OBT 人財マガジン

2013.02.27 : VOL158 UPDATED

経営人語

  • 成長の限界を乗り越える為に

    成長には必ず終わりがある。

    それは数々の歴史が証明している。
    全ての産業でこの流れは必然であり、これを回避することは出来ない。
     
    全ての物事に始まりがあれば終わりがあるということである。

    成長期に入った時にそのことを思いだす必要がある。

    大事なことは自社の変化を知る、自社を取り巻く変化を見るということである。
    何故ならば、変化は脅威であると共にチャンスでもあるからである。
    我々は、もっともっと変化には鋭敏でなければならない。
     
    時は人を待たない、時間だけは刻々と進んでいく。
    そのためには強さにつながる次の一手を打つ必要がある。

    ビジネスの世界では、それがとても大事になってくる。

    然しながら、今日の環境下で競合他社をしのぐ優位性を構築することは並大抵のことではない。

    例えば、「コストによる差別化」なんて格好いいことを言ってはいるものの、その実やっていることは
    「これまでより人を減らして量を多くこなす」ということが中心となっているので現場はどんどん
    疲弊していく。

    また、「顧客に付加価値のあるサービスや商品を提供する」とは言いながらも結局は他社のそれと
    大差ないものを、ネーミングを変えて、多少安い価格で提供すること等が常態化しているため
    現場はますます停滞していく。

    市場や競合の分析等に力を注ぎ、外部の力等も利用していろいろやってはいるものの、ただ分析材料に
    頼ったり、経営の答えを外に求めているだけなので自社のアイデンティティもなくただ踊らされて
    いるだけなのである。

    そしてこの手の企業にかぎってパフォーマンスが悪いと現場にペナルテイー等いわゆる
    ムチとアメを駆使して本質的な問題点を軽視している。
    要は、ただ、表のラベルを張り替えたり、口先だけで本質的には何ら数十年前と変わって
    いないのである。
    そのため、根幹にある管理体系は、第一線や現場をコントロールすることだけにある。

    一方で、我々は、優位性を持っている企業は、何か他社にはない特別なことをやっていると
    考えがちである。

    然しながら、長きにわたって優位性を持続している企業は、本当に特別なこと等何ひとつしていない。

    自社の強み、目標そして現場に埋もれた小さなアイデアやヒント等を救いあげ、実践することを
    長きにわたってきちんと続けているのである。

    毎年、売りだされる、ただ表面の名前を替えただけに過ぎない経営のファッション等に飛びつく
    ようなことは一切ない。

    要は、何の珍しさも無い、同業者なら誰でも出来ることを愚直にやっているだけなのである。
    然しながら、もし、同業他社と大きな違いがあるとすれば、それは、その当たり前のことを、
    誰にも出来ないレベルで徹底してやっているということに尽きる。

    政治は選挙があるので票を獲得するための妥協がその産物となるが、経営や事業の本質は
    徹底である。

    まさに、アリストテレスの「優れた成果は一時的な行動からではなく、徹底して続けることから生まれる」
    という指摘は、経営や事業の本質を捉えている。
    長きにわたって"顧客ありき""徹底して続けられる"というのは、まさに組織としての能力であり、
    見えざる資産といえる。

     "現場を活かす経営""顧客ありき""公平と信頼""人が財産""些細なことを疎かにしない"・・・・・・等
    いわば当たり前のことを執念を持ってやり続けていることにある。
     
    一方で、巷では、経営の稚拙さのツケを現場に回すマネジメントを行っている企業が余りにも多い。

    それは、つまり経営の根底にある大事にしているものが全く異なるっているからである。


    On the Business Training 協会  及川 昭