OBT 「経営課題」と「人財に関わる課題」の同時解決

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2016.02.05 : UPDATED

「なぜ、経営施策が浸透しないのか、その実効が上がらないのか」


私は、この仕事に就いて約20年近くになるが、その間様々な業種・業界のいろいろな
企業に関わって参りました。 

そんな中で、昨今の日本企業の状況を見ていますと、多くの企業に2つのことを感じている。

①組織の第一線や現場に停滞感や疲弊感が多く活性化していない目立つ
②今日のテーマである「新たな経営施策や戦略を構築して実行する」ということとは、
   逆の方向に向かっている

ここで申し上げたいことは、経営施策や戦略の実効性を高める上で、本当に重要になることが
組織内できちんと理解されているのだろうか、ということである。

これは、国内の某メーカーでの話であるが、この会社は日本企業の中でも
かなり早くから積極的にコンプライアンス対策を行っており、
コンプライアンス推進月間や全国的な集会も展開している。

同社において社内のコンプライアンスの推進状況に関して調査したところ、
社員の4割及び臨時社員の7割がコンプライアンス問題について、
どこに相談していいかわからないという結果であった。

これほど積極的にコンプライアンス対策を実施している同社においても、
基本事項ですら十分浸透していないという事実は重大である。
コンプライアンスの中身の論理性や質的な充実もさることながら、
組織全体への浸透がいかに難しいか難易度が高いかということである。

クレームへの対応、品質や安全性の確保等々、
社員に理解してもらう必要がある経営課題がどんどん増加する昨今、
その対応を組織全体に浸透させるというのは、非常に難しいということである。

マニュアルを作成して、「○○の手順で××せよ」と機械的に単純作業として
実施するのであれば、社員に指示するだけで事は足りる。
然しながら、「社員に~せよ」と伝えるだけでなく、
「何故~しなければならないのか」という背景までを理解させて、
実際の仕事の中で自立的に行動できるようにしておく必要がある。

また、社内でいくら通知文書を流しても効果が上がらないため、
一部の企業では外部コンサルタントに依頼して分厚い資料を作成しているが、
それがどれほど効果があるかどうかは甚だ疑問である。
「資料を配布すること」と「それを社員に理解させること」との間には
天と地ほどの開きがある。

時折、聞かされる話に、
「及川さん私共では、社長や経営幹部が折に触れて現場を回っているので、
かなり現場とはコミュニケーションが図れています」と仰る人達がいる。

然しながら、社長や経営幹部が現場を回れば、現場と意思疎通が図れる、
現場の本当のことがわかるというのはいささか早計過ぎる。
忙しい時間を割いて、現場を回っても「現場では完全にお客さん扱い、
ご本人はどう思おうが完全な自己満足に陥ってしまっている。
数少ない、現場訪問や社員との対話の中でたまたま目についた事例や意見、
それが極めて例外的なものであったとしても【現場の実態】として
トップの頭の中に刷り込まれたりする。

理解すべきは、お客様に対して現場がどこまで本音で言えるだろうか。

ここ数年、いろいろな日本企業で耳にする言葉に

  • 新しい経営施策を出しても会社全体に浸透しない
  • 戦略を変更したものの営業のスタイルが旧態依然としていて、成果に結び付かない。
  • 若手のモチベーションを上げる為、成果貢献型の人事制度に改定したが、
    現場の勢いが出ない、管理者がマネジメント出来ない、若手も育たない。
等々がある。

そして、

経営サイドや本社部門から出る言葉は、
現場は危機感が無い、仕事のやり方が変わらない、管理者がマネジメント出来ない、
意識も変わってない等。

一方、現場からは、
本社は現場の状況が全く分っていない。
管理強化で規定やルールが増え、且つ事前承認や報告事項の増大等本業以外の
不毛な仕事ばかりが多くなり、その対応に時間がとられてしまい効率が非常に悪い。

皆さんの会社ではこのようなことはありませんか?
いかがでしょうか?

我々は、これまでの経験からこのような状況が生みだされる要因は6つあると考えています。

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今回の「opinion」に関連する事例・知見


経営施策の浸透・実効は“徹底度”で決まり、徹底するプロセスが強い組織を作る


経営改革は、実行する「現場の実態」を把握して、初めて実現する


人という生き物への理解に対する無知と無策が組織を衰退させる!


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