OBT 人財マガジン

2009.01.28 : VOL60 UPDATED

経営人語

  • オバマ大統領就任で思うこと - 21世紀の最も貴重な資源とは

    20世紀後半から、世界中にモノがあふれそしてそのような豊かな時代が続くと
    今度は世界中に金が溢れた。
    溢れた金は破綻し世界中を金融危機という嵐で包み込んでしまった。

     

    今やモノや金はさほど貴重ではなく、人が最も貴重な資源となってくる。
    特に貴重なのは優秀な若い人である。
    今、世界の人口は現在60億人であるが100億人になる前に頭うちになるといわれている。
    国連も推定しているように先進国の人口はこれから減少することは間違いのないところである。

     

    先進国で最も早く減少段階に達するのは、日本、イタリア、ドイツである。
    こういう枠組みの中で活力を維持し成長をつづけていくためには、教育水準の高い優秀な人の確保である。
    特に知識情報化社会では、それがいえる。

     

    かつて、人の多いことは貧しさの原因であったが、今や先進国では人は最も貴重な資源である。
    これまでの米国の一人勝ちは、若くて人口が伸びている国、資源が豊かな国、各種システムの透明性のある国、

    テクノロジ-を持っている国、アカウンタビリティ-がある国等といった社会システムが
    若くて有能な人財を輸入する人的開放体制にマッチしていたという側面がある。
    これからも米国が優位を占めていくと予想出来る理由はそこにある。

     

    21世紀は中国の時代であろうが、今のところは優秀な人材は米国への供給源になっている。
    これからは海外高級人財の回収が課題となる。
    シンガポールや香港の関係者でさえ同様の悩みを漏らしている。
    各国とも留学生を帰国させるための優遇策を打ち出しているものの有能であればあるほど
    米国社会の魅力には勝てないのが実情のようである。

     

    20世紀までの移民は世界的に増えるものの余剰なものをどう処理するかの問題であった。
    これからは金不足から金あまりへの転換によって金融の枠組みが大きく変ってしまったように、
    若い優秀な人材の争奪戦が起こる。
    それに勝ち抜いた国が21世紀の勝者である。

     

    今までの日本は経済発展そのものに人を引き付ける魅力があった。
    居心地が悪くても我慢するしかないしまた、そうするだけの価値はあった。
    しかし、これからは居心地がいいから何時までも住んでみたいと思わせるようでなければ
    立派な人を集めることは出来ない。
    留学生の動向を見ているとつくづくそう感じる。

     

    これは、企業についても全く同様である。
    組織に人財を引き付ける魅力がなければ、企業としての発展は望むべくもない。

     

    社風や企業風土は企業のバランスシートには記載されておらず金額にも換算できない。
    然しながら、そんな見えざる資産がかってないほど重みを持とうとしている。

     

    雇用の流動化が進み社風は磁石のように人財を引き付けたり或いは反発もさせる。

     

    On The Business Training 協会  及川 昭