルといったスキルを習得して終わりではなく、
    人を育てていく環境の大切さに気づき、会社全体でそのことに取り組んで
    いただきたいと考えております。私自身、今このような仕事をしていけるのも、
    新卒で入社した会社が育ててくれたからと感謝しています。

    学習したことを活かし、会社の風土としてその意識を根付かせるために、
    「人を育てる会社作り」について会社全体を巻き込んで取り組む

    ことについてお考えいただきたいと思います。

    是非、会社があるべき姿への成長を。