OBT 人財マガジン

2013.01.23 : VOL156 UPDATED

編集後記

  • 座右の銘にしたい言葉

    先日、日経新聞の土曜日版の何でもランキングで、"覚えておきたい「現代の名言」"
    という特集が掲載されていた。


    そこで、私の目に飛び込んできたのは鷲田清一さんの
    「自分がわかっていないことがわかるということが一番賢いんです」という言葉だ。


    現在はネット社会で、わからないことがあっても簡単に調べられてしまう世の中になった。
    昔は苦労し、図書館で本を探したり、知識のある人に積極的に話を聞いたり等、
    懸命に調べていたものも、今やパソコンの検索で数十秒のうちにその答えが出る。


    然しながら、その代償として、パソコンあがれば努力をせずとも、情報は手入れられる
    という感覚が恒常化され、苦労の対価を求めなくなってしまったのではないだろうか。


    それは、自己啓発本もまた然りである。
    "簡単に成功する方法"等の本は非常に多く出回っている。
    そういった本を読んだ直後は、自分も一歩前進した様な錯覚に陥り、
    わかった気、出来た気になる。


    しかし、実際は、読んだだけ論理を知っているだけでは何も始まらず、
    本来は自身で実践しなければ、自分のものにならない。
    本や周囲から取り入れた情報を実践する課程にこそ、学ぶべきことがあるからだ。
    然しながら、多くの人は読んだだけで満足してしまっていないだろうか。


    それは、本等には簡単に書かれてあることも、実際に実践することは意外と難しいからだ。
    今までの考え方、行動を変えて行く必要があり、やはり苦労が付いて回る。


    人は、結局その苦労を嫌がる。
    その為、自分は出来ていると思いこませてしまうことがあるのではないだろうか。


    しかし、そこからはなのも学べない。
    鷲田さんが仰った「自分がわかっていないことがわかるということが一番賢いんです」という
    言葉同様に、分かってないと心から思えた人は、自ら新たに学ぼうとする。


    新たなことを学ぶということは、大変なことではあるが、自分の未熟さを認め、
    挑戦しようと行動に移すことにより、新しいチャンスをものに出来る確率が格段に上がる。


    物事の本質をわかっていなくても、世の中は生きていける。
    しかし、その本質を少しでも知ろうと努力をすれば、知らなかった時よりも
    更に深い世界が見えてくるのかもしれない。


    そうして、常に貪欲に新しいことに挑戦出来る人間こそが、これからの時代
    生き残っていける人なのではないだろうか。


                                             OBT協会 菅原加良子

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