OBT 人財マガジン

2011.02.09 : VOL109 UPDATED

経営人語

  • 経営における失敗とは何か

    企業経営における失敗とは、組織全体を揺るがすような大きな失敗であろう。
    然しながら、それはたったひとつの誤りがそれだけのインパクトを持つというよりも小さな

    誤りや小さな失敗を是正することなく放置してきた結果としての波及作用、累積作用が

    企業組織全体を揺るがすことになるということであろう。

     

    1. 状況認識の誤り
    方向性や戦略についての誤りは、それは状況認識にある。
    状況認識には、我が社を取り巻く事業環境、顧客ニーズの動向、競合の動き等の外的な

    状況と我社の組織内の状況、即ち我が社が持っている資源の価値、本当の強み、組織

    体質等の2つの状況の認識である。
    外部環境についての状況認識を誤れば方向性の判断を間違える。
    また、外部環境のみならず、自社の持っている資源の価値、技術の本当の強み、組織

    体質等の内部環境も方向性を決定する際の重要なファクターであるが、その内的状況の

    認識を誤っても方向性の判断の誤りは生じる。

     

    2. 人財評価の誤り
    これからの激変する環境にマッチした人財か、組織の変革をリードしていけることに

    ポテンシャルを持った人財か、その分野の部下達がついていくようなリーダーシップがある

    人財か等等、様々な観点からの人物評価があるはずである。
    その評価を経営者が間違えたばかりに方向性の判断が間違っていなくても、実行の成果が

    上がらず組織を揺るがすような失敗につながる危険がある。

     

    3. 甘さを正当化することの誤り
    方向性の判断、人財評価の判断等は、ある意味では知的な判断である。
    しかし、最初の知的な判断が正しくても組織に関わる全ての人達がその方向で実行を

    正しく推進してくれなければ、最終的には成果につながらない。
    組織としての決めごとを徹底して推進することが成果につながるポイントである。
    見方の甘さ、ゆがんだ現実理解、公私混同、えこ贔屓等様々な歪みを経営リーダーが

    見せれば、部下達は「自分もいいか」という形で伝染していく。
    経営リーダ-としての失敗の背後にある第三の誤りは、人としての甘さや緩みによる

    誤りである。

     

    4. 小さな失敗を是正しないことの誤り
    小さな誤りや失敗は誰にでもあることだから、頻繁にある現象だからということで見過ごされ

    放置される可能性が高い。
    然しながら、怖いのは、小さな失敗を正さないことの波及作用である。
    小さな誤りや失敗ならすぐに正さなくても構わないという雰囲気が組織内に醸成されることで

    あり、小さな失敗にまた別の小さな失敗が連動して思いもかけないような大きなマイナスに

    つながってしまうことがしばしば見受けられる。


    これでは、古い事業構造の変革など望むべくもなく競争力を喪失するばかりである。


    On the Business Training 協会  及川 昭