OBT 人財マガジン

2007.09.25 : VOL31 UPDATED

経営人語

  • 企業の競争力の源泉となるもの!

    格差社会といわれて久しいが都会と地方の経済力の格差、国民間の
    保有資産や所得の格差、経営層とそれ以外の人達の所得格差、
    そして企業間の業績格差等。

    成長を続ける企業と衰退していく企業とその2極化現象の加速化。
    以前は同じような企業であったにもかかわらず、この差を作り出して
    いるものは本当のところは何であろうか。
    流行の言葉や流行の経営手法を超えるものが見えてくる。

    ―企業の存在理由―

    「御社の競争力は何ですか?」という問いに明確な回答を持ちえて
    いない企業はあまりにも多い。

    その理由として競争力とは、目に見えないものであるし、その特定が
    非常に難しいということに所以しているということもあるであろう。

    然しながら、間違いなく言えることは、企業でも人間でも同じであるが
    ・どのような考え方で経営を行っているのか
    ・どのような考え方で仕事を行っているのか
    ・どのような考え方で生きているのか

    「基本となる考え方」「基本となる視点」の違いが行動の違いとなって
    あらわれるということに等しい。
    自社の或いは自分の存在の原動力となっているものといえる。

    競争力とは、自分達のレゾンデートル(存在理由)そのものといえる。

    「御社は何のために存在しているのか?」という問いに御社では
    何と答えるのであろうか。


    多分、もっとも多い答えは「利益を上げるために」ということであろう。
    "利益を上げる"という行為は、企業が存在していくことの結果としては
    重要であるが、それ自体が原動力となりうるであろうか。

    利益とは、人間の体に例えていうと、酸素や水、或いは血液の
    ようなものであって、それが無ければ勿論生きていけないが、
    然しながらそれは人生の目的そのものでは決してない。
    我々は、「生きるということを通じて何を実現しようとしているのか」
    ということが目的であろう。
    突き詰めて考えると、「我々は何者で、我々は何のために存在し、
    何をやろうとしているのか」といういわゆる存在理由にいきつく。

    存在理由の明確度→共有度→こだわり等が競争力の源では
    ないだろうか。

    ―成長を続ける企業の競争力の源泉とは―

    ・競争に勝つことではなく自らに勝つ
    ・明日はどのようにしたら今日よりも向上できるか

    という考え方が日常的で習慣化しており「行動のみならず考え方」を
    非常に重視している点にある。

    また、
    "売れる商品を作る"ということではなく"ある種の商品を作る"こと
    "時を告げるという考え方"ではなく"時をつくるという考え方"が

    大きな特徴であろう。

    ORではなくAND

    もうひとつは、ORの発想ではなくANDの追求である。

    AとBのいずれかを選択するのではなくAとBの両方の実現を追及している。

    それは、『利益を超えた目的の追求』と「現実的な利益の追求」の
    両立と統合という考え方であろう。

    競争力とは、
    「自社の存在価値に対する強いこだわり」と
    「日々の仕事を通じてそのことを追求していく姿勢と行動」
    そして「時間的な経過と共に決して形骸化させない持続力」等が
    源泉なのではないだろうか。


    経営やマネジメントに携わる人達は、日々の業績や営業動向等と
    いった議論だけに終始することなく"我々は何のために存在し、
    何をしようとしているのか"等といったことの議論が非常に重要に
    なってくるのではないだろうか。


                    On the Business Training協会
                                   及川  昭