OBT 人財マガジン

2012.06.13 : VOL141 UPDATED

人が育つを考察する

  • 人が育つ・人を育てるとは(前編)

    「人が育つを考察する」のコーナーでは、今後、"人の成長・人の育成"について
    様々な方々にお話をお伺いしていこうと考えております。

    第一弾7月から4回に渡り、第一線で活躍しているビジネスマンの方々に
    【人が育つ・成長する】という観点で、ご自身が歩まれた成長のプロセスを
    語っていただきます。"育つ人と、育たない人の違い"は何なのかを探る!

    また、9月掲載からは、実際に育てる側の方々にインタビュー
    【人をどのようにして育てるか】をお送りさせていただきます。
    是非とも、人財育成のヒントにして頂ければ幸いです。

    つきましては、今号と次号でOBTが考える
    「人が育つ・人を育てるということはどういうことなのか!!」を掲載しております。
    是非ご覧ください。

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    人が育つということは

    いくら教えても育たない人、何も言わないでも育つ人、一体その違いは何なのか...。
    OBT協会の見解は

     1.育つには、まず自らの構えが必要
    人には各々の思考がある。例えば、仕事の仕方・生き方・考え方・感じ方・思い・志等、今までの経験や体験で人それぞれ違った構えを持っている。それは、その人の考え方や感じ方で何を蓄積してきたかによって変わってくる。そして、この構えが人が育つ根幹の部分であるとOBT協会では考えている。それは、この構えが自身で明確になっている人ほど、自分の将来をどうしたいかをきちんと持っており、進むべき道を目指して、計画的に行動しやすい傾向にあるからである。それは、自らの在るべき姿・在りたい姿を軸に物事を考えられるからだ。その場合、自身の足りない部分を自覚し、補い・吸収し成長しようとする。構えは、生まれ持ったものもあるが、人が成長して行く中で培っていくものもある。また、大きな失敗などで出来上がる物もある。どちらにしろ、きちんと自分と向き合っている人ほど構えは強くなっていく。

     2.分かるという領域まで経験を積むこと
    人は、何か本で読んだことや他人から聞いた情報を得ることで満足しがちだ。しかし、本で読んだ、他人から聞いた話では、ただ単にそのことを"耳にした・知っている"ということであって、その本質までを分かったことにはならない。本当にそのことを理解する(分かる)には、実際に何度か経験してみる。また、その経験から新たな考えを見つけ出し、繰り返し、更に経験を重ねることである。それが自らの学習になっていくのである。
    特に失敗や挫折、或いは収入がなく生活出来ない等の経験が成長する為にはこの上なく好ましい。

     3.情報をキャッチし、考える力
    人は興味があることについては、自ら調べ、より多くの情報を収集しようとする。然しながら、興味がないことについては、アンテナが立たず素通りしがちだ。
    学習能力の高い人は、現状を打開するために新しい考え方ややり方を絶えず求めているため様々な分野のことに関心が深い。そして、自分と無関係な分野で生じている問題が自分の問題の解決に役立つことを知っているのである。つまり、自分に直接関係することにしか関心を持たない人とでは明らかに学習能力に大きな差があるので成長へのポテンシャルは言わずもがなである。
    例えば、本や周囲で起こった出来事を見て、自分と関連づけて見れるかどうかの違いである。つまり、その内容の中に一度自分を入れてみて、そこから何がいえるかを考えようとするかしないかの違いである。
    目の前で事故があったとする。それを見て「怖い、自分も気をつけなくては」で終わるのではなく、「何故、ああいう事故が起きたのか。自分もああいったことになっていたかもしれない。この事故は、どうすれば防げたのか」まで考え、人の経験を今後の自分の教訓として活かすことが学ぶということである。

     4.主体性が重要
    成長には何事にも主体的であることが重要になる。人からいわれて行動するよりも、自らの意志・判断に基づいて行動する方が人は多くの事を学べる。それは、気付きが多くなるからだ。自分のなりの考えを十分に持って行動をすれば、微妙な不具合にも気付くことができ、人よりも多くの気付きを得られる。

    上記であげてきたように、育つ人と育たない人の違いは自らの構え(考え方、受け止め方)によって大きく変わる。構えは人の根幹の部分である。この部分をきちんと自分で理解することで、人は成長することができる。他責にしてしまう自分、内向き傾向な自分であっても、それを変えようという気持ちが少しでもあり、一歩でも行動出来れば人は変われる。そのためには、まずは自分を知ることである。自分を知るのに一番早いのは自分以外の何かと比べ、自分を客観的に見て自分の在り方を確認することである。例えば本や仕事、他人などと自分を対比して、今の自分を客観的に見てみる。すると今まで見えなかった物が見えてくる。比べることで気付くことがたくさんあるからだ。ゆとり教育で、"他人と競わせない"という考え方、"個性を大切に"という考え方も一理あるが、"闘争心や人より少しでもいい暮らしをしたい"等という気持ちを持つことが、人の成長にとって最も必要である。そして、成長しない経済日本にあって、これからの暮らしは自らの頑張りでしか勝ち得ることは出来ないということを自覚し、自分事として危機感を持つことが、成長への起爆材となるのではないだろうか。

    後編では、"人を育てるとは"についてのOBT協会の見解を掲載致します。


    *続きは後編でどうぞ。
      人が育つ・人を育てるとは(後編)




                                                  OBT協会 菅原加良子