OBT 人財マガジン

2008.06.25 : VOL48 UPDATED

人が育つを考察する

  • 組織リスクマネジメント ③

    食品偽装や雇用、環境問題にデータ改ざん、製品事故、情報漏洩や流出など、企業を取り巻くリスク事例は様々です。それらへの対策として、例えば、情報漏洩や流出などに対する情報セキュリティーシステムなどは日々新たな技術が開発され、また食の安全・安心に対しは、HACCPやISO22000など、法令にもとづくリスクマネジメントの他、様々な管理手法も開発されています。

    しかし、企業を取り巻くリスクは増加の一途を辿り、また複雑化しております。

     

    答えや秘策、完全な仕組みや手法などない中で、どう策を打っていくのか。

    仕組みやシステムでは防げない問題をどう対処していくのか。

     

     

    昨年秋から、内部統制室・経営企画部、そして人事部の方々と議論を重ね実施した管理職を対象とした「組織リスクマネジメント教育」での議論をお聞きし、「組織リスクの核は組織風土」にあると実感しました。

     

    現場の活力をなくさず、自発的にリスクを低減し、対応する企業風土をどう醸成していくのか。

    企業として、そして人としての倫理観をどう維持していくのか。

    愛社精神、我が社の製品・サービスへの愛情をどう培っていくのか。

     

    仕組みや手法、システム、また規定ももちろん重要です。

    しかし、「組織リスクの核は組織風土」という認識の上で、上記のようなことに管理職として、また会社としてどう取り組んでいくのか。ここに解を持ち、取り組むことが本当に重要であると感じました。

     

     

    「教育を通じて、何をすべきか。何ができるのだろうか。」

     

    食品メーカーでの管理職を対象に「組織リスクマネジメント教育」では、

    ① 企業経営に関わる様々なリスクと我が社のリスク

    ② 他社事例をもとにリスクの発生の構造と対処についての学習と自社俯瞰

    ③ 自組織におけるリスクの実態とその対策

    をポイントに展開していきました。

     

    先回の現場ドキュメントでお伝えした通り、②の実在する他社事例をもとにしたステップでは、企業が持つリスクの本質を掴み、その上で自社俯瞰を行ないました。

     

     

    ③自組織のリスクの実態を題材に

     

    ここでは、事前にそれぞれの担当職場から、『私の組織のリスク』についてアンケートをとり、それを題材に、「我が社」「自組織」のリスクを俯瞰していきます。

     

    『私の組織のリスク』アンケートでは、

    人的ミスにより生じるリスクや、効率化の行き過ぎにより生じるリスクの要因になるものを、具体的にあげ、それらの要因が私の組織に存在するのか、しないのかを、担当組織のメンバー全員にアンケートで聞いています。

     

    自組織のリスクの実態について、感覚や思い込みではなく、目に見える形で把握する。

    担当組織のアンケート結果を手にした管理職の方々の反応は様々ですが、

    多かった意見としては

       ・自分の担当組織の現状は、不祥事を起こした実例企業と変わらないのではないか

       ・自分が思っていたより、良くない状況である。

    ・部下の方が、実態をよくわかっている

    ・早急に手を打たなければ

    ・このアンケートを職場で議論し、解決のために徹底的に議論していきたい

    などがありました。

     

    アンケートはあくまでも題材ですので、アンケートありきではありませんが、

    ●実態をどう把握するかにより、打つ手はもちろん変わってきますし、

    ●何よりもこの教育終了後、自組織に戻って、「私の組織のリスク」について

      職場を巻き込んで具体的に動いていく

     

    研修は研修、現実は現実とさせないために、終了してから現実の中で変化を起こすためにも

    自組織のリスクの実態を題材としています。

     

    今回の「組織リスクマネジメント教育」では、組織体質からくる我が社のリスクだけではなく、

    少子化、原材料の高騰、そして小売業の巨大化、PB商品の拡大など、食品メーカーを取り巻く環境の激変という外部環境からのリスクについても議論となりました。

     

    組織リスクに限ったことではありませんが、教育で重要なことは

    少しでもシャープな解を導き出すために知覚を研ぎ澄ます。 

    また、どこまでを自分の範囲とし、どう関わっていくのかという自己関与力をつけることであると改めて感じました。

     

    On the Business Training 協会 伊藤みづほ